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ファミレスの恐るべき裏メニュー

作者: 束間由一
掲載日:2012/06/05





 今日、僕は「ヤニーズ」と言う店に行った。

 近所にある老舗のファミレスで、昔はチェーン展開をしていたそうだが、上手くいかなかったようで、今はあの店し残っていないというウワサだ。


 店内は、いたって普通のファミレスだが、残念ながら席の卓上に呼び出し述のベルが無い。だから、声の小さい僕は店員さんの側まで行って声をかけねばならなかった。これが、何とも恥ずかしい。そして、ブラスティックでコーティングされたメニュウ表から選んだものも、なんだか恥ずかしいものだった。


 「この、裏メニューをお願いします」 

 

 僕が頼んだのは真っ黒な四角形の中に白字で描かれた、その怪しい名前の品であった。値段すら書いていないのがこれまた怪しい。しかし、店員のおねえさんは特に表情を乱すこともなく、「了解しました」と小さくお辞儀をして厨房の方へと消えていった。


 果たして、どんな料理が運ばれてくるのか? そして、頼んでみたもののお金は足りるのか? そんなことを考えていると、10分くらいして再びお姉さんが、中華料理などでよく見る鉄製の蓋で覆われた料理らしきものを持ってきて、机上に置いた。


 えらく早いなぁと思いつつも、僕はドキドキしながらその鉄製のドーム状の蓋を持ち上げる。裏メニューと言って画像すら載せない食べ物の正体が明らかになる!


 「これは……!」


 無口な僕も、思わずそんな言葉を口走ってしまった。

 その、皿の上にあった……いや、いたのは、小さな真っ黒の、人型の生物だった。


 フォークとナイフと割り箸があったが、僕はどれも手に取ることが出来ずに、ただ、呆然とその謎の生き物を見ていると、その真っ黒な何かは、僕に意外と大きな声で話しかけてきた。 


 「君は、僕を食べるのかい? それもいいけど、後できっと後悔することになるよ。それでも、食べるのかい?」

 

 僕は、首を振った。もとより、こんなものを食べられるはずが無かろう。

 その僕の仕草を眺めると、黒い小人みたいな生き物は歩き出し、皿の上から、机の上からぴょんぴょんと降りると、そのまま何処かへ行ってしまった。そしてそれっきり戻ってくることはなかった。


 その後店員のお姉さんにその事を聞いてみたが、さらっと無視されて、その上ばっちり料金まで払わされてしまった。何も食べていないのに1280円も僕はその店に支払ったのだった。正直、二度と来るまいと思った。そう思って、その晩は家でカロリーメイトを食べて泣き寝入りをした。


 翌日、悔しさのあまりファミレスの近所を通りがかると、そこにはあるはずの店がなかった。

 まるで、ブラックホールにでも吸い込まれたかのように、何もないさら地がそこには存在していたのだった。


 


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