[第24話:Tigris voluntatem]
"|Tigris Venandi"
即ち、樫間による"虎狩り"が始まった。
「…"白界乖離"。」
樫間は左手に持つ白刀を大きく振った。
すると大きな斬撃が発生し、目にも止まらぬ速さで迅雷寺に向かっていった。
「…"白"は全てを押し除ける。」
樫間のその呟き通り、周囲のものを全て一刀両断しながら、
その斬撃は迅雷寺を狙い突き進んだ。
「…"桂流裏式:虎牙…『鼓虎乱嵐』"…っ!!!」
目前に迫り来る斬撃に対し、迅雷寺は刀を両手でしっかりと握って体を大きく後ろに捻り返した。
そして、意を決してその刀を大きく振ると、黄金に輝く虎の形をした黄色いオーラが無数に現れた。
「…喰らい尽くせぇぇぇっっっ!!!」
迅雷寺の叫びは、虎たちを鼓舞した。
"白界乖離"の斬撃と衝突すると、壮大な音と共にその双方がぶつかり合っていた。
「"桂流、裏式:虎牙『虎填咆哮』"…っ!!!」
迅雷寺がそう叫ぶと、"雷虎徹"の刀身が黄金色に輝いた。
そして、"雷虎徹"を両手でしっかりと掴んで斬撃の衝突点に突っ込んだ。
迅雷寺の"虎填咆哮"は、2つの斬撃を縦に真っ二つに斬り裂きながらそのまま樫間に突っ込んだ。
「…"雷虎"を…なめるなぁぁぁぁ!!!」
しかし、迅雷寺の作戦は思わぬ形となった。
「…忘れたか?…"白"は、"速さ"だ。」
樫間の声と共に、
迅雷寺の身体は刀を構えたまま、樫間の目の前まで迫っていた。
その瞬間、迅雷寺は腹部に違和感を感じた。
樫間の右手の黒刀が、迅雷寺の左腹部に突き刺さっていたのだ。
「…まだ…まだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
迅雷寺は痛みに耐えながら、"雷虎徹"を樫間に振り下ろした。
しかし、その動きは明らかに遅い。
樫間は冷静に、その刀を左手の白刀で防いだ。
「…もう忘れたのか?」
樫間は鋭い目線で迅雷寺を見下ろした。
「"黒"が突き刺さるうちは、お前の動きは"遅い"。」
迅雷寺は絶体絶命であった。
しかし彼女の顔に、"諦め"は感じられない。
「…やるしか…ない…。」
迅雷寺はそう呟くと、刀を握っていた左手に隠し持っていた何かを強く握りしめた。
その左手には、翠色の光が溢れ出ている。
「…力を…貸して…ください…。」
迅雷寺のその言葉と共に、その左手には"陽羊刀"が現れた。
その姿を見て、樫間は迅雷寺から乱雑に"黒刀"を引き抜いて距離をとった。
「…うっ…。」
迅雷寺の腹部は、急速に出血している。
その痛みに耐えながら、迅雷寺は2つの刀を構えた。
「…まさか…"両刀使い"になっていたとは…。」
これには樫間も想定外のようだ。
それもそのはず。2年前の戦闘にて、迅雷寺は"陽羊刀"を桂から受け継いでいたのだ。
「…倒してみせるよ。…かっしー。」
迅雷寺はそう呟くと、
右手の"雷虎徹"に黄金色の、左手の"陽羊刀"には翠色のオーラをそれぞれ纏わせた。
「…私は、これで"ヴァリアル"を倒した…。"虎の意地"…よ…。」
_
一方、東雲と古織は…。
2人は、激しい攻防を繰り広げていた。
攻防…とは言っても、古織は防戦一方である。
東雲の周囲には常に様々な物体が浮遊していた。
東雲の持つ"物体操作"の力が、彼女を常に守っていた。
「どうやら、あなたの力はそこまでのようね。」
東雲は古織に向かって煽り口調でそう言った。
それを聞いた古織は、険しい顔を見せる。
「…あんたに…何が分かるっ!」
古織はその隙に東雲に向かって突っ込んだ。
「…"咬鮫撃"っっっ!!!」
"鮫破舵"にオレンジ色のオーラを纏わせ、
その"棍棒"を古織は東雲目掛けて大きく振った。
しかし東雲の姿を捉えるより先に周囲の物体が飛来し、それを阻止した。
次々に飛んでくる物体を、古織は全力で叩き落としていく。
(…"天属性"の"鮫破舵"なら…"悪魔の力"とも相性がいいと思ったが…。)
古織は何かを思いついたように、表情を変えた。
その目は、鋭く東雲を睨んでいる。
「…試して…みるか。」
古織の全身が濃い橙色のオーラに包まれた。
頭部にはヘルメットのような武装を、両手両肩にはヒレのように尖った角が付いた武装を、
そして両足を鋼鉄のような鎧にその身を包んだ。
「…"鮫皇装:冥海鮫天"っ!!!!」
古織を包む橙色のオーラが一気に放射され、周囲の浮遊する物体を吹き飛ばした。
(…この"箱武装"…、結構パワー使うのね…。)
古織の頬に、汗が滴り落ちた。
「…ふっ、見た目が変わったからって、私に勝てるのかしら?」
東雲はそう言うと、"悪魔の旋棍"を構えた。
「…あなた、相変わらず性格悪い言い方ね。
今、楽にしてあげるっ!」
古織は東雲にそう言い返すと、全身を橙色のオーラに包みながら、東雲に突っ込んだ。
「"鮫皇装:鮫突旋風棍"っ!!!」




