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BOX・FORCE  作者: hime
第1章 NAMELESS編-序編-
3/82

[第3話:Lily II]





渋谷を後にした一行は、第2部隊のホームに帰還した。


「さて、帰って早速で悪いんだが…今から補講だ。」


蒼松はそう言うと、リビングの机と絨毯(じゅうたん)を退かし始める。

そこには、何もないタイル張りの床が9畳程現れた。


蒼松が壁についたスイッチを押すと、タイルのうち数枚ほどが動いて()()()()に地下へと続く階段が現れた。


「さあ、うちの自慢の訓練室へ案内するよ。ついておいで。」


そう言うと、一行は蒼松に続いて地下へ降りた。


階段を降りた先に、二重になった扉が現れた。その扉の先には、ぽっかりと何もない広い部屋がバレーボールコート2面分程現れた。


「ここは"リリィ"の特別訓練室。もちろんここは防音だし、特殊耐震装置で地上は揺れも感じない。

どんなに強い"箱装"の力でも、ここの壁は破れない特殊な素材で出来ているのさ。」


そう言うと、蒼松は自身の箱装"白愉兎(ラッキーラビッツ)"を解放した。


「俺からは、まず"箱装"についての基本知識を教えさせてもらうよ。」


そう言うと、蒼松は"白愉兎"に水のようなオーラを発生させた。


「まあ、みんなも知っていると思うけど"箱装"は"正の自然エネルギー"を基に作られている。

それぞれ、氷、雷、焔、植、水、天の6属性から生成されてると言われている。そして俺たちは、そのそれぞれの属性のエネルギーを基にした武器を取り扱っている。

例えば、俺なら水属性。俺の"白愉兎"は銃剣なんだけど、銃の弾は水のエネルギーでできている。なんでか分からないけど、その"正の自然エネルギー"はNAMELESSに効くらしい。

だから、この自然エネルギーを極限まで解放できれば、楽にNAMELESSを倒せるって訳さ。」


蒼松はそう言うと、白愉兎の大剣から大量の水エネルギーを解放した。


「今から、俺が思いっきり攻撃する。

紘紀、避けずにこれを全部受け止めろ。」


「さ、離れましょ。」


咲波が残りのメンバーを離すと、蒼松は大剣を樫間目掛けて振りかぶった。


「喰らいな。"宴楽斬(フルパーティー)"!」


蒼松の叫び声と共に、大量の水のかまいたちが樫間を襲う。


「なっ…ちょっ…」


樫間は慌てて"青龍銃(ドラゴガン)"を解放したが、正面から蒼松の攻撃を喰らった。

もちろん、立っていられるはずもなくそのまま壁に吹き飛ばされた。


「かっしー…っ!」


迅雷寺が叫ぶ。

すると煙が晴れ、そこには樫間が跪いていた。


「さぁ、紘紀の箱装を最大限まで解放するんだ。いけるだろ?」


蒼松がそう言うと、樫間はゆっくりと立ち上がった。

樫間の意思とは別に、樫間の体を何やら氷のようなものが覆い始める。


「うっ…うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


すると、樫間の背中から大きな氷の翼が現れた。

両足も氷の龍の足の様に覆われ、両手の銃は龍の頭の形で覆われた。


「さすが、早いな。これが紘紀の箱装の第二形態だ。」


蒼松が感心して言う。


「"双頭氷龍銃ツインヴルムドラゴガン"…。」


氷の龍を纏った樫間がそう(ささや)くと、樫間は蒼松に銃口を向けた。


「ま、最初は制御できないよなぁ~。」


蒼松はそう言うと、樫間に向かって突っ込んだ。

樫間は突っ込んでくる蒼松に、無数の氷の弾丸を撃ち込む。

蒼松はそれを冷静に回避し、樫間の首を右手で押さえた。


「…うっ…。」


蒼松に首を押さえられ、樫間は苦しそうに崩れ落ちた。

樫間の身体を纏った氷龍の鎧は、いつの間にか消えていた。


「樫間はまだまだエネルギーのコントロールが甘いみたいだな。

よし、この1週間で俺が鍛えてやる。」


蒼松は笑みを浮かべて樫間を見て、続けて他のメンバーに視線を移した。


「椎菜と渉も、愛花と洸にエネルギーのコントロールの仕方と、"箱装(ボックス・アーマー)"の限界突破を教わって強くなれ!」




そこからは、毎日特訓の日々が続いた。


「"桂流二の舞、雷雅獅子(らいがしし)"ッ!」


「美しく、儚く、燃え散れ…"炎美(えんび)"っ!」


「…"五月雨氷礫(アイススコール)"っ!」



日に日に威力とキレが上達している樫間たち第1部隊一行。

そして、蒼松達第2部隊との生活も7日目に差し掛かろうとしていた。


訓練室に集まった一行に、蒼松が言う。


「1週間の訓練お疲れ様。3人とも、前よりは少し強くなったかな?」


3人は不安げな顔をしたが、蒼松はそれを確認して笑顔を見せた。


「まあ、今はまだ不安かもしれないけど、そのうち分かるさ。」


蒼松がそう言うと、突然訓練室にけたましいサイレン音が鳴った。


『表参道上空、NAMELESSと思われる生命体反応あり!数は3体!リリィ、リコリス隊急行願います!』


「さて、時は来た。これはいい実戦経験になりそうだな。」





一行が現場に辿り着くと、そこには3体のNAMELESSが縦横無尽に飛び回っていた。


「さあ、かましてこい。」


蒼松は、NAMELESSに向かう戦士たちを期待の表情で見つめた。


「迅雷寺さん!白峰さん!フルパワーで突っ込む。1分で片付けるぞ。」


「「了解!!」」


樫間は2人に告げると、真っ先にNAMELESSに向かった。


「"双頭氷龍銃ツインヴルムドラゴガン"…!」


樫間はNAMELESSに向かいながら空中で氷龍の鎧を纏うと、NAMELESSに銃口を向けた。


「"五月雨氷礫(アイススコール)"!!」


無数の氷の弾丸をNAMELESSに撃ち込む。

しかしNAMELESSは、()()を避けながら樫間に突っ込んできた。


「…避けただと?」


樫間は不意を突かれ体勢を崩すと、

NAMELESSは樫間に向けて、無数の黒い弾丸のようなものを撃ち込んだ。


「…なっ…NAMELESSが攻撃!?」


樫間は驚きを隠せず、その弾丸を食らった。


「…ぐはっ…。」


氷の鎧が、攻撃を受け少しずつ溶け始める。


「…舐めんじゃねぇよ。」


体制を立て直し、樫間が呟く。

樫間は再びNAMELESSに向けて銃を向けた。


「…"凍速飛雨(ドライフレイン)!」


樫間の氷の鎧から無数の氷の礫が現れ、それら全てがNAMELESS目掛けて飛んで行った。

それと同時に、樫間は2丁の銃口から氷の細い柱のようなものをNAMELESSに撃ち込んだ。

無数の氷の礫を避けきれず、穴が開くNAMELESSの中心部分目掛けて、氷の柱がその体を貫いた。


見事、氷の柱はNAMELESSのコア部分を貫き、NAMELESSは苦しみながら消滅した。


「…リコリス舐めんじゃねぇよ。」


樫間は消え行くNAMELESSにそっと呟いた。




一方、迅雷寺サイド。


迅雷寺が向かった先のNAMELESSは、右側の腕部分がやけに細長く鋭くなっている。


「なるほど。あんたは"剣士タイプ"ってことね。かかってきなよ!」


そう言うと、迅雷寺は刀を抜きNAMELESS目掛けて突っ込んだ。


「"桂流二の舞、雷雅獅子"ッ!」


雷を纏った刀を、縦に大きく振りかぶる。

雷の様に鋭く振り下ろされた刀を、NAMELESSはその右腕で防いだ。


「なっ…"雷雅獅子"が効かない!?」


1度攻撃を弾いた迅雷寺は、地面に戻り体勢を整える。

するとNAMELESSは横に高速回転し、迅雷寺目掛けて飛んできた。


「…こうなれば…"桂流三の舞、飛雷獅子(ひらいしし)"っ!」


迅雷寺は雷を纏った刀を振りかぶり、NAMELESS目掛けて無数の雷のかまいたちを放った。

しかし、NAMELESSの回転は止まる事なく迅雷寺に向かって進んでくる。


迅雷寺は、NAMELESSにぶつかる寸前で上空へ飛んだ。

回転するNAMELESSは、その勢いのまま地面にぶつかった。

動きが止まるNAMELESSに、迅雷寺は再び刀を振った。


「…チャンス。"雷鳴獅子(らいめいしし)"ッ!」


地面で止まっているNAMELESSに、一筋の雷が落ちた。

それは、見事にNAMELESSの中心部分を貫き、NAMELESSは唸りながら消滅した。


「ふぅ…危なかった…って…ああっ!」


迅雷寺は安心したのも束の間、浮遊力を失い地面へ落ちていく。

…落下する迅雷寺。

それを間一髪のところで、戦闘を終えた樫間の両腕が救出した。


「…大丈夫ですか?」


樫間に抱えられ、少し赤面する迅雷寺は答えた。


「…だ、大丈夫。かっしーありがとう。」



一方、白峰サイド。


白峰の迎え討つNAMELESSは、4つの菱形の腕に囲まれた、いわば防御タイプ。


「防御…ねぇ。」


そう呟くと、白峰は徐に飛び出した。


「美しく、儚く、燃え散れ。」


白峰は、2つの拳に溢れんばかりの炎を纏った。


「"炎美"ッ!」


炎の拳は、無数にNAMELESSに繰り出された。

しかし、NAMELESSはその全てを菱形の腕で防いだ。


「やるじゃん。」


攻撃を防がれた事を気にもせず、すました顔で白峰は言った。

すると、白峰の両腕を纏っていた炎は両脚にも移った。


「咲き乱れ。"炎華(えんか)"。」


白峰は静かにそう呟くと、再びNAMELESS目掛けて拳を振るった。

またもNAMELESSに攻撃が防がれるも、その菱形の腕に炎の華が咲いた。

その炎は腕を貫通し、NAMELESS本体に向かって伸びた。


本体に当たるかと思われたところで、NAMELESSはそれを避けた。


炎の華は、NAMELESS本体目指して無数に伸び続けた。

NAMELESSは残りの腕と共に避け続けるも、4つ全てにその華は咲き広がった。


逃げるNAMELESSの先に、炎の拳を構えた白峰が待つ。


「もう少し楽しめると思ったけどな。」


そう言うと白峰は、真っ直ぐ炎の拳を向かい来るNAMELESSに振るった。

白峰の攻撃をまともに食らったNAMELESSは、爆発し跡形も残らず消えていった。


「お疲れ様でした。」


白峰は、そう言うと戦闘を終えた樫間と迅雷寺の元へ向かった。




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