インタビュー:笑いと音で「ただいま」をつくる——光子&優子、舞台袖から最前列まで
インタビュー:笑いと音で「ただいま」をつくる——光子&優子、舞台袖から最前列まで
(大きな拍手がゆっくり波のように引き、ステージ脇に用意されたインタビュー・スペースへ。スポットが柔らかく降りる。息の上がりを整えながらも、二人の目はキラキラしている)
司会(MC):「圧巻のステージでした! まずは今のお気持ちからお聞かせください。」
光子:「いま、“音がまだ胸で鳴ってる”感じです。ホール全体の呼吸が合って、最後の和音がほどけた瞬間、あ、帰ってきた——って。」
優子:「うちら、演奏がうまくいった時は“ただいま主題”がちゃんと家に帰り着いた、って言うっちゃけど、今日は世界中の画面の向こうまで無事に帰れた気がします。」
MC:「“ただいま主題”、今日も何度か姿を変えて現れました。作曲の意図をもう少し詳しく。」
光子:「最初は“寝過ごし組曲”の動機(笑)から始まったんです。列車のリズム、目覚ましベル、慌てる心拍——コミカルな素材を並べつつ、最後は“帰り着く”。笑いを足場に、安心に着地する音楽を作りたかった。」
優子:「笑うときって人は息を吐くでしょ? だから“笑休符”を譜面上にも書いたんです。Agitato ma respira——焦れても息をして、って。今日、ちゃんと客席と画面の向こうで呼吸が揃ったのが嬉しかったです。」
MC:「タンバリンの“ニヤリ合図”、会場がどっと沸きました。」
優子:「あれ、練習で一番まじめに作戦会議したとこです(笑)。“ここで目で笑う、でも音は決める”って。」
光子:「笑いのタイミングって、落語の“間”に近い。音符の長さじゃなくて“期待の時間”で決まるから、打楽器の“合図”は作曲以上に編成会議でした。」
MC:「お二人は“爆笑発電所”とも呼ばれますが、今日のプログラムにはシリアスな瞬間もありました。笑いと祈り、その境目は?」
光子:「境目は“尊敬”だと思ってます。笑いは相手の尊厳を踏まえたうえで初めて響く。だから戦争やトラウマに触れる場面は、必ず“祈りの和音”を先に置くんです。笑いはそのあと、“また息をしていいよ”って合図として。」
優子:「ウクライナの友人ソフィーアや、各地の施設のみんなの顔が浮かぶ時は、音を細くする。“寄り添うピアニッシモ”。で、帰り道に必ず一本ジョークを置く。泣きっぱなしや怖いままは、家じゃないけん。」
MC:「今日の同時配信、ニュージーランド、カナダ、ウクライナ、そして“みらいのたね”。画面の向こうの子どもたちに、どんなメッセージを?」
優子:「“笑っても大丈夫”。それと“助けてって言って大丈夫”。うちらも何度も誰かに助けてもらって、ここまで来たけん。」
光子:「それから、“あなたの物語を音にしていい”。上手い下手より、“生きてる音”が一番強いよ、って。」
MC:「お二人の演奏は“観察眼の音楽”とも評されます。日常の拾い方、作曲への落とし込み方を。」
光子:「まず“耳より先に目で聴く”。例えば自販機の下のクローバー、電線のスズメ夫妻(笑)、ホームの発車ベル。動き・呼吸・表情を“リズム語彙”に翻訳します。」
優子:「それを“ボケとツッコミ”に配役。ボケ=期待、ツッコミ=解決。和声に当てると、ボケは不協和でもいい、ツッコミは“帰る”コードに落とす。これ、野球解説でも同じで、フルカウントの“間”がボケ、インロー決め切るのがツッコミ。」
MC:「制作中、姉妹ゲンカは?」
優子:「ありますあります(笑)。だいたい私が“もっと攻めた和音で”って言って、光子が“それ、帰れんくなるやろ”って止める。」
光子:「最終的には“帰り道が見えるなら攻めてよし”。地図のない冒険はしない、がルールです。」
MC:「ご家族の存在も今日の音にありました。福岡の話になると表情が柔らかい。」
光子:「うん。あの家が“ただいま主題”の原典です。お父さんの破天荒なギャグ(笑)、お母さんのあったかいスープ、お姉ちゃん美香の強さと優しさ、アキラ兄ちゃんの背中、しゅんすけ・はるみの無邪気。全部、音に混ざってます。」
優子:「“笑ってごはんがおいしくなる音”。それをいつも福岡で教わっとる。」
MC:「同時に、社会的なテーマにも踏み込みます。怖さはありませんか?」
優子:「怖いです。けど、怖いからこそ“笑いの灯り”を消したくない。真っ暗の中で“ここだよ”って手を振るのが、うちらの役目と思っとるけん。」
光子:「笑いは逃避じゃなくて“呼吸”。息ができたら、また歩ける。だから舞台では、泣きの直後に必ず“息継ぎ”のギャグを置く。今日もそこは守りました。」
MC:「技術的な話も。今日の編成、“笑休符”“ニヤリ合図”以外に工夫は?」
光子:「ストリングスのボウイングを“客席の肩の揺れ”に合わせました。弓の返し位置を客席の笑いのピークに寄せると、音が“うねり”を拾うんです。」
優子:「打楽器は“笑いの残響”を測る係。客席の笑いが0.7秒伸びたら、次のアタックを0.3秒遅らせて“一拍の遅刻”。それがさらにウケる(笑)。」
MC:「ステージ裏の合言葉は?」
二人:「“焦れても息!”」
MC:「これからの目標を。」
優子:「“世界標準の腹筋注意”にすること(笑)。でもほんとは、どこでも“ここが家だ”と思ってもらえる音を持ち運ぶこと。」
光子:「もう一個。“笑いと祈りの両立”を譜面化したい。教育現場や医療現場でも使えるスコアにして、誰でも演奏できる形にします。」
MC:「最後に、画面の向こうで観ている子どもたちへ、一言ずつ。」
光子:「きょう、笑えてなくても大丈夫。音は待ってるし、私たちも待ってる。“ただいま”は何回言ってもいいからね。」
優子:「泣いても、怒っても、こわくても——そのままでいい。息をして、ちょっと笑えたら、それはもう立派な音楽。会いに行くけん、待っとって。」
(ふっと照明が緩み、最後に客席からもう一度、大きな拍手。袖に下がる直前、二人が小さくグータッチ)
光子(小声):「帰れたね。」
優子(小声):「うん、“ただいま”。」
審査発表――「焦れても息。帰る先は、笑顔。」
ステージが暗転し、客席のざわめきがすっと吸い込まれる。背後スクリーンに映る時計が「JUDGING」から「RESULTS」へ。司会が金色の封筒を掲げると、会場の空気が一段、きゅっと締まった。
MC:「それでは、審査結果を発表します。まずは特別賞から——」
スポットが客席を円を描くように滑り、名前が読み上げられるたび、拍手が小さな波紋を広げていく。
•作曲部門 審査員特別賞(Innovation)
「光子&優子《寝過ごし組曲—ただいま主題による笑休符と祈り》」
——“笑いの間”を楽理へと昇華し、観客の呼吸をスコア化した革新性を称えて。
客席がどっと沸く。優子が思わず両手で顔を覆い、光子が「落ち着け、息」と唇だけで合図。二人、軽く会釈して席に手を当てる。
MC:「続いて——オーディエンス・チョイス(配信投票)」
スクリーンに世界地図。ニュージーランド、カナダ、福岡、ウクライナから流れ込む投票バーが伸びる。
MC:「——光子&優子!」
立ち上がる二人にスタンディング・オベーション。リモートの各施設にも拍手の絵文字が降る。スクリーンの片隅で、ライアン、ソフィー、キャサリン、ソフィーアが笑顔で手を振っている。
MC:「それでは…グランプリの発表です。」
金の封筒が、ぴりり、と音を立てる。会場の鼓動が一つになる。優子の掌で“エア・スネア”が一瞬だけ震えたが、すぐに止む。光子が小さくうなずく。
MC:「2043-44Grand Prix at Madison Square Garden は……
——光子&優子《寝過ごし組曲—ただいま主題による笑休符と祈り》!」
爆発のような拍手。紙吹雪。二人は信じられないという顔で見つめ合い、次の瞬間、肩を抱いて跳ねた。花束を受け取り、ステージ中央へ。
光子(受賞スピーチ)
「ありがとうございます。“笑うこと”は逃げることじゃなく、“息を取り戻すこと”だと信じて、譜面に休符をたくさん書きました。世界中の画面の向こうで、一緒に息を合わせてくれたみなさん、ただいま。わたしたち、帰って来れました。」
優子(受賞スピーチ)
「祈りのピアニッシモのあとに、必ず一本だけジョークを置く——それがうちらの約束です。泣いたあとも笑っていいし、迷ったら立ち止まっていい。**焦れても息。**このトロフィーは、ニュージーランド、カナダ、福岡、ウクライナのみんなと、一緒に持つつもりです。ありがとう!」
袖からサプライズでYOSHIKIが登場。「君たちの“間”は音楽そのものだ」と短く言って二人の手を握る。会場、再び総立ち。
MC:「アンコールを——!」
二人は目配せして、組曲のエピローグを短く再演。客席の笑い声が“ラフレスト”に綺麗に収まり、最後の和音が天井に溶けて消える。
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舞台裏
袖に戻ると、ビデオ通話が一斉に鳴る。
ライアン「We’re proud of you!(誇りだ!)」
ソフィー「Your pauses breathe hope.(君たちの“間”は希望に息をさせる)」
キャサリン「Kids are giggling here!(こっちは子どもたちがクスクス)」
ソフィーア「Дякую. Ми разом дихаємо.(ありがとう。一緒に息をしてる)」
福岡のみらいのたねのラウンジでは、しゅんすけとはるみが画面の前で小さくガッツポーズ。
美香「おかえり。」
アキラ「ようやった。」
SNSは瞬時に雪崩れる。
•「クラシックでこんなに笑って、こんなに泣いたの初めて」
•「“焦れても息”——受験と仕事で忘れてた言葉、胸に刻んだ」
•「オーケストラと客席の呼吸が完全に同期。人間そのものが楽器だ…!」
ホールを出ると、冬のニューヨークの空気が頬を刺す。二人はマフラーを引き上げ、同時に深呼吸。
光子:「帰れたね。」
優子:「うん。次は、こっちから“おかえり”って言える場所を増やそう。」
ふたりはトロフィーの重みを半分ずつ持ち、足並みをそろえて歩き出した。外は冷たいのに、吐く息まで、少しだけ笑っているように見えた。
日本メディア総報道ダイジェスト――「爆笑で世界を束ねた休符」
速報テロップ/ニュース原稿(TV)
「ニューヨーク・マディソン・スクエア・ガーデンで開かれた国際音楽アワードで、福岡出身の双子アーティスト 光子&優子 がグランプリと観客賞のダブル受賞。『笑いの“間”を楽理化』した《寝過ごし組曲—ただいま主題による笑休符と祈り》が高く評価。日本人としては異例の快挙です。」
スタジオ解説ポイント
•「休符=呼吸」を観客と共有する演出設計
•クラシック×コメディの“融合”ではなく“同根”を描いた構造
•被災地・支援施設・ウクライナの子どもたちと同時配信で“共演”
見出し例(新聞・ネット)
•「双子が鳴らした“笑休符”、MSGを制す。」
•「クラシックに爆笑、しかし涙。光子&優子、世界を静かに一拍で繋ぐ」
•「福岡の“爆笑発電所”、音楽の都でダブル受賞」
•「『ただいま』で帰ってくる音楽――新機軸“ギャグ組曲”誕生」
共同会見ダイジェスト(日本語Q&A)
Q:受賞の決め手は?
光子「“笑い”は逃避じゃなく息の回復。その設計を譜面に落としたことやと思います。」
優子「泣きのピアニッシモの後に必ず1本ジョークを置く——それがうちらの約束です。」
Q:国際舞台で“ギャグ”を入れる勇気は?
光子「勇気というより必然。**人は笑う前に吸い、泣いた後に吐く。**呼吸が同じなら国境は薄くなる。」
優子「“休符”って世界共通語やけんね。」
Q:福岡の仲間や家族へ
優子「みんな、ただいま。受賞トロフィー、半分はそっちの食卓に置いとって。」
光子「しゅんすけ・はるみ、今夜の爆笑通信は“世界初のアンコール付き”で頼むばい。」
番組ラインナップ(当日~翌週)
•NHK『ニュース7』特集8分:演奏抜粋+“休符の設計図”を図解
•民放ワイドショー横断:スタジオ生中継でダブル受賞の裏側/美香・アキラ・みらいのたねコメント
•BSドキュ短編:MSGバックステージ/YOSHIKIコメント「“間”が音楽そのもの」
記事リード(長文特集・抜粋)
笑い声は、音楽にとって最も古い打楽器かもしれない。
マディソン・スクエア・ガーデンを制したのは、拍手でも歓声でもない。**一斉に揃った“息”**だった——。
•構成分析:主題“ただいま”→迷子動機→福岡モチーフ→祈りの休符→ジョークの解放
•社会的意義:支援施設・被災地・ウクライナへ同時配信=“観客”を“共演者”に変換
•次の一手:映画・アニメ音楽オファー殺到/平和公演サーキット再起動
インタビュー切り抜き(家族・関係者)
•美香「音が止まる瞬間に、人が寄り添う余白ができる。二人は余白の作り手です。」
•アキラ「譜面に“笑い”を書き込んだのが革命。記号じゃなく空気で伝えてきた。」
•みらいのたね代表「“ただいま”は保護された子の合言葉でもある。世界が迎え入れてくれた。」
SNS・配信の反響ハイライト
•「#寝過ごし組曲 が世界トレンド入り」「#焦れても息 が座右の銘に」
•切り抜き動画:観客の笑い→静寂→全員で同じタイミングで息を吸う瞬間がバズ
•配信同接は過去回比で記録更新(※正確な数字は公式発表待ちの言い回しで)
編集後記的ワンカット(ニュース終盤のナレーション)
彼女たちの音楽は、音を鳴らすことより、止め方がうまい。
だからこそ、人はそこに言葉を置ける。
次の一拍、あなたは誰に「ただいま」を言いますか。
——国内メディアは“快挙”の二文字で終わらせず、呼吸を取り戻す芸術として、二人の歩みを長期企画で追う流れに。次は帰国後の会見と、福岡での凱旋ミニライブ特番へ。
特集:13年前の“奇跡の8歳”──
本名で挑んだ双子のM-1優勝から世界へ(2043年)
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■ 2030年12月・M-1グランプリ決勝
当時わずか8歳・小学2年生。
コンビ名もなく、エントリーシートには**「小倉光子」「小倉優子」**の名前が並んでいた。
舞台袖では、誰もが「特別参加の子ども枠だろう」と思っていた。
だが、本番開始から数秒で、空気が変わる。
優子「ねぇ光ちゃん、先生のカレーだけルー多くない?」
光子「それが世の中のしくみっちゃ!」
ドッと笑いが起きる。
だがその直後、完璧な“間”。
8歳とは思えぬ構成と呼吸、まるで熟練の職人芸。
松本人志が審査席で笑いながら呟く。
「この双子、間が天才的やな。笑いを“楽譜”でやっとる。」
結果は、史上最年少・本名での優勝。
漫才師の卵でも、芸人志望でもなかった。
ただ、「みんなを笑わせたい」という純粋な想いだけだった。
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■ 担任の証言:
当時の福岡市博多南小学校の担任・佐伯先生はこう語る。
「学校でも、発表会になると台本を自分で書いて、友達を巻き込んでコントを作ってました。
でも“ふざけてる”んじゃなくて、空気を明るくする力があった。」
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■ 審査員のコメント(当時)
中川家・剛:「あれはもう笑いというより“音楽”やったね。間の取り方が完全に拍子で来る。」
上沼恵美子:「かわいいだけやない。社会風刺まであるのよ!8歳で!」
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■ 優勝後の一言
インタビューで、光子がマイクを握って言った。
「うちら、笑ってる時が、いっちゃん幸せっちゃ。」
その言葉が、後に彼女たちのすべての活動理念となる。
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■ 2031〜2033年:テレビ出演と社会現象
NHK教育「笑って学ぼう!」に姉・美香の推薦で出演。
本名のまま活動し、「おならブー交響曲」「ランドセル・シンフォニー」など教育と笑いを融合した名曲を生む。
光子がベースを、優子がリズムを刻み、音楽の基礎を“笑い”で体得していった。
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■ 2035年(中学生):音と笑いの融合
漫才から音楽へ──。
彼女たちは新しい表現に挑戦する。
光子「ツッコミってドラムの代わりやけん。」
優子「ボケはメロディーやけん、外しすぎたら不協和音になるんよ。」
この発想が、後の《寝過ごし組曲》《焦れても息》へとつながる。
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■ 2040年(高校卒業):「笑いの答辞」
福岡高校卒業式では、答辞の代わりに漫才を披露。
最後に全校で合唱「ただいま」。
教師も生徒も涙を流しながら笑った。
「彼女たちは“笑いの哲学”を教えてくれた。」(校長談)
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■ 2043年:マディソンスクエアガーデンへ
8歳でM-1を制した双子が、21歳で世界の頂へ。
“笑いと音楽の融合”をテーマにした《寝過ごし組曲》で、世界的音楽賞を受賞。
「うちら、笑いながら音を出すけん。
だから、音がいつも幸せそうに響くとよ。」
観客総立ち。
YOSHIKIが審査員として涙を拭きながら語った。
「クラシックに“笑い”を持ち込んだのは、彼女たちが初めてだ。」
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■ SNSの反応(2043年)
「13年前の本名で出てた子たちが、世界のマディソンに立つとか泣ける。」
「“光と優しさ”でM-1を制し、“音と笑い”で世界を制した。」
「芸名いらんかった理由がわかった。本名そのものがブランド。」
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■ 記者後記
彼女たちは、笑いも音楽も“変換”ではなく“翻訳”している。
笑い=希望。音=共鳴。
そして二人の本名は、いまや日本が誇る“幸福の代名詞”となった。
プロジェクトX ― 挑戦者たち
「笑いを“楽譜”にした三姉妹 ― トリプルピーチ★、8歳M-1から世界へ」
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オープニング
ナレーション(田口トモロヲ)
「2030年冬。笑いの最高峰M-1グランプリに、名もなき小学生が立った。
本名で挑んだ、姉妹の漫才師。
だが――その原点は、音楽にあった。」
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第1章 「幼稚園から始まった音の旅路」
映像:幼稚園の舞台で歌う三姉妹。舞台袖でピアノを弾く10歳上の姉・美香。
ナレーション
「小倉家の三姉妹。長女・美香。
そして末っ子の双子、光子と優子。
音楽ユニット“トリプルピーチ★”――。
3人が奏でるのは、笑いと音楽のハーモニー。」
インタビュー:美鈴(母)
「テレビにも出てましたよ。まだ光ちゃんも優ちゃんも幼稚園でね。
美香がピアノ弾いて、ふたりが踊って歌う。
“おならブー交響曲”の原型は、あのときの即興でした。」
当時の映像(2030年以前のVTR)
・NHK教育「みんなのうた」特番出演シーン
・地方テレビ『福岡スマイルフェスタ』での演奏映像
・光子「どんぐりころころ・ジャズver.」
・優子「カレーのうた・ロックver.」
ナレーション
「“音楽で笑わせる”――その感性は、幼いころからすでに芽吹いていた。」
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第2章 「8歳、本名で立ったM-1決勝」
(※ここから前章と接続)
再び2030年冬。
映像:ランドセルを背負い舞台に立つ二人。
ナレーション
「双子の漫才。
ボケとツッコミは、呼吸と同じ。
舞台袖では、美香が、妹たちの出番を固唾をのんで見守っていた。」
美香インタビュー
「“姉ちゃん、ピアノみたいにツッコミしたらええよ”って言ったら、
ほんとにリズムで笑い取っててびっくりしました。」
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第3章 「音と笑いの交差点」
映像:トリプルピーチ★としてのライブ映像、音大の学園祭。
ナレーション
「音を合わせるように、笑いを合わせる。
それが、小倉三姉妹の原点。」
教授インタビュー
「彼女たちは“音楽を笑わせる”ことができる。
それは、芸術の中でも極めて希少な才能です。」
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第4章 「世界の檜舞台へ」
映像:ニューヨーク・マディソンスクエアガーデン。
演奏曲:《寝過ごし組曲》〜宗像発久留米行〜
ナレーション
「笑いを“楽譜”に変えた三姉妹。
クラシック界に笑いをもたらした革命児たちは、
いま、世界中を笑顔にしている。」
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終章 「笑顔の音を、絶やさない」
美香の言葉
「昔、笑えなかった時期がありました。
でも、妹たちが“笑って生きよう”って言ってくれて。
音楽は、3人を家族としても、救ってくれたんです。」
光子
「音は消えても、笑いは残るけんね。」
優子
「うちらの音楽は、笑顔が主旋律っちゃ。」
ナレーション(締め)
「幼稚園の舞台で始まった小さな音。
それはやがて、世界を包むハーモニーになった。
――“笑いを楽譜にした三姉妹”。
その音は、いまも、希望を奏でている。」
(BGM:ピアノ+弦の静かな余韻、テーマ終止)
五つめの桃が実る日」
横断歩道の青が点滅を始めた瞬間だった。
甲高いクラクション。焼けつくタイヤの匂い。世界が斜めに傾き、光子の視界が白く弾ける。肩を強く打った感覚ののち、耳鳴りだけが残った。
「――みっちゃん!」
優子の叫びが、遠く、やけに細い糸みたいに聞こえた。
病院の天井は、やわらかいクリーム色だった。包帯で固められた左腕、脇腹の鈍い痛み、点滴のポタリという一定のリズム。カーテンの向こうからは母・美鈴の押し殺した鼻をすする音。父・優馬の「大丈夫、大丈夫やけん」という、いつもより低い声。
検査、手術、リハビリ。
時間は、氷の上を引きずられる荷車みたいに遅かった。それでも、毎日ベッド脇に置かれる小さなメモ――美香が書く「今日の指ならし」。鍵盤の絵に番号がふってあって、指をそっと動かすだけのリハビリ。
「音は出さんでよか。動かす“気持ち”だけで、筋肉は思い出すけん」
美香の笑顔は、痛みを一瞬忘れさせた。
加害者は、信号無視。
事故後の警察・検察の手続き、被害者参加制度の説明、短い証言。
光子は、震える声でそれをやり切った。壇上に立つ前、美鈴が耳元で囁いた言葉だけを握りしめて――「事実を、落ち着いて、順番に。それだけで十分」。
数週間後。担当の保護司を通じて、思いがけない事実を聞かされる。
――加害者の家には、まだ中学生の兄妹がいる。父親が拘束され、母は体調を崩して働けず、生活は一気に崩れた、と。
その夜、食卓に箸の触れ合う音だけが続いた。
先に口を開いたのは、優子だった。
「お父さん……うち、あの兄妹のこと、聞いてしもうた。うちら、どうしたらよかろう?」
優馬は、ふう、と長い息を吐いた。
「“許す”とか“許さん”とか、急いで決めんでよか。まずは、守るべきはうちらの心と体や。けどな……『何ができるか』を考えるのは、人として、間違いやない」
翌週、児童相談所の面談室。
机を挟んで座る兄妹――兄はやせぎすで、視線を落としたまま。妹は、袖口を握りしめて離さない。
光子は、胸の奥のざらつきを飲み込んで、口を開いた。
「……うちら、事故で痛かったし、怖かった。けど、それと、あなたたちが今、困っとることは……別の話やと思う」
優子が続ける。
「学校、行けとる? 好きなこと、なんかある?」
しばらくの沈黙のあと、兄が小さく答えた。
「……ギター、弾いてみたい。中古屋の前で、ずっと眺めてて……」
妹が、ためらいがちに言葉を継ぐ。
「わたし、ピアノの音がすき。鍵盤、さわったことはないけど」
その帰り道。
光子と優子は顔を見合わせ、そしてうなずいた。
「お父さん。条件、つけてもいい? “安全第一”“学業最優先”“うちの家は境界線を守る”――それが守れるなら、練習、うちで一緒にやってもいい?」
優馬は、目尻に皺を寄せて笑った。
「ええやろう。大人の窓口(福祉・学校・警察)とは、父ちゃん母ちゃんが握る。お前たちは音楽のことだけでよか。怖くなったり、嫌やったら、いつでもやめてええ。線引きは、うちらが一緒にやる」
それからの日々は、音と境界線のレッスンだった。
安物のギターでも、丁寧に磨けば鳴りは変わること。
中古の電子キーボードでも、最初のドの場所さえ覚えれば、音楽は始まること。
そして、「家族」と「支援」を混ぜないこと。泊めない。金は渡さない。練習は夕方まで。帰路は大人が送る――ルールを紙にして、全員で壁に貼った。
季節がひとつ進んだころ。
兄妹は、もう「俯いていた子ども」ではなかった。
兄はストロークに体重を預ける方法を覚え、妹は和音の指のかたちが自然に作れるようになった。
光子のベースが支え、優子のドラムが脈を打つ。美香のピアノが色を添える。
四人で合わせると、部屋の空気が、少しだけ明るくなった。
「名前、どうする?」
誰かがぽつりとこぼす。
「『トリプルピーチ★』に、ふたつ増えて、五つ……」
美香が笑って指を折った。
「“ファイブピーチ★”、やね」
声に出してみる。
――すこし甘くて、ちゃんと頼もしい、音の名前。
最初のステージは、小さな地域ホール。
光子は深呼吸を三つ数え、優子はスティックを軽く回してから膝に置く。
袖で、兄はピックを握りしめ、妹は鍵盤のドの位置を何度も確かめている。
開演ベル。客席のざわめき。照明が落ちる。
「こんばんは。ファイブピーチ★です」
光子の声は、驚くほど落ち着いていた。
優子がカウントを叩く。ワン、ツー、スリー、フォー――。
最初に鳴ったのは、ギターの少し拙いAメジャー。続いて、鍵盤のアルペジオが重なる。
美香のピアノが支え、ベースが床を揺らし、スネアが笑う。
やがて、客席のどこかで、小さな手拍子が生まれ、それが波紋のように広がった。
曲の終わり、最後のシンコペーションがぴたりと決まる。
拍手。歓声。泣いている人がいた。笑っている人がいた。
袖に戻った兄妹は、頬を真っ赤にしていた。
「……できた。やれた。――ありがとう」
光子はうなずいて、そっと拳を掲げた。
「次は、もっとええ音、出そう」
痛みは、消えない。
許しは、急がない。
でも、前に進むための“選択”は、もう、ここにある――。
五つめの桃が実った日、ファイブピーチ★は、音で生きると決めた。
プロジェクトX—挑戦者たち—
後編 五つの桃、世界へ ~笑いと音で未来を照らせ~
【テロップ】
二〇四三年 東京
【ナレーション】
幼い日の痛みを越え、彼女たちは“音”と“笑い”を携えた。
ファイブピーチ★――その歩みは、ここから世界へと舵を切る。
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第七章 「笑いは電流、音は心拍」—爆笑発電所の確立
【スタジオ回想・証言:制作プロデューサー】
「初見で腹筋やられて、でも分析すると構成が恐ろしく精密。笑いも音楽も“拍”の取り方が同じなんです。」
【ナレーション】
ネタの起点は日常。パン屑、道ばたのたんぽぽ、電線のスズメ。
小さな観察が、緻密なリズムの上で“作品”に変わる。
二人は言う。「笑いは電流、音は心拍。どちらも人を生かす」。
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第八章 「境界線を守る支援」—優しさの設計
【テロップ】
児童支援・医療ライブ・被災地コンサート
【ナレーション】
手は差し伸べる。だが、境界線は崩さない。
泊めない、金銭を直接渡さない、夜間は持ち帰らない。
“優しさの設計図”が、活動を長く持続させた。
【証言:支援現場の担当者】
「善意は燃え尽きる。彼女たちは“仕組み”にして続けた。稀有です。」
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第九章 「マディソンに鳴る笑い」—ギャグ組曲、世界初演
【テロップ】
ニューヨーク マディソン・スクエア・ガーデン
【ナレーション】
寝過ごしから生まれた“ギャグ組曲”。
第一楽章「宗像発/快速睡魔」
第二楽章「博多スルー・変拍子」
第三楽章「久留米終着・替え玉アダージョ」。
会場はどよめき、演奏家は笑いを堪えつつ正確に刻む。
笑いの呼吸とクラシックの呼吸が、ひとつになった夜だった。
【証言:審査員の作曲家】
「ユーモアは軽さではない。“重さを軽やかに運ぶ技術”だと教えられた。」
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第十章 「家族というインフラ」—小倉家の背骨
【ナレーション】
土台は家族。
支える父・優馬、母・美鈴。
血を越えて抱き合う姉・美香と、その隣で笑うアキラ。
双子の春介・春海は、日常を“爆笑通信”に変換して、あらゆる疲れを溶かした。
【証言:舞台監督】
「本番前、家族のビデオ通話で皆の顔が緩む。あれが最高の“音合わせ”なんです。」
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第十一章 「リスクの中で歌う」—戦争の残響、復興の拍
【テロップ】
ウクライナ 復興支援ツアー同行記録
【ナレーション】
地雷のフェンスが外れても、恐れは消えない。
それでも彼女たちは病院で歌い、体育館で子どもたちと笑った。
拍手は小さく、しかし確かだった。
【証言:現地の合唱指導者】
「『悲しみの上に和音を置く』。それを初めて見た夜でした。」
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第十二章 「越境する二刀流」—芸と学、二本のレール
【ナレーション】
音大の課題はバロック作法。
舞台はプロ。
二刀流は体力勝負だが、彼女たちは食べ、眠り、鍛え、そして笑った。
講義の朝には“植物シリーズ”の即興コント、夜には重厚な対位法の課題提出。
相反するようで、根は同じ――リズム、呼吸、間。
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第十三章 「祝祭と約束」—婚約と未来図
【ナレーション】
人生の節目はステージの上で。
婚約の報告、家族の輪。
ファイブピーチ★は、音楽で“祝祭”を編み、笑いで“約束”を結ぶ。
【証言:ファン(母子)】
「笑っている時、うちの子の発作が減るんです。だから我が家では“爆笑発電所”に電気代を払いたいぐらい。」
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第十四章 「賞と称号のその先へ」—受賞はゴールではない
【テロップ】
国際音楽賞・舞台芸術賞・バラエティ大賞 受賞
【ナレーション】
勲章は胸を飾る。
だが、彼女たちが見たのは、ライトのさらに奥――暗がりの客席で、肩を震わせる誰か。
“あの一人”のために、明日も稽古場の扉を開ける。
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最終章 「五つの桃、未来へ」—継承する笑いと音
【ナレーション】
次の世代が育っている。
はなまるツインズ、春介・春海、穂乃果・水湊――。
笑いは連鎖し、音は受け渡される。
ギャグは日常の観察から、音楽は呼吸の共有から。
彼女たちが示したのは、“生き延びるための技術”だった。
【エンディング・語り】
痛みを消すことはできない。
けれど、痛みの上に和音を置くことはできる。
涙のあとに、ほんの少しだけ笑うことも、できる。
五つの桃は、今日も鳴っている――。
未来へ向けて。
(エンディングテーマ:ピアノの単音から、ベース、スネア、ギター、合唱が順に重なり、最後は観客の手拍子と子どもの笑い声でフェードアウト)
プロジェクトX—挑戦者たち—
五つの桃、世界へ ~笑いと音で未来を照らせ~(完全台本版)
シーン1:爆笑発電所の設計図(稽古場)
〈夜のリハーサル室。白いテープで床に立ち位置。譜面台、ベース、スネア、キーボード。壁には「観察=ネタ」「呼吸=リズム」のメモ〉
N:
日常の欠片を拾い、呼吸に合わせて並べる――彼女たちの笑いは、設計されている。
美香:
「テンポ84、二小節目でベースの“ニヤリ”休符、置いて。」
光子:
「了解。ここ“間”で客席が吸うて、次に吐くけん、うちらは一拍早めに投げる。」
優子(スティック回しながら):
「ツッコミは四分裏。“なんしよーと!”は小声で刺す。で、最後にドン。」
小春(鍵盤を軽く鳴らす):
「パン屑→スズメ→ツバメの流れ、調はG→Em→Cで明→陰→再生。OK?」
N:
笑いは電流。音は心拍。五つの心臓が、同じ拍で鼓動を始める。
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シーン2:マディソン・スクエア・ガーデン(本番)
〈満員の客席。オケピットに海外プレイヤー。舞台中央にM&Y。スクリーンに「組曲・寝過ごし」〉
N:
ニューヨーク。寝過ごしから生まれた“ギャグ組曲”が、世界のど真ん中で鳴る。
指揮者:
「Suite ‘Oversleep Express’、Mov.1…」
〈第一楽章:宗像発/快速睡魔〉
光子(MC):
「きょうは宗像駅から乗ります。目的地?……博多!」
優子(ドラムのリムで心音):
「トン…トン…(小声)“ねむっ…”」
〈観客にじわじわ笑い〉
〈第二楽章:博多スルー・変拍子〉
優子:
「おい!寝過ごしとるやん!」
光子(ベースで7/8を跳ねる):
「(肩すくめ)“リズムも車掌も、変拍子やった”」
〈管が思わず笑いを堪える。客席ドッと来る〉
〈第三楽章:久留米終着・替え玉アダージョ〉
小春(柔らかい和声):
「着いたのは久留米。ならば……替え玉。」
美香:
「塩梅、茹で加減、湯切りはレガートで。」
優子:
「(一拍置いて)“替え玉、替えツッコミ、替え現実。”」
〈最後、全員でピタリと止める。大拍手〉
司会(英):
「How did you write humor into classical form?」
光子(英):
「We don’t add jokes. We compose silence. Laughter blooms in the rests.」
優子(英):
「And rhythm is empathy. If you breathe with people, punchlines arrive together.」
N:
ユーモアは軽さではない。“重さを軽やかに運ぶ技術”だ。
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シーン3:家族というインフラ(本番直後の裏側)
〈舞台袖。モニタに日本の家族が並ぶビデオ通話。春介・春海・穂乃果・水湊が手を振る〉
春介:
「お姉ちゃん、すごかったね!きょうの“替え玉”は替え腹筋やったばい!」
春海:
「わたし、“博多スルー”より“ツッコミスルー”の人たち見つけた~。はい、整骨院~。」
(周囲、腹抱え)
優馬:
「よーやった。明日も食うて、寝て、笑え。」
美鈴:
「水分とってね。こっちはお雑煮仕込んどく。」
N:
本番前に整えるのは喉だけじゃない。家族の声が、心の調弦になる。
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シーン4:病院の昼、体育館の夜
〈小さな病院の病室。包帯の祖父母。ソフィーア通訳。M&Yはアカペラ〉
N:
戦争は終わっても、痛みは続く。フェンスが外れても、恐れは残る。
光子:
「♪カラミティの上に ひとつ和音を……」
優子(柔らかくハモる):
「♪呼吸を合わせたら 胸がひらく……」
ソフィーア祖父(小声):
「…ありがとう。」
ソフィーア祖母(涙を拭い、親指を立てる)
〈体育館。子どもたちの前で“植物シリーズ”の超短編コント〉
優子:
「(雑草役)『ここ、痛いけど生きとる!』」
光子:
「(太陽役)『おはよう、今日も笑っとこう』」
〈子ども達、くすっと笑う。次第に大きな笑い。拍手〉
N:
“悲しみの上に和音を置く”。それは、ここで確かに起きた。
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シーン5:解説席という舞台(東京ドーム・解説ブース)
〈実況、川崎宗則、M&Y。モニタに走塁リプレイ〉
実況:
「今日は“爆笑発電所”のお二人とお届けします。」
優子:
「いま一塁ランナー、二塁ベースの外側を半足ぶん回る“余白ダッシュ”。守備の視野を奪う“笑いの間”とおんなじです。」
光子:
「外スラ誘いの前に、胸元一球。『気持ち』を外へ連れていってから、球も外へ。」
川崎:
「うん、めっちゃ分かりやすい。笑ってるけど核心ついとる!」
〈回またぎのCM明け、こっそり寸劇〉
優子:
「(審判モノマネ)『セーフ!……って言いたか~!』」
光子:
「(捕手モノマネ)『じゃあ球、ストライクゾーンに投げて~』」
〈ブース内大笑い、でも内容は正確〉
N:
笑いで緩め、要点で締める。彼女たちの解説は、技術の翻訳だった。
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シーン6:成人の言葉(大学講堂・記者会見)
〈壇上にM&Y。落ち着いた装い。客席に報道各社〉
光子:
「“笑ってる時が、いちばん幸せ”。子どもの頃、何度も救われました。」
優子:
「だからわたしたちは、笑いと音で“隣にいる”人になります。
助けたいじゃなくて、隣で一緒に呼吸する。その先に、助かる瞬間があると信じています。」
記者A:
「お二人にとって“平和”とは?」
光子:
「ツッコミが“冗談”で終わる世界。誰も本気で殴らない世界。」
優子:
「夜、怖くて眠れない人が、ひと呼吸ぶん長く眠れる世界。」
記者B:
「今後の挑戦は?」
光子:
「“ギャグ組曲”の第二集。“駅弁スケルツォ”書きます。」
優子:
「“整骨院カプリチオ”。笑いすぎた翌日の筋肉に効くやつ。」
〈会場、どっと笑い、温かい拍手〉
N:
勲章は胸を飾る。彼女たちが見ているのは、その先――暗がりの客席で肩を震わせる、あの一人。
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エピローグ:継承
〈小さな公民館。春介・春海、穂乃果・水湊、はなまるツインズ。M&Yは後ろで手拍子〉
春介:
「(胸を張って)『悲しかった日は、笑いの練習日!』」
春海:
「『泣いたあとには、ちょっとだけウィンク~!』」
子ども達:
「「「きゃはは!」」」
光子(小声):
「未来、育っとるねぇ。」
優子(小声):
「うん。電気、ちゃんと繋がっとる。」
N:
五つの桃は今日も鳴っている。
笑いと音で、未来を照らすために。
(ピアノ→ベース→スネア→ギター→合唱→手拍子→子どもの笑い声でフェードアウト)
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付録:各シーンの“技術メモ”(舞台化・映像化向け)
•シーン1
•間の演出:照明を0.8秒ディミング→暗転直前で戻す。観客の“吸う呼吸”を作る。
•シーン2
•7/8→5/8→4/4の遷移で“寝過ごし感”。字幕に駅名をテンポ表示。
•シーン3
•モニタの遅延を0.3秒入れて“遠さ”を演出。家族の温音域(500Hz~2kHz)をわずかに強調。
•シーン4
•病室=高域ロールオフ(優しさ)。体育館=残響1.8秒(希望の尾)。
•シーン5
•解説は“例え話→技術根拠→短いオチ”の三段型。テロップは簡潔に。
•シーン6
•カメラ:ロング→ミドル→会場リアクション→クローズの4点回し。笑いの波を可視化。




