第一話 ぼっちの嘆き
side:レン
これはツンデレ地帯へ行く途中のケルベロス車での会話。
「レンさーん」
「なに?」
ガタガタ、と揺れる荷台。
ケルベロスは相変わらずグゥグゥうなってる。
あー、怖い。
なんで荷台をケルベロスがひくんだろう?
ケルベロスって地獄の番犬だよ? 頭三つあるんだよ? お菓子につられて誘拐されかけたんだよ?
それを勇者であるミランスとそのお供である僕を乗せちゃって大丈夫かなぁ?
ミランスのチョイスが心配になるよ。
「レンさんってわたし以外友達いないんですよね?」
「キミ、単刀直入に失礼なことを聞くね」
「事実じゃないですか」
「いや、まぁ……」
「かわいそうですね」
「真顔で言うのやめて?」
デリカシーなさすぎませんこと?
いや、僕──レンも結構ノーデリカシーなほうだけれどさ!
ミランスもなかなかじゃない!? ミランスって勇者だよね!? 世界平和目指して旅してるんだよねー? 今現在僕を悲しませてない?
僕ゲーム好きでいろんな勇者を見てきたけど、こんな勇者初めてだよ。
っていうか質問の意図がわかんないんだけど。
「そういうミランスは友達いるの?」
「いますよ? 多分ニュージーランドの羊と同じくらいいると思います」
「なにその東京ドーム何個分みたいなただただ規模が大きいことしかわかんない例え」
「ツッコミがやけに長いですね。コラボ小説だからって張り切ってるんですか?」
「うるさい(図星)」
恥ずかしくなってうつむく。
ミランスって鈍感なのにこーゆーときだけ勘が鋭いんだから。
「まぁ、友達がいっぱいいることだけが幸せだと思いませんがね」
ミランスの吐き捨てるような声。
あーあ、僕は知ってるよ。
「そうゆうセリフは友達がいる余裕のある人が言えるものなんだよ!」
「ひねくれてますねぇ」
……呆れ顔された。
でも事実じゃない? ねぇ! そう思うよね! 僕と同じく友達いなくて昼休みは自分の席でぼーとしてたり、意味無く廊下を歩いてみたりしてるそこのキミ!
「あっ」
「どうしたんですか?」
「いや、中学のときに友達らしき人がいたと思う」
「友達らしき人……」
ミランスの怪訝な顔の隣で僕は中学の頃を思い出す。
……わけありな人たちだったんだよね。身体能力がバカすごかったし。
「その人、どんな感じだったんですかー?」
「うーんっとね。二人いたんだけど、一人は男の子でもう一人は女の子」
「こんな楽しくない説明は初めてです。もっとくわしく教えてくださいよ」
……どうしよう。(※レンはAB型なので自己開示が苦手です。)
まぁ、ヒマだし良いか。
僕は中学の頃に思いを馳せた。