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BOX・FORCE  作者: hime
第2章:七魔編-七魔団vsBOX・FORCE-
73/82

[第32話:Tenere manus]


「久しい顔ぶれだな。」


黄髪に毛先が赤く染められた髪を靡かせながら、そう言って現れたのは、

獅蘭 継斗(しらん つぐと)であった。


「…獅蘭っ!どうしてここが…。」


蒼松はそう言った。

蒼松が退院した後、ジャッキーと蒼松は神奈川に拠点を置いて調査を進めていた。


「…()()()が教えてくれた。

…俺を、初めて認めてくれた人。鶴実さんがな。」


獅蘭を蒼松たちの元に合流させたのも、"茨木 鶴実"によってであった。


「…茨木さん…先代の頃、俺はそこまで他部隊との交流がなかったから、彼の事はそこまで深く知らないけど…。確かに"第1次NAMELESS大戦"の数少ない生き残りだったって事は知っている。

その彼が何故、今こうして俺たちを集めているのか…。そもそも、彼はどこにいるんだ?」


蒼松の中で、事の真相がまだ掴めていないようであった。

複雑に散らばる点、それを繋げる唯一の線引き役が茨木である事しか、蒼松には分かっていなかった。


「鶴さんは、四国にいる。

"BOX・FORCE"は既に引退してる身ではあるが、これまでも何度も裏から助けてくれたのが鶴さんだ。」


獅蘭は、そう言って自身のスマートフォンを見つめた。


「…"第2次NAMELESS大戦"。ウルセウスとの戦闘の後、いや、その前からだ。

鶴さんはいくつかのメッセージを俺に寄越した。

『"BOX・FORCE"には、大きな力が働いている可能性がある。』

これは、鶴さんが何度も俺に寄越したメッセージだ。」


獅蘭の視線は、スマートフォンから天井へと移った。

それは、何かを思い出しているかのように。


「俺は信じた。鶴さんのそのメッセージを。

そしてある時、それは確実に近いものになった。」


獅蘭が言うには、"第2次NAMELESS大戦"が発展する少し前。

蒼松が"四神(ししん)"と呼ばれる"NAMELESS幹部"と接触した事が、獅蘭や茨木の中で"疑惑"が"確証"となったと言う。


「…俺はそれから、独自で調査を進めた。

…だが、()()()から先に進めなくてな。

その時だった。鶴さんから、"蒼松を保護した。ジャッキーと合流させる。"って連絡を貰ったのは。

それで、ここに辿り着いたってわけさ。」


獅蘭はそう言うと、蒼松とジャッキーに深く頭を下げた。

獅蘭が取る行動としては珍しく、2人は驚いた。


「…頼む。俺の持ってる情報を提供する。

これ以上()()()()()を出さない為に、

"BOX・FORCE"を、"箱装"を止める協力をして欲しい。」




こうして、蒼松とジャッキーと獅蘭の3人は

"honey rabbits"という組織を立ち上げ、独自で調査を進めた。


そしてある時_


「…久しぶりだネ…。」


ジャッキーがそう言った相手は、蓮田 瑛介(はすだ えいすけ)であった。


「…ジャッキー…小秋…マイケル…?」


大通りの路肩に停められた、青のスカイラインGT-Rに寄りかかるジャッキーを見て、蓮田はそう呟いた。


「…いかにモ。丁度良かっタ。

君にも協力して貰おウ。」


そう言って、ジャッキーは蓮田を助手席に乗せた。

運転席に座ったジャッキーは、ことの全てを蓮田に話した。


「…ところデ、君は今も"BOX・FORCE(あそこ)"ニ?」


「…一応、所属はしている。

しかし、表向きには諜報部の一組織になっているが、実際のところは独自で組織の謎を調査している。

行方不明隊員の捜索と銘打って活動していた所に、()()の反応を感じてな。

そしたら、君がいたって訳さ。」


蓮田はそう言った。

彼もまた、組織に属しながらも組織に対して疑問を抱く1人であった。


「…だから、俺も協力する。

"honey rabbits"に入れてくれないか?」



こうして、蓮田も合流した事で、現在に至る。



_


「…と言った流れでな。

目的は、お前のその"七魔団"には近い。」


蒼松は、"honey rabbits"の経歴を樫間に話した。


「…いや、違うな。」


蒼松の話を黙って聞いていた樫間であったが、歩み寄りを試みる蒼松を、その一言で否定した。


「…俺の"目的"は、"箱装"や"BOX・FORCE"の阻止なんて"正義"面したものではない。」


樫間はそう言った。

それと同時に、周囲の"honey rabbits"や彩科院の目にも分かるように、樫間を黒いオーラが包み込む。


「…どう言う事だ樫間…。

我々に牙を向け、()()()()()()()()を…"BOX・FORCE"の仲間を危機に晒した理由を、

それを聞かなければ、俺はお前を許さない…っ!」


そう言って、彩科院が"裁馬刀(シェバーエピー)"の剣先を樫間に向けた。

その鋭い剣先に匹敵する目線を、樫間は彩科院に向けた。


「…クリスティーナ・パンダを殺し、"BOX・FORCE"を壊滅させる。

全て終わらせるんだ…。この長くて深い闇を…。」


そう言う樫間に、今にも剣を振るおうと身体を震わせる彩科院の肩を、蒼松が強く掴んで静止した。


「…今、樫間にその剣を向けたところで何も変わらない。

それに、俺たちも目の当たりにしたでしょう。

樫間の言う通り、|クリスティーナ・パンダ《奴》が"諸悪の根源"というのは事実です。

その剣先を向けるのは、樫間じゃなくて"奴"なんじゃないですか?」


一触即発かと思われたその場は、蒼松によって阻止された。

そこへ、本部隊員救出を終えた獅蘭と蓮田、堀崎率いる"七魔団"メンバーが共に集まった。


「とりあえず、本部内に取り残された人員は全て救出した。」


獅蘭はそう蒼松に報告した。


「…どうする?樫間。

このままじゃ、この建物もそう長くは持たなそうだ…。」


堀崎は、不安そうな顔で樫間にそう言った。


樫間は、"七魔団"のメンバーを見渡した。

皆、疲労と不安の表情を浮かべている。


「…"七魔団"は撤退する。

明日、再び現れる"奴"を確実に仕留める。

…交渉、決裂だ。蒼松 聡悟。」


樫間はそう言って姿を消した。

"七魔団"の面々も、樫間に続いて姿を消した。



蒼松たち"honey rabbits"は、残念そうに樫間たちが去る姿を見届けた。


「…どうする?総長。」


獅蘭はそう言って、蒼松を見た。

蒼松は、樫間の去り際を横目に彩科院へと視線を移した。


「…彩科院隊長。

"BOX・FORCE"の皆を守る為にも、我々"honey rabbits"と協力して欲しい…。」


そう言って、蒼松は彩科院に右手を差し出した。

しかし、彩科院はその右手を払い除けた。


「…突然現れた()()に、協力しろだと?

…今の俺たちは、そう簡単に物事を判別出来る立場にはいない。

…出直せ。蒼松。」


彩科院はそう言い捨てて、執事日向の待つ車へ向かって去っていった。


「…さて…どうしたものか…。」


蒼松は、天を仰いでそう呟いた…。






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