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BOX・FORCE  作者: hime
第2章:七魔編-七魔団vsBOX・FORCE-
53/82

[第12話:Misericordia]



第3真隊_


迅雷寺は考えていた。

現状打破の為の、最適案を…。


「…椎菜ちゃん?そんなに眉間に皺寄せたら、

せっかくの綺麗なお顔が台無しだぜ?」


リズは、難しい顔をする隊長の迅雷寺にそう言った。


「…すみません。どうしても、現実を受け入れられてないというか…。」


迅雷寺は、弱い声でそう言った。


「…無理ないわ。椎菜さん、樫間さんの事好きなんでしょ?」


古織は女の勘が鋭かった。

古織は、自らの爪を見ながらそう言った。


「えっ…ええっ!?…なんで…えぇ…まぁ…。」


迅雷寺は、急に核心を突かれてあからさまに動揺し、赤面した。


「…ほう。それはそれは。乙女心は辛いですなぁ。」


リズは、ニヤニヤしながらそう言った。


「そんな相手と戦う…ましてや、やむを得ない場合は殺せ。

それが彩科院隊長の命令ですものね。酷な話だわ。」


古織もまた、どこか余所事のようにそう言った。


「…私は、これまで隊長であったかっしーに、たくさん助けられて…。

いつか部下として…いや、1人の人間として、それを返したい。そう考えていました…。

だけど今は、どうしたらそれが叶うのか…わからない。」


迅雷寺の表情は、再び曇ってしまった。

リズと古織は、そんな迅雷寺の姿を見て

互いに目を合わせて、やれやれといった身振りをした。


「…隊長がそんなんだと、私たち動けませんよ。

私はあくまで、現隊長である椎菜さんの指示に従うつもりです。」


古織は、厳しい言葉ながらも優しい口調でそう言った。


「…俺も芙美ちゃんと一緒。謙信さんが、椎菜ちゃんが隊長に相応しいと選んだんだ。それを信じるさ。」


リズも、迅雷寺を励ますようにそう言った。


「…2人の言う通りね。私がしっかりしないと。」


迅雷寺はそう言って、自分の両手で自分の頬を強く叩くと、気合を入れ直した。





_

一方、樫間率いる"七魔団"サイド。

こちらは、都内のとある路地裏の廃ビルに集っていた。



「皆、ご苦労。"BOX・FORCE"への奇襲攻撃は成功だ。」


樫間はそう言った。

しかし、その顔に喜びといった感情は存在していない。


「"日本特殊防衛組織"なんてくらいだから、どんなもんかと思ったけど…大したことなさそうだな。」


道影は余裕そうにそう言った。


「…どうかな。彼らが本気でくれば、それなりにいい勝負になると思うがな。」


チャンがそれをすぐに否定した。

相手の力を知る樫間とチャンは、余裕の隙を見せないようにしていた。


「これからどうするの?紘紀くん。

私たち、彼らに喧嘩を吹っかけた以上、彼らと戦うんでしょ?」


東雲はすっかり、"七魔団(しちまだん)"の団員としての風格を表していた。


「ああ。…次は、各部隊を襲撃する。」


樫間はそう言うと、廃ビルにあった壊れたホワイトボードを持ち出した。

そこに一頻りペンで何かを書くと、再び団員たちに言った。


「恐らく、現在の"BOX・FORCE"の陣営はこうだ。

部隊Aの隊長は彩科院鬼介、その下に咲波愛花、白峰渉。

部隊Bの隊長は矢島慎次、その下に抹梨洸、スミレ・エレーナ。

部隊Cの隊長はリズ・マーティン、その下に迅雷寺椎菜、新入隊員…。」


樫間がホワイトボードに書いた図式を指しながら説明した。


「襲撃時に現れた面々から算出するに、こんな感じだろう。

以前はそれ以外の者もいたが、あの場にいなかった。

()()が本部内側に潜んでいるとは考えにくい。

今は、()()の事は考えなくて大丈夫そうだ。」


樫間がそう言うと、道影が興味深そうに樫間に言った。


「ふぅん。その、()()ってのが仮に敵組織幹部に潜んでいたとしたら、俺たちの勝算はどうなるんだ?」


「…負けるかもしれない。まあ、その可能性は限りなく低い。安心しろ。」


道影の問いに、樫間はそう答えた。


「ほう。そうなのか。」


道影の反応は、どこかつまらなそうであった。


「なるほど。樫間の算出した敵組織論は、大分参考になるな。

恐らく彩科院鬼介、いや、クリスティー…クリス・ハンターが組み出しそうな組織形態だな。」


チャンが、樫間と道影の会話の後にそう見解を示した。


「…となると、厄介なのは彩科院率いる部隊Aか?」


チャンは、樫間にそう問いかけた。


「…いいや。彩科院鬼介など相手ではない。

厄介なのは、部隊Cだ。」


樫間はそう言った。


「…迅雷寺椎菜に新入隊員…。それに、隊長を担ってると思われるリズ。

3人とも力量が侮れない。警戒しないといけないかもしれない。」


樫間の話し方は慎重であった。

迅雷寺もリズも、樫間にとっては共闘した事のある相手だからこそ、その力量を恐れているのかもしれない。


「なるほど。では次はどう動くんだ?樫間。」


黙って話を聞いていた堀崎が、ふとそう発言して話を進めた。


「相手がこちらへの対抗策を見つけるより先に、攻撃を仕掛ける。3:2:2だ。

部隊A強襲班は道影、江神、堀崎。

部隊B強襲班はチャン、葉坂。

部隊C強襲班は俺と東雲で行く。」


樫間は、団員たちにそう指示した。


「具体的な強襲策は問わない。各々が最適な戦略で行ってくれ。」


そう言う樫間の目は、悪魔そのものであった。


「了解。蹴散らすぜ。」


そう言うと、道影は江神と堀崎を率いて暗闇に姿を消した。


「抜かるなよ。樫間。」


チャンはそう言うと、葉坂と共に姿を消した。


「…私は…どうしたらいいの?」


東雲は樫間の元に1人取り残され、不安そうにそう言った。


「主に新入隊員の相手を頼む。残りの2人は、俺が相手する。」


そう言うと、樫間は徐に東雲を抱き抱えた。

軽々持ち上げられ、東雲はされるがままであった。


「えっ…ちょっと…!」


恥じらいを見せる東雲を他所に、樫間は一言呟いた。


「この方が速い。大丈夫、落としはしない。」


そうして"七魔団"は、各々強襲へと飛び立っていった。








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