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王都にて
「アインザークの戦士さーん」
昼食時、冒険者組合のギルドマスター直々の呼び掛け。
わたしは咀嚼していた食べ物をコクンと飲み下し、一言「戦士です」と答えた。
しかしそれだけでは言葉足らずと思い「なんでぃす?」と付け足す。
「魔物退治をお願いしたいんですけどー」
東の密林地帯において神とされていた大蛇。
祀る者が居なくなり、彼の地より流れ。王都郊外の廃墟に住み着いたと言う。
現時点の被害は家畜、穀物。人的損失なし。
「今のうちに排除しておきたいのです」
わたしは背もたれに深く身体を預けると、「あー、んーと」と言葉を中空に探した。
「ご飯食べてからでも良い?」
「良いでしょう!」
これはサービスですと、彼女はリンゴのタルトを背中から差し出してきた。
「引き受けて貰えるということで良いでしょうか?」
頭を僅かに傾け、上目遣いでわたしを見つめる。同じくらいの背丈のギルドマスターによる、哀願ポーズ。
しかし、わたしは笑みを浮かべるに留め、即答を控えた。
「まずはリーダーに聞いてみるです!」