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【第一部完結済み】敗者の街 ※改訂版  作者: 譚月遊生季
第二部 Open the present road
92/137

1. from: Roderick

 出先で霧が濃くなってきたので、カフェの中へと避難。眠気覚ましの紅茶を片手に、仕事用のノートパソコンを開く。

 同じく仕事用のメールアドレスに、新しいメッセージが届いていた。


 "title: About the interview.

 from: Roderick〈Rod430@GGmail.kom〉

 2019/06/03 15:12"……




 ***


 


 そろそろ、はっきりと伝えておく。

 お前には悪いが、これ以上「敗者の街」について話すつもりはない。


 ただ、読ませてもらった草稿はまあまあ面白かった。

 そのまま記事にしても、俺としては特に構わねぇよ。採用されるかどうかは別だろうが。


 ……なあ、オリーヴ。まさかとは思うが、お前……

 死んだ恋人に会いたいなんてこと、考えちゃいないだろうな?

 ……いいや、この話はやめておくか。


 お前が記者だからでも何でもなく、友人として本音を言う。

 辛いなら話ぐらいはいつだって聞いてやる。

 記事に困ったなら、一緒にネタを詰めてやったっていい。


 悪いことは言わねぇ。妙なことは考えるな。




 ***




 ノートパソコンを閉じ、大きくため息をつく。

 根拠のない、荒唐無稽(こうとうむけい)な考えだって、自分でもよく分かっている。


 ……それでも。


 ──死にたくない


 絞り出したような掠れ声を覚えている。


 ──まだ、死にたくないんだ


 消え入りそうな慟哭を覚えている。


 ……「彼」を失った痛みは、今もなお忘れられない。


 もし、本当に死者の「街」が存在するのなら、(あたし)は……


 行きたい。

 なんだっていい。

 もう一度だけでいい。


 ……あの人に、会いたい。

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