表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三姉妹爆笑交響曲 — 大学生篇から陽翔&結音誕生まで  作者: リンダ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/113

凱旋帰国

スマホが「ピコン」と鳴った。

画面に〈翼〉〈拓実〉の二分割。どっちも満面の笑顔、背後はそれぞれの実家の居間らしい。


翼:「みっちゃん、おめでとー!世界制覇やね?あ、まずは深呼吸せんと倒れるばい!」

光子:「翼〜!見てくれとったと?もう手ぇプルプルやったっちゃん!」

拓実:「ゆうこ、おめでとう。解説ん時より緊張しとったやろ?でもキレッキレやった!」

優子:「たくみ〜、聞いとってくれたっちゃ?最後の“替え玉”まで息持ったの奇跡やけん!」


翼:「こっち、家族全員テレビ前でスタンバイ。“博多スルー”のとこで親父が吹きよった」

拓実:「俺の母さん、“替えツッコミ”で完全に腹筋ピキって整骨院予約しよった」

光子・優子:「それはホンマすまん!(爆笑)」


翼:「しかしさ、二人が“笑いは呼吸”って言いよったやん。あれ、スポーツも一緒やけん、めっちゃ刺さった」

拓実:「うん。リズムで相手崩すって、まんま試合。今日のステージ、勉強になったわ」

優子:「やろ〜?今度、打球解説も四分裏で刺すけん!」

拓実:「いや、それは実況さん泣くって」


光子:「…二人のおかげたい。緊張MAXでステージ上がったけど、電話鳴って“翼・拓実”って出た瞬間、なんか肩の力スッて抜けた」

翼:「任しとき。これからも背中押す係やけん」

拓実:「俺はツッコミ係でもええよ。暴走したら“戻ってこーい”って」

優子:「それ一番大事!」


(後ろから春介・春海の顔がニュッ)

春介:「つばさにいちゃん、たくみにいちゃん!お姉ちゃん、さいきょう〜!」

春海:「こんど“替え玉バレエ”つくるけん、見てね〜!」

翼:「うわ、可愛すぎ。師匠越えの予感しかしん」

拓実:「動画届いたら、即保存やな」


翼:「最後に一言。—“おめでとう、そして、ただいま”って気持ちやった。二人の音と笑いが、こっちにちゃんと帰ってきたけん」

拓実:「同意。ゆうこ、無理せんで、ちゃんと水のむこと。終わったあと姿勢伸ばすんやで」

優子:「保健体育みたいな指導、ありがと」

光子:「翼、今度の休みに一緒に“駅弁スケルツォ”取材行こ」

翼:「よかよか。車内で寝過ごさんごとだけ注意な!」

拓実:「それは無理案件やろ」

全員:「ははは!」


翼:「じゃ、今日はゆっくりおやすみ。ほんとに誇らしかった」

拓実:「おめでとう。大好きやで」

優子(小声で照れ笑い):「…ありがと。大好き」

光子(画面に手を振りながら):

「またね、ばいばい〜。電波越しのハグ、受け取ったけん!」


通話が切れる。残ったのは、耳の奥でまだ鳴っている歓声と、胸の真ん中にふわりと積もる、あたたかい余韻だった。




成田の到着ゲートが開く。

白いスポットライトとスマホの海が一斉に揺れ、「M&Y!」「おかえり!」の合唱。花束、手作りボード、子どもの描いた“爆笑発電所”のイラスト。警備導線に沿って二人が一礼すると、到着ロビーの特設ブースへ。背後のボードには「国際クラシック・フェス特別大賞/ユーモア創作部門グランプリ 受賞会見」。


光子(マイクへ、深呼吸)

「ただいま戻りました。空の上でも“替え玉”コールが聞こえた気がしました。…幻聴やったかもしれんけど(笑)。でも、それくらい皆さんの声援が心強かったです」


優子(小さく会釈)

「応援、ぜーんぶ届いとったよ。ありがとうございます。成田に降りた瞬間、“日本ただいま”って胸が熱くなりました」


司会「それでは代表挨拶を」


冒頭コメント


光子:「今回の組曲『寝過ごしスケルツォ—宗像発・久留米行き—』と『ワイン協奏曲 Op.21 “初杯”』に、笑いと音楽を同居させました。“笑っている時、人は一番自由だ”——その信念を音にしました」


優子:「会場では演奏家の皆さんまで肩を震わせとって、譜めくり係さんが笑いでめくり遅れかけるハプニングも(苦笑)。でも終演後に“救われた”って言葉をたくさんいただいて、わたしたちのやり方は間違ってないと確信しました」


質疑応答


—記者A「世界的な審査員からの評価で印象に残った言葉は?」


光子:「“クラシックの形式に、生活の鼓動とユーモアを接続した”と言ってもらえたこと。楽章間に『車内チャイム変奏』を入れた無茶を、まさか褒められるとは(笑)」


—記者B「お二人は学業と活動をどう両立?」


優子:「時間割は“音・笑・寝”の三本柱。寝を削らんことが秘訣です。真顔で言うとこやけど、ほんと大事。先生方も理解してくださって、提出は前倒し、練習は効率重視。寮のみんなにも支えられてます」


—記者C「受賞の喜びを〝博多弁〟でひと言」


光子:「応援してくれたみんな、ほんまありがと。やけど、うちらはまだ道の途中やけん、ここからまた精進やで」

優子:「帰ってきたばってん、心はもう次のステージに向こうとーよ。待っとってね」


—記者D「社会的メッセージも作品に込めています。改めて思いを」


光子:「私たちは、笑いで“痛み”をごまかすんじゃなくて、触れたうえで和らげたい。戦争の傷跡や、日常の孤独、被災地の不安——その隣に音と笑いを置くのが役割だと思っています」


優子:「支えてくれた施設——ニュージーランドのライアンさん、カナダのソフィーさん、LAのキャサリンさん、ウクライナの子どもたち——みんなの顔を思い出しながら弾きました。“笑ったら、また立てる”。それを一緒に確かめたいです」


—記者E「今夜いちばん食べたい日本の味は?」


優子(即答):「うまかっちゃん」

光子:「替え玉は…今日くらいは封印しときます(会場笑)」


これからの予定


司会「今後の活動は?」


光子:「学業優先で、夏の校内公演と、秋口に“ギャグ組曲”拡張版の初演を予定。地方の学校・病院・施設を回る小さな出張公演も準備中です」


優子:「そして帰国第一弾は——“ただいま凱旋・爆笑室内楽”ミニ配信。寮のラウンジから生音でやります。観客席はWi-Fi越しのあなたの部屋やけん」


最後のひと言


光子:「空港まで来てくれた皆さん、画面の向こうで拍手を送ってくれた皆さん、家族と仲間、先生方に——心から、ありがとう」

優子:「笑いすぎて腹筋痛めた皆さん、ストレッチして水分補給して、また会場で会おうね!」


二人が深く一礼。フラッシュの白が波のように寄せ、拍手が長い余韻になってブースいっぱいに広がった。

“おかえり”のコールに手を振りながら、M&Yは次のステージへ歩き出した。





成田エクスプレスの赤いラインが流れる窓に、夕映えが薄く乗った。指定席に腰を落とすと、二人同時にほぉっと息を吐く。

車内アナウンスが英語に切り替わると、光子が小声で「今日だけは案内、私らじゃなくてよかった…」と笑う。優子はスマホを掲げて、到着ロビーを埋めた人波の写真を家族グループに共有した。


光子「お父さん、お母さん、ただいま日本!受賞の盾、割れんごと抱きしめとー」

優子「今から東京駅。寮戻ったら“帰国ミニ配信”準備入るけん、見とってね」

美鈴〈即返信〉「よう頑張った!帰ってから替え玉は1回まで」

優馬〈スタンプ:拍手〉「腹筋ストレッチして待機」


シート灯がほんのり落ち、列車は滑るように都心へ。成田の闇が千葉の住宅街に溶け、やがて鉄骨の影が増えていく。

優子がイヤモニを耳に当て、今日の本番録音をチェック。隣で光子が指先で拍を刻む。


優子「この“車内チャイム変奏”さ、客席がクスクスからドッて波になった瞬間、鳥肌立った」

光子「うち、指揮者の肩が震えたの見えたもん。絶対笑い堪えとったよね」

優子「次は“終電逃しパッサカリア”作ろうや」

光子「もう作る前から身に覚えがありすぎる」


東京駅。ホームに足を下ろすと、熱気と案内音の海。真新しいポスターの間を縫い、二人は荷物を引いて中央通路へ。

駅弁の匂い、改札音、人の波——その全部が「帰ってきた」を実感させる。


光子「乗り換え、横須賀線?総武線?…じゃなくて、今日は中央線で御茶ノ水までやね」

優子「ホーム間違えたら“寝過ごし組曲・東京版”が生まれるばい」

光子「やめんかい」


グランスタの片隅で、家族用に小ぶりの土産を素早くピックアップ。レジを抜けると、見覚えのあるサポーターが声をかけた。


ファン「受賞、おめでとうございます!成田の会見、ライブで見ました」

優子「ありがとございます!腹筋は無事でした?」

ファン「軽く攣りました(汗)」

光子「水分補給して、無理せんでね」


中央線快速が入線。オレンジの帯に乗り込むと、ほどよい疲れが背中を包む。

御茶ノ水で乗り換え、夕闇の川面をちらりと見下ろして、キャンパス最寄りへ。寮まではあと少し。


優子「着いたら、配信用のマイク立てて、譜めくりPDF共有して…」

光子「ストレッチ配信も付けとこ。視聴者の腹筋守りたい」

優子「保健指導つき室内楽、やね」


自動ドアが開く音、受付の「おかえり」の声、掲示板に貼られた「帰国おめでとう」の手書きポスター。

スーツケースのキャスターが止まる。二人は顔を見合わせ、拳をコツンと合わせた。


「ただいま。次の一音へ、行こう。」






受賞報告デイ:キャンパスとミライマートが沸いた日


午前、音大・ラウンジ。

学長と教授陣、在学生がぎっしり集まる前で、光子と優子が登壇した。背後のスクリーンには〈国際作曲&ステージ・アクト部門 最優秀賞〉の文字と、マディソンSQでのステージ写真。


学長

「本学の誇りです。おめでとう!」


拍手の波。ふたりは深くお辞儀。


光子

「ありがとうございます。作曲も笑いも“人を元気にする音”だと信じて、これからも磨きます」


優子

「腹筋を守るストレッチも併せて普及します(会場ざわっ→笑)」


教授A

「制作裏話を少しだけ」


光子

「車内チャイムからフガフガと和声を派生させて…」


優子

「本番は“笑いのタイミング=間”を楽譜に書き込みました。ppピアニッシモのクスッからffフォルテッシモのドッまで」


小さな即興ミニライブ。二人のハモリに、ホールがふっと温度を上げた。



午後、ミライマート音大前店。

自動ドアが開いた瞬間、紙吹雪。天井から「おかえり&おめでとう!」の横断幕、レジ上には手描きポスター〈爆笑発電所 世界進出〉。店長・篠崎さんが大輪の花束を差し出す。


篠崎

「受賞、おめでとう!今日は“店内BGM:M&Y特集”やけん!」


スタッフ一同

「おめでとー!!」


ふたり

「え、え、えっ!? こんなに!?」


ホットスナック台は“受賞記念スペシャル”に改装。

・からあげ=「カデンツァ味」

・コロッケ=「寝過ごし組曲ポテト」

・レジ横には特注ケーキ「祝・最優秀」のチョコプレート。


常連のおじさん(この前のナイター談義の人)

「ほんとにやりおったなぁ! まずはこれ、コーヒー差し入れ。腹筋に優しいブレンドや」


大学の後輩たち

「サインください!あと“笑いの間”の練習法も!」


即席トーク&一曲だけのアカペラ。

光子のカウントに合わせ、優子が軽くボディパーカッション。売り場の端っこが小さなライブハウスに化す。


優子

「みんなが“おかえり”って言ってくれる場所があるけん、また挑戦できるっちゃん」


光子

「次の新曲、レジ締め後の“静寂”をテーマに書きます。売上報告のリズム、意外と美しいけんね(店内どっ…と笑)」


篠崎

「今日はレジ横で写真OKデー! ただし通路は塞がんでね〜」


最後はスタッフ全員と記念撮影。

帰りぎわ、ふたりは顔を見合わせて小声で。


光子

「……正直、泣きそうやった」


優子

「うちも。びっくりした分だけ、また頑張れるね」


ドアが閉まる直前、店内BGMにふたりの受賞曲が流れ出す。

「ただいま」と「おめでとう」が重なった一日が、夕焼けに溶けていった。





「ただいま、博多。」— 受賞凱旋セレモニー



― 3人の更生者と、光子・優子の奇跡の再会 ―


会場に流れるブラスのファンファーレ。

市役所前の特設ステージには「おかえり!博多の笑顔・光子&優子」の横断幕。

光子と優子が並んで立つ前に、司会者の声が響く。


「ここで、特別ゲストの方々から花束の贈呈です。

光子さん、優子さんをずっと支え、人生を変えられた三人です。

健太さん、翔太さん、そして川原翔太さん、どうぞ!」


ざわめき。

拍手の中、ステージの後方からゆっくり現れた三人。



健太


最初にマイクを持ったのは健太。

工事現場帰りの姿に、少し泥がついた作業服。

だが、その顔には誇りの笑みがあった。


「うちらが道外れかけた時、“笑って生きてみらんね”って言うたやろ?

あの言葉、ほんとに効いたっちゃん。

今、俺は現場の班長になって、後輩に“安全第一、腹筋第二”って言いよる!」


(会場爆笑)


光子が吹き出しながら涙をぬぐう。

優子は笑いながら「それ、うちらの合言葉やん!」とツッコミ。



川原翔太


次に一歩前に出たのは、かつて組織のトップにいた男――川原翔太。

以前の荒れた風貌はもうない。

スーツ姿に、胸ポケットのバッジが光る。


「……俺な、あの頃は、力でしか人を動かせんと思っとった。

けどな、あの双子が俺に言いよったんよ。

“怖がらせるより、笑わせるほうがかっこいい”って。」


会場の空気が静まり返る。


「笑われることを怖がるなって。あれが効いた。

今は更生プログラムの講師として、

元の仲間たちに“笑って働け”って伝えよる。」


優子

「翔太さん、うちらより説得力あるやん!」

光子

「ね!講師デビューおめでとう!」


観客の拍手が続く。



翔太(元・夜の公園で出会った青年)


最後にマイクを握った翔太。

あの夜、闇に沈みかけていた面影はもうない。

穏やかで、どこか照れた笑顔を浮かべている。


「……あの時、俺は死のうと思っとった。

でも、光子と優子が“死ぬな”って泣いてくれた。

それが俺の生き直しの始まりやった。」


光子

「翔太……ほんとに、よかった。」


翔太

「今は、あの頃の俺みたいな若い子たちに、

“生きる側に戻ろう”って声かける仕事しとる。

お前らが教えてくれた笑いと優しさ、俺も届けたいんよ。」


そして3人が同時に花束を差し出す。

それは白とピンクのカーネーションのブーケ。



感謝の言葉と笑いの嵐


優子

「もう泣かせるやん……うちら、化粧落ちるっちゃ!」


光子

「でも、こうしてまた笑って会えたのが、一番のプレゼントやけん。」


健太

「またみんなで飲みに行こうや。ノンアル限定でな!」


川原翔太

「いや、ノンアルじゃ語れんばい。焼酎一杯だけな!」


翔太

「それでみっちゃんがまた寝落ちする未来しか見えん!」


(会場爆笑)



エンディング


ステージのスクリーンには、過去の映像。

夜の公園で光子と優子が泣きながら翔太を止めたシーン。

そして現在――同じ場所で、三人の男が地域活動をしている姿。


司会者の声が重なる。

「この出会いが、命を救い、未来を変えました。

“笑い”は人をつなぎ、“音楽”は心を解き放つ。

この日、博多はまさに——奇跡の街になったのです。」



SNSでは


「涙と笑いの同居、これぞ博多流」

「あの翔太が…ここまで変わるとは」

「光子&優子、笑いで人を救う本物の天使」


とトレンド入り。


三人の男たちは、ステージの下で深く頭を下げた。

光子と優子もそれに倣い、両手で胸を押さえた。


そして、四人同時に言った。


「――笑って、生きようや。」





博多の約束、叶う夜


屋台の赤ちょうちんが、川面にふわっと揺れとう。

のれんをくぐると、焼き台の煙と、ごま油の香りがふわっとまとわりついた。


「おっちゃん、覚えとう?“大人になったら一緒に飲もう”って約束。今日、叶えに来たばい。」

光子がニッと笑えば、優子も隣で指をちょんと立てる。

「うちら、ほんのちょびっとしか飲めんけど…乾杯はしたかと!」


「よー来たねぇ。約束は約束やけん。今日は一杯だけやぞ?」

屋台のおっちゃんが、薄めの水割りで芋焼酎を二つ。翔太、健太にも同じく二つ。


「かんぱーい!」

四つのコップが、コトン、と小さく鳴った。


一口め——。

光子「……っはぁぁぁ……効くねぇ……(耳まで真っ赤)」

優子「うち、ほっぺタレパンダみたいになっとらん?(とろ〜ん)」


翔太が笑う。

「相変わらず可愛い酔い方やなぁ。こりゃ守る側が増えるっちゃね。」

健太「ほら、つくね食べりぃ。胃に入れとかんと回るばい。」


おっちゃんが気を利かせて、出汁でのばした味噌おでんを差し出す。

「熱かけん、ふーふーして食べんと舌ヤケドするばい。」


——二口め。

光子「おっちゃん、これ“水やろ?”……って、焼酎やん!(ふらっ)」

優子「おっちゃーん……この氷、恋のトラップ仕掛けとる……(とろ〜ん)」


翔太「もうストップサイン出とうぞ?」

健太「おい店主、彼女らは伝家の“ちょび飲み”やけん、二杯目は見んふりしてウーロン出しとって。」


おっちゃんがにやり。

「了解たい。二杯目、“特製ウーロンハイ(中身ウーロン)”で。」


光子、コップをのぞき込み、子猫みたいに瞬き。

「おっちゃーん……やさしかねぇ……すき……(語彙力消滅)」

優子、箸を持ったままコクリ。

「わたし……世界の平和……守る……(限界とろ〜ん)」


そこへスマホが震える。

「父ちゃん到着したばい、駅前の角。」と優馬。

おっちゃんが暖簾の外を指さす。

「呼んどった通り、迎え来とうばい。」


勘定を済ませ、みんなで外へ。

博多の夜風が、頬に気持ちよか。


光子、ふらり。

「おちょーちゃん(=おっちゃん)、あーりがとぉ〜……約束、かなったねぇ……」

優子、手を振りながら、語尾が全部とける。

「おっちゃーん……かえるぬぇ〜……また来るけーん……(ぱたぱた)」


翔太と健太が両脇でそっと支える。

「はいはい、お姫様搬送な。段差、気ぃつけて。」

「父ちゃん、すんません。夢の“一杯”は達成しましたけん、後は任せます。」


車のドアが閉まる直前、光子がむくり。

「おとーさん……だいすき……(即寝)」

優子も小さくピース。

「M&Y……本日しゅーりょー……(すや)」


運転席の優馬が、バックミラー越しに目を細める。

「よか夜やったな。約束守れてよかったな。」


屋台の赤ちょうちんが、遠ざかる窓に小さく揺れた。

笑いながら生き直した大人たちと、約束を叶えた娘たち。

博多の夜は、やさしく、あったかく、少しだけ酔うて更けていった。





博多の帰省ギャグ劇場


〜お姉ちゃん、酔いどれ帰宅大騒動〜


玄関のドアが開いた瞬間——


春介「お姉ちゃーん!!」

春海「お姉ちゃーん、かえってきたの〜!」


光子「しゅんしゅけ〜、はりゅみ〜……ただいまべぇ〜♡」

優子「おりゃぁただいまの“ちゅ〜”攻撃やぁ〜〜!」


——そして本当にほっぺにチュッ。


春介「うわぁぁ、アルコールのかおりするぅ〜!」

春海「お姉ちゃん……なんかポカポカしとる〜(笑)」


美鈴キッチンから

「うわっ、あんたら顔まっかっかやん!お風呂入る前に酔い覚まさんね!」


優馬(新聞読みながら)

「お〜お〜、約束の“一杯だけ”が、二杯コースになった結果やな。」


光子「……ばれた?」

優子「……うち、ほっぺタレパンダ。」


春介と春海、爆笑。

春介「タレパンダって久しぶりに聞いたわ!今度学校で使お〜」

春海「お姉ちゃん、今“おもしろ生物図鑑”に登録〜」


光子「よーし、登録したなら反撃いくばい!」

(突然、酔いどれスローモーションダンスを始める)


優子「お姉ちゃん!それ“ナマケモノin博多”の動きやろ!」

光子「ちがうと!“二杯目の奇跡”やっちゃ!」


——居間、大爆笑。


美鈴「もうやめんね、床で寝る前に風呂入りんしゃい!」

優馬「ほら、風呂で寝たらまた“溺れるパンダ事件”になるぞ!」


春介「その話、動画に撮ってええ?」

光子&優子「だめぇぇぇぇぇ!!」


春海「じゃあ絵日記に書く〜。“酔っ払い姉ちゃんとタレパンダの夜”♡」


(全員腹筋崩壊)


——翌朝。

双子、布団の中で同時に呻く。


光子「……うち、なんか昨日やらかした気がする。」

優子「……うちも。タレパンダって叫んだ記憶が。」


リビングのテーブルには、春介と春海が描いた

【昨夜のドタバタ劇絵日記】が置かれていた。


タイトル:


“お姉ちゃん酔って帰ってきたけん、家がコント番組になりました”


二人は顔を見合わせ、同時にため息。

「……やっぱ、うちらの人生、常にバラエティ番組やね。」


——その日の夜、博多南小爆笑通信特別編:酔っ払い姉ちゃんスペシャルが配信されるのは言うまでもなかった。






「タレパンダ日記」波乱の翌朝


朝、リビングのテーブルの上。

春介がタブレット片手にニヤニヤ。

春海はすでに腹を抱えて転げていた。



春介「お姉ちゃん〜、これ昨日の動画!めっちゃ面白かったけん!」

(タブレットに映るのは、ほっぺ真っ赤の光子が“タレパンダダンス”を踊る映像)


優子「うわぁぁ!撮っとったん!?削除!削除ぉぉ!!」

春海「だめ〜!学校のみんなが見たいって言いよるもん〜!」


光子「えっ!?ちょ、ま、まさか学校に話したん!?」

春介「うん、日記に書いたらね……先生が腹筋つって、授業ストップした!」


優子「えぇぇ!?先生が!?何書いたと!?」

春介「“お姉ちゃん、酔って帰ってきて、タレパンダみたいに踊って寝ました”」

春海「“お姉ちゃんは、笑いの神様です”って書いた〜!」


美鈴(台所から)

「もう、あんたたち……身内でネタ回しすぎやろ!」


優馬(新聞見ながら笑いをこらえきれず)

「先生、腹筋攣る授業とか前代未聞やな……全国ニュースなりそうやぞ。」


光子、顔を真っ赤にしてうずくまる。

「うちら……どこ行ってもバラエティ番組になるんやね……」


優子、苦笑しながら春介の頭をくしゃくしゃ。

「次の“爆笑通信”のネタ、決まりやね……“タレパンダ姉妹の逆襲”!」


春介「わーい!タイトル決定〜!」

春海「エンディングは“お姉ちゃん、しゅんしゅけと一緒に寝落ち”やね!」


光子&優子「それは絶対やめてぇぇぇ!!」


——そして次の「爆笑通信」配信タイトルは

“タレパンダ姉妹、再び!”


コメント欄には


「先生腹筋攣るのわかるわ」

「あの家、ほんとに発電所レベル」

「M&Y=マジで酔ってた」


と爆笑の嵐が吹き荒れたのであった。





「マディソンとタレパンダ」


~栄光と爆笑が同居する家~


美鈴(腕組みして呆れ顔)

「……あんたら2人、マディソンスクエアで立派な賞をもろうた人間とは思えんばい。昨日のタレパンダ、完全に別人やろ。」


光子(胸張って)

「マディソンでは“芸術の神”やけど、家では“ギャグの神”です!」

優子(ドヤ顔で)

「うちら、デュアルモードで動いとるけん!」


春介(真顔で)

「その“デュアルモード”って、スイッチどこにあると?」

優子「ここ(おでこトントン)!」

光子「うちはこっち(お尻トントン)!」


春海「おしり!?スイッチ変なとこにある〜!」

光子「非常用電源やけん!」

美鈴「非常時しか押さんでよ、絶対!!」


優馬(爆笑しながら)

「よっしゃ、ほんなら“非常用モード”入った状態で、マディソンの再現してみぃ!」


光子(立ち上がり)

「Ladies and gentlemen, welcome to—タレパンダ・スクエア・ガーデン!」

優子(横で通訳風に)

「本日は、皆さま、酔っ払い記念公演へようこそ〜!」


春介「わはは!それ、翻訳ミスやろ!」

春海「タレパンダガーデンてなに〜!」


光子(急に真剣な表情で)

「――I dedicate this laugh to everyone who ever fell asleep on a train!」

優子「(通訳)すべての寝過ごした人々に、この笑いを捧げます!」


美鈴「ちょ、やめんね!!世界に向けて変なメッセージ飛ばさんで!」

優馬(吹き出しながら)

「マディソンで拍手喝采、博多で爆笑喝采……どっちも取るとか最強やなぁ!」


光子・優子(同時に)

「芸術は笑いだーーっ!!!」


(リビング中に響く掛け声とともに、全員腹筋崩壊)


春介「……もう家がコンサートホールじゃなくて、お笑いホールやん!」

春海「うち、ここに“博多南お笑い大学”作りたい〜!」


美鈴(ため息交じりに笑いながら)

「はぁ……この家、いつも誇らしくて、いつも騒がしかねぇ。」


——そして今日も、小倉家の夜は「芸術と爆笑のハーモニー」で更けていくのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ