各パーツごとの「発生→経過→解決」の制御 ①
物語とは「発生→経過→解決」の積み重ねによってつづられている。
これ、実は大げさでもなんでもなく、物語とはすべからくそういう構造になっているのです。
もう一度桃太郎のお話を見てみましょう。
特に「桃太郎誕生」の部分にスポットを当ててみます。
実はこの部分、「おじいさんとおばあさん登場→おじいさんおばあさんがいかにして桃を手に入れたのか→桃太郎誕生」という「発生→経過→解決」によって成立しているんですよね。
この時に気を付けなくてはいけないのは、「経過」を書かないと、この部分がものすごく短くなってしまうという当たり前のことなんだけど……。
だからといって何でもかんでも書きこめばいいというものではないのです。
例えばここで尺を出そうと、山に芝刈りに行ったおじいさんのキャラクターを見せるためのマッチョでマッスルなおじいさんが山の女神さまに誘惑される話を入れたとしましょう。
これによりおじいさんがマッチョでマッスル、山の女神さまをも袖にするほどおばあさんを愛するナイスガイというキャラクターが面白おかしく描ける上に、尺も増えて万々歳……とはならないのです。
ここまで読んでくださった方はすでにお気づきでしょうが、おじいさんのキャラクター性がどれほど明らかになったところで、それは「桃太郎の誕生」という冒頭の「解決」に対して、「逆風」にも「順風」にもならないのです。
ここで目指すべきは「桃太郎の誕生」なのですから、そこに至る経過は「桃太郎の誕生」に対する「経過」でなくてはいけない。
あれです、理数系の人にもわかるように言うと、「経過」って「途中式」なんです。
解を求めるのに「途中式を書きなさい」って言われているのと同じなんです。
途中式なのに、いろんなところから無関係な数式を引っ張ってきたら、解が違ってしまうでしょう?
だからって途中式を飛ばして解だけ書いたら、どんな過程で解が得られたのか、他の人にはわからない。
だから「解(解決)」にたどり着くために必要なことをできるだけ詳しく書く、それが物語なんです。
もちろん、どのぐらい難しい式を用意するかによって途中式の長さは違ってきます。
「1+1=2」なんて式に、わざわざ長ったらしい途中式を用意したりしないでしょう?
桃太郎でいうと「桃太郎の成長」の部分がそうですね。
「桃太郎はすくすくと育ちました」という、一目でわかる文章で「発生→経過→解決」をやりくりしている。
だけどこれでは今回の目的である長く文章を書くことには不向きですよね。
なので、少し長い途中式が発生するようにパーツを調整してあげます。
コツは主軸を作った時と同じで、「発生」と「解決」の間に距離を作ってあげることです。
さて、今お話ししているのはパーツごとの「発生→経過→解決」なので、ここで主軸のような長期目標を立てると、確かに文字数は増えるけれど物語は破綻します。
逆を言うと、ここで物語を破綻させるほどの長期目標を発生させないために主軸の「発生→経過→解決」を作ったのです。
そして、ここでも尺増しのために必要になるのは「逆風」なのですが、このお話はまた次回に。




