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各パーツごとの「発生→経過→解決」の制御 ②

さて、パーツごとに「逆風」を設定するとは……これを阻むものが一つだけあります。

それは「主人公がなんでも受け入れすぎ問題」です。


異世界転生物へのダメ出しとして『主人公は見知らぬ世界へ来たのに状況をすぐに理解しすぎ』とか、『見知らぬ相手が自分は神だって名乗ってて、いかにも怪しいのに、なんで信用するの』なんてのがありますが、まあ、あれとだいたい近しいことを言います。


しかし、ここで語られるのはあくまでも構造上の問題であり、主人公が適応力が高すぎようが、主人公が無垢に他人を信じようが、そんなん俺は『まあ、そういう人もいるよね』としか思わないってのが正直なところです。


なのになぜ、『主人公が見知らぬ世界をすぐに受け入れること』を否定するのか……それは「逆風」を吹かせるチャンスをつぶしているからです。


正直、「ここは順風でいこう」と作者が決めたなら、それはそれでいいんです。

だって実際に異世界にとばされて「なるほど、ここが異世界」って納得するかどうかは、キャラの個性の範疇なんですから。


ところがこれが延々続くことがある。

女神が「あなたの使命はこれです」といえば「そうか!」、ギルドのかわいいお姉ちゃんが「クエストをこなしてください」と言えば「わかった!」、敵が出てきたら何の疑いもなく剣を手にして……。

いいんですよ、キャラの性格がって言われたら、それはそれで文句ない。


でもこれ、小さな「発生」と「解決」を無数に寄せ集めているだけで、物語が平坦になりがちなんです。

だからどうしても構造上のダメを出さないわけにはいかなくなる。

構造として「1+1=2」を組み合わせているのと同じだから、文字数を稼ぐには「1+1=2」を次々と用意しなくちゃいけないので、途中で作者が息切れを起こしやすい。


これを解決するには、「1+1=2」が連続している場所を見極め、そこにきちんとした「発生」と「解決」を設定して「1+1=2」が「経過」となるように組みなおしてやるのが手っ取り早い。

その時に「発生」として利用できるのが「逆風」です。


またしても桃太郎の力を借りましょう。

桃太郎では「桃太郎の成長」と「桃太郎が鬼退治を決意する」ことが早足で書かれていますね。

ここをすこし尺だしするために、まずはドッキングさせます。

「解決」は「桃太郎が鬼退治を決意する」のまま固定ですが、「桃太郎の成長」が「経過」にスライドします。

するとさて、不足するのは「発生」なのです。


この時、「発生」として「逆風」になる出来事を選ぶと「経過」が長くなり、逆に「順風」を選ぶと「解決」までが早くなります。


もともとの桃太郎は、ここが「順風」であったので、「解決」までが早かったんですね。

なので、ここであえて「経過」までが長くなる「逆風」を作ります。


今回の「解決」は「桃太郎が鬼退治を決意する」なので、「逆風」はそこから逆方向に向かって吹く風、つまり「鬼退治を拒む」ことが手っ取り早いでしょう。

つまりここのパーツは「鬼退治を拒んでいた桃太郎が、成長して、鬼退治を決意するまで」という流れになるのです。


ところが主人公がなんでも無条件に受け入れてしまうと、ここで「鬼退治を拒む」状況が発生しなくなってしまいます。

わかりますよね、転生した世界が獣人たちの暮らすファンタジーであろうが驚かないような鈍感な主人公は、少々のことでは鬼退治を拒んだりしないでしょう?


だからといって主人公の性格を何でも拒絶するように作り直せばいいという問題でもないのです。

それをすると、主人公のキャラクターが定まらなくなってしまいます。

ましてや、何でもいいからこのタイミングでだけ主人公が拒絶を見せるというのも――例えば普段は物分かりがいい子なのに、物語の進行上必要だからと、鬼退治だけ拒絶するのは最悪です。


だから主人公には、本当に嫌だと思っていることをぶつけてみましょう。

別に大きな出来事じゃなくていいんです。

主人公のキャラクター由来の理由であれば正当性は十分に確立されます。


本来、キャラクターの性格は作者だけが把握しているので、ここでどんなことを主人公が嫌がるかを考えるのは、作者自身にしかできません。

少なくとも今まで流されるがままに生きてきた主人公が「ごめん、それだけは無理」というものを考えてあげてください。


桃太郎は、この説明のために二次創作的に扱っているので……俺はここで彼に「好きな女の子」を設定します。

つまり鬼退治に旅立ってしまうと、この女の子と別れなくちゃいけないという「逆風」を吹かすのです。

そうするとここで「ずっと一緒に居ようねと誓った幼馴染→しかし成長するにつれて自分は鬼退治ができるほどの力があるのだと気づいてしまう過程→幼馴染を置いて旅立つ決意」というエピソードがここに生まれます。


もちろんこれは思考順序の例であり、どのようなエピソードをどこに置くのかはすべて主人公の胸先三寸、好きなように試行錯誤してみてください。


次回、まとめに入ります。


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