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BOX・FORCE  作者: hime
第1章NAMELESS編-池袋戦-
23/82

[第23話:Zion]

[第23話:Zion]




余裕の高笑いを見せるヴァリアルの前に、迅雷寺と菊野は並んで立った。


「…私達が、ここで倒すっ!」


迅雷寺は桂を思い、目に涙を浮かべながらヴァリアルを睨んで叫んだ。


「はっはっはっ!お前ら女2人に何ができる?現に眼帯刀野郎は死に、出しゃばり炎刀野郎は瀕死だぞ?お前らなんか、片腕で十分だ!」


ヴァリアルは、睨む迅雷寺と菊野に向かってそう言った。


「…師匠の仇…。」


「…父の仇…。」


迅雷寺と菊野はそう言うと、刀に手をかけ、勢いよくヴァリアルに向かって飛び出した。


「「"混合流(こんごうりゅう) 雷菊(らいぎく)"っ!!」」


迅雷寺と菊野は、それぞれ黄色と緑に光るオーラを放ちながら、ヴァリアルに突っ込んだ。


2人がヴァリアルに接触しかける瞬間、2人の姿が消え、気がつくと2本の光がヴァリアルを貫いていた。


「…なっ…にっ…!?」


ヴァリアルが慌てて振り向くと、迅雷寺は2本の刀を構えた。


「"桂双流一舞、翠翔雷音(かつらそうりゅういちぶ、すいしょうらいおん)"っ!」


迅雷寺は翠色と黄色に輝く2本の刀を、ヴァリアルに交差状に振り下ろした。


「…ぐっ…ちょこまかとぉぉぉぉぉぉ!!」


ヴァリアルはそれを真っ向にくらい、少し怯みながら迅雷寺に叫んだ。


「…甘いよ。背中取られちゃうよ?」


すると、ヴァリアルの背後から菊野が刀を振りかぶった。


「"菊野流柒の咲、菊柒星(きくしちせい)"っ!」


菊野は、星を描くようにヴァリアルに刀を振るった。


「…させるかよぉぉ!!」


ヴァリアルはそう吠えると、背中から尻尾のような黒いオーラを生やして対抗した。

その先端には、鋭い刃が付いていた。


攻撃を繰り出していた菊野も、ヴァリアルの攻撃に圧倒され、守りの体制に入る。

迅雷寺と菊野は、一旦攻撃を止めてヴァリアルから身を引いた。


「…小賢しい女共が…ぶっ殺してやるよぉぉ!!」


ヴァリアルはそう叫ぶと、全身をよりドス黒いオーラで包んだ。


「…"魔装:ガラハッド"…」


その姿は、毛を逆立てた獣のように、黒く荒々しいオーラを放っていた。

四つ足の黒い獣のような姿になったヴァリアルは、周りに9本の刃を纏っていた。


「ヴォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」


ヴァリアルは、獣のように吠え上げた。


「…何あれ…まるで獣じゃない…。」


菊野は、変わり果てたヴァリアルの姿を見てそう言った。


「…ならば私もっ!!」


迅雷寺は、身体に纏われた"雷虎装(らいこそう)"から、さらに蒼く黄色い雷のようなオーラを放った。


「"雷虎装、桂流十一の舞、雷音(らいおん)"っ!」


そのオーラは黄色い虎の姿となり、迅雷寺の目には雷が走った。


「行くよっ!!」


迅雷寺がそう言うと、その姿は一瞬にして消え去った。

次の瞬間、ヴァリアルを飲み込むかのような巨大な黄色い虎が、ヴァリアルの目の前に現れた。


「…百獣の王に…ひれ伏せっ!!!」


巨大な黄色い虎は、ヴァリアルを一瞬にして飲み込むと、無数の電撃を走らせた。


「…菊野っ!」


「…任せなっ!」


迅雷寺が叫ぶと、菊野はそれに応えるように刀を構えた。


「"玖の咲、菊乱舞(くのさき、きくらんぶ)"っ!!」


菊野の剣撃がヴァリアルの全身に無数に放たれる。

ヴァリアルは、呻き声を上げながら縮こまった。


「…ヴォォォォォォォォォッ!…コロス…ブッコロスッ!!!!」


ヴァリアルは、叫びと共に黒いオーラに包まれた9つの刃を、2人に放った。


「…なんなの…どうなってるのよ!こいつっ!」


迅雷寺は、必死に攻撃を受け止める。


「…"コア"を潰さなきゃ…NAMELESSは倒せない…。やつの"コア"をっ!」


菊野も攻撃を受け止めながら、迅雷寺に叫んだ。


「…やるしか…ないっ!!」


迅雷寺は全身から、より強いオーラを放った。黄色い稲妻は、青白い稲妻へと変化していった。


「…仕方ない。今回ばかりは、あなたに任せるわ。…確実に仕留めてっ!」


菊野はそう言うと、ヴァリアルに向かって突っ込んだ。


「…"菊野流…改式十咲(かいしきじっさき)"…」


菊野がそう呟くと、地面から巨大な緑色の茎が現れた。

その茎は、みるみるうちに伸び上がると、ヴァリアルに向かう菊野に追いついた。


「…"春蘭秋菊(しゅんらんしゅうぎく)"っ!」


菊野の振るう刀に合わせて、茎は大きな手の様な形となり、ヴァリアルを掴もうとする。

しかし、ヴァリアルも対抗するように、黒く大きな手のようなオーラで、茎の進行を阻んだ。


「…まだまだぁ!"改式十咲、淵明把菊(えんめいはきく)"っ!!」


菊野が再び大きく刀を振るうと、茎の手はさらに大きさを増し、ヴァリアルの出す黒い手を包み込む。その手はさらに大きさを増し、ヴァリアルの身体ごと大きな掌で包みあげた。


「…今っ!!!」


菊野が上空に向かって叫ぶと、青白い雷の虎は、鋭い一本の線となり、ヴァリアルに向かって突き進む。


「…"桂流…終の(しまいのまい)雷王(らいおう)"…」


迅雷寺がそう呟くと、ヴァリアルの身体の中心を真っ直ぐ青白い稲妻が突き刺さる。

青白い稲妻は、ヴァリアルを包み込んでいた茎の手ごと、真っ二つに切り裂いた。


「…闇を斬り絶つ、蒼白の稲妻…。」


ヴァリアルは、荒々しい黒の獣の姿から元の人型の姿に戻った。その胸元は、まるで虎の腕が突き刺さったようにポッカリと穴が開いていた。


「…俺が…やられるとは…。」


ヴァリアルは、呆然とか細い声で呟く。

その目には、もはや生気は宿っていない。


「…へっ…俺たち"四神"を倒したところで…こんなもん…単なる"序章"に…すぎねぇ…。」


ヴァリアルの身体は、溶けるようにみるみるうちに消えていった。


「…どういう意味?」


迅雷寺は、消えゆくヴァリアルを背に、そう問いかけた。


「…"あの人"は…まだまだ切り札を持っているさ…。お前らも…所詮"あの人"の…手札にすぎねぇんだよ…いい加減気付け…。」


そう言うと、ヴァリアルは消滅した。


「…何それ…ハッキリ言ってくれなきゃ…わかんないじゃない…。」


迅雷寺はそう呟くと、2本の刀を握ったまま前のめりに倒れた。


「…椎菜っ!!!」


菊野はそう叫びながら、倒れる迅雷寺に駆け寄った。


迅雷寺の体に、何処からか桂の愛用していた紫色の羽織りが被さった。


(…椎菜…よくやった。よく頑張った。)


木枯しのような風と共に、戦場の荒れた空気は、一瞬にして消え去っていった…。






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