その生命力は
わたし達の背後で突然、ぼとりと物が落下する鈍い音がした。
見やれば、倒した頭部が欠落。そしてその頭部だった物が数百、数千の小さな蛇に分裂を開始。
見る者に狂気を引き起こしかねない群体が、槍使い目掛けて這い寄ってきた。
わたしは咄嗟に彼を突き飛ばすと、それらに対して身を晒した。
無数の蛇が、防御姿勢のわたしを覆うように球状となっていく。
怖気をもよおす光景に思わず吐瀉。口元の胃液を拭う。
わたしの脳内で警報が鳴り響く中、思考は進む。
いたぶっている?わたしはその考えを、頭を左右に振りつつ否定する
違う。この局面においてそのような無駄な動きをするはずが無い。そも、動物は相手を難敵と捉えた場合。大きくは防御戦略と攻撃戦略、どちらかの動きをする理解だ。
防御戦略であれば、防御力を高めたりその場からの逃走が思い付く。
だが相対している敵が、この場面で身を守る動きをするとは考え難い。
とすれば攻撃戦略だが。攻撃戦略の場合は、強力な武器や集団攻撃。そして毒ではなかったか。
端的に今以上の攻撃。無数の個体。球状・・・。
インスピレーションが走った。
「蜂球か!?」
わたしの叫びか。それとも群体の蠕動どちらが先だったか。
球体内温度が爆発的に上昇を始めた。