帰省2043年正月
紅白2042・大団円「笑いの年越し、そして新たな幕開け」
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紅白の放送がすべて終わり、
ステージの照明がゆっくりと落ちていく。
楽屋通路には、余韻の笑い声と拍手がまだ残っていた。
光子と優子が控室に戻ると、
すでに他の出演者やスタッフたちが待っていて、
次々に声をかけてくる。
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MISIA
「光子ちゃん、優子ちゃん、本当にありがとう。
一年の最後に、あんなに笑ったの初めてよ。」
Official髭男dism・藤原
「いや〜、あの“お姉ちゃん暴露コント”、最高でした!
あれ、もう完全に伝説っすよ!」
千鳥・ノブ
「ほんま、“紅白のトリ”どころか、“笑いの締め”やったな!」
大悟
「来年はもっと笑わせてくれや〜、頼むで爆笑発電所!」
劇団ひとり
「ほんと、あんたらが出てると“幸せな空気”になるんよ。
今年の締めくくり、完璧やった!」
⸻
光子と優子は、涙ぐみながら深々とお辞儀をする。
光子(博多弁で)
「ほんと、うちも感無量ばい。
一年の最後に、みんなで笑いあえたのが何よりの宝やね。」
優子
「うん。あたたかい言葉、全部心に届いとるけん。
ほんとに、ありがとう。」
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そして、時計の針が23時59分を指す。
舞台裏モニターには、全国各地の年越しカウントダウンの映像。
千鳥ノブ
「さぁ、みんなでカウントダウンいくでーっ!」
全員
「10!9!8!7!6!5!4!3!2!1──!」
「あけましておめでとうございますーーー!!」
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舞台裏は、笑顔とハグの連鎖。
スタッフも出演者も関係なく、握手を交わす。
NHKホールの外では、除夜の鐘と歓声が交じり合う。
光子(満面の笑みで)
「今年も、たくさんの人に笑顔を届けられますように!」
優子(隣でピース)
「音楽も、お笑いも、どっちも本気でやっていくけんね!」
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報道カメラが向けられ、リポーターが質問する。
記者
「新しい年の目標を、ぜひ教えてください!」
光子
「はいっ!音大も三年生になるけん、課題はちゃんとこなします!
……でも笑いの課題も、引き続き提出していきます(笑)!」
優子
「音楽も笑いも、うちらの両輪やけんね。
両方の力で、今年も日本中を笑顔にするけん!」
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劇団ひとり(拍手しながら)
「うん、それでこそ“爆笑発電所”や!
来年も出力MAXで、頼むで〜!」
光子&優子(声を合わせて)
「もちろんですっ!フル稼働で行きまーすっ!!」
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ナレーション(番組エンディング)
「笑いと音楽の力で、日本を照らした双子。
彼女たちの笑顔は、今年もまた、多くの人の心をあたためていく。
――2043年、“爆笑発電所”は新たな一年を迎える。」
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SNSトレンド
#あけおめ爆笑発電所
#光子優子2023始動
#紅白の女王から新年の女神へ
#笑い初めはファイブピーチ★
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光子と優子、笑いながら手をつなぎ、
冬の夜空を見上げた。
その表情は、どこまでも穏やかで、力強かった。
紅白2043年幕開け篇「初日の出と驚異の視聴率」
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夜明け前。
仮眠をとってわずか数時間、まだ薄暗い渋谷の街に光子と優子の姿があった。
人影まばらなスクランブル交差点の信号が点滅を繰り返す。
冬の冷たい空気を吸い込みながら、2人はマフラーをぎゅっと巻き直した。
光子(博多弁)
「なんか、夢みたいやねぇ……昨日の紅白、ほんとに終わったっちゃろか?」
優子
「うん……現実感なかけど、あんな年越し、もう一生もんやね。」
東の空がうっすらと金色に染まりはじめる。
代々木公園の丘の上、初日の出が顔を出す瞬間——
光子と優子は静かに手を合わせた。
光子
「今年も、笑顔を絶やさんようにしよ。」
優子
「うん。音楽と笑いで、みんなの一年が明るくなるように。」
太陽がビルの間から昇りきると、2人の顔をやわらかく照らした。
まるで“笑顔の初日の出”のように輝いていた。
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学生寮に帰還 ― 新年のあいさつ
午前8時過ぎ、音大の学生寮に戻ると、
ラウンジではすでにみんなが集まり、即席の新年会が始まっていた。
ソフィーア
「С Новим роком!(あけましておめでとう!)」
光子&優子
「あけましておめでとうございますっ!」
テーブルには寮母さんお手製のお雑煮とおしるこ。
ウクライナ風のキュートなピロシキまで並び、
笑顔と笑い声が響く。
小雪
「紅白、見たよ!もう、腹筋死んだ!寮の全員で“爆笑タイム”になってたもん!」
光子(照れながら)
「やっぱそうなったか〜!」
優子(苦笑い)
「うちら、もはや笑撃装置扱いやね。」
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昼過ぎ ― 驚異のニュース速報
午後1時。
学生寮のテレビが、突然“臨時ニュース”のジングルを鳴らした。
《速報:紅白歌合戦2042年 視聴率発表》
平均視聴率 50.6%、瞬間最高視聴率 **驚異の72.3%**を記録!
寮生たち
「えぇぇぇぇぇ!?!?!?」
光子(口を押さえて)
「ちょ、待って……ごじゅって、え、50%越え!?」
優子(目を丸くして)
「瞬間70越え!? 紅白史上最高クラスやん!!」
ソフィーア(拍手しながら)
「Congratulations! You made history again!」
小雪
「日本中が笑って年越したってことやね……すごいよ、ほんと。」
光子
「みんなが笑顔になれたなら、それがいちばんのご褒美やね。」
優子(涙ぐみながら)
「うん……“爆笑発電所”も、今日だけは“幸福発電所”やね。」
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ナレーション
「こうして2043年の幕が開いた。
笑いと音楽で日本を包んだ双子は、
初日の出のように、希望の光を放ち続ける。
彼女たちの一年は、また新たな伝説を刻み始める——。」
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SNSトレンド速報
#紅白視聴率70越え
#爆笑発電所史上最高出力
#笑顔で年越し
#光子優子初日の出イン渋谷
#幸福発電所
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次は、光子と優子が初詣で引いたおみくじから、
新たな“笑いの予言”が生まれるエピソードへ続く——。
初詣ランデブー — “幸福発電所”新年始動
正午過ぎ。寮のみんなに挨拶を済ませたあと、光子と優子は神社へ初詣。
参道には屋台の湯気、甘い匂い、凧あげの歓声。冬の空気が少しだけ柔らかい。
「今年も、音楽と笑い、両輪でいくけん!」——2人は手を合わせ、深く一礼。
おみくじ大作戦
光子が引いたのは大吉、優子は吉。
光子(博多弁)
「見てみて!大吉やん!“芸能事 大いに叶う。周囲を笑顔にせよ”やって!」
優子
「うち“吉”。“焦らず磨け、縁は熟す”……よし、地道にいくやつね。たっかん(拓実)との縁も“熟す”っと…ふふ。」
光子
「翼んとこは“超熟”やね(ニヤリ)。」
優子
「やかましか〜(笑)。」
初詣むすび餅会議
境内の休憩所で、甘酒とぜんざい。
今年の“やることリスト”を、手帳にさらさら。
•新作EP(クラシック×和太鼓×コーラスの実験曲)
•春の東名阪ホールツアーの構成固め
•社会貢献:被災地ミニライブ継続、子ども支援施設との定期交流
•スポーツ中継の“爆笑アフレコ”新章(春のセンバツ&プロ野球開幕)
優子
「まずは曲づくりやね。ストリングスと合唱のレイヤー、厚めで。」
光子
「間奏に“観客コール&レスポンス”入れたいっちゃ。『笑う準備はよかね!?』って。」
優子
「それMCで毎回ウケるやつ。採用!」
家族ビデオ通話・新年編
スマホにピコン。美香、アキラ、しゅんすけと春海が画面に登場。
春介(6歳)
「おねーちゃん、ことしは“こうふくだばい”をがんばるってニュースで言いよった!」
春海(6歳)
「“こうふくはつでんしょ”フルパワーたい!」
光子
「言いよらんのに勝手にニュースにされとる(笑)。」
優子
「2人の“お年玉ギャグ”は?」
しゅんすけ&春海(同時に)
「はいっ!——“あけまして、おめで鯛!”(鯛の紙帽子を被る)」
一同
「ぶはははは!!」
寮に戻って“初稽古”
夕方、学生ラウンジで初合わせ。
新曲の仮タイトルは——「灯だまり行進曲」。
•導入:ピアノの分散和音 → ヴァイオリンの主題
•Aメロ:ツインボーカルでユニゾン→セカンドでハモり
•サビ:観客シンガロング+手拍子パターンを譜面化
•Cメロ:語り“とどけ、笑顔。つながれ、手と手。”
光子
「ここ、ベース“跳ね”で行く。ハネ感で前に転がしたい。」
優子
「ドラムはスネアをほんの気持ち“後ろ”。歌が浮くけん。」
ソフィーア
「ブリッジにウクライナ民謡の旋律、短く織り込んだら?」
2人
「天才〜〜!」
夜の目標宣言
日が暮れるころ、2人は屋上で都心の灯りを眺める。
光子
「今年の合言葉、決めよっか。」
優子
「“笑って、救う。”どう?」
光子
「いいね。“歌って、守る。”も並べよ。」
2人
「——“笑って、救う。歌って、守る。”いざ、出力最大!」
遠くで除夜の鐘の余韻が溶け、東京の夜景がまたたく。
“幸福発電所”は、新年もフル稼働で走り出した。
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次は、「灯だまり行進曲」制作ドキュメント(スタジオ編)、
それとプロ野球開幕カード“爆笑アフレコ”準備会に行くけど、続ける?
二日の帰省列車 — 雪待ちの車内で
二日の朝。東京駅のホームに白い吐息がふわりと漂う。光子と優子は、紙コップの熱いコーヒーを手に、指定席の車両へ滑り込んだ。
「さぁ帰ろ。博多まで一気にゴーやね」
「お正月の実家ごはん、もう匂いしてきた気がするっちゃ」
ふたりは顔を見合わせ、マスクの奥でにやり。
新幹線は滑るように品川を抜け、横浜を過ぎ、小田原で海がひらけた。車窓右手、薄く光る相模湾。やがて雪帽子を被った箱根の稜線が連なり、富士の肩先が白銀を光らせる。
「見て!富士山、きれー」
「うちら、いま西へ西へ。…なんか人生のベクトルも、ちゃんと進んどる感じするね」
淡い会話を重ねるうちに、車内販売の鈴の音、隣席の家族連れの笑い声、正月のゆるさが車両を満たしていく。
静岡を横断し、名古屋で人の入れ替わりがあり、車内はまた落ち着いた。そこへ車内アナウンス。
「只今、前方区間・関ヶ原付近の降雪により、速度を落として運転しております。なお、この先岐阜羽島にて一時停車の可能性がございます。」
ざわ……と小さな波がたち、ほどなく岐阜羽島の手前で列車は静かに止まった。雪化粧の田畑が遠くまでのび、空は灰色。数分、十数分。車内の空気がだんだんと重くなっていく。
その時だった。通路側の席から初老の男性が勢いよく立ち上がり、通りかかった車掌に声を荒げた。
「いつ動くんや!こっちは予定があるんや、さっさと運転再開せぇ!」
車掌は冷静に、落ち着いた声で説明する。
「前方の除雪と線路点検が続いております。安全確認が取れ次第、直ちに発車いたします。ご不便をおかけして申し訳ございません」
「そんならすぐ確認してこい!あんたらの怠慢やろ!」
刺々しい声が車内の空気をさらに尖らせる。近くの子どもが肩をすくめ、若い母親が困った顔で目を伏せた。
光子と優子は、目を合わせた。
(——空気、悪うなっとるね)
(——ここは“言葉のプロ”の出番やろ)
光子が静かに立ち上がり、会釈して一歩前へ。声は柔らかいが、芯が真っ直ぐ通っていた。
光子(博多弁)「おじさん、気持ちはわかるっちゃけど、車掌さんに怒鳴っても雪は溶けんし、列車は動かんよ。安全確認は命にかかわると。早さより、まず無事がいちばん」
男性がむっと光子を睨む。
「なんやお前、偉そうに——」
優子「偉そうにやなくて“理そう”に、やね。理屈はちゃんと通しとかんと」
周囲に小さな笑いが波紋のように広がる。
男性はたじろぎながらも、なお噛みつく。
「こっちは大事な用事があるんや!」
光子「用事はみんなあるっちゃん。けど、事故は誰にも要らん。“用事”より“要らんこと”を防ぐために、今、止まっとる」
優子「それにね、こういう時の“待つ力”が、あとから予定を救うこともあるとよ。苛立ちの連鎖ば断ち切ろ?」
「でもなぁ…」
光子「もし訴える相手を探しとるなら、雪に言ってくれん?“解けてください”って。うちらも一緒にお願いするけん」
優子「“自然の前では、人は低姿勢”——今日の標語にしとこか」
車掌が小さく頭を下げる。男性の肩が、わずかに落ちた。
なおも食い下がろうと、男性が最後の一言を吐く。
「……じゃあ、いつ動くねん」
光子「“安全がOKになった時”。それが唯一の正解やけん」
優子「“急がば回れ”って言葉、ここで生きるね。急いで“回送”は、いややろ?」
ふっと、車内のあちこちで吹き出す音。男性は口をへの字にし、視線を落として席に戻った。
「……わかった。悪かった」
光子「いえ、誰でも苛々するよ。寒いしね。よかったらどうぞ」(と、温かいペットボトルのほうじ茶を差し出す)
男性は戸惑いながら受け取り、小さく頷いた。
張りつめていた空気がふっと緩む。遠くからぽつぽつと拍手が起こり、それは次第に大きな輪になった。
車掌は胸に手を当てる。
「皆さまのご理解に感謝いたします。安全第一で運転いたします」
優子「車掌さん、がんばって。うちら、車内の雰囲気は任せとって」
光子「……じゃ、待ち時間のBGM、いっとく?」
ふたりは小声でハミングを重ねた。
ヴィヴァルディの〈春〉の主題を、雪の情景に合わせてテンポを落とし、合間に囁く。
優子「(小声)♪ ラーララ…“発車の春”は、もうそこまで〜」
光子「(小声)♪ ラララ…“雪どけ合図は、安全確認OK”〜」
近くの子どもがくすっと笑い、母親が肩の力を抜いて微笑む。
「さっきの“理そう(ことわりそう)”って何……ぷっ」
「言葉のプロ、やるねぇ」
そんな囁きがこぼれる頃、アナウンスが戻ってきた。
「お待たせいたしました。前方の安全確認が完了しましたので、まもなく発車いたします。」
窓の外、白い景色が少しずつ後ろへ流れ始める。車内に小さな歓声。
男性「……さっきは、すまなんだ」
光子「いえいえ。“無事に着く”が、みんなの共同目標やけん」
優子「博多に着いたら、美味しいもん食べて機嫌直そ。まずは“安全到着”で一本!」
ふたりは指を軽く合わせ、音もなくハイタッチ。
やがて列車は雪雲の帯を抜け、雲間から差した日差しが車内の金属を淡く光らせた。
西へ、西へ。揺れは穏やかに、心持ちはさらに静かに。
“言葉のプロ”の出番は終わり、あとは帰省のぬくもりが待っているだけだった。
二日の帰省列車 — 雪待ちの車内で
二日の朝。東京駅のホームに白い吐息がふわりと漂う。光子と優子は、紙コップの熱いコーヒーを手に、指定席の車両へ滑り込んだ。
「さぁ帰ろ。博多まで一気にゴーやね」
「お正月の実家ごはん、もう匂いしてきた気がするっちゃ」
ふたりは顔を見合わせ、マスクの奥でにやり。
新幹線は滑るように品川を抜け、横浜を過ぎ、小田原で海がひらけた。車窓右手、薄く光る相模湾。やがて雪帽子を被った箱根の稜線が連なり、富士の肩先が白銀を光らせる。
「見て!富士山、きれー」
「うちら、いま西へ西へ。…なんか人生のベクトルも、ちゃんと進んどる感じするね」
淡い会話を重ねるうちに、車内販売の鈴の音、隣席の家族連れの笑い声、正月のゆるさが車両を満たしていく。
静岡を横断し、名古屋で人の入れ替わりがあり、車内はまた落ち着いた。そこへ車内アナウンス。
「只今、前方区間・関ヶ原付近の降雪により、速度を落として運転しております。なお、この先岐阜羽島にて一時停車の可能性がございます。」
ざわ……と小さな波がたち、ほどなく岐阜羽島の手前で列車は静かに止まった。雪化粧の田畑が遠くまでのび、空は灰色。数分、十数分。車内の空気がだんだんと重くなっていく。
その時だった。通路側の席から初老の男性が勢いよく立ち上がり、通りかかった車掌に声を荒げた。
「いつ動くんや!こっちは予定があるんや、さっさと運転再開せぇ!」
車掌は冷静に、落ち着いた声で説明する。
「前方の除雪と線路点検が続いております。安全確認が取れ次第、直ちに発車いたします。ご不便をおかけして申し訳ございません」
「そんならすぐ確認してこい!あんたらの怠慢やろ!」
刺々しい声が車内の空気をさらに尖らせる。近くの子どもが肩をすくめ、若い母親が困った顔で目を伏せた。
光子と優子は、目を合わせた。
(——空気、悪うなっとるね)
(——ここは“言葉のプロ”の出番やろ)
光子が静かに立ち上がり、会釈して一歩前へ。声は柔らかいが、芯が真っ直ぐ通っていた。
光子(博多弁)「おじさん、気持ちはわかるっちゃけど、車掌さんに怒鳴っても雪は溶けんし、列車は動かんよ。安全確認は命にかかわると。早さより、まず無事がいちばん」
男性がむっと光子を睨む。
「なんやお前、偉そうに——」
優子「偉そうにやなくて“理そう”に、やね。理屈はちゃんと通しとかんと」
周囲に小さな笑いが波紋のように広がる。
男性はたじろぎながらも、なお噛みつく。
「こっちは大事な用事があるんや!」
光子「用事はみんなあるっちゃん。けど、事故は誰にも要らん。“用事”より“要らんこと”を防ぐために、今、止まっとる」
優子「それにね、こういう時の“待つ力”が、あとから予定を救うこともあるとよ。苛立ちの連鎖ば断ち切ろ?」
「でもなぁ…」
光子「もし訴える相手を探しとるなら、雪に言ってくれん?“解けてください”って。うちらも一緒にお願いするけん」
優子「“自然の前では、人は低姿勢”——今日の標語にしとこか」
車掌が小さく頭を下げる。男性の肩が、わずかに落ちた。
なおも食い下がろうと、男性が最後の一言を吐く。
「……じゃあ、いつ動くねん」
光子「“安全がOKになった時”。それが唯一の正解やけん」
優子「“急がば回れ”って言葉、ここで生きるね。急いで“回送”は、いややろ?」
ふっと、車内のあちこちで吹き出す音。男性は口をへの字にし、視線を落として席に戻った。
「……わかった。悪かった」
光子「いえ、誰でも苛々するよ。寒いしね。よかったらどうぞ」(と、温かいペットボトルのほうじ茶を差し出す)
男性は戸惑いながら受け取り、小さく頷いた。
張りつめていた空気がふっと緩む。遠くからぽつぽつと拍手が起こり、それは次第に大きな輪になった。
車掌は胸に手を当てる。
「皆さまのご理解に感謝いたします。安全第一で運転いたします」
優子「車掌さん、がんばって。うちら、車内の雰囲気は任せとって」
光子「……じゃ、待ち時間のBGM、いっとく?」
ふたりは小声でハミングを重ねた。
ヴィヴァルディの〈春〉の主題を、雪の情景に合わせてテンポを落とし、合間に囁く。
優子「(小声)♪ ラーララ…“発車の春”は、もうそこまで〜」
光子「(小声)♪ ラララ…“雪どけ合図は、安全確認OK”〜」
近くの子どもがくすっと笑い、母親が肩の力を抜いて微笑む。
「さっきの“理そう(ことわりそう)”って何……ぷっ」
「言葉のプロ、やるねぇ」
そんな囁きがこぼれる頃、アナウンスが戻ってきた。
「お待たせいたしました。前方の安全確認が完了しましたので、まもなく発車いたします。」
窓の外、白い景色が少しずつ後ろへ流れ始める。車内に小さな歓声。
男性「……さっきは、すまなんだ」
光子「いえいえ。“無事に着く”が、みんなの共同目標やけん」
優子「博多に着いたら、美味しいもん食べて機嫌直そ。まずは“安全到着”で一本!」
ふたりは指を軽く合わせ、音もなくハイタッチ。
やがて列車は雪雲の帯を抜け、雲間から差した日差しが車内の金属を淡く光らせた。
西へ、西へ。揺れは穏やかに、心持ちはさらに静かに。
“言葉のプロ”の出番は終わり、あとは帰省のぬくもりが待っているだけだった。
雪待ちの車内②—思わぬ“里帰り同乗”ファンミーティング
「……あのぉ、間違ってたらごめんなさい。お二人、光子さんと優子さん、ですよね?」
通路側から控えめな声。振り返ると、夫婦と小学生の女の子、そしておばあちゃん。目がきらきらしている。
光子「はい、そうです。よくわかりましたね」
女の子「さっきの歌、すっごく上手やったから!ひょっとしたらって」
優子「わー、ありがとう。朝の雪待ちライブ、聴いてくれたんやね」
お母さんが少し照れながら会釈する。
「私たち家族、みんなファンです。この新幹線で一緒に帰省できるなんて……今年一年、いいことありそうです」
光子「こっちこそ、そう言ってもらえるのが一番の“いいこと”です」
優子「安全第一の冬ダイヤ、みんなで乗り切ろうね」
女の子が勇気を出してノートを差し出す。
「サイン、お願いできますか?」
光子「もちろん」
優子「お名前は?」
「ゆい!」
ふたりは“ゆいちゃんへ”と添え、ちいさな楽譜の落書きも添える。おばあちゃんが目頭を押さえ、父親が何度も頭を下げた。
京都到着のアナウンスが流れ、家族は荷物をまとめる。
「ほんとうに、ありがとうございました。よいお年を!」
光子「気をつけて。抹茶スイーツの聖地、楽しんで!」
優子「寒いけん、首元あったかくねー」
扉が開き、家族は手を振ってホームへ消えた。座席周りに、ぽっと灯りが残ったような余韻。
そこへ、先ほど対応に追われていた車掌が小走りで来て、深々と一礼した。
「先ほどは本当にありがとうございました。助かりました」
光子「いえいえ、たいしたことしてないです。安全運転がいちばん」
優子「“急がば回れ、雪ならなおさら”でお願いします」
車掌は思わず笑って、帽子のつばを正した。
「はい。——あ、私はこの先、新大阪で交代です。どうか良いご帰省を」
光子「お疲れさまでした!」
優子「ホット飲料、ちゃんと飲んでね。車内も冷えるけん」
新大阪。ホームの冷気が一瞬だけ流れ込み、乗務員が交代する。ドアが閉まり、列車は再び西へ。
窓の外、冬陽が解けかけの雪に反射して、きらりと跳ねた。
優子「なんか、帰省ってだけで“ちっちゃいツアー”やね」
光子「うん。歌って、しゃべって、ちょっとだけ役にも立てて。いい旅や」
やがてアナウンスは岡山、相生、姫路……と続き、車窓には見慣れた瀬戸内の光。
スマホには“京都で会えたの奇跡!今年がんばれそう”“車掌さんの笑顔取り戻してくれてありがとう”と、見知らぬ誰かの短いポストがいくつか届いていた。
光子「ね、今年も“言葉と音”で、誰かの空気を少しだけあたためよ」
優子「賛成。まずは、博多の湯気たつ鍋で、自分たちも温めよ」
ふたりはくすっと笑い、肩を並べて、遠くの山影を眺めた。
やがて車内に流れるのは、あの落ち着いた声——
「まもなく、博多です。」
旅の終わりと、里帰りの始まり。
ほんの少し軽くなった心を、キャリーと一緒に引いて、ふたりはホームへ降り立つのだった。
博多到着、正月カオス開幕—チビ連合軍、年始から全開
新幹線の扉が開く。冬晴れの冷気と一緒に、懐かしい匂いがふわり。
春介「お姉ちゃーん!むぎゅーっ!」
春海「むぎゅー!会いたかったっちゃー!」
光子「わっ、ふたりとも全力やん!」
優子「うれしか〜!……って、肋骨は優しくね〜!」
美鈴(お母さん)「おかえり〜、よう帰ってきたねぇ」
優馬(お父さん)「新幹線、よう頑張った。腹減っとろ?」
アキラ「荷物こっち預かるよ」
美香「ふたりとも痩せた?…って言うたびに『食べよ』になるけどね」
そこで——チビ双子が同時に顔をキュッと上げる。
春介&春海「せーのっ——ハイパー誘惑ウィンク☆」
(ダブルでウィンク、からの)
春介&春海「極上の投げキッス〜〜〜♡♡」
直撃コースが弧を描き、まずお姉ちゃんズの胸ド真ん中にヒット。となりの出迎え客カップルとサラリーマンにもクリティカル。
光子「ぐはっ……!破壊力、上がっとるやん…!」
優子「お、お客さんまでメロメロになっとるー!? す、すみませーん!」
サラリーマン(頬を赤らめて)「……が、がんばってください(尊)」
カップル女子「今年いちばんの福、もう来た……!」
そこへ駆けてくる小学生コンビが二組。
ほのか「春介、仕込みOK!」
みなと「春海、ネタ合わせ上々!」
春介「よっしゃ、正月スペシャルいくばい!」
春海「博多駅前ストリート寄席、開幕〜!」
第一幕:春介×ほのか「お年玉交渉術」
ほのか「ねぇ春介、今年のお年玉は“前借り制”でいこ?」
春介「前借り?利息は?」
ほのか「利息は“お姉ちゃんのウィンク権”一回」
春介「高利貸しかっ!?(ズコー)」
光子「ちょ、ウィンク権て何の通貨!?」
優子「国際決済できんばい!」
第二幕:春海×みなと「おせち品目オーディション」
春海「次の正月、おせちに新規参入したい食品、どうぞ」
みなと「“たまゴジらっきょう”!」
春海「強そっ!ピリ辛で火噴くやろ!」
みなと「“うにゃだらぱ〜昆布巻き”!」
春海「語感だけで勝とうとすな!」
美香「ちょっと、うちの台所がカオスになる未来が見えるけど!」
アキラ「命名センスだけは世界大会出れる…」
第三幕:四人合同「駅アナウンス・パロディ」
春介「まもなく、メロメロ駅〜、メロメロ駅〜」
春海「お降りの際は、恋のときめきにご注意ください」
ほのか「押されると危険です、胸キュンで足元ふらつきます」
みなと「お忘れ物は“ウィンク権”と“投げキッス”です」
ホームに笑いが波紋のように広がる。近くの駅員さんまで肩を震わせている。
美鈴「あんたら、もうやめんね(笑)。人が集まりよるやん」
優馬「警備さんに“笑い渋滞”で怒られる前に、撤収や撤収」
光子「よーし、移動〜。このネタ、夜に完全版しよ」
優子「帰ったら“おせちネーミング選手権”開催決定〜!」
春介「じゃ、締めのやついこ!」
春海「正月一発目——」
四人「爆笑だるま、転んでも笑えーー!」
——パシャパシャパシャ。
通りすがりの人たちが思わずスマホを向け、#博多初笑い がじわっと伸び始める。
光子「今年も“笑いの初荷”は満タンやね」
優子「うん。まずは家で腹ごしらえ。次は親族一同“腹筋ごしらえ”ばい!」
家族は賑やかなまま改札へ。
福袋みたいにぱんぱんな笑い声を抱えて、博多の新年が本格的に動き出した。
博多地下鉄・爆笑帰省ラストシーン
博多駅の改札を抜けて、家族みんなで地下鉄のホームへ。
春介と春海は、エスカレーターの上でもうテンションMAX。
電車が来るまでのわずかな時間でも、会話はコント化する。
⸻
博多地下鉄ギャグコント:メロと vs メトロ
春介「ねぇねぇ、お姉ちゃん。地下鉄の下に書いとる英語、あれなんて読むと?」
優子「あぁ、あれはね、“METRO”って書いとるとよ」
春介「メロと?メロメロになると?」
光子「いやいや、“メロと”やなくて“メトロ”!」
春海「じゃあ、“メトロ”乗ったら、“メロメロ”直行列車ってことやね!」
優子「メロメロ急行〜♪ 次は〜恋の停車駅〜!」
光子「運転手さん、ブレーキかけんでいいけん、そのまま爆笑駅まで行って〜!」
ホーム中に笑いが広がり、サラリーマンも学生も肩を震わせてる。
お母さん(美鈴)「あんたたち、正月から車内を寄席にする気?」
お父さん(優馬)「まぁ、博多の地下鉄も“爆笑発電所”通っとるけん、電気代安なるかもな」
春海「じゃあ、次は“メロメロ号”出発進行〜♪」
春介「乗り遅れた人は“笑いの余韻”でお待ちください〜!」
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電車のドアが閉まるころには、
車内の空気はほんのりあたたかくて、
まるで笑いそのものが“暖房”になっているようだった。
光子「今年も笑い、満タンやねぇ」
優子「爆笑発電所ジュニアもどんどん成長しよるし」
光子「この一年、どれだけの人が腹筋やられるっちゃろね〜」
春介と春海は座席で肩を寄せ合い、
春介「お姉ちゃんたち、来年も“メロメロ急行”やね!」
春海「うん、“笑いは止まらんっちゃ号”で出発進行〜!」
──地下鉄の振動に揺られながら、
新しい一年が、また笑いと共に動き出した。




