マジソンスクエアガーデン
マジソンスクエアガーデン行き決定の瞬間
音大の冬休み直前。
いつもの学生寮の談話室、ストーブの上でおでんがコトコト煮えている。
光子のスマホが鳴る。
件名:「【正式招待】Madison Square Garden — World Fusion Gala 2033」
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光子:「……え、マジソン、スクエア……?」
優子:「なんそれ?スクエアって、四角?公園?ゲーム?」
二人で首をかしげる。
すぐ後ろでココア飲んでたソフィーアが目を丸くして叫ぶ。
ソフィーア:「え、えぇぇぇぇぇ!? それ、アメリカのマジソンスクエアガーデンよ!? 世界のステージじゃないの!!」
(数秒の沈黙)
光子・優子:「えぇ〜〜!? マジで〜〜!? うっそぉ!? ドッキリじゃないよね!?」
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小雪:「それ、クラシック界のグラミー賞会場みたいなもんやで!」
早苗:「“ギャグ組曲”が世界デビュー!? ちょ、鳥肌立った!」
美香(リモート参加):「えっ、アメリカ進出!? うわぁ…泣きそう…!」
篠崎店長:「ファイブピーチ★、世界に爆笑を届ける時が来たか…」
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そして光子、興奮でテーブルの上に立ち上がる。
光子:「アメリカよっ!ホークスからメジャーリーグへ!爆笑輸出開始や〜っ!!」
優子:「替え玉は世界共通語にするけんね!」
全員大爆笑。
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その夜、「ニュースNEX」で速報テロップ。
『日本の双子音楽ユニット“ファイブピーチ★” 世界最大の音楽ホール・マジソンスクエアガーデンへ招待決定』
“ギャグ組曲”が国境を越えて話題に。
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SNSでもトレンド入り
#ファイブピーチ世界進出
#寝過ごしスリープエクスプレスUSAへ
#クラシック界の異才再び
希望のリスト ― 世界へつなぐ笑顔の輪
2043年9月初め。
残暑が残る東京の学生寮の午後、机の上に届いた分厚い封筒。
赤い封蝋には “Madison Square Garden / World Fusion Gala 2033” の文字。
光子と優子は封を開けて、しばし言葉を失う。
しばらくして――
光子:「これ……本物やね。夢のステージが、うちらを呼んでるっちゃん。」
優子:「あの“ギャグ組曲”が、世界に行くんやね。うち、いまだに信じられん。」
封筒の中には出演概要と、主催事務局の代表名が印字された書状。
“Your music brings smiles across borders.”
(あなたたちの音楽は、国境を越えて笑顔を届けています)
その一文を読んだ瞬間、光子はふっと顔を上げる。
光子:「ねぇ優子。ライアンの施設とか、ソフィーの施設、それにキャサリンの施設……」
優子:「ウクライナの子どもたちのことも?」
光子:「うん。あの子たちを、この公演に招待できんかなって思って。」
優子はすぐに頷いた。
優子:「うちら、あの子たちから“笑顔を信じる力”をもらったけんね。恩返ししたか。」
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光子はノートパソコンを開く。
「Madison Square Garden Gala事務局」宛てに、英文メールを打ち始める。
We wish to invite children from our international exchange centers —
those who inspired our music and laughter — to attend the concert as special guests.
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寮のラウンジでは、ソフィーアと小雪が見守っていた。
ソフィーア:「あの子たちが来れたら、本当に奇跡みたい。」
小雪:「笑いと音楽で、国がひとつになるやん。まるで“地球合唱団”やね。」
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次の日、大学の国際文化交流課へ相談に行く2人。
教授も感動しながら言う。
「いい企画だね。うちの大学としても、正式に支援申請を出そう。」
その後、大学経由でニューヨーク事務局と交渉が始まる。
滞在費の一部はスポンサー企業と、みらいのたね財団が協力する流れに。
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そして10月。
マジソンスクエアガーデン側から届いた返信メールにはこう記されていた。
“We welcome them with open arms.
The message of laughter and harmony belongs to everyone.”
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光子と優子は、画面を見つめながら微笑む。
光子:「うちらの音楽、ほんとに“みんな”で行けるんやね。」
優子:「うん。世界一大きな笑い声を、ニューヨークで響かせよう。」
希望の輪、商店街から世界へ —「寝過ごし組曲」が連れてきたニュース
朝のミライマート。いつものようにレジで「いらっしゃいませ〜」と声を合わせた瞬間、店内のBGMがふっと切り替わり、店内アナウンスが流れた。
「本日、当店アルバイトの光子さん・優子さんが、冬にニューヨークのマジソンスクエアガーデン出演決定—!」
「え、えぇぇ!?」
コーヒー片手の常連さん(40代)が奇声を上げ、パンコーナーの前で固まる。
「この前の“寝過ごし組曲”の人やろ? 久留米ラーメン第三楽章の!」
「そう、その人たち! しかも世界行き!」
レジ横は一瞬で拍手の渦。篠崎店長は胸を張って、誇らしげに親指を立てた。
水曜放課後、大学合唱部の練習室。
「先生(=光子・優子)、MSGってあのMSG?」
ひよりが譜面を抱えたまま目を丸くする。
「世界最大級の“体育館”……じゃなくて“殿堂”ね?」
優子がサラリとボケれば、部室がドッと沸く。
「で、例の“寝過ごし組曲”もやるかもって?」
「多分やる。世界で一番真面目にふざけるやつ」
光子が片目をつぶると、部員たちから「先生、世界で腹筋やりに行くんすね!」の声。
「違う違う、歌いに行くの!(でも腹筋も壊す)」
その夜。
SNSにアップした告知は瞬く間に拡散した。
「寝過ごして世界へ。物語として完璧」
「第三楽章“久留米ラーメン”が国境を越える日が来るとは…」
「MSGでギャグ組曲? 歴史、動くやん」
光子と優子は、寮の廊下でスマホを見つめて顔を見合わせる。
「…うちらの“乗り過ごし”が、ここまで行くとは…」
「正直いちばん驚いとるの、作った本人やね」
笑いながらも、胸の奥が熱い。たった一度の凡ミスが、誰かの笑顔になって、ついに誰かの希望になった。
大学の国際交流課からも連絡が入る。
「ライアン、ソフィー、キャサリンの施設、そしてウクライナの子どもたちの受け入れ、現地と調整が前進しています。支援枠、確保できそうですよ」
「やった…!」
拍手のあと、光子が小声で囁く。
「ニューヨーク、客席のどこかに“博多の寝過ごし”で繋がった笑顔が座っとるんよ。最高やね」
「うん。じゃ、準備、全力で。発声、英語MC、そして…“世界版・寝過ごし組曲”のオーケストレーション」
「あと、空港での“手荷物検査ギャグ”も追加しよ」
「そこは外せん!」
翌水曜。合唱部に臨時通達。
「課題曲は“寝過ごし組曲”合唱編、仮タイトル『Over-sleep, Over-sea』。腹筋、各自ストレッチしてから歌うこと!」
ひよりが手を挙げる。
「先生、世界デビュー前に商店街凱旋ミニライブやりましょう! ミライマート前で!」
「店長に聞いてみる?」
—即答でOK。商店街LINEは祝福スタンプで大渋滞になった。
そして週末。
ミライマート前の路上に小さなPA。
光子がカウントを取る。
「“乗り過ごして たどり着いたのは—Hope” いくよ!」
合唱部のハーモニーが風に乗る。
買い物袋をぶら下げた人々、通りかかった子どもたち、配達の自転車まで止まり、耳を傾ける。
最後の和音がほどけ、拍手がわき起こると、篠崎店長が目頭を押さえた。
「うちの店から、世界へ。こんな誇らしかこと、ある?」
光子と優子は深く一礼。
胸の中でそっと呟く。
——“寝過ごし”は失敗じゃなかった。
誰かを笑わせ、誰かの背中を押し、どこまでも連れていく、うちらの“はじまり”やった。
「審査員にYOSHIKI」—渡航前夜、世界とつながる
楽屋みたいに譜面とスーツケースが散らばる寮の一室。
スマホに一通の通知——審査員一覧のアップデート。
画面に躍る名前を見た瞬間、ふたりは同時に固まった。
「……ゆ、YOSHIKIさん、入っとる……!」
「まじガチの“世界戦”やん……腹筋じゃなくて今度は心臓がピキッてなるやつ!」
すぐさま英語レッスンの最終チェックへ。
発声ウォームアップ、英語MCの原稿、曲紹介の言い回し、審査員への所作。
光子はテンポよく英語のMCを読み上げ、優子は質疑応答の想定問答を切り返す。
発音の最終調整が済むと、ふたりで深呼吸。
「英語、仕上がっとる。あとは“腹の据わり”やね」
「うん。“笑い”も“音楽”も、腹で支えるっちゃん」
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国際ビデオ通話1:ニュージーランド・ライアン
画面にライアンと子どもたち。羊の鳴き声が遠くでして、相変わらずののどかさ。
Mitsuko(英): Hey Ryan! We’ve just got the final list—YOSHIKI will be one of the judges.
(日)「やっほー、ライアン! 最終の審査員リスト出たよ。YOSHIKIさんが入ってる!」
Ryan: No way! That’s huge! How are you two feeling?
「マジか! それはデカいね。調子はどう?」
Yuko(英): Nervous—in a good way. We’ll bring both music and laughter to New York.
(日)「いい意味で緊張しとる。音楽も笑いも、ニューヨークに持っていくけん」
Kids: Do the “oversleep song”!
子どもたち「“寝過ごしソング”やってー!」
ふたりはサビをワンフレーズだけアカペラで。画面の向こうで小さな拍手がはじける。
Mitsuko(英): See you at the venue, okay?
(日)「会場で会おうね!」
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国際ビデオ通話2:カナダ・ソフィー
暖炉のマグカップを掲げるソフィー。後ろでスタッフたちが手を振る。
Yuko(英): Sophie! We’re cleared to invite you. Seats are saved.
(日)「ソフィー! 招待手続きOK、席も確保しとるよ」
Sophie: I’m proud of you both. Any message for our teens here?
「ふたりのこと誇りに思う。こっちのティーンにひと言ある?」
Mitsuko(英): Dream loud, study steady, and laugh daily. It works.
(日)「でっかく夢見て、コツコツ学んで、毎日笑う。効くけん」
Sophie: See you in New York!
「ニューヨークでね!」
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国際ビデオ通話3:ロサンゼルス・キャサリン
サンセット色の空、キャサリンが親指を立てる。
Mitsuko(英): Catherine, we want your kids to feel the hall, the sound, the hope.
(日)「子どもたちに“会場の空気・音・希望”を体で感じてほしいんだ」
Catherine: We’ll be there. Break a leg—well, not literally!
「みんなで行くわ。ブレイク・ア・レッグ! いや、物理的には折らないでね!」
ふたり同時にコケる真似——画面の向こうで爆笑。
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国際ビデオ通話4:ウクライナ・ソフィーアの施設
白い壁、復興途中の街並みのポスター。祖父母の笑顔も並ぶ。
Yuko(英): We heard the wonderful news—congrats on the discharge.
(日)「退院、おめでとうございます」
Grandmother(英): Your songs reached us here. We’ll bring flowers from our town.
(日)「あなたたちの歌はここまで届いたのよ。町の花を持っていくわ」
Mitsuko(英): Then we’ll return them as harmony.
(日)「なら、私たちは“ハーモニー”にしてお返しします」
ソフィーアが小さくウィンク。
スクリーン越しに、約束の手を振り合う。
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渡航準備:細部の積み上げ
•英語MC台本:
「We compose what we live, and we live what we laugh.(私たちは“生きたこと”を作曲し、“笑ったこと”を生きる)」をキーメッセージに。
•舞台所作:審査員(YOSHIKI含む)に向けた目線・お辞儀角度・沈黙の取り方を秒単位で合わせる。
•セットリスト:
1.Over-sleep, Over-sea(寝過ごし組曲:世界版)
2.String of Smiles
3.Bach-ta Warai(バロック×笑いの新作インテルメッツォ)
4.Encore: Home Is Where We Laugh(観客コール&レスポンス)
•心の準備:
ギャグの“間”を国際仕様に調整——英語・日本語の二段落ちテクで、“意味”と“音”の両方で笑いを届ける。
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最後の通話を切ると、部屋に静けさが戻る。
遠くの都会のノイズが窓の外で揺れている。
「……行くよ、ほんとに」
「うん。“寝過ごし”で始まった物語、ニューヨークでちゃんと“目覚め”させよ」
拳をコツンと合わせるふたり。
通知がもう一度震える——主催からの一文。
“Welcome to the Garden.”
光子と優子は、同時に笑った。
笑いと音で、世界を少しだけ明るくするために。
「スコア送信→全員腹筋」—真面目すぎるギャグ・クラシック誕生
スコアPDFを事務局のアップローダーへドラッグ&ドロップ。
送信完了の青いチェックが灯った瞬間、ふたりは顔を見合わせた。
「……これ、初見で吹き出す人、絶対出るよね」
「出る。パート譜の“笑休符(Rest for Laugh)”とか、“L.O.L. フェルマータ”とか、我ながらマジで攻めとるもん」
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初回リハの惨状(いや、歓声)
翌週、現地オケのリハ音声メモが届く。
指揮者がカウントを出した瞬間から、もうダメだった。
•1stヴァイオリン:寝過ごし動機の“ズレのユニゾン”に耐えきれず、弓先で肩をプルプル。
•首席ヴィオラ:譜面に書かれた注釈「ここで“ハッ!”と気づく」を声に出してしまい、セクション全員が伝染爆笑。
•ファゴット:グリッサンドに付けられた指示「※慌てるな、しかし慌てろ」に呼吸崩壊。
•打楽器:カバサ→スレイベル→目覚ましベルの三段落ちを生真面目に決めたのに、自分で腹抱えて立てなくなる。
•コンサートマスター(休憩中のつぶやき):「こんなに真面目にギャグが書いてある譜面、初めて見た…!」
図書係からは至急メール。
•ページめくりのタイミングに「クスッ」を仕込むのはやめてください。めくれません。
•“笑休符”は有効ですが、拍を数えられません。目印のクリックを追加してください。
•メトロノーム記号に「=112(焦り気味)」は規格外です。言葉でのテンポ指示を併記願います。
ふたり、即リビジョン。
•スコアに笑い用小節線を追加(クリック誘導)。
•“焦り気味”→**“Agitato ma respira(焦れつつも息しろ)”** に改稿。
•目覚ましベルの位置を半拍前へ(落ち笑い⇒刺し笑いへ改良)。
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二回目リハ:勝ち筋が見えた
修正版で再トライ。
今度は“笑うための設計”が効いて、合奏がピタッとハマる。
指揮者:「はい、今の“寝過ごし→気づき→希望”の三段構成、バチバチに伝わる。
ただし、トロンボーンの“車内アナウンス風コラール”は、もっと上品に。笑いは残してエレガントに。」
金管:「了解。エレガントにおもしろく、ですね。」
ストリングスは客席をイメージした二段落ちの間を研究。
木管は“クスクス・カノン”のディレイを60ms短縮して切れ味UP。
打楽器はベル→タンバリンの受け渡しにニヤリの合図を決め、ステージ上の空気が回り始める。
休憩のロビーには自然発生の感想メモが貼られていく。
•「クラシックで腹筋が痛いという未知の体験」
•「“笑いの設計”が音楽的。バランスが品よく、でも容赦ない」
•「終楽章の“ただいま”主題で泣いた。笑って泣いて整う」
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事務局からの公式コメント
「前例のないタイプですが、楽員・スタッフとも士気が高いです。
客席の安全のため、注意喚起テロップ(“笑いすぎにご注意ください”)の掲示を検討します。」
ふたり、顔を見合わせて苦笑。
「注意喚起されるクラシックって何なん…」
「新ジャンル“Symphonic Comedy”誕生、ってことで」
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最終チェック—譜面の端っこに
出力した最終譜の余白に、鉛筆で小さく一文。
“We compose what we live, and we live what we laugh.”
(生きたことを作曲し、笑ったことを生きる)
送信ボタン。
世界最前線のホールへ、真面目すぎるギャグ・クラシックが走り出した。
同時生配信、世界同時“腹筋注意”アラート
開演5分前。配信用のカメラが客席後方・指揮者背後・ステージ袖に配置され、スイッチャーのプレビュー画面には「L.O.L.注意:笑いすぎにご注意ください」のテロップが点灯。
音大学生寮ラウンジ、みらいのたね事務局、そしてライアン/ソフィー/キャサリンの各施設とウクライナのコミュニティセンターでは、大型スクリーンが一斉にオンライン状態へ。
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音大学生寮ウォッチパーティ
ラウンジのソファは満席。ポップコーンと赤しそジュース、そして譜読み用の鉛筆が配られる(※笑いのタイミングをメモる謎の慣習)。
「来た…“寝過ごし動機”イントロ!」
「ちょ、笑休符ほんとに出てる!テロップ“Rest for Laugh”…ずるい!」
“クスクス・カノン”で画面の弦が波打つたび、寮生の肩も波打つ。
ソフィーアは目を潤ませながら小雪の肘をつつく。
「音が立ち上がる瞬間で笑わせて、その直後に希望主題…これ、泣くやつ」
チャット欄:
•【寮・302】「腹筋セーフティーベルトどこ」
•【作曲科B】「Agitato ma respira=“焦れつつ息しろ”は今年の名言」
•【声楽科C】「最後の“ただいま”主題で普通に号泣」
•【管打連】「タンバリンの“ニヤリ合図”抜け目なさすぎ」
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みらいのたね事務局ビューイング
職員も子どもたちも一緒の“ごちゃまぜ”鑑賞会。
最初の目覚ましベルで小学生チームが転げ笑い、
終楽章のコラールで静かに手を握り合う。
「笑ってええんやで、って音が言ってくれるね」
事務局長のつぶやきに、スクリーンの下でうなずく子がいる。
チャット欄:
•【みらたね】「“笑休符”いただきました。今日のワークで使う」
•【みらたねKids】「ベルもういっかい!ベルもういっかい!」
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海外施設+ウクライナ中継
各施設には同時通訳の字幕が出る。
ライアンの施設ではスタッフがリズムに合わせて膝を打ち、
ソフィーの施設では子どもたちが“気づきモチーフ”で肩をすくめる振付を即興で真似る。
ウクライナのコミュニティセンターでは、祖父母世代が静かに笑い、
希望主題で何人もハンカチを目に当てた。
チャット欄:
•【NZ】「Music that tells us it’s okay to breathe and laugh.」
•【Canada】「I didn’t know classical could giggle like this.」
•【Kyiv】「笑いのあとに来る和音で、胸がほどけました。ありがとう。」
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配信スイッチングの妙
ステージのタンバリンが“ニヤリ合図”を送る瞬間、画面は四分割。
左上:指揮者の眉が上がる。
右上:コンサートマスターの頬が揺れる。
左下:寮ラウンジでポップコーンが宙を舞う。
右下:みらいのたねの子が「いまだ!」とベルの真似。
コメント流速が一気に跳ね上がる。
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フィナーレ—“ただいま”主題
最後の和音がホールに溶け、客席の笑いと拍手がひとつに重なる。
同時配信の各拠点でも自然と立ち上がる人、肩を抱き寄せる人。
画面下には静かな一行。
We compose what we live, and we live what we laugh.
寮ラウンジで誰かが小声で言う。
「ねぇ—これ、録画じゃなくて生きてる音やね」
スクリーンの向こうも、こっちも。
笑い合う呼吸が、同じテンポで刻まれていた。




