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起点

 「治すまで自己回復を!」


 ヒールを司る司祭の指示は絶対。各々体力回復薬を手にする。

 諦めの素振りは微塵も無く、皆の眼光は依然いぜん力強かった。


 槍使いの石化回復まで片手に武器。別の手には回復薬を携え、わたし達は敵に踊りかかった。


 弓と魔法。そして近接武器が、裂帛の気合いと共に蛇神叩きつけられる。返す刀とばかりに敵の顎門あぎとが大きく開き、わたしの身体に突き立つ。同時に毒によるドットダメージ。


 「清めよ」


 もう一人の司祭、ベルから瞬時に解毒の魔法が飛ぶ。わたしは感謝の眼差しと共に、手にしていた回復薬を飲み干す。


 辛うじて、死はまぬがれた。


 わたしは空瓶を敵の眼に叩きつけた。砕けちったガラスの欠片が敵の視界を奪う。

 すかさず斧を両手に持つと地面を蹴り、宙空ちゅうくうに身を投げ打った。落下速度を載せ、また全身のバネも利用した渾身の一撃を大蛇の脳天に叩きつける。


 しかし、爬虫類の眼は変わらず戦士の動きを追っていた。


 深手だが、致命傷では無かったのだ。


 時間がゆっくり流れる。短剣ほどの牙の列が、わたしの身体に吸い込まれんとする。


 霹靂閃電へきれきせんでん。わたしの横合いから人影がまろび出た。


 あまりの速さのため、彼の所作しょさ全てが残像と化す。わたしの頭のさらに上方より、手負いの蛇神の頭部目掛け影が降下。その傷口に槍が深々と突き立った。そして体重が掛けられた槍の刀身が、頭部から口先、そして本体近くまでを鋭利に切り裂く。


 双頭のうち一つが沈黙した。


 「待たせた」


 地面に降り立った槍使いが、後ろ背のままそう告げる。わたしは労いと感謝を込め、槍使いの脚に軽く手で触れる(身長差的にこれが限界)。


 そして四人が互いに一度目線を交差させ一息入れた後、右手側。もう一方の頭を受け持つ仲間達の方へと駆け出した。

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