⑤途切れた言葉の先
{ロイアン街クエストギルド}
俺たちが直面した諸問題らは、学者アクエイにより詳細にギルドに報告された。
「分かりました。今回の事件については引き続き調査を……、はい………、有難う御座いました……。」
学者とギルドの番台係が話を終える。近付いてくる学者の顔は血色は宜しく無かったが、不謹慎にも喜びに満ち溢れた俺たちの顔を見て、学者は呆れた様に笑い、報奨金を差し出した。
「どうぞ。」
『――イェーイッ!!!!』
――今夜は何を食おうか……。
アルクが懐に金貨をしまったのを確認してから、俺は学者へ言葉を交わす。
「でも、本当に良いんですか?」
――まぁ何を言われても、返すつもりは無いけれど。
「はい。確かに調査はあまり出来ませんでしたが、それ以上に大きな発見も有りました。心残りが有るとすれば、恐らく鉄屑渓谷街は、より高位の危険地帯として封鎖されてしまうということでしょう。そうなれば、私のような学者はいよいよ近づけません。」
俺はその言葉に頷く。
「そうでしょうなぁ。だから、俺たち探索家が息をしている。して、今後はどうするんですか?」
俺がそう聞くと、学者は悩んだふりをしながら笑い、希望の灯った眼をしながら言った。
「鉄屑渓谷と同じような場所が有ると聞いています。無骨なロストテクノロジーが依然生き永らえながら、文明の失われてしまった神秘的な場所が。勿論そこは既に、特殊なダンジョンとして閉ざされた危険地帯だと知っています。しかし私は同時に、私の様な軟弱者であっても命を賭して守ってくれる人たちがいることも知っています。」
「そうでしょうなぁ。」
「でしょうなぁ。」
プーカが俺の声を真似ながら言った。学者はそれに笑いながら言葉を続ける。
「ですからユーヴサテラ。再度会えたら、また私のクエストを引き受けて頂けますか?」
「えぇ。クエスト用紙に唾を付けておきますよ。」
笑いながら承諾する。
「ふっふっ、まさか。……可笑しな人達だ。では次会う時は{アクエイ}で良いですよ。そっちの方が気楽で良いです。」
アクエイはそう言って手を伸ばし、俺は堅い握手を返した。そして「それじゃあ」と挨拶を挟み踵を返すと「あっ。」と思い出すようにしてアクエイが俺を引き留めた。
「そう言えば、あの街で横槍が入った話のその続きなんですが。参考までに話しておきますね。」
そう前置きをして、アクエイは最後に言葉を紡いだ。
――――――――
「なんて言ってたんだい?」
キャラバンは人々を置き去りにし、穏やかな草原を進んでいく。アルクは机の前で興味深そうに俺の話を聞いていた。
「えぇっと。確か。」
俺はアクエイに言われた最後の言葉を思い出し、口ずさむ。
「……機械の狭間に有る軒並みには、人が住んでいたような痕跡は無かった。例えばベッドだとか、火を起こす場所だとか、生物の骨や遺骸だとか。であるからもしかすれば、この文明を作ったのは、人では無いかもしれません。……だって。」
ビビりのリザは肩をすくまし、アルクは頭上にハテナを浮かべていた。




