第九話 僕たちと道化師
side:葵羽
「うわぁーーーーー!」
僕とレンくんは声がした方を向く。
火の中からだ…
「葵羽さん…無理だよ、こんな火の中…」
「………じゃあ、レンくん、水とかタオルとか持ってる?」
「え…も、持ってるけど…」
エコバッグの中から数本の水のペットボトルとタオルを出す。
バシャバシャとタオルに水をかけて目の前の火にばさっと被せる。
ジュッ…
タオルが焦げるも、火は消えた。
「よかったよ、レンくんがこんなに荷物を持ってきてくれて」
と微笑むとレンくんは顔を赤くする。
「そっ、そんなこと…ない、です…」
「レンくん、進もうか」
「はいっ」
幸いその先は火がなかったから進めた。
段々と息が荒くなってる。
「…レンくん、大丈夫?」
「う、うん。なんとか…」
奥に進んでいくと、
「水樹っ!?」
水樹が十字架 (?)のようなものに磔にされている。
手と足は縄で拘束されている。
「な、なんか、よく二次創作でありそうな…」
レンくん、今僕も同じこと思ったよ←言ったらだめ
「あら、もうお連れの方が来たのね」
ステージから高い声が聞こえる。
どこかで聞いたような…
『こんにちわ、みなさん』
耳元であの声が蘇る。
“道化師”さん…?
すたっ、と上から飛び降りてくると自分の記憶の信頼度が高まる。
派手な紫と黄色のチェックの服を身につけた女の人。
「なっ、なんで…」
レンくんも狼狽える。
「名乗り遅れてしまったわね、私の名前はフルーフ」
最初の時と同じくフルーフは僕とレンくんの前でお辞儀をした。