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蛇王ザッハーク討伐戦 ~その②~

 わたしは敵視ヘイトを強制的に自分に向けるタンク共通スキル「プロヴォーク」を蛇王に向けて放った。敵の面がわたしの方に向き、紅い瞳にわたしの姿が映り込む。


 それを見届ける間も無く、わたしはナイト固有の戦闘スキル「フォートラン」を発動させた。


 突き技から横薙ぎに転じ、返す刀で大上段から切り下げるという一連の連続技コンボ。エフェクトは刀身に蒼い燐光を持たせる。効果は敵視ヘイトアップ(大)。


 味方のヘイト上昇値がわたしのそれを上回らないか常に意識しつつ、わたしはこの技を折を見て放ち続けた。こういう大規模な集団戦の場合、一瞬の油断で敵の攻撃対象ターゲットが他プレイヤーに移りかねない事を、わたしは経験から学んでいた。


 というのも、この手のゲーム。攻撃や回復をすると、それに比例して敵視ヘイトが上がっていく。つまり攻撃力や回復力があればあるほど、タンクから敵のターゲットを引き剥がしやすくなるのだ。もちろん戦闘職(DPS)やヒーラーも心得たもので、DPSは敵視減少ヘイトダウンのスキルを使うし、ヒーラーは回復を抑えようとしてくれる。


 しかしながら、大規模な集団戦ではそんな冷静な気持ちを維持する事が難しい。「集団戦なにこれ超楽しい」→「ダメ、ダメ・・・殴り続けたい〜」→「ヒャッハー( ・∇・)」と気持ちが高揚する方々が少なからず出て来る。

 結果、タンクのターゲット維持がぐらつく・・・という場面を何度も見てきた。


 しかし、誰も責めれまい。何しろ、これはお祭りなのだから。


 それが分かっているので、わたし達タンクはこういう時、ターゲットをガチガチに固定しにいく。そういう習性を持っていた。


 敵のHPゲージが5%ほど削れたところで、蛇王の右腕が紅い燐光を纏わせ始めた。王の名前横に技名が出る。「猛り狂う憤怒」。わたしは「光の盾」と「バグマー」の防御バフを発動させた。

 前者は敵の攻撃を10秒間20%、後者は20秒間10%軽減する。

 ほぼ同時に、ふーやーから「女神の加護」がわたしに飛んできた。効果は攻撃を20%軽減。


 彼女も敵の攻撃を「ヤバそう」と感じ取ったようだった。


 次の瞬間、轟音と共に蛇王の巨腕がわたしの腹部に突き刺さった。そしてわたしの名前横に見慣れないアイコンが付く。次いで、蛇王からフォローの左が放たれんとしていた。攻撃の特性を見極める必要から、わたしはその攻撃を待つ。着弾。HPゲージが0になった。即死効果だった。


「おぶっ!?」

「( ´ ▽ ` )」


むーが、やけに嬉しそうな笑顔をしていたのが印象的だった。

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