蛇王ザッハーク討伐戦 ~その④~
その後もわたし達は攻勢を続けた。いつのまにか、MTへの即死攻撃ギミックはなりを潜めていた。
そしてザッハークのHPが残り60%に差し掛かったころ。それは起こった。
突如、ちぇきの頭上に「〇」のマーカが浮かび、彼女の名前横欄に「〇5」というバフが付与された。数字が徐々に小さくなりだし、「0」になったタイミングでザッハークの右肩に生える蛇の一匹が彼女に襲いかかったのだ。
「・・・!?」
「にゃあーーー??」
「ちぇきっこ~~(>_<)」
ちぇき、即死。生贄から力を蓄えた蛇王が、数秒後に全体範囲攻撃の「ショックウェーブ」を放つ。防御力の高いタンク以外のプレイヤーのHPが1/3まで削られた。
たちまち、広間は阿鼻叫喚の坩堝と化した。
「Σ(・ω・ノ)ノ!」
「いたいーーー><」
「衛生兵、衛生兵!」
助けを求めるプレイヤー達。そんな仲間の危機に、司祭二人が動いた。
「「女神の抱擁」」
むーとふーやーがPT全員に回復効果のある魔法を詠唱。さらにふーやーがちぇきに「蘇生」を掛ける。一気に立て直すちぇき達一行。他の2PTも初見とはいえ手練れが多いのだろう。ほどなく陣形が元に戻った。
なおこの間、わたしは戦況全体を見ていたのだが。左肩の蛇も、もう一人の遠隔DPSを標的にし攻撃していた。
(二人とも遠隔DPSで、離れたところから攻撃をしていた)
深い思考に入っていく中、目の端で回線切断から復帰した3人目のタンクさんを確認。皆から離れたところで戦闘準備をしている。
(これって、もしや・・・そうだな。まずは、半分、か)
わたしは自分の仮説を検証するため、ダンに「一番端まで行ってみて〜(*´▽`*)」とお願いした。
「うん、良いよ」
素直な彼が、こくりと頷いた。移動の際も、槍使い唯一の遠隔スキルである「シューティングランス」(文字通り、槍投げ)を使って、健気に敵のHPを削ってくれる。
そして彼が皆から離れ、端に到達した直後。ダンの頭上に「〇」のマーカが浮かび、名前横欄に「〇5」バフが付く。「あれ?」という信じられないという表情のイケメン槍使い。その彼がおろおろしている内に、無情にもカウントは進み「0」に到達。
蛇が、ダンを丸かじりした。彼のHPも「0」に到達した。
「よし・・・!」
「あーはっはっは!wwww」
「ダ☆ンwwwwww」
「お腹痛い〜〜wwwwwwww」
ひとしきり仲間の笑い声が収まった頃。わたしは気付いてしまった。わたしの背後で、ちぇきが仁王立ちしている事に。
「かむ〜〜?^^」
「えと〜。。。」
わたしは無邪気な笑顔を張り付かせ、ちぇきを仰ぎ見た。
「てへ?w」
「ゆるさん^^」
自分だって笑ってたくせにと、わたしは心の中でうそぶいた。




