世界で一番孤独な恋
世界はいつも、私に厳しかった。
ああ、なんで。
なんで私は、生まれてきてしまったのだろう。
幸せそうに笑う人々を見ていると、いつも思う。
それを見るたびに辛くて、苦しくて。私は独りになることを望んだ。
それなのに。
どうして、どうしてあなたはこんな場所にいるの?
どうして私の隣りで笑っているの?
どんなに私が避けようとしても、彼は懲りずに、飽きずに毎日やってくる。
やめて。お願い。やめて。
私は誰とも関わりたくないの。
それなのに、気づいたら私の周りには人がいた。たくさんのたくさんの人がいた。
わざわざ、人のいないような場所に逃げたのにも関わらず。
貴方は私が寂しくないようにと、たくさんの人を呼んでくれました。
もういい。もうやめて。
何度叫んでも、貴方は私を独りにさせてはくれなかった。
挙句、貴方はこんなことを言った。
「好きなんだ」
どうしようもなく好きなんだ、と。
そのとき私は、絶望を見た。
壊したくないのに。壊してしまう。そんな自分に、絶望した。
私だって、そうだった。貴方に恋をしてしまいかけていた。ギリギリのところで立っていたのを、貴方が押したの。
私は世界に絶望した。
私が生まれる前。神様は言った。
「貴方は、世界を壊すために下界に落ちるのですよ」と。
そしてさらに言い聞かせるように、神様は言った。
「貴方が誰かと恋に落ちたとき。それが、世界を壊す合図です」
貴方のその言葉で、私は貴方に恋をしました。
だから、ごめんなさい。
さようなら。
次に瞼を開いたとき。
私の前にあったのは、みすぼらしく広がる大地だけでした。
そして誰もいなくなる。
人々の優しいぬくもりも。
一番欲しかった、貴方の笑顔も。