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愚王と呼ばれていた魔王  作者: 笛吹蒼
1/3

魔王に成りたくないんだよ

グタグタに始まります。

気が向いたら読んで下さい。



…まぶしい、まだおきたくない


でも目をあけなきゃいけない。





「なんて初体験だ….」


目を開けると私は花を敷きつめられた棺桶の中だったとか。


ドバァァァアアンッ「お目覚めになられてよかったでピィ!我が君‼︎」壊れそうな音と同時に馬鹿でかい無駄に豪華な扉を開け?ほぼ体当たりの勢いでピンクの丸い蝙蝠様なの羽の生えた鳥が現れた。

私の従者ピィ。

ピィピィ鳴くからピィ、安直だ。


「汚い….」


「お目覚めの第一声から辛辣でピィ‼︎」


だって涙とよくわかんない汁でピィ汚い。


「オラァ、待てとり…‼︎蒼魂様⁈⁈」

また入って来たヤツは私を見た瞬間にこの部屋を飛び出した。

脱兎の如く「蒼魂様のお目覚めにございますーー‼︎‼︎」と叫びながら城中に知らせに行った様だ。


あぁ、思い出した。

一応魔王だった、蒼魂のソラン。

私は勇者と戦って、勇者の剣に刺される寸前に弟に刺されて死んだはず?

アレ?生きてる?でも棺桶の中だったし。


「我が君、説明いりまピィ?」


「早う」


「ピィ⁈考えるの飽きてまピィね。簡単に説明すると、勇者の剣の光の力と紫魂様の魔剣の闇の力が我が君の体内に吸収され混ざり合い反発し我が君はいつ目覚めるかもわからない眠りにつきましたピィ」


「私が眠りについてどれぐらいだ?」


「300年ぐらいでピィ」


「今の魔王は紫魂か?」


「そうでピィ!」


私は勇者と弟どちらも恨んではいない。

が紫魂、弟のシオンか。

愚王と呼ばれた私と違って魔族には良い王だろうな。


「でも今の魔界は色々と….」


「ん?紫魂の政は上々なんだろ?」


「いえ、むしろ、かなりヤバいでピィ」


「え?」


ピィの顔が曇った。




かつて、私が蒼魂魔王と呼ばれたと同時に愚王として広まった。

宰相も大臣も兵士も民・弟ですら私を愚王として扱った。

私が魔王になったのは先代?いや先先代の母桃魂魔王に指名されたからだ。

誰もが思っていた次の魔王は紫魂だと。

紫魂は桃魂の正室の子だ。

代々受け継がれた魔王の側近の家系の大貴族の血を持つ紫魂。

私の様な庶子としかも農夫の子とは違って教育も受けている。

魔族にとって最高の王となるはずだ。

だが指名されたのは姉の私後ろ盾もなく教養もない。

兄妹仲も良くなかったしな。

そして私が行った政治は生産率を上げて流通を広げなるべく戦わない様にした。

しかしそれは魔族には相容れない事だった。

魔族は本能のままに戦いを欲する。

戦い命のやり取りを好むものが多く闘争心の塊だ。

私の様なものは腰抜け扱いだ。

当時の家臣・兵士達も私の意見に反発し、城に勇者が来た時はわざわざ王座の間まで通した。

信頼もなく、闘争心もない

故に腰抜けの愚王。

全く、嫌われたものだ。





望まれた魔王である紫魂が?政治の教養もあるはず…何故。


「今の魔界は存在の危機に瀕してまピィ。大地は荒れ、地震が頻繁に起こっていて作物も育ちにくいでピィ。流通も殆どなく民の反発も激しいでピィ。世界樹も枯れかかっていまピィ」


「世界樹もか….」


世界樹、魔界を支える大地の結晶。

世界樹は魔力を欲する、そして魔力を与える代わりに大地の恵みを与える。

多くの魔力を与えれば与える程世界樹は恵みを与える。

世界樹に魔力を与えるのは魔族の中でも最も強い力をも持つ魔王の仕事。

それが厳かになっているのか?


「ピィ。私が眠る間に大きな戦はどれだけ起こった?」


「えっと〜、数え切れないでピィ‼︎」


「成る程、戦い過ぎか」


戦えば体力・魔力を消費する。

消費したら回復しないと戦えない。

回復するには食事と休息が必要になる。

人数も多くなればその量も増えて補わなくてはならない。

兵糧がなければ戦えない。

需要と供給のバランスが崩れたか。


「紫魂も哀れだな」


「紫魂様は魔力が枯渇しかかってまピィ」


「そう「失礼いたします。蒼魂様」


部屋に入って来たのは城に仕える3人の侍女達だった。


「紫魂陛下よりお声が掛かっております。」


「御仕度のお手伝いをさせて頂きたく参りました」


「湯浴みの準備も出来ておりますどうぞこちらえ」


なんか面倒なの来たな、しかもこの服装は魔王付きの女官か。

さらに紫魂が呼んでるのか。

面倒だな。


「ピィがいれば問題ない。湯だけはありがたく使わせて頂こう、下がってくれ整い次第紫魂魔王陛下の元に向かわせて頂こう」


「!どうか、蒼魂様私共にお手伝いさせていただきたいのです!」


「お願い致します、どうか!」


「その魔鳥よりも私共の方がうまく出来ます、どうか蒼魂様!」


慌てた様に世話を焼きたがる、魔王だった時もこんなに世話された事ないがな。


「我が君、お願いしてはいかがでピィ?(下心ありそうでピィが、おそらく気に入って頂こうとかその辺でピィね)」


ピィめ逃げたな!まぁこれ以上断るのも面倒だしな。


「ピィが良いならかまわぬ。案内を頼む」


「!はい。こちらにございます!」





湯浴みの最中も中々面倒だった。

最早見事なまでのゴマをする。

いっそのこと胸焼けしそうなぐらい面倒なのが集まったな。

その後のドレスを用意されて着替えたが全く何着用意したんだ?国税の無駄だろう軽く見ただけでも20以上あったぞ。

化粧でも更に時間がかかった。

紫魂は良いのか?魔王の呼び出しだぞ?魔族は魔王に絶対服従だろ?(私の様な例外を除いて)


「蒼魂様、お仕度整いました。いかがでございましょうか」


「お美しいですわ、流石蒼魂様」


「蒼魂様のブルネットに良く似合うドレスがあってよかったですわ」


もういいや行こう。


「ピィ、先触れをしてくれ。だいぶ遅れてしまった」


「その必要わありません、蒼魂様」


銀髪で褐色の肌を持つ男ヴァン・ラングストン近衛隊長が膝をつきながら説明をした。

こいつに改ってかしこまられるとか…お前前はもっと私をぞんざいに扱ってただろ。

無性に落ち着かない。


「失礼ながら王座の間まで転送いたします。許可は取ってありますのでご心配なく」


「ピィ行こう。…前のままで構いませんよ。ヴァン近衛隊長」


「…では参りましょう」


あ、流された。





「お久しぶりです。姉上…」


転送して王座の間の紫魂の前まで来た。

紫魂前に会った時より窶れている、心なしか魔力も乱れている。

魔力枯渇しかかっているのか。

元々白い肌は更に白さを増しており、ギリギリだと理解した。

紫がかった黒髪にも艶はなく、紫の目も中々視点が合わない様だ、生気も薄い。


「お久しゅうございます紫魂魔王陛下。此の度は私の為にこの様な場を設けて頂き光栄に思います」


「姉上、口上は結構です。率直に言います、姉上魔王にお戻り下さい….」


「紫魂陛下今の魔王は貴方にございます。私はかつて愚王と呼ばれていた事はご存知のはず、私に魔王とゆう大役は務まりませんでした」


「姉上、貴女が魔王の時は大地の恵みが絶える事はなかった。貴女が魔王の時に地震など起こらなかった。姉上、貴女が母様に指名された時に気付くべきだったのです。私は紫魂は魔王の器ではなかったと….」


静寂が訪れ王座の間を包む、集まっていた家臣達も紫魂の言葉が正しいと考えているらしい。


「失礼ながら、我等家臣一同。今までの謝罪とお詫びを申し上げます…それでも、恐れながらもお願い致します、蒼魂様魔王にお戻り下さいませ…」


「我等貴族一同からも、お願い申し上げます…今までの事は、全て、全て我等に責任がございます…」


なんか謝罪会が始まった。

私の背後に控えているピィは随分と気まずい様だ。

私も気まずいよ、私は元々魔王に何て成りたくなかったんだ。

紫魂が魔王で良い。

私は魔王何て向いてない、これは本心だ。

ならばやる事は1つ。


「ここから先、私の無礼を皆様どうかお忘れ頂きたい」


皆が目を見開いて私を見ている。

ピィだけは何かわかった様に呆れた目線を向けていた。

そうだよ、やる気ないんだよ。


「紫魂、お前は焦り過ぎたのだ。功を立てようと急ぎ兵を民を見ていなかった。回復すら考えていなかった」


私は紫魂の座る王座まで歩き、そして紫魂の額に手をあてる。

私は手に魔力を集める、紫魂は殺されると思ったのか、目を瞑り死を受け入れだようだった。

周囲は唯々その光景を見ることしかできなかった。

紫魂が死ぬのは仕方がないと言った雰囲気だ。


「紫魂、滅ぶも栄えるも全てはお前の手の中だ。好きにせよ」


だが、私がやったのは紫魂に魔力を分けた事だった。

紫魂に生気が戻っている。


「ピィ行くぞ」


「はいでピィ」


呆れた様にピィは返事をして転送を使った。

私達が消えた王座の間には静寂のみが残ったそこで紫魂は1つの決意をして家臣に命じた事を私は知らない。









「おお!勇者様が目覚められたぞ!」




魔王は本名で呼ばれてはならないので目や髪の色で蒼魂とか紫魂など呼ばれています。

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