蛇王ザッハーク討伐戦 ~その③~
どうもこの即死攻撃。1分のインターバルで繰り出してくる事が分かった。他のタンク2名がギミックを理解できず、1分間隔で攻撃をモロにくらってはパタパタと床ぺろしたからだ。
「かむ?」
「あの腕攻撃で敵のバフがついた後、攻撃くらうと即死っぽい」
分かったと一言呟いたちぇきが、他のPT全員にギミック特性を伝える。この間タンク不在。だが、まだ合同PTは壊滅していない。なぜならば。
「こっちだ」
「こい」
槍使いのダンとぴろが蛇王の攻撃対象の奪い合うことで、二人以外の味方への攻撃を防いでいたからだ。
というのも、ランサーのスキルの一つに味方の攻撃力アップ(大)を付与する事ができる「槍術の理」というものがる。文字通り攻撃力を一時的にアップさせる効果があるのだが、それは同時に敵視アップにつながる。そこで彼らは蛇王の強烈な攻撃を食らう度にこのスキルを交互に相手に掛け、攻撃力によるヘイト調整を行うことで、二人掛かりでタンクの代わりを行っていたのだ。
「蘇生」
その間にむーが、わたしに蘇生の魔法を唱え終わった。なお、もう一人の司祭であるふーやーは、二人の回復で大忙しだった。
わたしの蘇生が終わる前に、他のタンク2名のうち一人が復活し、蛇王戦のMTを駆って出ていた。
「ダン、ぴろ。サンク。待たせた!」
わたしは遅まきながら床ペロ状態から復活すると、戦線に復帰。討伐戦続行。
そして敵のHPゲージが10%を割ったころ。二度目のギミック処理がやってきた。
一撃目の「猛り狂う憤怒」。わたしの代わりにMTをしていた戦士が受け持つため、彼が防御態勢を取る。この敵強攻撃スキル発動中、わたしがプロヴォークによる攻撃対象移動を実施。二撃目に備え防御スキルの発動タイミングを計りだした。
この後はもう一人のタンクがスイッチしてくれれば、わたしは生き残ることが出来、戦士の「プロヴォーク」のクールダウンも終了。
三撃目の蛇王の強攻撃発動中に、戦士がもう一人のタンクからターゲットを奪い返せば、このギミック処理は完了だ。
「あ・・・赤玉」
回線切断。三人目のタンクが緊急ログアウト。このままだとまた壁役が崩壊する・・・ならば!
わたしはダンをちらりと一瞥すると、キーボードのテンキーの8番を押した。壁役共通スキル「インヘリタンス」が発動。
このスキル、PT内プレイヤーにしか使用できないのだが、自身のヘイト値を大幅に対象者に渡す事が出来る。
わたしはこの時PT内で一番攻撃力が高く、わたしに次いで敵視を稼いでいた槍使いのダンに「インヘリタンス」を使用した。必然的にダンのヘイトが跳ね上がり、ザッハークの攻撃対象がわたしからダンに移行する。
ダンがわたしに爽やかな笑顔を向けた。直後、蛇王の攻撃で彼が文字通り吹っ飛んだ。
「このゲームに野球要素はねー!」
「ダン☆ホームラン♪」
わたしとむーがお互いの掛け合いの後、腹を抱えて笑い転げる。
「かむ~~?(;^ω^)」
「すみません(/ω\)」
ちぇきが怒っていたので、脊髄反射でわたしは謝罪した。




