表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/33

砂漠の街 ~その②~ 

 王国到着。わたしは、猫族ラクーシャ戦士のうぴと合流を果たした。


 この地に来た理由は他でもない。この王国の冒険者協会の長直おさじきじき々に、依頼要請があったためだ。


 わたし達は依頼主に会うべく一路いちろ、冒険者協会の建物を目指す事にした。


 整備された石畳いしだたみの道が続く。何の気なしに、辺りを一瞥いちべつ。引っかかりを覚えたわたしは程なく、道中の路地に意識を向けるようになった。


 「浮浪者ふろうしゃが多いな」

 「つい最近、改革があったって聞いてるぜ?w」


 曰く。王国の改革の一環で、先日奴隷制度が撤廃てっぱいされた。それは良いのだが、その元奴隷達が幸せに暮らせているのかというとそうではなく。大多数の奴隷が職に就けずあぶれているのが現状らしかった。


 「職に就こうにも。満足な教育を受けた奴隷は一部だってさ」

 「王国も。何の手切れ金も持たせずに放逐ほうちくはしなかったんだろ?」


 わたしの問いかけに「うむ」と、うぴがうなずく。


 「んだけど。奴隷達は短期間で散財さんざいしちまったんだと」


 良くある話しではある。


 無理もない。収入が無い上、いつ就業しゅうぎょう出来るかも分からず。ましてや「手持ちの財産の内、一日これだけ使って、残りはこれだけ貯めておく」という計画性を持って生きていける元奴隷など一握り。


 (そういう「教育」も、受けれなかったんだろうな)


 胸中、一人呟く。


 「なあ」


 戦士の一言に、わたしは現実に引き戻された。


 「ぬ?w」

 「あすこ」

 

 見れば、浮浪者ふろうしゃの一人が複数人の屈強くっきょうな男達に殴る蹴るの暴行を受けている。


 わたしは無言で盾を構えると、一気に間合いを詰めた。その勢いのまま、盾で男達に体当たり。シールドチャージを敢行。男達の数人が文字通り吹っ飛んだ。

 

 「お・・・」


 男の一人が口を開くよりも先に、わたしは盾で相手を殴打おうだ。機先を制する。


 完全に気力が萎えたのだろう。方々の体で男達は逃げ出した。


 うぴがわたしの元へ駆け寄ってくる。わたしはそれを待たずして、地面にうずくまった浮浪者に手を差し伸べる。


 「怪我は?」


 「大したことはありません。助かりました」


 浮浪者とおぼしき薄汚れたフードの中から現れたのは。およそこの場に似つかわしくない、眉目秀麗びもくしゅうれいの美女だった。


 (なあ)

 (ぬ?)

 (浮浪者じゃねーぞw)

 (ああw)

 

 裏チャットで意思疎通いしそつうを行う戦士と騎士ナイト


 次の瞬間。危険を察知した戦士が、わたしに向かって警鐘けいしょうを鳴らした。


 「かむ、上!」


 手裏剣しゅりけん飛来ひらい。都合、三閃さんせん。わたしは抜刀ばっとうすると、飛来物ひらいぶつに対し受け流しスキル「パリィ」をタイミング良く発動。全弾叩き落す。


 攻撃が止んだ。目線が、敵をとらえんと動く。


 黒頭巾くろずきんを被った痩身そうしんの男が一人、路地奥ろじおくに消えていくのが視界に入った。


 「逃げてるなぁ」

 「だめだ。追いつけない(/ω\)」



 「ライトニングボルト



 雷光一閃らいこういっせん。逃げる敵が黒焦くろこげになり、地面にくずおれた。痙攣けいれんしばらく繰り返していたが、長くは続かずこと切れる。


 一拍の後、魔法を放った主が、暗がりから姿を現した。


 「お前は・・・」

 「ガイ!?」

 

 それは老魔導士ろうまどうし(風のアバター)然とした、わたし達ギルドの懐刀ふところがたな


 ガイだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ