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異世界?行けるもんなら行って見たいさ!えっ?行けるの?

作者: アゴマール

三月の下旬、中学三年生の 山田(やまだ 藤次(とうじは一人学校の教室で悩んでいた。

『マジでやばい! 来年どうするかな?』

そこへ、友達の 桜川さくらかわ 慎吾しんごがいきなり現れた。

『とうじぃー!あれぇー? なに難しい顔なんかしちゃってんのさ。お前でも悩みとかあるんだねぇー』

と藤次の顔を覗き込みながら話しかけてきた

『うっせぇよ慎吾…今は相手してやる気分じゃねぇんだ。わりぃけど向こう行っててくれねぇか?』

そう沈んだ様子で反応する藤次にいつもの元気はない

『あれ?なんだよ拍子抜けするわ。よかったら俺に相談してみなよ。誰かに聞いてもらった方が、解決策も見つかりやすいよ きっと』

さっきの声とは違い、優しく語りかけるような口調になる。

少し考えて、藤次は悩みを打ち明けた。

『実はさ…俺、成績悪すぎていける高校も

務める就職先もねぇんだよ。あれ?そういえばお前って、俺と同じぐらいだったよなどうするつもりなんだ?』

ワラにもすがる気持ちで藤次は慎吾にきいた

『そんなもんとっくに決まってるし。

俺は、異世界に行って 最強になって 可愛い人と恋をして 一生を最高にハッピーに過ごすんだ。』

あまりにバカな答えが返ってきて藤次は呆れて物も言えなくなっている

(異世界ってそんなに簡単に行けるのか?

っていうか異世界に限らずに、世界には想像以上に強いやつがいるし、可愛い人は強さよりももっと顔がよくて、優しい奴を選ぶだろうから俺たちには無縁だし、ましてやその人が恋に落ちるだなんて中二病の妄想レベルだぞ…慎吾はそこまで追い込まれていたのに俺は気づいてやれなかったのか… )

藤次の頭がパンクしそうになってきたので慎吾にどうゆうことなのかを聞くことにした

『慎吾一体なにいってんだ?誰がお前の妄想披露しろなんて言った?俺は真剣に悩んでるんだよ!』

今度は慎吾が呆気にとられている。

『あれぇ?藤次知らないの?もしかしてお前ニュース全然みてねぇだろ』

馬鹿にする口調で、今度は慎吾が藤次に聞いてきた。

『当たり前だろ!あんなもんは勉強のできるガリ勉野郎か暇な大人が見るもんだ。』

そう言い放つと慎吾はいきなり笑い出した。

いきなりのことで、藤次はなにがなんだかわからなかった。

『なっ!なにがおもしれぇ!いいじゃねぇかニュースぐらい見なくてもよ。』

慎吾は、まだニヤニヤしてるがしょうがないと言った風に笑ったわけを話した。

『実はな、お前と俺でこの前体力テスト受けに行っただろ?』

『あ?あぁ そういえば受けたな。でもそれがどうかしたのかよ。』

いきなり関係の無い話をされて、藤次は少し驚きながら答える。

『あれ何のテストかわかってるか?』

『しらねぇよ。だって、お前に無理矢理連れてかれて無理矢理受けさせられたからな。』

その時のことを思い出し少し不機嫌になる藤次。

『実はな、あのテスト異世界に行く人を決めるテストだったんだ。流石にさ、俺一人で受けるなんて恥ずかしいからお前を連れてったわけよ。まぁ、記念受験って奴さ。運動だけなら俺もお前も優等生だからな。』

異世界だなんだと、いろいろと聞きたいこともあったが何より聞きたかったことは

『 まさか、そのテストに俺達 合格したなんて言うんじゃないだろうな?』

藤次の声が少し震えていた。

『大正解!その通りさ』

慎吾は拍手しながらまんべんの笑みで答える

『ニュースで、名前とかが大々的に放送されちゃったからもう知ってるもんだと思ってたけどな』

そんなことを、今初めて聞いた藤次は期待と不安の気持ちが半々の顔で慎吾に聞く。

『でもよ、異世界なんてどうやって行くんだ?』

この質問に慎吾はニヤニヤしながら答える。

その顔には、(こいつ本当に何もしらないんだな)という表情が誰の目にも見て取れる。

『自称異世界の使者とかいう奴が、富士山の麓の町にいきなり現れて異世界へ通じる穴をある場所に開けたらしい。そのあと、そいつらは煙みたいにどっかに行ったんだ。

まぁ今その穴は、日本政府がキッチリと管理してるけどな。まぁ、そんなに怪しい穴になんて誰も入りたがらねぇ。だから、一般人希望者を募集してテストをやったというわけさ。もしものために、力があるに越したことはないからな。まぁそんなわけで俺達が選ばれたわけよ。』

始めての情報を聞いて感心するしかない藤次だが気になる事があった。

『なぁ慎吾、行くのは俺達以外誰がいるんだ?』

異世界に行くのに流石に二人では寂しすぎる。襲われる危険性だってある。だいたい、異世界に繋がってるのかどうかさえ不安なのにその上二人だけとは不安でしかない。

『他にも数人いるよ、まぁテストには合格したけど、やっぱり異世界に行きたくないって奴もいるだろうから当日にならないとなんとも言えないな。』

『そっか』

藤次は少し残念そうにそういった

『そういえば、いつどこに行けば異世界に行けるんだ?』

『四月一日の朝8時に、いったん富士宮市の市役所に集合してから皆で穴に行くんだ。

持ち物は全部向こうが用意しといてくれる』

必死にメモを取りながら藤次は一つの疑問も抱いた。

『四月一日って随分と先の話だな。なんで、そんなに先なんだ?』

『俺だってしらねぇーよ

準備とかで、色々といそがしいんじゃねぇーの?』

淡々と慎吾は答える。

『まぁ学校もまだあるから、そんなに緊張すんなや』

藤次の肩を叩きながら慎吾は笑った。


〜四月一日〜


藤次は二十分ほど遅刻して集合場所についた。

集合場所には誰もいなかった。

慎吾に電話してみてもでなかった。

遅刻したので、置いていかれたのだと悟った藤次は歩いて穴に向かうことにした。

しっかりと下調べはしてきてあった。

タクシーで行こうともしたが、どこにも見当たらなかったのであきらめた。


〜 一時間後 〜


『やっと着いた…まさか、ずっと上り坂とは思ってもみなかった。』

しかし、穴の周りには誰も居なかった。

不思議に思っていると藤次のケータイがなりだした。

もちろん慎吾からだった。

『藤次か?お前今どこにいる⁉︎』

なぜか慌てていた

『俺は今 穴の前にいる。

慎吾の方こそどこにいるんだよ』

『よかった まだ、入っていないんだな。

実はな俺寝坊しちゃって…

今市役所から、タクシーで向かってんだよね

二十分もしたらつくからそれまで待ってて』

そう言うと電話は一方的に切れた。


〜二十分後〜


ようやく現れた慎吾がやってきた。

『てめぇ寝坊なんかしてんじゃねぇよ。

気抜いてんじゃねぇよ』

藤次は不機嫌にそう言い放ったが…

お前も遅刻したから置いて行かれたんだろ?

と言われてしまい何も言えなくなってしまった。

『まぁ藤次、とりあえず中に入ってみようぜ

俺は昨日ワクワクしてねむれなかったんだ』

『お前ガキじゃねぇんだからよ』

藤次はため息をついた。こんなことでは、この先思いやられる。

下手すれば、向こうで奴隷にでもされてしまわないとも限らない。

藤次は気を引き締めて穴の中に入っていった


しばらく歩くと、行き止まりになっていた。

どこへも通じてなど居なかった。

『おい慎吾!どういうことだこれは⁉︎』

困惑した表情を浮かべる藤次

しかし、辺りを見ると慎吾の姿が見えない

『あれ?おーい慎吾ー!どこいった!

おーい!ふざけてんならぶっ殺すぞー!』

しかし、慎吾はでてこない

先に帰ったのか?それとも異世界にいったのか?そういえば今日は四月一日 エイプリル フールだ。騙されたのか?

色々考えたが答えは藤次にわかるはずもなく

とりあえず穴の中をくまなく探した。

が それでも慎吾はいなかった。

あの野郎帰りやがったのか?

仕方なく外に出てみる

しかし、慎吾は見当たらない

藤次は仕方なく適当なホテルへチェックインした。


〜次の日〜


藤次はまた穴に向かった。

しかし、昨日あった場所に穴はなかった。

間違えなどではない。確かに穴はなくなっていた。

『おかしいな 昨日は絶対ここにあったのに…

何よりも、慎吾のケータイが繋がらないのが気になる。とりあえず辺りを探してみるか』

しかし、結局穴は見当たらなかった。

『仕方ない、家に帰るか』



一週間経っても一ヶ月経っても一年経っても

慎吾からの返事は来なかった。



一体慎吾はどこに行ったのか?

あの穴は何だったのか?

それはちょうど十年経った今日もわかっていない。

俺はあれから専門学校へ行き、必死に勉強をしてなんとか就職することができた。


慎吾がどこに行って、あの穴は何だったのかはまだ何もわかっていない。


もし、本当に異世界があって慎吾はそこに行ったのなら、元気でやってるのかどうかは非常に気になるが、俺はもし慎吾が帰って来た時恥ずかしくないようにしっかりと生きていきたいと思う。



おしまい

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