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ミラージュオブフェイト  作者: 黄原凛斗
第一部 2章:二人の魔法使い
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始動!魔法指導!? その四

 とりあえず簡単な説明だけされた俺はユリアを抱え修行場の上の部屋――先ほど一人で本を読んでいたところでユリアの介抱をしていた。

 ちなみにルカとサラは修行場の片付けを出来る範囲でしている。アベルはとりあえずこちらに付いてきた。

「アベル大丈夫か? お前も爆発に巻き込まれたんだし応急処置だけでも――」

「いらねぇ。そもそもほとんど怪我したやつなんていねぇだろ」

「一応何があるからわかんないんだからしとけよ……にしても」

 未だに先ほどの爆発がユリアのせいだと聞いても実感が湧かなかった。本当にユリアは何なんだろうか。

 ユリアは寝返りをうちながら何やら寝言を発している。思わずほっぺをつねりたくなるほど呑気な様子だ。

「はぁ……長老になんて言われるか……」

「とりあえず魔法が暴発したとしか報告できないよね……怒られそう」

 片付けを終えた二人がため息をつきながら部屋に戻ってきた。疲労の色が濃くとりあえず同情するしかできない。

 これからどうするのだろうか。修行場はボロボロになってしまったし備品など修行道具も全滅らしい。

「とりあえずアベルとユリアは魔法を冷静に当てられるようにね……。アベルは人形の動きに追いつこうとして魔法が途切れたりしてるし。まあユリアに比べて安定感はあったよ」

「一応それになりに使ってきたからな」

「基礎も知らないで魔法を使う馬鹿は意外といるって聞いてたけど本物お目にかかったのは初めてよ……。この村は魔法の勉強必修だし」

 わざとらしく呆れたというポーズをとり本の山から一冊引っこ抜いた。山が崩れそうになるがしばらくするとなんとか安定したのかぴたりと止まる。

「これは五才の子供が魔法を勉強するときに使う本。この村で魔法が使えないなんてよっぽどの突然変異か三才以下の子供くらいよ」

 言いながら本を俺に投げつける。確かに子供向けのような内容で魔法のことが書かれていた。

 どちらかというと絵本に近い感じだ。

「すげーな……俺の故郷だと魔法なんて都会の学校でないと勉強できないものだったからなぁ……」

「――あのさ、ケイト。ケイトはお父さんとかに魔法教わらなかったの?」

「ん? 親父はちょっと強い傭兵とかだったって言ってたけど魔法は使ってるの見たことないなぁ……」

 去年死んでしまった親父を思い出ししみじみと言う。母さんが早いうちに死んだ俺にとってはとても頼りになる家族で尊敬もしていた。何より若い頃は傭兵だったとかで故郷では用心棒でもあった。町のみんなにも慕われてたしなぜこんなにも早いうちに逝ってしまったんだと思わずにはいられない。

「去年死んじまったんだけどそれまでは一応剣の稽古だけつけてもらったな。ま、やる気なかったのかあんまりやってくれなかったけど」

 するとルカとサラは顔を引き攣らせ小声でやりとりをし始める。

「去年って……やっぱりフィアンマの――」

「でも魔法使用可能属性なしなんて……潜在属性はちゃんとその通りだったけど」

「魔法使えないのはやっぱり不自然だよね」

 二人の会話がほとんど聞こえない。魔法がどうのって言ってるけど。

 会話に口出せる雰囲気ではないので爆発が起こる前に読んでいた本をもう一度読むことにした。

 適当に捲っているとマジッククロークについて書かれたページがあった。

「おい、アベル。お前の言ってたマジッククロークってこれだよな」

「ん、ああそうだ」

「マジッククローク? もしかしてケイト、マジッククロークも使えないの?」

 サラがなぜか内緒話を中断し聞いてくる。使えないよ悪かったな。

 道具箱のなかから小さなメダルのようなものを取り出したサラ。メダルには魔法陣のようなものが彫られており魔法道具なのはすぐにわかった。

「『異空間の使者よ。新たな契約者の祝福を』!! とっとと出てこい!」

 最後のほうはやけに乱暴だった気もするがメダルは言葉に反応し光り輝く。すると気の抜ける間抜けな音と主に小さな生き物が姿を現した。

≪全く、乱暴ですねぇ。普通に呼び出しできないんですか?≫

 幼い少女にも見えたそれは手のひらに乗るような小さい体でぶつぶつと文句を垂れていた。

 青い髪に青いドレスのような物を纏っており美しさがにじみ出るその存在を思わず俺は凝視してしまった。

「マジッククロークを使えるようにするためには精霊とか空間管理人とかの許可っていうかそういうのが必要なのよ。ちなみにこれはその契約時に仲介する精霊」

≪これとか失礼ですね。誇り高き精霊に向かって。まあいいでしょう。それで契約したい者は誰ですか?≫

「あ、俺――とユリアもかな?」

 ユリアのほうに視線をやると起きる気配がない。どうしたものかと悩んでいると精霊は問題ないと一言いった。

≪まずは貴殿から。 異空間倉庫を使用する条件は一つ、一定量の魔力――案じることはありません、本当に微量で構いませんのでお渡しください≫

「渡すってどうやって……」

 するとサラが俺の額にメダルを叩きつけた。なんだかすごい既視感。

 思わず額を抑え痛みをこらえるとメダルが光る。

 魔力を送るとかそういうのって本当に頭ぶつければ解決するのかよ、嘘だよな?

 今日だけで三回も頭に何かぶつかってるんだけど俺、大丈夫だろうか。

≪契約は完了です。この歳でこんなに魔力の総量が少ない人間は久しぶりですよ……≫

 呆れたように精霊が言うと音も無くユリアに近づく。

≪……追加ですか。ほら、起きて≫

「ふえ……? わっ! なんです!?」

 精霊に驚くユリア。興味深そうに瞳を輝かせている。

「はい、これ持って魔力送って」

「え、はい……?」

 わけがわからないまま契約をしている。これっていいんだろうか。

 メダルが輝き精霊がその場でくるっと回る。

≪では、私はこれで≫

 それだけ言うと精霊は最初から存在しなかったかのように消えてしまった。

 未だに状況を把握出来てないユリアはしきりに首をかしげる。

「そういや、どうやって使えばいいんだ……?」

「うーん、じゃあその本を自分の中にしまうのをイメージして持って」

 言われるがままに本を持つ。自分の中にしまう感じ……。

 すると本は音も無く消える。

「うぉぉお! すげぇ!」

「出すときは倉庫から出したい物をイメージする感じかな。まあ慣れればすぐできるよ」

 本を出そうと――した時、村から誰かの叫び声が聞こえてきた。

 それに続いて人が集まるような声も聞こえてくる。

「何かあったのかしら」

「とりあえず様子を……三人はどうする?」

 サラとルカの瞳には焦りが浮かんでいた。自分の村で何か起こったならば気になるし焦りもするだろう。

 だが二人はそれ以外の理由で焦っているように思えた。

「とりあえず俺はついてっていいか?」

「あ、じゃあ私も……」

「もう三人ともついてきて! 大丈夫……よね」

 不安そうな声は外の喧騒によってかき消された。

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