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BOX・FORCE  作者: hime
第1章 NAMELESS編-序編-
21/82

[第21話:Solanum maximowiczii]

[第21話:Malvanohorosi]





地下下水道。

そこを薄明るいガスランプが、照らしていた。


そこには、"四神"の5人が集まっていた。


「おい、バキオラ。そろそろ俺たちをここに集めた用件を言え!」


ヴァリアルが、イライラしながら言った。


「…ふふっ。今日は"あの方"直々に指令を下さるようだ。"BOX・FORCE(奴ら)"をぶち壊す、最後の戦いの、ね。」


バキオラは、薄笑いを浮かべ、そう言った。


すると、バキオラの背後に、1人の人影が足音もなく現れた。


「…みんなご苦労。バキオラ以外は初めましてになるのかな。私が、"クリス・ハンター"だ。」


"クリス・ハンター"と名乗るその男は、髪を軽く結んでおり、右眉と左の口元に軽い傷跡があった。


「ようこそお越し下さいました。クリス。」


バキオラが、深々と頭を下げた。


「君たちの活躍は、いつも近くで見させてもらってるよ。さすがだ。君らならもう奴らを叩きのめす事ができる。」


(こいつの声…どこかで…)


ヴァリアルは、クリスの言葉を聞きながら、そう感じた。


「全ては、私が始めた事だ。君らには、"邪魔者"を与えてしまった事を申し訳なく思う。しかしね、物語というものは単純すぎても面白くない。この物語にね、少しスパイスを加えさせてもらったよ。どうだい?彼らの実力は。面白いだろう?」


クリスはそういうと、服のポケットに手を入れた。

そして、何やらどす黒いオーラを放っている、"箱装(ボックス・アーマー)"のようなものを出した。


「待たせたね。これは君らの"最終兵器"だ。これを使えば、君らの力は最大限解放され、今まで以上の力を手に入れるだろう。」


クリスがそういうと、どす黒い"箱装"のような物は、4つに増えた。


「さぁ、物語はまもなく、フィナーレを迎える。君たちの力の解放。そして、"ラスコ・ローム"の誕生。邪魔者の排除。最後は、この"最終兵器"だ。この物語は、感動的なフィナーレを迎える。新たな生命体、"NAMELESS"による、新しい世界の誕生だ!」


クリスはそう言うと、両腕を大きく開いて高笑いを見せた。


「さぁ!行くのだ!新たな世界の創始者、"四神"のみんな!」


クリスがそう言うと、"最終兵器"はそれぞれの体に入り込んだ。


5人の体は、恐ろしいほど禍々しい黒いオーラに包まれた。




一方、戦闘を終えた第3部隊改と第4部隊改は、彩科院邸で待つ他の隊員たちのもとへ帰還した。


「…!みんな!無事だったのね!」


咲波は、笑顔で皆を迎えるも、皆は不安げな表情をしていた。


「無事な訳あるか。獅蘭がやられた。それに、矢島はまた振り出しだ。…全く、あいつも無茶しやがって…」


不貞腐れながら、彩科院が言った。


「無理もないヨ。あんなデカブツ。それに、周りにこっちの勢力もいたのに、何故獅蘭だけ攻撃して姿を消したのかもなぞダ。」


ジャッキーは、戦闘の報告情報を見ながらそう言った。


「…元から、獅蘭を消す為の戦闘だったとしたら…」


蒼松は、静かにそう言った。


「どういう事だ、蒼松。」


彩科院は、蒼松を見て言った。


「奴らにとって、あの化け物のテストがメインだったのかもしれない。けど、もしそれだけが目的なら、あの場にいた全員を狙うこともできたはずだ。現に、彩科院隊長、矢島さんもかなりの攻撃を受けている。

しかし、たまたま現れた獅蘭がやられた直後に姿を消したという事は、奴らははじめから獅蘭を狙っていた可能性もある。」


蒼松の言葉に、蓮田がいち早く反応した。


「仮に、蒼松隊長が言うことが正しいとしてよ。なんでうちの隊長だけが狙われたんだ?」


蓮田の問いに、蒼松は答えた。


「獅蘭は、ずっと俺たちの中に裏切りがいるんじゃないかと言っていた。実際の真意は不明だがな。しかし、これまでの事を考えてみれば、敵に我々の情報をリークしている者がいるって考えたら、辻褄が合うことも多かった気がする。

そこで、それに真っ先に気付いていた獅蘭に、これ以上察せられることは、敵にとって不利な状況になってしまうところまで来ているのだろう。

そうだとすれば、このタイミングで獅蘭を潰す事が奴らが優位に動く為の策だったんだろう。」


蒼松がそう言うと、彩科院が呆れたように話し始めた。


「寝言は寝てから言えや、蒼松。今回の結果から考察するなら、獅蘭が矢島の防御に入った攻撃で、敵が力尽きた。って考えるのが無難だろ。」


彩科院がそう言うと、咲波が続けた。


「確かに、彩科院隊長の言う通りじゃない?聡ちゃんの言う事も、理解できないわけじゃないけど、考えすぎだよ。獅蘭君だって、敵の正体が分かってるわけじゃないし…」


咲波の言葉に、彩科院が続けた。


「この話はこれで終いだ。何にせよ、"四神"を倒す事に変わりはない。俺たちは今、それだけに集中すればいいんだ。さ、解散解散。」


彩科院は、散れという合図をした。

それに合わせ、一同はそれぞれ解散した。


(ヴーッヴーッ)


会議室を最後に出ようとした樫間は、ポケットに入った自分の携帯がなっているのに気が付いた。


(誰だ…)


樫間は、通知画面を見ると、驚いた表情を見せた。


(まさか…"あの人"が…)


樫間は、慌てて会議室を飛び出した。





それから2日後、BOX・FORCE一同はけたましいサイレン音と共にその日を迎えた。

それは同時に、悲劇と激戦の開始音でもあった…。


『皆さん!!"四神"と思われるNAMELESS反応です!!数は5!!反応は、都内各地に分散しています!!場所は新宿、池袋、渋谷、お台場です!!急行願います!!』


通信員の時水は、慌てふためいた聲でそう言った。


「時水君!各エリアにいる"四神"が、どいつなのかはわかるか?」


時水の通信に、樫間が冷静に反応した。


『おそらくですが…新宿に"バキオラ"、池袋に"ヴァリアル"、渋谷に"ウルセウス"、お台場に残りの2人の反応と思われるものがあります!』


「みんな聞きましたか?第1は新宿、第2はお台場、第3は渋谷、第4は池袋に、それぞれ急行してください。作戦等は、現地隊長に一任します。…今日で決着をつけましょう!」


『『『了解!!!』』』


そう言うと、各部隊は割り振られた各地へ急行した。



真っ先に現場に辿り着いたのは、第4部隊改。池袋。



「おー来た来た。のこのこと殺されに来たのか?あ??」


ヴァリアルは、池袋駅東口上空から、辿り着いた第4部隊改を見下ろした。

池袋駅東口は、たくさんの人だかりで溢れていたが、その声を聞くと皆不思議そうに上空を見上げた。


「バカ言え。殺されるのはテメェだ。」


そう言うと、彩科院は腰に"裁馬刀(シェパーエピー)"を解放した。


「やってみろよ。雑魚人間が。」


ヴァリアルは、そう呟くと全身を禍々しいオーラで纏った。


「上等だクソガキ。後で泣くんじゃねぇぞ?」


彩科院は、"裁馬刀"を右手で引き抜いた。


「桂、迅雷寺、菊野。全てを賭けてあいつを殺す。覚悟はいいな?」


彩科院はそう言うと、構えた。


「元よりそのつもりです。」


桂は静かにそう言うと、"陽羊刀(ようようとう)"を抜刀した。


「限界突破で行きます!」


迅雷寺はそう言うと、"雷虎徹(らいこてつ)"を両手で握りしめた。


「…父上の仇…」


菊野はそう言うと、髪を後ろで結び"犬刺郎(けんしろう)"を抜刀した。


「"ローズ改"っ!行くぞっ!」


彩科院がそう叫ぶと、4人は一斉にヴァリアルに突っ込んだ。

人々の叫び声や驚く声が、あたり一面に広がった。




同時刻、渋谷。


「まさかこのタイミングで現れるとはねぇ…」


渋谷にたどり着いた、沫梨、白峰、チャン。

沫梨は、渋谷駅元東急百貨店の屋上に立つウルセウスを見上げながらそう言った。


「とりあえず、今は獅蘭を頼る事はできない。俺たちでやるしかない。」


チャンはそう言うと、"零豹拳(れいひょうけん)"を解放した。

チャンの姿に周囲の人々はザワついた。


すると、すぐさま警察官と警察車両がスクランブル交差点に集まった。


『皆さん、ここは危険です!!建物内へ避難してください!!』


拡声器から、複数の警官によって口々にそう叫ばれた。

人々は、半ばパニックになりながら逃げ惑ったが、面白おかしく携帯で動画を撮り始めてる人もたくさんいた。


「…みんな、まるで事態がわかってねぇ…」


沫梨は辺りを見回してそう言った。


「建物はダメだ!地下へ避難させろ!」


チャンは、近くの警官にそう叫んだ。


次の瞬間、ウルセウスはスクランブル交差点のど真ん中に降り立った。

その姿は、以前よりもさらにどす黒いオーラを放っていた。


「…やべぇ…来ますよ!」


白峰はそう叫ぶと、"炎鳥皇(フェニクスグローブ)"を構えた。


「…やるぞ!白峰!沫梨!」


チャンがそう叫ぶと、3人は一斉にウルセウスに向かった。



同時刻、お台場。


テレビ局の球体展望台の上に、2人の人影があった。

そこへ、第2部隊改、矢島を除く蒼松、蓮田、スミレが到着する。


「あらやだ。わざわざこんな危ないところに来てくれたの?」


2人の人影のうち、女と思われる方はそう言った。


「ていうか、初めましてよね?あたしはラスコ・テキーラ。んで、こっちがラスコ・ローム。よろしくね♪」


ラスコ・テキーラと名乗る女は、そう言ってウインクした。

隣にいる、ラスコ・ロームと呼ばれる人影は、真っ黒のローブに身を包み、フードを深くかぶっているので、その正体は分からない。


「まあ、そうは言ってもあなた達とは今日でお別れなんですけどね…残念ねぇ♪」


ラスコ・テキーラはそう言うと、黒いオーラに身を包んだ。


「あ、そうそう!初めましてでもないのよね。この前、あなた達のお友達、1人潰したからねぇ♪」


ラスコ・テキーラのオーラは、みるみる大きくなり、やがてラスコ・ロームの姿も包んだ。


「…おい、それってまさか…」


蒼松はそう言うと、目の前の2人の姿に固唾を飲んだ。


『ソウヨォ!アタシタチハ2リデ1ツッ!ラスコ・ロームナノヨォォォォォォッ!』


ラスコ・テキーラの黒いオーラは、テレビ局の建物と同じほどの高さまで広がった。

そして、それはみるみる形を整え、巨大な恐竜のような姿になった。


「…おいおい、こいつこの前の…」


蓮田は、ラスコ・ロームを名乗る巨大怪獣を見て、そう言った。


「…こいつを目の当たりにしたら、蒼松隊長がこの前言ってた事も、ちょっとは当たってるのかもしれないね…」


スミレも、驚いた表情でそう言った。


「"ラスコ・ローム"。それが"四神"の最後の1人ってわけか…」


蒼松は、そう言うと"白愉兎(ラッキーラビッツ)"を構えた。

蓮田とスミレも、それぞれ"箱装"を解放し、構えた。


すると、一同の上空から1人の人影が現れた。


「俺たちの相手はこいつか。こりゃ殺り甲斐がありそうだぜ。」


その人物は、両腕と両脚を鋼鉄の装甲に包み、全身を水のような青いオーラに包んでいる。

その右手には、一本の細く長い槍を持っていた。


「…矢島さん!?なんで!?」


蒼松は、驚いたようにその姿を見た。

その人物は、矢島であった。


「何だ?この前もそんな反応してたな?俺が出てきちゃダメか?」


矢島は、呆れたように笑いながら言った。


「…ダメって…まだ完治してないんじゃ…」


蓮田は、心配そうに矢島を見つめた。


「こんな怪我、大した事ねぇよ。それより、俺はやっと辿り着いたかもしれねぇんだ。こいつらを潰せば、親父の仇を取れるかもしれねぇってな。」


矢島はそう言うと、ラスコ・ロームを見てニヤリと笑みを浮かべた。


「…それは…どういう…」


蒼松がそう言いかけると、遮るように矢島が叫んだ。


「話は後だ!今はこいつを潰す。それだけ考えてりゃいいんだよ!行くぞっ!!」


矢島はそう叫ぶと、ラスコ・ロームに向かって突っ込んだ。

3人も、矢島に続いて巨大な壁に向かった。




同時刻、新宿。

大きなデジタルビジョンには、池袋、渋谷、お台場を報道する映像が、緊急速報として流れていた。


そのビジョンの前に、1人の黒い人影があった。


すると、2発の銃声と共に2匹の青白く大きな氷の龍が、そのビジョン画面を破壊した。


新宿の街は、一瞬にして悲鳴と叫び声のパニック状態となった。


「…やれやれ。いきなり襲ってくるなんて。御行儀が悪いんじゃないですか?」


ビジョンの前の人影、バキオラはニヤリと不敵な笑みを浮かべそう言った。


「…テメェ如きに、そんな行儀必要ねぇ。」


ビジョンを破壊した2匹の龍は、そのまま向きを変えて、バキオラの向かい側の道路の上で、交差した。

その龍の上に降り立った樫間は、バキオラに向かってそう言った。


バキオラは、樫間の姿を確認すると、不思議そうに辺りを見回した。


「今日はお一人ですか。樫間くん。」


バキオラは、悟ったようにそう言った。


「テメェを潰し殺すのは、俺1人で十分だ。」


樫間はそう言うと、バキオラに"青龍銃(ドラゴガン)"の銃口を向けた。


「ふふっ。強がらなくてもいいんですよ。私を囲むように3箇所。3人の方が、今にも私を殺すかのように狙ってますよね?」


バキオラは、自分の左右と背後をチラッと見て、そう言った。


「…それが遺言か?」


樫間はそう言うと、全身に青白い氷のオーラを纏った。


「…ふふっ。君のそれも、遺言ですか?」


バキオラはそう言うと、どす黒いオーラに身を包んだ。


「…見せてあげましょう。"あの方"から授かった、我々の真の力をっ!」


バキオラの叫びと共に、オーラはさらに黒さと大きさを増した。


「…うるせぇよ。テメェは、俺の手で殺す。」


樫間はそう言うと、バキオラに向かって突っ込んだ。


「望むところですよっ!」


バキオラもそう言うと、向かい来る樫間に向かって突っ込んだ。


日が沈み、夜を迎えようとする東京の各地の街に、恐ろしい光と叫び声が響き渡った。

まるで、命がけの戦いの開始を告げる、ゴングのように。





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