死闘 - 工事中 -
対ケツァルコアトル戦において、全滅を繰り返すちぇき一行。
どうしても勝てない。理由は、戦士の紙装甲のため。わたしがボスの攻撃を支えきれずに死亡。それをトリガーにPTが瓦解する・・・という流れの繰り返しだった。
「くっそー!」「床ぺろぺろ( ´ ▽ ` )」「俺はクズだ・・・Orz」
このままだと、『床舐めマシーンの8人』という認め難い称号と共に、未来永劫このゲーム史に「ダメPT( ・∇・)」の規範として名が残りかねない。
「ちょっとストーーップ。一旦引くわよ!」
チェキの号令の下、わたし達は休憩を兼ねて、一時撤退。
一行が悩む中、わたしは1人考えた。
ゲームの特性上、異種族にコンバートしても種族ボーナスという概念が無いため防御力は上がらない。
このゲーム、種族の種類が豊富で8種類の中から自由に選択出来る。しかしどのような種族を選ぼうがアバターの見た目が変わるだけで、種族間の能力差はない。あるのは職業差分のみだ。
実際、わたしの種族はナナビスいう小人族(略称ナナ)で身長は1mに満たない。しかしだからといって、STR(筋力)やVIT(体力)が2mの種族に比べて半分になるわけではない。
見た目の大きさがキャラクターパラメータに反映されることは無いのだ。
そこで取った対策は次の通りだった。
①ステータスのバランス振りをVIT極振り
②当時は非主流だった食事摂取
②-1摂取する食事をVIT特化の物にする
②-2食事の製作
③敵攻撃時のかむ使用スキルの見直し
まず、①から。当時は自分である程度のパラメータ割り振りが出来、それによって他者との差別化が出来ていた。わたしは割り振り可能なパラメータを1:2の割合でSTRとVITに振っていた。これをVITに全てつぎ込むように振り直した。
次に、②について。食事だが、今でこそレイド中に食事するというのは当たり前になっているが、当時はそうでもなく。「食わない」もしくは「(詳しい効果分かんないけど)取り敢えず食った( ・∇・)」というプレイヤーが多かった。
これについて見直しを掛けるべく、ネットでVITアップ用の食事を検索。キャベツのキノコ巻き+5が良さげだという事がわかった。
今まで食ってた『謎にく(効果不明)』より遥かに良さそうだった。マーケットで手早く手に入れようかと覗いてみるが、売っていない。ならば、自作するしかない。幸い、調理師スキルは50ある。ということで、ささっと作成完了。これで食事対策は終わった。
③については、わたしは戦闘中、なるだけ継続的に防御バフを炊くという事をしていた。だがそれを聞いたムーが「それ、あかんやつや」と突っ込みを入れてきた。
彼女曰く、ピーキーな敵強攻撃時に防御バフを二段構えで炊くという戦闘スタイルが良いらしい。色んなタンクと組む中で、彼女は上手いタンクの動きと言うものを熟知していた。そんな司祭様が言う事なら間違い無いだろうと、そちらに切り替える事に。いそいそと、ホットバーに入れていた防御系スキルをセットし直す。
「おk、みんな。待たせたなw」
この時点で戦闘開始から1時間が経過していた。