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BOX・FORCE  作者: hime
第1章 NAMELESS編-序編-
20/82

[第20話:Monstera]

[第20話:Monstera]





蒼松が目を覚ますと、そこは病室だった。


「…あれ…俺…ちーさんと…」


蒼松はそう呟くと、自分がベッドに横たわっている事に気づいた。


「…聡ちゃん!よかった…気がついたみたいだね…」


蒼松の看病をしていた咲波は、蒼松の姿を見てそう言った。


「…愛花…っつ!そうだ!矢島さんはっ…!」


蒼松は急に思い出したように、咲波にそう言った。


「…矢島さんは、まだ意識が回復しないみたい。聡ちゃんよりかなり派手に負傷してたからね…。矢島さんには洸がついてるよ。」


咲波は、少し不安げな表情でそう言った。


「…そうか…。」


蒼松は、残念そうに暗い表情をした。


「…聡ちゃん…!」


「どうした…?」


咲波は蒼松を見て、驚いたようにそう言った。蒼松は不思議そうに返した。


「右目が…」


咲波がそう言うと、蒼松の右目の眼帯は、ひらりと外れた。


蒼松の右目は、青白い光を放ち、不思議な模様を描いていた。


「愛花っ!後ろっ!」


蒼松は急に顔色を変え、緊迫した表情で先波にそう叫んだ。


すると、激しい爆発音とともに、病室に揺れが走った。


「えっ…!何っ…!」


咲波は辺りを見回した。

すると、一本の通信が入った。


『…愛花、聞こえる…??』


声の主は、矢島の病室についている沫梨からだった。


「…洸っ!何?何があったの??」


咲波は、慌てながらそう答えた。


『…大丈夫だ…落ち着いて…今…特殊回線使って…通信してる…大丈夫だ…』


沫梨の通信は、途切れ途切れだが咲波に伝えられた。


『…"4人目"が…現れた….!…いや…4人目と言うより…あれは…"4体目"って…行った方が…いいのかもしれない…!』


沫梨の通信に、咲波は答えた。


「えっ…どういうこと!?NAMELESSが現れたの??」


『…"四神"だ…間違いねぇ…あいつは…化け物だ…っ!!』


そう言うと、沫梨の通信は途絶えた。


「…敵かっ!?」


蒼松は緊迫の表情で咲波に言った。


「どうやらそうみたい…でも、聡ちゃんはそんな状態じゃ出れないでしょ?大人しく、避難しましょ。」


咲波は、立ち上がろうとする蒼松を制止した。




その頃、街には沫梨の言う"化け物"の姿があった。


「…おいおい、まじかよ…。」


現場に真っ先に急行した、沫梨を除く"ローズ改"と"ガーベラ改"の2部隊は、驚愕した。


目の前には、15階建マンション程の大きさの、ドス黒いオーラの恐竜のような生命体が、静止していた。


「…どうすんだよ。こいつ。」


獅蘭は、緊張した表情で横に立つ彩科院を見た。


「…お得意の"戦略"でも立ててみろよ。少しは勝算あるんじゃないか?」


彩科院も、緊張を隠しながら獅蘭を茶化した。


「…とりあえず、やるなら今のうちだ…全員で囲って全力をぶつけろ!一撃で仕留めるっ!」


獅蘭がそう言って構えると、彩科院は遮るように言った。


「いや待て。ここは俺とお前で様子を見る。下手に攻撃して全滅したら意味がない。」


そう言って彩科院は刀に右手をかけた。


「そーかい。じゃあそうするよっ!」


そう言うと、獅蘭は"永猿棒(モンキーマジック)"を展開した。


「チャンさんよ、この前やってたあの全身装備、あれどうやるよ。」


獅蘭は、"永猿棒"からオレンジ色のオーラを放ちながらそう言った。


「…"氷豹装(ひょうひょうそう)"の事か…。全ての"箱装(ボックスアーマー)"は、その自然エネルギーの解放が一定数を達すると、全身装備ができるようになる。獅蘭。君の"斉天大聖(せいてんたいせい)モード"は、それに近い。そのエネルギーをもっと解放すれば装備できる。」


チャンがそう言うと、獅蘭はニヤリと笑って叫んだ。


「そうか。ありがとなぁ!…行くぜ、"猿天装:斉天大聖'改'(えんてんそう:せいてんたいせい'かい')"っ!」


獅蘭の全身が、オレンジ色のオーラに包まれた。


すると、獅蘭の脳裏に、男の声が響いた。


『獅蘭継斗よ。己の限界を超え、極限を知れ。恐るな。俺がついているっ!』


その男の声に、獅蘭が反応した。


「…この声は…」


すると、声の主が答えた。


『…私は、茨木(いばらき) 鶴実(つるみ)っ!我後継よ。…私を超えろっ!』


その声と共に、獅蘭の全身に、オレンジ色のオーラが武装された。



「行くぜ。」


獅蘭はそう呟くと、一瞬にして姿を消した。


「…この男…」


彩科院は獅蘭を見てそう言った。

そして、自身の"裁馬刀(さいばとう)"を抜いた。


「…負けられぬ。"焔馬装(えんばそう):ナイトホース"っ!」


彩科院の叫びと共に、彩科院の身体を赤いオーラが包んだ。

全身を赤い騎士の鎧に包んだ彩科院は、炎を纏った刀を構え、獅蘭に続いて敵に突っ込んだ。


「…さすがの2人だ。エネルギーコントロールが早い。"箱装"の全身装備を、一瞬で取得してしまうとは…」


チャンは、感心して2人を見た。



「"猿天装:百敷門(ももしきもん)"っ!」


「"焔馬装:フレイムホース"っ!」


獅蘭と彩科院の攻撃は、激しいエネルギーを放って敵NAMELESSに当たった。

大きな爆発と共に、辺りは黒い爆煙に包まれた…。




「…どうやら、獅蘭君と彩科院さん達が戦闘を始めたようね…」


蒼松を抱えながら、避難する咲波は言った。


すると、正面から沫梨が慌てた表情で走ってきた。


「…はぁ…はぁ…矢島さん見なかったか…?」


沫梨は息を切らし、2人にそう言った。


「矢島さん?洸がついてたんじゃないの?」


咲波は、不思議そうにそう答えた。


「…そうなんだけどさ…愛花と連絡とってる間に、見失っちゃって…」


沫梨は、辺りを見回しながら、そう言った。


「…矢島さんは…敵の側にいるぞっ!」


蒼松は、天井を見つめながらそう言った。


「「何っ!?」」



爆煙が晴れると、そこには無傷の巨大NAMELESSが、微動だにせず静止していた。


「…へっ…おもしれぇじゃねぇか…」


獅蘭は、オレンジ色の雲のようなものの上に乗りながら、NAMELESSを見下ろしそう言った。


すると、NAMELESSのいる真横のビルから、激しい爆発と共に1人の男が現れた。


「…敵か?」


彩科院はそれを見つめ、言った。


「…いや、違うな。」


獅蘭は、またもニヤリと笑みを見せそう言った。


すると、巨大な渦潮が突如現れ、そこから槍を持った男が、NAMELESSの上部に現れた。


「…"淡猪装(たんいそう):アクアボアスピア"っ!」


その男の姿は、全身に青い装備を施しており、その右腕から、鋭く青い水を纏った槍が、NAMELESSに放たれた。


「…や…矢島っ!?」


彩科院は、その男の姿を見て、そう叫んだ。


矢島の右腕から放たれた"アクアボアスピア"は、鋭く回転しながら、NAMELESSに突き刺さった。


「…分かってるよ。効かねぇんだろ?だからっ!」


矢島は、投げた勢いのまま宙返りをして、NAMELESSに突き刺さった槍に、蹴りを入れた。


「…"ハイドロシュート"っ!」


矢島の蹴りにより、"猪突槍(ボアスピア)"は勢いを増して、NAMELESSに突き刺さっていく。


すると突然、NAMELESSは目を開け、激しい声で吠えた。



『…ヴォォォォォォォォォォォォ!!!!』



その咆哮により、激しい地響きと揺れが辺りを襲った。


「…くそっ、戻れ!"猪突槍"っ!」


矢島が叫ぶと、"猪突槍"はNAMELESSから抜け、矢島の手元に戻った。


「…矢島、大丈夫なのか?」


彩科院は、"焔馬装"の力で浮遊し、矢島の元に近づいて言った。


「…さぁ、どうですかね。こいつが何者なのかよく分からないし…」


矢島が言いかけると、彩科院は遮るように言った。


「そうじゃなくて!貴様の容態だ。…全く、こんな時に事故なんてしやがって…」


「ああ、それは全然平気っすよ。…それに、面白い奴とも出会えましたし。」


矢島はそう言うと、ニヤリと笑った。


「面白い奴?」


彩科院は不思議そうに問いかけた。


「まあその話は、こいつを対処したらゆっくりしましょうやっ!」


矢島はそう叫ぶと、右手に持った"猪突槍"に、水色のオーラを纏った。


「…さぁて、"化け物"さんよ。楽しく遊びましょっ!"ハイドロボアアロー"っ!」


矢島はそう言うと、"猪突槍"を構えながらNAMELESSに突っ込んだ。


「待てっ!矢島っ!来るぞっ!」


彩科院がそう叫ぶと、NAMELESSは口から巨大な黒い砲撃を放った。


「…やべっ、呑まれるっ!」


矢島がそう言うと、目の前に獅蘭が現れた。


「"斉天六甲門(せいてんろっこうもん)"っ!」


獅蘭は、"永猿棒"を構え、目の前にオレンジ色の六角形のバリアを展開した。


「逃げろっ!」


獅蘭は矢島にそう叫んだ。


「お、おうっ!」


矢島が身を引いた瞬間、獅蘭は黒い砲撃に包まれた。


「獅蘭っ!」


砲撃が止むと、獅蘭は脱力した状態で地面に落下した。


一同が獅蘭の元へ駆け寄ろうとすると、再びNAMELESSは大きな咆哮をあげた。


「…止まれっ!第2波が来るかもしれない…」


彩科院がそう指示すると、全員NAMELESSに向かって構えた。


咆哮が止むと、巨大NAMELESSは、2つの人影に分かれた。


「…ん~もぉ、後1歩ってとこだったのにぃ~」


「…一度帰還する。次は一撃で全滅させる。」


2つの人影は、そう言うと宙に現れた黒い空間へ消えていった。



「…彩科院隊長。あれは…」


その光景を見た桂は、彩科院に言った。


「…桂、分かっている。確かに見た。…あれは2人で1体の、厄介な奴だってな…」


そう言うと、一同は獅蘭を救出し、帰還した。




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