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BOX・FORCE  作者: hime
第2章:七魔編-七魔団vsBOX・FORCE-
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[第19話:Secundum motum tertium motum]

_

駒場の戦場には、一時の静寂が流れていた…。


「…相手の存在が感じられない…。」


スミレは、周囲の気配を五感全開で感じたが敵の姿は捉えられなかった。

第2真隊の3人は、互いの背を預けるように3方向を向き敵の攻撃に備えた。



「…そろそろ、片付けようか。なぁ?チャン。」


その声と共に、3人の正面に黒い影が2つずつ現れた。


「…こいつら…っ!」


スミレは、その影を鋭い目つきで睨んだ。

それは、チャンと葉坂の姿が分身してそれぞれ現れていたのだ。


「…なるほどな。()()()()()()は、他にも影響を与えると言うことか…。

そうであれば、本部で彩科院隊長が樫間にあれだけやられた事にも説明がつく…。」


矢島は、冷静に相手を分析した。


「…どう言う事っすか?それ。」


抹梨も、目の前の相手に視線を向けながら

矢島にそう問いかけた。


「…恐らく、樫間の持つ"()()()()"とやらは、

重力或いは速度に影響を与える能力なんだと思う。

それを、自らの肉体と彩科院隊長の両方に使用した。

自らの肉体へは重くなる又は速くなる能力を、相手へは軽くなる又は遅くなる能力を、だ。

そうすれば、通常より強い力を相手に与える事ができるってわけか…。」


矢島はやはり頭脳明晰であった。

抹梨は、その理解に少し苦しんでいる様子であったが、スミレはどことなく()()を理解していた。


「…ほぅ。これまでの"箱装"とは違い、奴らの力には直接的な力の影響力がある、というわけか。」


「恐らく、な。

して、多分大鎌を持つ奴の能力が"分身"なのだろう。

こいつの能力をチャンに分け与え、"分身"を可能にしている、というのが今目の前で起きてる現象なのだろう。」


矢島がそう解説すると、

突然チャンが現れて、手を叩きながら矢島を賞賛した。



「これはこれは、ご名答。

流石、オリジナルメンバーの生き残りで、歴代上位の頭脳の持ち主だな。」


チャンのその言葉に、矢島は素直に喜んではいなかった。


「…んだよそれ。…でも分かんねぇなぁ。

何故、お前や樫間はBOX・FORCE(俺たち)を攻撃する?

お前たちの言う、"BOX・FORCE(俺たち)"の壊滅とクリス副長の抹殺…。

それが何を意味するって言うんだ?」


矢島は冷静を装いながらそう言った。

しかし、その胸中には何か思惑があるように見える。


「…ちょ、隊長?奴らに歩み寄る必要はないって彩科院隊長が…。」


矢島の言葉に、スミレは驚いて小声でそう耳打ちした。


「…言ったろ?俺は()()を使ってるんだ。」


矢島はそう言い、頭を人差し指で指した。

そんな様子を見ながら、今度は葉坂が口を開いた。


「お前、チャンが認めるって事は少しは脳みそ使える奴なんだな。

…だったら、その理由は自分たち組織を顧みて考えてみるんだな。」


葉坂は何かを察したのか、具体的な答えを濁した。

その葉坂の態度に、スミレが苛立ちを露わにした。


「…貴様…先程から随分とナメた態度を…。潰してやるっ!!!」


スミレはそう叫ぶと、目の前のチャンと葉坂の姿に突っ込んだ。


「ヴァイオレットっ!!!…ったく。俺の策の邪魔すんなっつーの!」


矢島もそう言いながら、目の前の()に突っ込んだ。

2人の姿を見て、慌てて抹梨も攻撃を仕掛ける。


「…やっぱチョロいぞ、こいつら。」


葉坂は笑みを浮かべてそう呟いた。


「葉坂、俺がいるうちはこいつらには負けない。

…いや、俺と樫間が味方のうち、はだな。」


チャンもそう言って、拳を構えた。




「"ボア・トライデント"っ!!!!」


「"フルフランベ"ぇぇぇっ!!!」


「""| Va au diableヴァウ・ディアブル"っ!!!!」



3人は有りったけの力を、チャンと葉坂にぶつけた。

その加減に、相手への慈悲など一切感じられない。

正に"渾身の一撃"である。



「…はぁ、はぁ…。」


攻撃を終え、抹梨は肩で息をしていた。

その様子からも、彼らの全力が伺える。


「…やった…のか?」


スミレも、大きな呼吸をしながらそう呟いた。


「…いや…まさかな。」


矢島も、荒い呼吸をしながらそう呟いた。

3人とも"渾身の一撃"を放つも、その手応えを()()感じていなかった。



「…そろそろ、本気で潰しに行こうか。チャン。」



夜の暗闇に加え、攻撃によって発生した砂煙に包まれて

視界の悪い3人の周囲から、そう声がした。



「…やっぱり、まだ生きてやがる…。」


矢島が周囲を警戒しながら見渡し、そう呟いた。

その瞬間…。




ボコッ…!!




鈍い打撃音と共に、矢島の側からスミレの姿が消えた。

スミレは勢いよく回転しながら、地面に転がり飛ばされた。


「…何っ!?」


その姿を目で追いながら、矢島は急に怪しいオーラを感じ取っていた。


「…どう言う事だ…さっきまでとは違う…。

明らかに、別の相手…。」


矢島は驚きを隠せずにいた。


「…()()()()()。なぁ?矢島。」


矢島の目の前に現れたのは、チャン・リーフォンであった。


「…久しい…だと?…馬鹿にしてるのか…?さっきからずっと…戦って…。」


矢島はチャンの言葉を理解しようと、必死に思考を凝らした。


「…馬鹿にしてんのか!テメェ!さっきからずっと、お前らと戦ってんだろうがっ!!」


矢島が慌てて振り向くと、チャンに向かって抹梨がそう叫んでいた。



「…おいおい。笑わせんなよ。」






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