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三姉妹爆笑交響曲 — 大学生篇から陽翔&結音誕生まで  作者: リンダ


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58/115

帰省2043年正月

紅白2042・大団円「笑いの年越し、そして新たな幕開け」



紅白の放送がすべて終わり、

ステージの照明がゆっくりと落ちていく。

楽屋通路には、余韻の笑い声と拍手がまだ残っていた。


光子と優子が控室に戻ると、

すでに他の出演者やスタッフたちが待っていて、

次々に声をかけてくる。



MISIA

「光子ちゃん、優子ちゃん、本当にありがとう。

一年の最後に、あんなに笑ったの初めてよ。」


Official髭男dism・藤原

「いや〜、あの“お姉ちゃん暴露コント”、最高でした!

あれ、もう完全に伝説っすよ!」


千鳥・ノブ

「ほんま、“紅白のトリ”どころか、“笑いの締め”やったな!」


大悟

「来年はもっと笑わせてくれや〜、頼むで爆笑発電所!」


劇団ひとり

「ほんと、あんたらが出てると“幸せな空気”になるんよ。

今年の締めくくり、完璧やった!」



光子と優子は、涙ぐみながら深々とお辞儀をする。

光子(博多弁で)

「ほんと、うちも感無量ばい。

一年の最後に、みんなで笑いあえたのが何よりの宝やね。」


優子

「うん。あたたかい言葉、全部心に届いとるけん。

ほんとに、ありがとう。」



そして、時計の針が23時59分を指す。

舞台裏モニターには、全国各地の年越しカウントダウンの映像。


千鳥ノブ

「さぁ、みんなでカウントダウンいくでーっ!」


全員

「10!9!8!7!6!5!4!3!2!1──!」



「あけましておめでとうございますーーー!!」



舞台裏は、笑顔とハグの連鎖。

スタッフも出演者も関係なく、握手を交わす。

NHKホールの外では、除夜の鐘と歓声が交じり合う。


光子(満面の笑みで)

「今年も、たくさんの人に笑顔を届けられますように!」


優子(隣でピース)

「音楽も、お笑いも、どっちも本気でやっていくけんね!」



報道カメラが向けられ、リポーターが質問する。


記者

「新しい年の目標を、ぜひ教えてください!」


光子

「はいっ!音大も三年生になるけん、課題はちゃんとこなします!

……でも笑いの課題も、引き続き提出していきます(笑)!」


優子

「音楽も笑いも、うちらの両輪やけんね。

両方の力で、今年も日本中を笑顔にするけん!」



劇団ひとり(拍手しながら)

「うん、それでこそ“爆笑発電所”や!

来年も出力MAXで、頼むで〜!」


光子&優子(声を合わせて)

「もちろんですっ!フル稼働で行きまーすっ!!」



ナレーション(番組エンディング)


「笑いと音楽の力で、日本を照らした双子。

彼女たちの笑顔は、今年もまた、多くの人の心をあたためていく。

――2043年、“爆笑発電所”は新たな一年を迎える。」



SNSトレンド

#あけおめ爆笑発電所

#光子優子2023始動

#紅白の女王から新年の女神へ

#笑い初めはファイブピーチ★



光子と優子、笑いながら手をつなぎ、

冬の夜空を見上げた。

その表情は、どこまでも穏やかで、力強かった。





紅白2043年幕開け篇「初日の出と驚異の視聴率」



夜明け前。

仮眠をとってわずか数時間、まだ薄暗い渋谷の街に光子と優子の姿があった。

人影まばらなスクランブル交差点の信号が点滅を繰り返す。

冬の冷たい空気を吸い込みながら、2人はマフラーをぎゅっと巻き直した。


光子(博多弁)

「なんか、夢みたいやねぇ……昨日の紅白、ほんとに終わったっちゃろか?」


優子

「うん……現実感なかけど、あんな年越し、もう一生もんやね。」


東の空がうっすらと金色に染まりはじめる。

代々木公園の丘の上、初日の出が顔を出す瞬間——

光子と優子は静かに手を合わせた。


光子

「今年も、笑顔を絶やさんようにしよ。」


優子

「うん。音楽と笑いで、みんなの一年が明るくなるように。」


太陽がビルの間から昇りきると、2人の顔をやわらかく照らした。

まるで“笑顔の初日の出”のように輝いていた。



学生寮に帰還 ― 新年のあいさつ


午前8時過ぎ、音大の学生寮に戻ると、

ラウンジではすでにみんなが集まり、即席の新年会が始まっていた。


ソフィーア

「С Новим роком!(あけましておめでとう!)」


光子&優子

「あけましておめでとうございますっ!」


テーブルには寮母さんお手製のお雑煮とおしるこ。

ウクライナ風のキュートなピロシキまで並び、

笑顔と笑い声が響く。


小雪

「紅白、見たよ!もう、腹筋死んだ!寮の全員で“爆笑タイム”になってたもん!」


光子(照れながら)

「やっぱそうなったか〜!」


優子(苦笑い)

「うちら、もはや笑撃装置扱いやね。」



昼過ぎ ― 驚異のニュース速報


午後1時。

学生寮のテレビが、突然“臨時ニュース”のジングルを鳴らした。


《速報:紅白歌合戦2042年 視聴率発表》

平均視聴率 50.6%、瞬間最高視聴率 **驚異の72.3%**を記録!


寮生たち

「えぇぇぇぇぇ!?!?!?」


光子(口を押さえて)

「ちょ、待って……ごじゅって、え、50%越え!?」


優子(目を丸くして)

「瞬間70越え!? 紅白史上最高クラスやん!!」


ソフィーア(拍手しながら)

「Congratulations! You made history again!」


小雪

「日本中が笑って年越したってことやね……すごいよ、ほんと。」


光子しみじみと

「みんなが笑顔になれたなら、それがいちばんのご褒美やね。」


優子(涙ぐみながら)

「うん……“爆笑発電所”も、今日だけは“幸福発電所”やね。」



ナレーション


「こうして2043年の幕が開いた。

笑いと音楽で日本を包んだ双子は、

初日の出のように、希望の光を放ち続ける。

彼女たちの一年は、また新たな伝説を刻み始める——。」



SNSトレンド速報


#紅白視聴率70越え

#爆笑発電所史上最高出力

#笑顔で年越し

#光子優子初日の出イン渋谷

#幸福発電所



次は、光子と優子が初詣で引いたおみくじから、

新たな“笑いの予言”が生まれるエピソードへ続く——。




初詣ランデブー — “幸福発電所”新年始動


正午過ぎ。寮のみんなに挨拶を済ませたあと、光子と優子は神社へ初詣。

参道には屋台の湯気、甘い匂い、凧あげの歓声。冬の空気が少しだけ柔らかい。


「今年も、音楽と笑い、両輪でいくけん!」——2人は手を合わせ、深く一礼。


おみくじ大作戦


光子が引いたのは大吉、優子は吉。


光子(博多弁)

「見てみて!大吉やん!“芸能事 大いに叶う。周囲を笑顔にせよ”やって!」

優子

「うち“吉”。“焦らず磨け、縁は熟す”……よし、地道にいくやつね。たっかん(拓実)との縁も“熟す”っと…ふふ。」

光子

「翼んとこは“超熟”やね(ニヤリ)。」

優子

「やかましか〜(笑)。」


初詣むすび餅会議


境内の休憩所で、甘酒とぜんざい。

今年の“やることリスト”を、手帳にさらさら。

•新作EP(クラシック×和太鼓×コーラスの実験曲)

•春の東名阪ホールツアーの構成固め

•社会貢献:被災地ミニライブ継続、子ども支援施設との定期交流

•スポーツ中継の“爆笑アフレコ”新章(春のセンバツ&プロ野球開幕)


優子

「まずは曲づくりやね。ストリングスと合唱のレイヤー、厚めで。」

光子

「間奏に“観客コール&レスポンス”入れたいっちゃ。『笑う準備はよかね!?』って。」

優子

「それMCで毎回ウケるやつ。採用!」


家族ビデオ通話・新年編


スマホにピコン。美香、アキラ、しゅんすけと春海が画面に登場。


春介(6歳)

「おねーちゃん、ことしは“こうふくだばい”をがんばるってニュースで言いよった!」

春海(6歳)

「“こうふくはつでんしょ”フルパワーたい!」

光子

「言いよらんのに勝手にニュースにされとる(笑)。」

優子

「2人の“お年玉ギャグ”は?」

しゅんすけ&春海(同時に)

「はいっ!——“あけまして、おめで鯛!”(鯛の紙帽子を被る)」

一同

「ぶはははは!!」


寮に戻って“初稽古”


夕方、学生ラウンジで初合わせ。

新曲の仮タイトルは——「だまり行進曲」。

•導入:ピアノの分散和音 → ヴァイオリンの主題

•Aメロ:ツインボーカルでユニゾン→セカンドでハモり

•サビ:観客シンガロング+手拍子パターンを譜面化

•Cメロ:語り“とどけ、笑顔。つながれ、手と手。”


光子

「ここ、ベース“跳ね”で行く。ハネ感で前に転がしたい。」

優子

「ドラムはスネアをほんの気持ち“後ろ”。歌が浮くけん。」

ソフィーア

「ブリッジにウクライナ民謡の旋律、短く織り込んだら?」

2人

「天才〜〜!」


夜の目標宣言


日が暮れるころ、2人は屋上で都心の灯りを眺める。


光子

「今年の合言葉、決めよっか。」

優子

「“笑って、救う。”どう?」

光子

「いいね。“歌って、守る。”も並べよ。」

2人

「——“笑って、救う。歌って、守る。”いざ、出力最大!」


遠くで除夜の鐘の余韻が溶け、東京の夜景がまたたく。

“幸福発電所”は、新年もフル稼働で走り出した。



次は、「灯だまり行進曲」制作ドキュメント(スタジオ編)、

それとプロ野球開幕カード“爆笑アフレコ”準備会に行くけど、続ける?





二日の帰省列車 — 雪待ちの車内で


二日の朝。東京駅のホームに白い吐息がふわりと漂う。光子と優子は、紙コップの熱いコーヒーを手に、指定席の車両へ滑り込んだ。

「さぁ帰ろ。博多まで一気にゴーやね」

「お正月の実家ごはん、もう匂いしてきた気がするっちゃ」

ふたりは顔を見合わせ、マスクの奥でにやり。


新幹線は滑るように品川を抜け、横浜を過ぎ、小田原で海がひらけた。車窓右手、薄く光る相模湾。やがて雪帽子を被った箱根の稜線が連なり、富士の肩先が白銀を光らせる。

「見て!富士山、きれー」

「うちら、いま西へ西へ。…なんか人生のベクトルも、ちゃんと進んどる感じするね」

淡い会話を重ねるうちに、車内販売の鈴の音、隣席の家族連れの笑い声、正月のゆるさが車両を満たしていく。


静岡を横断し、名古屋で人の入れ替わりがあり、車内はまた落ち着いた。そこへ車内アナウンス。


「只今、前方区間・関ヶ原付近の降雪により、速度を落として運転しております。なお、この先岐阜羽島にて一時停車の可能性がございます。」


ざわ……と小さな波がたち、ほどなく岐阜羽島の手前で列車は静かに止まった。雪化粧の田畑が遠くまでのび、空は灰色。数分、十数分。車内の空気がだんだんと重くなっていく。


その時だった。通路側の席から初老の男性が勢いよく立ち上がり、通りかかった車掌に声を荒げた。

「いつ動くんや!こっちは予定があるんや、さっさと運転再開せぇ!」

車掌は冷静に、落ち着いた声で説明する。

「前方の除雪と線路点検が続いております。安全確認が取れ次第、直ちに発車いたします。ご不便をおかけして申し訳ございません」

「そんならすぐ確認してこい!あんたらの怠慢やろ!」

刺々しい声が車内の空気をさらに尖らせる。近くの子どもが肩をすくめ、若い母親が困った顔で目を伏せた。


光子と優子は、目を合わせた。

(——空気、悪うなっとるね)

(——ここは“言葉のプロ”の出番やろ)


光子が静かに立ち上がり、会釈して一歩前へ。声は柔らかいが、芯が真っ直ぐ通っていた。

光子(博多弁)「おじさん、気持ちはわかるっちゃけど、車掌さんに怒鳴っても雪は溶けんし、列車は動かんよ。安全確認は命にかかわると。早さより、まず無事がいちばん」

男性がむっと光子を睨む。

「なんやお前、偉そうに——」

優子「偉そうにやなくて“ことわりそう”に、やね。理屈はちゃんと通しとかんと」

周囲に小さな笑いが波紋のように広がる。

男性はたじろぎながらも、なお噛みつく。

「こっちは大事な用事があるんや!」

光子「用事はみんなあるっちゃん。けど、事故は誰にもらん。“用事”より“要らんこと”を防ぐために、今、止まっとる」

優子「それにね、こういう時の“待つ力”が、あとから予定を救うこともあるとよ。苛立ちの連鎖ば断ち切ろ?」

「でもなぁ…」

光子「もし訴える相手を探しとるなら、雪に言ってくれん?“解けてください”って。うちらも一緒にお願いするけん」

優子「“自然の前では、人は低姿勢”——今日の標語にしとこか」

車掌が小さく頭を下げる。男性の肩が、わずかに落ちた。


なおも食い下がろうと、男性が最後の一言を吐く。

「……じゃあ、いつ動くねん」

光子「“安全がOKになった時”。それが唯一の正解やけん」

優子「“急がば回れ”って言葉、ここで生きるね。急いで“回送”は、いややろ?」

ふっと、車内のあちこちで吹き出す音。男性は口をへの字にし、視線を落として席に戻った。

「……わかった。悪かった」

光子「いえ、誰でも苛々するよ。寒いしね。よかったらどうぞ」(と、温かいペットボトルのほうじ茶を差し出す)

男性は戸惑いながら受け取り、小さく頷いた。


張りつめていた空気がふっと緩む。遠くからぽつぽつと拍手が起こり、それは次第に大きな輪になった。

車掌は胸に手を当てる。

「皆さまのご理解に感謝いたします。安全第一で運転いたします」

優子「車掌さん、がんばって。うちら、車内の雰囲気は任せとって」

光子「……じゃ、待ち時間のBGM、いっとく?」

ふたりは小声でハミングを重ねた。

ヴィヴァルディの〈春〉の主題を、雪の情景に合わせてテンポを落とし、合間に囁く。


優子「(小声)♪ ラーララ…“発車の春”は、もうそこまで〜」

光子「(小声)♪ ラララ…“雪どけ合図は、安全確認OK”〜」

近くの子どもがくすっと笑い、母親が肩の力を抜いて微笑む。

「さっきの“理そう(ことわりそう)”って何……ぷっ」

「言葉のプロ、やるねぇ」

そんな囁きがこぼれる頃、アナウンスが戻ってきた。


「お待たせいたしました。前方の安全確認が完了しましたので、まもなく発車いたします。」


窓の外、白い景色が少しずつ後ろへ流れ始める。車内に小さな歓声。

男性「……さっきは、すまなんだ」

光子「いえいえ。“無事に着く”が、みんなの共同目標やけん」

優子「博多に着いたら、美味しいもん食べて機嫌直そ。まずは“安全到着”で一本!」

ふたりは指を軽く合わせ、音もなくハイタッチ。

やがて列車は雪雲の帯を抜け、雲間から差した日差しが車内の金属を淡く光らせた。

西へ、西へ。揺れは穏やかに、心持ちはさらに静かに。

“言葉のプロ”の出番は終わり、あとは帰省のぬくもりが待っているだけだった。





二日の帰省列車 — 雪待ちの車内で


二日の朝。東京駅のホームに白い吐息がふわりと漂う。光子と優子は、紙コップの熱いコーヒーを手に、指定席の車両へ滑り込んだ。

「さぁ帰ろ。博多まで一気にゴーやね」

「お正月の実家ごはん、もう匂いしてきた気がするっちゃ」

ふたりは顔を見合わせ、マスクの奥でにやり。


新幹線は滑るように品川を抜け、横浜を過ぎ、小田原で海がひらけた。車窓右手、薄く光る相模湾。やがて雪帽子を被った箱根の稜線が連なり、富士の肩先が白銀を光らせる。

「見て!富士山、きれー」

「うちら、いま西へ西へ。…なんか人生のベクトルも、ちゃんと進んどる感じするね」

淡い会話を重ねるうちに、車内販売の鈴の音、隣席の家族連れの笑い声、正月のゆるさが車両を満たしていく。


静岡を横断し、名古屋で人の入れ替わりがあり、車内はまた落ち着いた。そこへ車内アナウンス。


「只今、前方区間・関ヶ原付近の降雪により、速度を落として運転しております。なお、この先岐阜羽島にて一時停車の可能性がございます。」


ざわ……と小さな波がたち、ほどなく岐阜羽島の手前で列車は静かに止まった。雪化粧の田畑が遠くまでのび、空は灰色。数分、十数分。車内の空気がだんだんと重くなっていく。


その時だった。通路側の席から初老の男性が勢いよく立ち上がり、通りかかった車掌に声を荒げた。

「いつ動くんや!こっちは予定があるんや、さっさと運転再開せぇ!」

車掌は冷静に、落ち着いた声で説明する。

「前方の除雪と線路点検が続いております。安全確認が取れ次第、直ちに発車いたします。ご不便をおかけして申し訳ございません」

「そんならすぐ確認してこい!あんたらの怠慢やろ!」

刺々しい声が車内の空気をさらに尖らせる。近くの子どもが肩をすくめ、若い母親が困った顔で目を伏せた。


光子と優子は、目を合わせた。

(——空気、悪うなっとるね)

(——ここは“言葉のプロ”の出番やろ)


光子が静かに立ち上がり、会釈して一歩前へ。声は柔らかいが、芯が真っ直ぐ通っていた。

光子(博多弁)「おじさん、気持ちはわかるっちゃけど、車掌さんに怒鳴っても雪は溶けんし、列車は動かんよ。安全確認は命にかかわると。早さより、まず無事がいちばん」

男性がむっと光子を睨む。

「なんやお前、偉そうに——」

優子「偉そうにやなくて“ことわりそう”に、やね。理屈はちゃんと通しとかんと」

周囲に小さな笑いが波紋のように広がる。

男性はたじろぎながらも、なお噛みつく。

「こっちは大事な用事があるんや!」

光子「用事はみんなあるっちゃん。けど、事故は誰にもらん。“用事”より“要らんこと”を防ぐために、今、止まっとる」

優子「それにね、こういう時の“待つ力”が、あとから予定を救うこともあるとよ。苛立ちの連鎖ば断ち切ろ?」

「でもなぁ…」

光子「もし訴える相手を探しとるなら、雪に言ってくれん?“解けてください”って。うちらも一緒にお願いするけん」

優子「“自然の前では、人は低姿勢”——今日の標語にしとこか」

車掌が小さく頭を下げる。男性の肩が、わずかに落ちた。


なおも食い下がろうと、男性が最後の一言を吐く。

「……じゃあ、いつ動くねん」

光子「“安全がOKになった時”。それが唯一の正解やけん」

優子「“急がば回れ”って言葉、ここで生きるね。急いで“回送”は、いややろ?」

ふっと、車内のあちこちで吹き出す音。男性は口をへの字にし、視線を落として席に戻った。

「……わかった。悪かった」

光子「いえ、誰でも苛々するよ。寒いしね。よかったらどうぞ」(と、温かいペットボトルのほうじ茶を差し出す)

男性は戸惑いながら受け取り、小さく頷いた。


張りつめていた空気がふっと緩む。遠くからぽつぽつと拍手が起こり、それは次第に大きな輪になった。

車掌は胸に手を当てる。

「皆さまのご理解に感謝いたします。安全第一で運転いたします」

優子「車掌さん、がんばって。うちら、車内の雰囲気は任せとって」

光子「……じゃ、待ち時間のBGM、いっとく?」

ふたりは小声でハミングを重ねた。

ヴィヴァルディの〈春〉の主題を、雪の情景に合わせてテンポを落とし、合間に囁く。


優子「(小声)♪ ラーララ…“発車の春”は、もうそこまで〜」

光子「(小声)♪ ラララ…“雪どけ合図は、安全確認OK”〜」

近くの子どもがくすっと笑い、母親が肩の力を抜いて微笑む。

「さっきの“理そう(ことわりそう)”って何……ぷっ」

「言葉のプロ、やるねぇ」

そんな囁きがこぼれる頃、アナウンスが戻ってきた。


「お待たせいたしました。前方の安全確認が完了しましたので、まもなく発車いたします。」


窓の外、白い景色が少しずつ後ろへ流れ始める。車内に小さな歓声。

男性「……さっきは、すまなんだ」

光子「いえいえ。“無事に着く”が、みんなの共同目標やけん」

優子「博多に着いたら、美味しいもん食べて機嫌直そ。まずは“安全到着”で一本!」

ふたりは指を軽く合わせ、音もなくハイタッチ。

やがて列車は雪雲の帯を抜け、雲間から差した日差しが車内の金属を淡く光らせた。

西へ、西へ。揺れは穏やかに、心持ちはさらに静かに。

“言葉のプロ”の出番は終わり、あとは帰省のぬくもりが待っているだけだった。





雪待ちの車内②—思わぬ“里帰り同乗”ファンミーティング


「……あのぉ、間違ってたらごめんなさい。お二人、光子さんと優子さん、ですよね?」


通路側から控えめな声。振り返ると、夫婦と小学生の女の子、そしておばあちゃん。目がきらきらしている。


光子「はい、そうです。よくわかりましたね」

女の子「さっきの歌、すっごく上手やったから!ひょっとしたらって」

優子「わー、ありがとう。朝の雪待ちライブ、聴いてくれたんやね」


お母さんが少し照れながら会釈する。

「私たち家族、みんなファンです。この新幹線で一緒に帰省できるなんて……今年一年、いいことありそうです」


光子「こっちこそ、そう言ってもらえるのが一番の“いいこと”です」

優子「安全第一の冬ダイヤ、みんなで乗り切ろうね」


女の子が勇気を出してノートを差し出す。

「サイン、お願いできますか?」

光子「もちろん」

優子「お名前は?」

「ゆい!」

ふたりは“ゆいちゃんへ”と添え、ちいさな楽譜の落書きも添える。おばあちゃんが目頭を押さえ、父親が何度も頭を下げた。


京都到着のアナウンスが流れ、家族は荷物をまとめる。

「ほんとうに、ありがとうございました。よいお年を!」

光子「気をつけて。抹茶スイーツの聖地、楽しんで!」

優子「寒いけん、首元あったかくねー」

扉が開き、家族は手を振ってホームへ消えた。座席周りに、ぽっと灯りが残ったような余韻。


そこへ、先ほど対応に追われていた車掌が小走りで来て、深々と一礼した。

「先ほどは本当にありがとうございました。助かりました」

光子「いえいえ、たいしたことしてないです。安全運転がいちばん」

優子「“急がば回れ、雪ならなおさら”でお願いします」


車掌は思わず笑って、帽子のつばを正した。

「はい。——あ、私はこの先、新大阪で交代です。どうか良いご帰省を」

光子「お疲れさまでした!」

優子「ホット飲料、ちゃんと飲んでね。車内も冷えるけん」


新大阪。ホームの冷気が一瞬だけ流れ込み、乗務員が交代する。ドアが閉まり、列車は再び西へ。

窓の外、冬陽が解けかけの雪に反射して、きらりと跳ねた。


優子「なんか、帰省ってだけで“ちっちゃいツアー”やね」

光子「うん。歌って、しゃべって、ちょっとだけ役にも立てて。いい旅や」


やがてアナウンスは岡山、相生、姫路……と続き、車窓には見慣れた瀬戸内の光。

スマホには“京都で会えたの奇跡!今年がんばれそう”“車掌さんの笑顔取り戻してくれてありがとう”と、見知らぬ誰かの短いポストがいくつか届いていた。


光子「ね、今年も“言葉と音”で、誰かの空気を少しだけあたためよ」

優子「賛成。まずは、博多の湯気たつ鍋で、自分たちも温めよ」

ふたりはくすっと笑い、肩を並べて、遠くの山影を眺めた。


やがて車内に流れるのは、あの落ち着いた声——


「まもなく、博多です。」


旅の終わりと、里帰りの始まり。

ほんの少し軽くなった心を、キャリーと一緒に引いて、ふたりはホームへ降り立つのだった。




博多到着、正月カオス開幕—チビ連合軍、年始から全開


新幹線の扉が開く。冬晴れの冷気と一緒に、懐かしい匂いがふわり。


春介「お姉ちゃーん!むぎゅーっ!」

春海「むぎゅー!会いたかったっちゃー!」

光子「わっ、ふたりとも全力やん!」

優子「うれしか〜!……って、肋骨は優しくね〜!」


美鈴(お母さん)「おかえり〜、よう帰ってきたねぇ」

優馬(お父さん)「新幹線、よう頑張った。腹減っとろ?」

アキラ「荷物こっち預かるよ」

美香「ふたりとも痩せた?…って言うたびに『食べよ』になるけどね」


そこで——チビ双子が同時に顔をキュッと上げる。


春介&春海「せーのっ——ハイパー誘惑ウィンク☆」

(ダブルでウィンク、からの)

春介&春海「極上の投げキッス〜〜〜♡♡」


直撃コースが弧を描き、まずお姉ちゃんズの胸ド真ん中にヒット。となりの出迎え客カップルとサラリーマンにもクリティカル。


光子「ぐはっ……!破壊力、上がっとるやん…!」

優子「お、お客さんまでメロメロになっとるー!? す、すみませーん!」


サラリーマン(頬を赤らめて)「……が、がんばってください(尊)」

カップル女子「今年いちばんの福、もう来た……!」


そこへ駆けてくる小学生コンビが二組。


ほのか「春介、仕込みOK!」

みなと「春海、ネタ合わせ上々!」

春介「よっしゃ、正月スペシャルいくばい!」

春海「博多駅前ストリート寄席、開幕〜!」


第一幕:春介×ほのか「お年玉交渉術」


ほのか「ねぇ春介、今年のお年玉は“前借り制”でいこ?」

春介「前借り?利息は?」

ほのか「利息は“お姉ちゃんのウィンク権”一回」

春介「高利貸しかっ!?(ズコー)」


光子「ちょ、ウィンク権て何の通貨!?」

優子「国際決済できんばい!」


第二幕:春海×みなと「おせち品目オーディション」


春海「次の正月、おせちに新規参入したい食品、どうぞ」

みなと「“たまゴジらっきょう”!」

春海「強そっ!ピリ辛で火噴くやろ!」

みなと「“うにゃだらぱ〜昆布巻き”!」

春海「語感だけで勝とうとすな!」


美香「ちょっと、うちの台所がカオスになる未来が見えるけど!」

アキラ「命名センスだけは世界大会出れる…」


第三幕:四人合同「駅アナウンス・パロディ」


春介「まもなく、メロメロ駅〜、メロメロ駅〜」

春海「お降りの際は、恋のときめきにご注意ください」

ほのか「押されると危険です、胸キュンで足元ふらつきます」

みなと「お忘れ物は“ウィンク権”と“投げキッス”です」


ホームに笑いが波紋のように広がる。近くの駅員さんまで肩を震わせている。


美鈴「あんたら、もうやめんね(笑)。人が集まりよるやん」

優馬「警備さんに“笑い渋滞”で怒られる前に、撤収や撤収」

光子「よーし、移動〜。このネタ、夜に完全版しよ」

優子「帰ったら“おせちネーミング選手権”開催決定〜!」


春介「じゃ、締めのやついこ!」

春海「正月一発目——」

四人「爆笑だるま、転んでも笑えーー!」


——パシャパシャパシャ。

通りすがりの人たちが思わずスマホを向け、#博多初笑い がじわっと伸び始める。


光子「今年も“笑いの初荷”は満タンやね」

優子「うん。まずは家で腹ごしらえ。次は親族一同“腹筋ごしらえ”ばい!」


家族は賑やかなまま改札へ。

福袋みたいにぱんぱんな笑い声を抱えて、博多の新年が本格的に動き出した。




 

博多地下鉄・爆笑帰省ラストシーン


博多駅の改札を抜けて、家族みんなで地下鉄のホームへ。

春介と春海は、エスカレーターの上でもうテンションMAX。

電車が来るまでのわずかな時間でも、会話はコント化する。



博多地下鉄ギャグコント:メロと vs メトロ


春介「ねぇねぇ、お姉ちゃん。地下鉄の下に書いとる英語、あれなんて読むと?」

優子「あぁ、あれはね、“METROメトロ”って書いとるとよ」

春介「メロと?メロメロになると?」

光子「いやいや、“メロと”やなくて“メトロ”!」

春海「じゃあ、“メトロ”乗ったら、“メロメロ”直行列車ってことやね!」

優子「メロメロ急行〜♪ 次は〜恋の停車駅〜!」

光子「運転手さん、ブレーキかけんでいいけん、そのまま爆笑駅まで行って〜!」


ホーム中に笑いが広がり、サラリーマンも学生も肩を震わせてる。

お母さん(美鈴)「あんたたち、正月から車内を寄席にする気?」

お父さん(優馬)「まぁ、博多の地下鉄も“爆笑発電所”通っとるけん、電気代安なるかもな」


春海「じゃあ、次は“メロメロ号”出発進行〜♪」

春介「乗り遅れた人は“笑いの余韻”でお待ちください〜!」



電車のドアが閉まるころには、

車内の空気はほんのりあたたかくて、

まるで笑いそのものが“暖房”になっているようだった。


光子「今年も笑い、満タンやねぇ」

優子「爆笑発電所ジュニアもどんどん成長しよるし」

光子「この一年、どれだけの人が腹筋やられるっちゃろね〜」


春介と春海は座席で肩を寄せ合い、

春介「お姉ちゃんたち、来年も“メロメロ急行”やね!」

春海「うん、“笑いは止まらんっちゃ号”で出発進行〜!」


──地下鉄の振動に揺られながら、

新しい一年が、また笑いと共に動き出した。


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