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①組まれた木の周り


「ららら、魔法はクソ~♪」


 俺は悪態を口ずさんで力を込めながら、カッカカッカと火打石の火花を火種に向かって飛ばしている。火種とは笹掻き状にした木の枝や、動物から採った毛を取っておいたものだ。魔法が使えれば全くもって不要な物らである。


「もぉーナナシ、僕がやろうか?」


「甘えるな。ここがダンジョンならお前は無力。経験こそが力なのです。」


 我がクランで唯一魔法を扱えるのが、同じ魔術学院に真っ当に在籍中であるアルク・トレイダルだ。学院に在籍している俺たちは現在、謂わば現場実習というような扱いを受けて旅をしている。主な理由を上げればアルクは親や許嫁から逃げる為、俺は学寮長が用意した高難易度ダンジョンへの推薦入窟許可証を行使出来る為だ。すなわち、授業料を払わずに利用できるものだけを利用している形となる。そもそも、魔法を使えない俺があの学院で学べることも少ない。実習課程を踏める今まで進級出来ているだけで力技なのである。

 無論、シーカーとしての実績を積み上げて入窟許可証が必要無くなれば、いつだって学院とはおさらばだ。アルクに至っては既にトレーダーとしては一流以上であるから、もっとも在籍している意味が無い。


「日が暮れちゃうよ……。」


「日が暮れたら魔法で頼む。」


「ははっ、プライドとか無いな~。」


 さて、今何をしているのかと問われれば難しい。だが最もオブラートに、分かり易く、妥協した言い方をするならば、それは{キャンプ}だと言えるだろう。もっとも俺たちにはキャラバンという家が有るわけで、新築一戸建てを所有し、居を構えていると言えばそうであるから、キャンプという粗雑なものと同一視されるのは不服だが、キャンプをしている。焚火をしている理由は竈を既に利用しているから、そして情緒が有るからだ。


「ららら、魔法はクソ~♪現に、人類ほとんど使えない~♪」


「まぁそうかも知れないけど……。」


 丸太の上に座り、俺たちは起きない焚火を眺めている。いずれ情熱的に燃える木々たちの、燻っているポテンシャルを眺めているのだ。


「魚獲れた。」


 川原の方からは黒髪のショートヘアに雫を滴らせたテツが歩いてくる。出会ったばかりの頃は長髪だったが、旅をするに従い髪を切ってしまったせいで、今や女子ウケの良さそうな美男子になってしまった。


「腹減った~」


「減った~」


 後は飯が出来そうな匂いを感じ取り、キャラバンから出てきた赤髪マッチョと下品チビガキに猫を添えれば、{ユーヴサテラ}の完成で有る。何と愉快なクランだろう。最高に居心地が良い。


「あっ、じゃあ火お願いします。」


「はいはい。」


 俺がそう言うとアルクは杖を取り出し、焚火に一瞬で火を起こした。
















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