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蛇王ザッハーク討伐戦 ~その⑤~

 2度目の衝撃波が二十余名の冒険者達を横薙ぎにする。だが、HPの減り幅が先ほどと比べ半分になっていた。その事に回復役ヒーラー達、特にうちのPTパーティ司祭ヒーラー2人は気付いたのだろう。わたしに一瞥をくれる。


 しかしちぇきのわたしへの弾劾は終わらない。「良いことしたっぽいけど。それはそれ。これはこれ」理論の彼女。早く説明しなさいよねという意思を宿した「ジト目」がわたしを見下ろしていた。


 「んと~」


 わたしは「こうさーん(*ノωノ)」とばかりにお手上げのポーズを取りつつ。考え考え、口を開く。 


 「おそらくなんだが。蛇王から一番遠い人順で、肩の蛇が襲い掛かる。実際、一番端にいたダンと」


 背伸びするようにして、対角線上にある戦域へ、わたしは目を向けた。その戦域の中央に、3人目のタンクさんが仲間と共にいる。


 「その次に遠かった(回線落ちから復帰した)タンクさんに襲い掛かってたから。んで。タンクさんの防御力が高いから、攻撃防ぎきったので。生贄が半分になったから全体範囲攻撃ショックウェーブの威力も半分になった・・・と、思う」

 

 ふむふむとわたしの話しをじっと聴いていたちぇきが、しごく当然な疑問を口にした。


 「かむ、なんでダンの代わりに行かなかったの?」

 「ぬ?w」


 何か言おうと口を開きかけたちぇきだったが。結局何も言うことが出来ないまま終わった。

 なぜなら彼女の腰部分に突如、光のエフェクトが灯ったからだ。「何事?」となるちぇき。よく見ればそれは「光の線」であり、その先にはそれまでたんなる背景物オブジェと思っていた石像が繋がっていた。石像の外観は、ローブに身を包んだ老魔術師。

 わたしは無言でちぇきと石像との間にアバターを滑り込ませると、キレッキレの動きで「光の線」をもぎ取った。そのまま彼女から離れるようにダッシュ。


 「かむ?」

 「離れてて」


 離れてるのはわたしだけどと思いつつ、「光の線」と繋がったまま外壁へ移動。その合間にも、時間が惜しいとばかりに3人目のタンクさんにわたしは大声かつ早口で依頼。


 「ナイトさん、近くのDPSさんに繋がってる線取って。外壁へ移動して~~」


 同時並行で、わたしはタイミングを見計らいつつ、ここ一番とばかりにナイトの代名詞的固有スキル「フォルミシュテール」を発動させた。スキル発動から10秒間、いかなる攻撃を食らってもダメージを受けない。数秒後、わたしの体に衝撃エフェクトが炸裂。もう一人のナイトさんはと言うと、ドット単位のHPで辛くも生き残っていた。人死には無しだった。


 「かむ、ありがと!」

 「ほいw」


 見直したという表情をするちぇきに微笑みで答えると、わたしは再びザッハークの近くへ移動していった。

 

 べつに悪意があってじゃないさ。こういう不測の事態に備えて、さ


 なにせ初見だからなと。わたしの奥底の「誰か」が、そう呟いていた。

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