神殺しの魔神テュポーン討伐戦 ~その①~
「でかいな」
テュポーンを見てのわたしの一言目はそれだった。
眼前に立ちふさがるは、半人半蛇の魔神。人部分は屈強な体躯をした壮年の男。半裸であり、浅黒い肌が見えている。肩から無数の竜が生え、蠢いていた。
そして、わたし達が立っている場所は、円形の転園だった。色鮮やかな花々と草木が生い茂っており、少し目線をずらせば眼下に雲が見える。
庭園は庭園でも、高度数千メートルに位置する空中庭園だった。
そして、異質なのはテュポーンの後ろ。石像が鎮座している。カーソルを合わせる。「ゼウス像」と表示された。ギリシアの主神。テュポーンと戦うも一度遅れを取り、再戦で魔神を叩き伏せたとされている。
わたしはくるりと後ろを振り返りると、うぴー、ともう一人の壁役に水を向ける。
「MTお願いしても良いかの?」
いいぜーとネコ(ラクーシャ)族の♀アバターが頷く。
「ウチのナウでイケてる立ち居振る舞いを見せるぜw」
「ぉ。。。ウン。。。(・∀・)」
まあ、言動はどうあれ。わたしはこの戦士に全幅の信頼を置いていた。
そして、わたしの近くには司祭のベルとふーやー。格闘家のロー。槍使いのダンとピロ。弓使いのちぇきという面々が佇んでいる。
「んじゃ、任せたw」
「任された、ぜw」
わたしが、うぴに笑顔を見せた。
直後、その戦士がスキルを発動させる。
「強制敵視奪取」
「ん?」「え?」「ぬ?w」
皆が戸惑いの声を上げる。わたしが、念のため突っ込みを入れた。
「うぴ。まだ戦闘準備が整ってねーぜ?w」
「うぬ。暴発しちまった」
まあ、いいか。わたしは、腹を括った。皆も同じ思いだったのだろう。ちぇきが指示と共に、激を飛ばす。
「ベル、ふーやー。フォローお願い。とりあ。頑張っていこう!」
わたしが。皆が。一様にこくりと頷いた。
テュポーン戦の開幕だった。




