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BOX・FORCE  作者: hime
第1章NAMELESS編-新宿戦-前編
31/82

[第31話:Snowdrop]

「…俺に、考えがあります。」


そう言う樫間を、ジャッキー、咲波、リズは静かに見守った。


「奴の身体で、まだ俺たちが把握できてない箇所があります。

恐らく、あの黒いローブの下。胴体部分に奴のコアがあるはずです。

奴を凍結させて動きを封じ、コア諸共奴を木端微塵に出来れば、勝算はあります。」


樫間の考えに、皆不安そうな表情を見せたが、同意した。


「具代的にハ?どう攻めル?」


ジャッキーは樫間に問いかけた。


「…俺の"青龍銃"で奴の動きを完全に封じ込みます。

そこへ、3方のありったけの出力で胴体へ狙撃してください。

そこまでは、俺が完全に奴を引きつけます。」


樫間の考えに、リズが首を横に振った。


「それはあまりにも樫間がリスキーすぎる。奴の動きは、俺と樫間で引きつけた方が良くないか?」


リズの意見に、樫間は不服そうな顔を見せた。


「奴を木端微塵に撃ち砕くには、2人じゃパワーが足りない。

それに、2人で攻め込めば奴に隙を与え、先程のように残りの2人に被害が及ぶ。

ここはなんとしてでも俺が引きつけます。」


樫間の反論に、リズは困り顔を見せた。


「…じゃあ、こうしましょ。樫間君、君がギリギリまで待機してください。

私とジャックさんとリズさんで、あいつの自由を奪います。

タイミングが来たら、4人で総攻撃を仕掛けます。」


咲波はそう結論を出すと、"長蛇銃(スネイク・スコープ)"を構えた。

今にも狙いを定めて撃ちはじめようとする咲波の姿に、リズとジャッキーは仕方ないといった表情で了承した。


「…頼んだ。ジャック、愛花ちゃん。」


リズはそう告げると、バキオラに向かって飛び出した。


「…とっておきでも、使っちゃいますかっ!」


リズはそう言うと、"矢多鴉(ヤタガラス)"をバキオラに向けた。


「…ふっ、楽しませてくださいよっ!」


バキオラは、不敵な笑顔でそう叫んだ。

リズは、そんなバキオラを見ながら"矢多鴉"の引き金を引いた。


「…"賦獄火愚槌(フゴクカグツチ)"っ!」


"矢多鴉"から、深緑色に光る矢が無数に放たれた。

矢は縦横無尽に駆け回り、バキオラを強襲した。


「…甘いっ!」


バキオラは、右腕のガトリングガンで向かい来る矢を撃ち落としていった。

しかし、矢の数、勢い共に弱まることは無く、バキオラを襲い続ける。


「ジャック、愛花ちゃん、今だっ!」


リズは、矢に翻弄されるバキオラを見て即座に指示を出した。


「…OK…I won't take it off…。」


咲波は、持てるエネルギーを有りったけ弾丸に込めた。


「…I'll shot…!!!」


咲波の狙撃銃の引き金が引かれ、銃口から鋭い水の弾丸が放たれた。


「…行こうカ…"スキュアー・タクティクス"ッ!」


ジャッキーも"鷹目銃"の引き金を引き、雷撃が走る弾丸を放った。

2本の弾丸線が、バキオラ目掛けて勢いを増す。


「…小賢しい…」


バキオラがそう呟くと、咲波とジャッキーの弾丸が襲い掛かり、爆発した。


「…樫間、今だっ!」


リズは、爆発を見てそう叫んだ。


「…いや、まだだ…。」


しかし、樫間は躊躇った。

樫間の予感通り、バキオラの元から爆発を切り裂くように、砲弾が放たれた。

砲弾によって爆風が晴れると、無傷のバキオラが姿を現した。


「…この程度ですか…?BOX・FORCE…。」


バキオラは、やれやれといった表情を見せた。


「…何故ダ…!」


ジャッキーは、強く唇を噛み締めた。

彼らは、決して手を抜いてるわけではないが、バキオラの力はそれを遥かに超えていた。


「…まだまだ…ここで諦めるわけにハ…。」


ジャッキーは再び攻撃の為、引き金に指をかけた。

そこへ…


「…俺がやる。」


凄まじい風を起こしながら、冷たい影がバキオラに向かって飛び立った。

氷の翼と氷の鎧を身に纏った樫間の姿であった。


樫間は、バキオラに"青龍銃"の銃口を向けると、無数に弾丸を撃ち放った。


「…やれやれ。策なしですか?」


バキオラは余裕の表情を見せ、弾丸を避けようとするが、その勢いは急激に増していった。


「…策なしだと?なめんなよ。」


樫間には策があった。

しかし、それを悟らせない程の勢いで

樫間はバキオラに突っ込む。


「…数年前にも、君のような無謀で愚かな人間が、私を攻撃してきた…。」


バキオラはそう言うと、向かい来る樫間に左腕を向けた。


「…そいつは蜂の巣にしたが…貴様は灰と化せ!!」


バキオラの咆哮と共に、樫間を砲弾が襲いかかる。

樫間は砲弾を高速で避けながら、バキオラへと攻撃を放ち続けるも、バキオラの目は樫間の姿を逃すことはなかった。



「…あいつ、さっきから1ミリも動いてないのに、樫間の攻撃が全く当たってない…。

決して、樫間の狙いが荒いわけじゃないのに…。」


樫間とバキオラの激戦を見つめながら、少し離れたビルの屋上からリズは言った。


「…チャンスなんじゃないカ?」


リズの隣で、ジャッキーは何かを思いついた。


「…いや。私たちが下手に手を出せば、樫間君の邪魔になってしまう…気がします。」


冷静に咲波が否定した。

もはや、勝つ術無しかと思った時

通信が入った。


『…60…秒後…。』


荒いノイズが入りながらも、樫間の声が3人の耳元に入ってきた。


『…60…秒後…やつを…狙って…撃って…。』


樫間の指示に3人は反応し、武器を構えた。


「…了解した。頼んだぜ。樫間。」


リズが樫間の通信に答えた。


「…ちょっと待ってくレ…どういうことダ?リズ…。」


ジャッキーがそう言いかけると、リズはジャッキーと咲波の腕を掴み、想定30階程のビルの屋上から身を投げた。


「…ちょっ…えええっ!!!」


あまりの行動に、咲波は落下しながら叫んだ。


「…とっておきのスポット、見つけたんだよ…。」


3人の姿は、夜の暗闇に消えていった…。





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