表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BOX・FORCE  作者: hime
第1章NAMELESS編-新宿戦-後編
36/82

[第36話:Ivy]


「………キ……ロキ……ヒロキッ!」


樫間が気を取り直すと、横にはジャッキーが必死に声をかけていた。

その樫間は、身体中に青白いオーラを纏っていた。


「…大丈夫カ…?」


ジャッキーは心配そうに倒れる樫間を抱えて言った。

樫間はボーッとする頭を抑えながら、静かに答えた。


「…あぁ……はい。大丈夫です。」


そして気を取り直して起き上がり、バキオラに視線を向けた。

すると樫間は、自分に起きている異変に気がついた。


(…なんだ…この目…。)


樫間の目には、あらゆる建物が透けて見え、

他人の姿は、サーモグラフィーのように赤いオーラのような姿で映っていた。


「…"氷龍装(ひょうりゅうそう)吹雪双皇龍(スノードラヴルム)…"。」


不思議な空間の中で、緋我が樫間に告げたその名前を樫間が呟く。


すると、樫間の身体を青白いオーラと冷気が包み、

壊れかけていた氷の鎧が、強く鋭く強固な姿へと復活していった。


「…ヒロ…キ…?」


ジャッキーは、樫間の姿に目を疑った。

突如として力を増幅させたことはもちろんだが、

樫間のその姿は、龍そのものになりつつあった…。


(…何なんだ…この力…。)


樫間の身体には、意志と反した力がみるみる内に溢れていた。


(…キサマノ…カラダ…カリルゾ…。)


樫間の脳裏に、そう囁く声が聞こえた。

緋我のそれではない。樫間の知らない、しかしどこか懐かしげな声と共に、

青白いオーラの閃光が放たれる。


「…なんだ。生きていたんですね…。

まあ…殺すだけですけどねっ!」


バキオラは樫間の姿を見てそう叫んだ。

その表情は、獲物を仕留め損ねた悔やしさよりも

この状況を楽しんでいるようであった…。

まさにそれは"凶気"と呼ぶに相応しい。


「『貴様…バキオラ…と言ったか?…樫間紘紀をボコったくらいで喜んでんじゃねぇよ。この私、"青龍銃(ヴルムガン)"…いや、"ドラヴルム・ドラゲニオン"を殺してみせろっ!』」


樫間の身体を乗っ取った"青龍銃(ヴルムガン)"…いや、"ドラヴルム・ドラゲニオン"はそう言うと、地面を抉るほど蹴りつけ一瞬にして姿を消した。


次の瞬間、"ドラヴルム・ドラゲニオン"は竜の爪のような氷の右手でバキオラの顔面を捉えた。

そして、片腕でその体を持ち上げると、竜の脚のような左足を回転させてバキオラを蹴り飛ばした。


それだけに止まらず、"ドラヴルム・ドラゲニオン"は吹き飛ぶバキオラの身体を追いかけては殴打し、まるでボールのようにバキオラの身体を操っていた。


「…ジャック、マズいぞ…。」


リズは、その光景を見ながらジャッキーにそう言った。

リズ、ジャッキー、咲波の3人は目の前の異様な光景に、只々立ち尽くして見ているしかなかった。


「ありゃ"箱装(ボックス・アーマー)"に乗っ取られてる。"十二神器"には、どうやら俺たちも知らない未知の力があるのかも知れねぇ…。」


咲波も続けて言う。


「…彼の使う"青龍銃"の力…。

私たちの力よりも、遥かに恐ろしいものなのかもしれませんね…。」




樫間こと"ドラヴルム・ドラゲニオン"の力は、攻撃を重ねる度に威力を増し続けた。

それは、同時に樫間の肉体へのダメージも与え続けた…。



(…待てよ。)


ふと、樫間の動きが止まった。

バキオラは、大型ビジョンの液晶に身体を埋め込まれて身動きが取れずにいた。


(…返せよ。俺の身体。)


すると、樫間の身体に宿る"ドラヴルム・ドラゲニオン"の力が落ち着きを見せた。

樫間の意思が"ドラヴルム・ドラゲニオン"を制している。


((…何言ってやがる。もう少しであいつを潰せるんだぞ。))


"ドラヴルム・ドラゲニオン"は、再び樫間の身体を乗っ取ろうと試みた。

しかし、樫間はそれを拒んだ。


(…あいつは、俺がやる。)


((…はぁ?あいつに半殺しにされてた奴がよく言うぜ。

第一、俺の力がなきゃお前はあいつに勝てない。))


樫間の肉体の中で、"ドラヴルム・ドラゲニオン"と樫間の意思が争っていた。


(…だから、寄越せよ。)


((…はぁ?))


(お前の力、全部俺に寄越せっつってんだよ。)


ふと、樫間の身体から爆風が現れた。

青白い爆煙の奥からは…


「…待たせたな。"氷龍装(ひょうりゅうそう)吹雪双皇龍(スノードラヴルム)"…。

バキオラ、テメェを殺す。」


樫間はそう呟くと、青白い霧を纏った。

次の瞬間、樫間の姿は霧のように消えて無くなっていた。


「…あらあら。今度は手品の披露ですか。

私にそのような小細工が通用するとでも?」


バキオラは、胸部の砲口にエネルギーを溜め

樫間の姿が現れるのを待った。


その時、バキオラは妙な気配を感じ取った。気配の先は背後にあった。

咄嗟に振り向くと、バキオラの体は背後から迫っていた氷の龍の口内に飲み込まれた。


「…やったカ…!?」


不安そうにジャッキーは、その光景を見つめて言った。

すると、バキオラを飲み込んだ氷の龍が、突然腹部から閃光を放って球体へ変形し始めた。


『…内部爆発する気ですか!?あれっ!』


次なるチャンスを伺いながら、残された3人はそれぞれ散って機会を待っていた。

戦闘の様子を見ながら、咲波は通信を繋いでそう叫んだ。


「…させねぇ。」


すると、バキオラを飲み込んで球体型に変形する氷龍の前に、樫間が姿を現した。


「…"双皇龍極弾(スノー・ドラゲニオン)"…っ!!」


樫間が手にした2丁の銃から、新たな氷龍が2体現れた。

2体の龍は、お互いに入り乱れながら次第に高速スクリューしていった。

やがて勢いを増した2尾の氷龍は、1本の氷の矢のように鋭くなって

バキオラを飲み込んだ氷龍の球体に突き刺さった。


その瞬間、球体は激しい閃光共に大きく爆発した。

爆風で地面を揺らすほどに、激しく。



「…やった…のカ…?」


ジャッキーの声は不安を隠せずにいた。その不安はすぐに現実のものとなった。

爆風が晴れると、そこにはボロボロになったバキオラの姿があった。


「…ふふふっ…。まさか…私がその程度の攻撃で…やられるなど…。」


バキオラの言葉には、どこかまだ戦闘の意思を感じさせるものがあった。

しかし、バキオラの肉体はとても戦闘のできる状態ではなかった。


片や、樫間も限界に近い状態である。

樫間の肉体に纏われた、"氷龍装:吹雪双皇龍"は、

次第に青白い輝きを失い、氷のように溶けかけていた。


樫間は震える右手を、右耳の通信機に当てた。


「…奴を仕留める…。トドメの1発を放つっ!」


樫間は、口から吐血しながら叫んだ。

流れる血を強く噛み締めて、2丁の銃口をバキオラに向けた。


「ダメだ紘紀ッ…!!!

それ以上やれば、君は"青龍銃"の自然エネルギーに体が耐えられなくなルッ!!」


ジャッキーは、精一杯樫間に叫ぶが…。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ