義父母と鬼嫁のドリフな毎日~あいつ編~
義父母は私に用事を頼むたび、「悪いねぇ。」「すまんのぅ。」と言ってくれる。だがそれが社交辞令であることはバレバレなのだ。
寝室にこもるなり、私の呼び名は「あいつ」に変わる。「あいつまだ居るがか。」「早く出かけんかのぅ……」前回、義母の「邪魔者被害妄想」を紹介したばかりだが、邪魔者扱いされているのはこっちの方ではないか。
確かに私は口うるさい。やれ食べ過ぎるな、やれ歩け、と事あるごとに繰り返している。だがそれは義父に自立した生活を少しでも長く続けてほしいから。寝たきりになられたらこちらが困るのは無論だが、義父母にとっても地獄の日々になることは間違いない。
最も恐れているのは、義母にとって義父が「あいつ」に変わる時。「介護殺人」という名の悲劇も、他人事ではない気がしている。
そうならないためにも憎まれ役を買って出ているつもりなのだが……今のところは「だめだこりゃ。」