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ミラージュオブフェイト  作者: 黄原凛斗
第一部 2章:二人の魔法使い
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始動!魔法指導!? その二

魔法指導に入ります。説明が鬱陶しいかもしれません。

 二人に案内されたのは修行場と書かれた小さな小屋だった。

 サラは何やら道具箱の中をあさっている。チラリと覗く道具は見たこともないようなものが沢山はいっていた。

「あ、あのさ……俺、魔法本当に何もわかんないんだけど」

「じゃあ準備終わるまで僕が簡単に教えるよ。サラ、一人で準備大丈夫?」

「余裕余裕。ただ久しぶりだから少し時間かかるよ」

 そう言いながら慌ただしく準備とやらを始めた。

 ルカは近くにあったノートの山から一冊引き抜いて俺に渡した。

 一応パラパラと目を通すがさっぱりわからない。

「一番最初のページをちゃんと見て。絵とかあったほうがわかりやすいと思うから」

 一番最初のページには小さな子供が描いたような絵で題名が『魔力の種類』となっていた。

 五人ほどの子供が魔法を使っている絵で魔法の種類も様々だ。

「まず魔法の前に魔力の説明。魔力には『攻撃型(こうげきがた)』『守護型(しゅごがた)』『治癒型(ちゆがた)』『補助型(ほじょがた)』『特別型(とくべつがた)』と大まかに別れていてその性質は生まれつき決まってるんだけどそれによって使える魔法が限られてくるんだ」

 ノートの炎を出している男の子をを指で示すとルカは手のひらに小さな炎を出した。

「これは攻撃型の魔法。応用すれば守りにも使えるから攻撃型と守護型の差はあんまりないんだよね」

 炎を消し去ると次のページを開いた。そこには『属性』と書かれている。子供が七人、それぞれの属性をイメージする色で塗られていた。

「属性は九種類。その属性にも一応攻撃型か守護型かってあるけどこれはその属性の魔法のイメージとか種類で決まってるから大したことじゃないんだ」

「九種類って……このノート七つしか書いてないけど?」

 俺はノートの絵を示す。子供の数も小さく書いてある説明も七つ。

「まあそれは少し置いといて……。属性は面倒なんだけどとりあえず魔法の属性についてだけ……。

 攻撃型は『炎・雷・氷』で守護型は『水・風・大地』。あとどちらでもない植物。そしてトップクラスに珍しい属性、『光・闇』。この二つはほとんど使える人はいないよ」

「どうして植物はどちらでもないんですか?」

「植物関連は回復が多いからどちらでもないってどっかで議論とかがあったらしいけど……結局決まらないままらしいよ」

 道具箱から水晶玉のような物を取り出すルカ。透明のようで色んな角度から見ると七色に見える不思議な感じがした。

「これは潜在属性(せんざいぞくせい)使用可能属性(しようかのうぞくせい)と型を調べる道具なんだ。ちなみに潜在属性は生まれつきその人に備わってる属性で魔法とかに恩恵があるモノだよ。魔法の属性とはまた違うモノで少しややこしいかも」

「ついでに補足みたいだけど例えば潜在属性が炎の人間が水属性魔法を使えることもあるから潜在属性はあんまり気にしないほうがいいわよ。使える魔法と潜在属性が一致したらラッキー程度」

 準備を終えたサラがこちらに来ながら言った。なんかやけに服が汚れているが何をしてたんだろう。

 ルカは水晶に手をかざしながら何かブツブツ言っている。すると水晶が淡く光出した。

「えっと、じゃあアベルだっけ? まず試しに君から」

「……なんで俺」

 少し離れたところにいたアベルがうんざりしたような顔で近寄ってくる。一応する気はあるんだな。

 ルカが困ったように笑うとサラが不機嫌そうに言った。

「アンタ、自分の属性とか全然わかんないで魔法使ってたでしょ。アレもうめちゃくちゃよ! むしろこの子もだけどアンタはもっと酷かったし!」

「それとこれにいったい何の関係が……」

「君はちゃんと魔法学ばないで使ってるから一番危ないんだよ。この中で一番魔法を学ぶべきなのは君」

 するとアベルは痛いところをつかれたのか少し動揺していた。するとサラはびしっとユリアを指差し怒鳴る。

「アンタは中途半端なのよ! なんかやけに魔法のセンスがいいと思えばド素人っぽかったり……ちゃんと学んでないでしょ!」

「え、えーっと、エレナさんに教えてもらったんですが……」

 適当に教えたって言ってたもんな。この台詞からしてユリアは記憶を無くす前は魔法を使えたのではないかという憶測が更に強まった気がするが……やっぱりそんなことないかもしれない。

「あの人……エレナっていう人、何なの? 魔法教えられてるかと思えばいい加減なことしか出来てないみたいだし……」

「うーん、魔法使えない人が無理やり教えようとしたって感じだね」

「あれ、エレナさん、魔法使えてたような……」

「使えないだろ。あの時のはジュエルだろうし」

 意外なことにアベルが口を挟んできた。

 そしてまた新しい用語が出てきた。覚えられるのか、俺。

 アベルはポケットから宝石と思われるものを取り出した。白というより透明に近い色だった。

「『ジュエル』、宝石に魔法を込めたものでこれを使えば魔法が使えない者でも使えるんだ。ただし込められた魔法しか使えないし回数に限りがある。非常用に持ち歩く冒険者は結構いるぞ」

「わぁ、綺麗です~。これには何の魔法が込められてるんですか?」

「……そこまで教える義理はない」

 急にそっぽを向くとルカの手から水晶をひったくった。

「さっさと終わらせるぞ。おい、やり方はどうするんだ」

「水晶に魔力を送る感じ……できる?」

「問題ない」

 淡い光を放っていた水晶は輝きを増す。するとルカはその光の中に浮かび上がる文字を見て呟く。

「潜在が雷で使用可能属性も雷……やっぱり攻撃型だね」

「髪の色と全然合わないわねー。紅雷……ってとこ?」

「知るか」

 ぶっきらぼうに吐き捨てるとユリアに乱暴な手つきで水晶を手渡した。

 ユリアはきょとんとしていたが次第に水晶がまたしても輝き出した。

「え、ふぇ? ま、魔力の送り方とかわかんないですー!」

「あー……わかんないのに送れてる辺り才能なのかしら……」

 サラが呆れながらもユリア近づきに水晶の文字を読み上げる。

「潜在は風と植物……使用可能属性は風と植物、あと水かな?」

 ユリアはまたしてもきょとんとしている。魔力を送っているつもりはないのに送れていたことに驚いているようだ。

 サラはユリアから水晶を受け取ると俺に渡してきた。

 正直、渡されてもどうにもできないんだけど……。

「さあさあ、アンタだけよ。ちゃっちゃっと魔力送って!」

「……送り方わかんないんだけど」

 魔法の知識なんて物語で英雄が使ってる魔法の知識くらいしかない『俺には魔力を送る』という概念すらない。

 俺のとろさというかできないという甘えがサラをなぜかイラつかせたらしくサラに頭をいきなり掴まれ水晶に叩きつけられた。

 率直に言うと、ものすごく痛い。

「いってえええええ!」

「せっかく準備したんだから早くこっちを終わらせたいのよ! 頭ぶつければなんとか水晶に魔力いくから」

「嘘だよな!? こんなことで魔力送れるとか嘘だろ! ってマジで光ってるし!」

 輝く水晶に浮かぶ文字を読もうとしてなぜか黙りこくるサラ。ルカも読もうとしてのぞき込む。

 しかし、その瞬間、ルカの顔が驚愕に彩られた。

「え……潜在属性炎……使用可能属性――なし?」

 その言葉を理解するまでに十秒ほどを要した。

 そして理解し、恐る恐るルカとサラに尋ねた。

「な、なあ……使用可能属性なしだと……魔法使えないってことか……?」

「そ、その……属性魔法が全く使えないと……」

「音魔法、召喚魔法、精霊使役魔法みたいな特殊な魔法も無理――つまりアンタは魔法の才能ゼロってことね」

 重すぎる沈黙。サラとルカは信じられないというように困惑した表情を浮かべてるしユリアはどうすればいのかわからないという感じの挙動をしてるしアベルは鼻で笑っていた。

 俺は大きく息を吸い落ち着こうとして――思わず叫んでしまった。



「嘘だああああああああ!!」



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