花壇の花コント
《夏、うたい継ぐ—Peace & Promise Tour 2042》
婚約発表から最初の夏。
ファイブピーチ★は“平和への約束”を胸に、日本列島を南から北へ。
各地の記憶に向き合い、地元の小中高校生と合唱で未来を重ねた。
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糸満(沖縄)—「祈りの海に、風が鳴る」
糸満市民ホール。開演前、海から入る潮風。
オープニングは無伴奏コーラス「てぃんさぐぬ花」。
続けて新曲「Promise in Pink & Blue」。
光子が静かに指でリングを示すと、客席からあたたかい拍手。
アンコールは地元合唱部と「花(すべての人の心に花を)」。
会場全体でハミングが重なり、祈りが波紋のように広がった。
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知覧(鹿児島)—「手紙のつづき」
特攻平和会館前の特設ステージ。
朗読入りの組曲「手紙—未投函の空へ」。
小春の透明なピアノ、奏太の骨太なアルペジオ、
ドラムの優子が心音のようにテンポを刻み、
最後に地元高校生が合唱で「ふるさと」。
「生きて笑うことが、いちばんの反戦表明だよね」と光子。
風鈴が鳴ったような静かな拍手が長く続いた。
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長崎—「鐘が鳴るとき」
平和公園、朝のリハは噴水のそば。
本番は夕刻、薄藍の空に「Ave Maria(日本語詞版)」が溶ける。
優子の柔らかなブラシワーク、アキラのサックスが祈りを縁取る。
地元中学の合唱と「千羽鶴—One by One」。
最後は会場全員で黙祷、そして「上を向いて歩こう」。
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広島—「ピースウィング、風を掴む」
広島サッカースタジアムの“ピースウィング”に特設円形ステージ。
ベートーヴェン「喜びの歌」をゴスペル&ロック・クロスオーバーで。
客席のスマホライトがスタンドに星座を描く。
MCで優子が一礼。「笑える今日を守るために、私たちは歌います」。
スタジアムに大きな“間”が生まれて、次の瞬間、歓声が渦を巻いた。
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輪島—「灯を編む」
震災復興記念館でのアコースティック回。
木の香りが残る仮設のホール、ゆっくりと時間が歩く。
新曲「きざはし」(段差に腰かける、の意)を初披露。
間奏で地元の太鼓チームとセッション。
「忘れない、でも立ち止まらない」を合言葉に、
物販は全額を復興基金へ。会場に静かな握手の列。
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福島・Jヴィレッジ—「芝の匂い、空の色」
ピッチサイドの風は少し冷たい。
“スポーツ×音楽×合唱”の三位一体ステージ。
子どもたちの「栄光の架橋」合唱に、
ファイブピーチ★がハーモニーを差し入れるように重ねる。
奏太のギターが夕焼けと同じ色で鳴った。
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仙台—「光は北へ」
市民会館でのホール公演。
一部はクラシカル編成(美香の代役で詩織がピアノ、アキラがトランペット)、
二部は“笑いのセクション”を挟む特別構成。
「笑って、泣いて、また笑う」ライブの理想形。
ロビーでは学生ボランティアが平和メッセージボードを運営、
付箋の言葉が万華鏡みたいに増えていった。
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稚内—「宗谷の風、最北の約束」
旅の終点、稚内市民会館。
窓の向こうに広がる北の海、
ファイナルは大合唱「未来へ(ツインズ・アレンジ)」。
エンディングMCで光子が一歩前へ。
「婚約、たくさんのお祝いありがとう。
笑って生きること、隣に寄り添うこと、
この夏、みんなと約束できた気がします。」
優子が続ける。「また来るけん。何度でも。」
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セットリスト・ハイライト
•Opening Chant「てぃんさぐぬ花(合唱版)」
•新曲「Promise in Pink & Blue」
•組曲「手紙—未投函の空へ」
•「Ave Maria(JPN Ver.)」/「喜びの歌(Gospel Crossover)」
•「きざはし」(輪島初演)
•「千羽鶴—One by One」
•「上を向いて歩こう」「未来へ」合唱コラボ
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ツアーの余白(MCの断片)
•「平和って“遠い大文字”じゃなくて、今日の晩ごはんの笑い声やと思う」
•「悲しみには手を取り、笑いには手を叩く。どっちの手も、離さん。」
•「婚約指輪は“誓いのリズム”。拍を刻むたび、約束が強くなるけん。」
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反響とこれから
各地の学校・自治体と連携した合唱は延べ1,200名。
配信アーカイブのチャリティ視聴は目標の180%を達成。
寄付は震災復興・子どもの学資・平和学習プログラムへ。
夏が終わっても、誓いは終わらない。
“Peace & Promise”は、次の季節に続く—
歌と笑いと、手のぬくもりを携えて。
秋学期、譜面台の上で転ぶ笑い
慌ただしいツアーの夏が過ぎ、東京の大学は落ち葉のにおい。朝いちの作曲科演習は、黒板に巨大な和声進行、教室の空気はすでにドミナント。
「では各自、夏に書いた主題を“秋色”に再配色してみてください」
白髪の若月教授がチョークを置くと、光子がすっと手を挙げた。
「先生、“秋色”って具体的には?」
「君たちが感じた秋。音域、音色、休符の間—それらを秋の温度にせよ、ということです」
隣で優子が小声で囁く。
「(秋の温度って…摂氏何度やろ)」
「(たぶんテンポで表す温度。bpm=落ち葉秒速)」
二人のささやきに、同級生たちがニヤリ。若月教授も目尻を下げた。
「その“秒速”の比喩、講義後に提出メモに書いておきなさい。採点は甘くならんが、笑いには弱い」
譜面台の林のような教室で、ペン先が一斉に走り出す。光子はコントラバスを模した低音主題を、クラリネットで薄く縁取り、優子は打楽器のロールを“風”に見立てて、弱音で隙間をあける。「間」を秋にする。
「優子、そのシンコペ、風じゃなくて落ち葉の跳ね方に聞こえるね」
「よし、じゃ落ち葉が調子乗ったとよ、って注釈つけとく」
「注釈でボケるな、譜面でボケろ」
「はい先生(すみません先生)」
昼の声楽レッスンは〈ドイツ歌曲〉。発声室にピアノの頭が艶めき、音楽棟の廊下までリートが沁みる。
「二息で語るの、忘れない。言葉の母音に色を」
伴奏の和音に乗せて、光子が〈万霊節〉を、優子が〈菩提樹〉を歌う。二人の息が重なるたび、夏の残り香がすっと引いて、空気は澄んだ。
「うん、良くなった。笑いの間も上手いが、歌の“間”も育ってる」
師事する秋庭先生が微笑むと、優子が軽く会釈して言う。
「先生、笑いの間は家系ですけん」
「遺伝子が羨ましいよ」
放課後。学食テラスに夕陽が差し、ミントティーの湯気が揺れる。スマホが「ピコン」。グループ通話の表示に“春介&春海—幼稚園爆笑通信(秋学期)”。
「来た来た。チビツインズ、定期配信再開や」
画面がつながる。小さな二人が、園の壁面制作「秋の実り」の前で胸を張る。栗・柿・ぶどう—そしてなぜか“たまゴジラ”。
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「幼稚園爆笑通信・秋」生配信
春介「おねえちゃんたち〜、本日のニュースです!」
春海「園庭のスズメさん、パンくず食べすぎ注意報発令〜」
春介「理由は〜、メタボ一直線!」
春海「対策は〜、玄米をよく噛む!」
光子「いやスズメに食育!」
優子「園の広報レベル上がっとる!」
春介「続いてスポーツ。今日は鉄棒!」
(カメラがぐらり、春介が前回り)
春海「解説します。手は“フック”、お腹は“タック”、心は“グッドラック”」
優子「韻ふんどる!」
光子「もう解説の語彙、うちらの野球中継を越えよる…!」
春海「文化のコーナー。秋の歌をお送りします」
(ふたり、真顔で即興ラップ)
春介「♪どんぐりころころ どんブレイク!」
春海「♪先生笑いころころ 腹筋ブレイク!」
光子「先生に謝れぇ!」
優子「…でも完成度高いと!」
春介「本日の研究テーマ。“落ち葉はなぜ落ちるのか”」
春海「結論。木の気分」
春介「追加結論。風のノリ」
光子「量子レベルの自由研究やん」
優子「先生、“秋の温度”ってこういうこと?」
(画面の向こう、カメラ外から美香の声)
美香「はいはいニュースキャスターさんたち、ごはん前に手洗い〜」
春海「速報!ごはんはカレー!」
春介「決定!おかわりは無限!」
光子「保護者会に呼ばれるやつ!」
優子「無限はダメ、有限!」
春海「最後に重大発表。おねえちゃんの“黒歴史”を—」
光子・優子「ストーップ!!」
春介「(小声)プロポーズの練習台詞、録音に成功…」
春海「(小声)機密保持費はカレー二杯」
光子「裏取引するな!」
優子「相場が安か!」
(画面が揺れて、アキラの笑い声、美鈴園長の「うちの園は今日も平和〜」)
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通話が切れると、二人はしばらくテーブルに突っ伏して笑った。
「…はぁ、秋学期、最初から飛ばしすぎやろ」
「でも、あの“二息で語る”は、あの子らの配信にも生きとるっちゃね」
光子が紙コップを指で弾く。「二息」ぶんだけ、カランと澄んだ音がした。
「歌もギャグも、間で決まる。秋は“間”の季節やね」
「うん。じゃ、課題の“秋色アレンジ”、もう一息詰めて帰ろ」
「帰ったら、チビニュースの“黒歴史対策会議”もや」
「議題:機密費の相場改定」
「決議:カレーは一杯まで」
二人は譜面ファイルを抱えて立ち上がる。夕焼けのキャンパスに、軽い足音。
秋の空気は少し冷たく、でも胸の奥はあたたかい。
歌うこと。笑うこと。寄り添うこと。
その全部が、また新しい学期のはじまりを、やさしく照らしていた。
音大女子寮・爆笑通信余波編
「光子と優子の妹弟パワーで、寮壊滅寸前」
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◆小雪(クラリネット専攻・3年)
「……ムリ、腹筋もたん……!」
春介と春海の“メタボスズメニュース”を見て、譜面ファイルを抱えたまま床に崩れ落ちた。
「“風のノリ”って何!? 量子論より難しいって!」
笑いすぎて涙が出ながら、
「これ、テンポ的には6/8拍子やね」と分析しはじめ、さらに爆笑の連鎖を起こす。
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◆ソフィーア(ウクライナ出身・声楽科)
「ミツコとユウコ、妹弟までコメディアンなの!?」
半分日本語、半分ウクライナ語で叫びながらベッドの上を転げ回る。
「Ха-ха-ха!(ハハハ!)」と笑いすぎて息切れ。
やがて涙を拭い、
「世界が笑えるって、ほんとうに平和ね」と呟いた瞬間、
静まり返った寮内に再び爆笑が巻き起こる。
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◆寮長・松原先輩
「静かにー!……って言っても、これ無理やね」
笑いながら湿布を配り、談話室の掲示板に貼り紙。
【注意】春介・春海の爆笑通信配信後は、ストレッチをしてから寝ましょう。
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◆談話室の惨状
・ピアノ科女子が床で笑い転げ、
・声楽組は紅茶を吹いて窓ガラスを曇らせ、
・「腹筋やられた〜!」を合唱科が三部ハーモニーで叫ぶ。
「もう“幼稚園爆笑通信”は副科にしたらええやん!」
「単位もらえるなら真面目に受けるっちゃ!」
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◆翌朝の朝食時
学務課に提出された“授業遅刻理由書”の備考欄には、
原因:チビツインズによる腹筋崩壊
の文字が並ぶ。
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◆光子と優子の部屋
スマホを見ながら、光子が肩を落とす。
「なんか寮全体、うちらより腹筋鍛えとらん?」
優子が紅茶をすすりながら笑う。
「この調子じゃ、“笑いの筋トレ講座”でも開講せんとね」
窓の外から秋風が吹き抜け、
寮の中ではまだ笑い声が響いていた。
音大女子寮——今日も“爆笑発電所”として、絶賛稼働中。
朝の講義前 音大中庭コント劇場
「コスモス三姉妹のバチバチ花壇バトル」
⸻
秋の柔らかい光が差す音大の中庭。
花壇の端っこで、白・赤・薄紅のコスモスが並んで揺れていた。
それを見つけた光子と優子、講義前のテンションそのままに、即興コントを開始。
教室前の廊下には学生たちが集まり、朝から笑いの渦が巻き起こった。
⸻
光子(白コスモス役)
「ちょっと! 赤さん、また陽の当たる方ばっか向いて!」
両手を腰に当て、花びらを揺らす仕草。
優子(赤コスモス役)
「はぁ? あんたこそ“清楚ぶり”すぎやろ!
みんなに“癒やし系コスモス”とか呼ばれて調子乗っとるっちゃないと?」
小雪(薄紅コスモス役/乱入)
「まぁまぁ、秋風に身を任せて、穏やかに……」
と優しく言いながら、風に揺れる真似をした瞬間——
白&赤コスモス、同時にツッコミ。
「薄紅、風任せすぎやろ!」
⸻
バチバチの花壇トーク
朝の講義前 音大中庭コント劇場
「コスモス三姉妹のバチバチ花壇バトル」
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秋の柔らかい光が差す音大の中庭。
花壇の端っこで、白・赤・薄紅のコスモスが並んで揺れていた。
それを見つけた光子と優子、講義前のテンションそのままに、即興コントを開始。
教室前の廊下には学生たちが集まり、朝から笑いの渦が巻き起こった。
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光子(白コスモス役)
「ちょっと! 赤さん、また陽の当たる方ばっか向いて!」
両手を腰に当て、花びらを揺らす仕草。
優子(赤コスモス役)
「はぁ? あんたこそ“清楚ぶり”すぎやろ!
みんなに“癒やし系コスモス”とか呼ばれて調子乗っとるっちゃないと?」
小雪(薄紅コスモス役/乱入)
「まぁまぁ、秋風に身を任せて、穏やかに……」
と優しく言いながら、風に揺れる真似をした瞬間——
白&赤コスモス、同時にツッコミ。
「薄紅、風任せすぎやろ!」
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バチバチの花壇トーク
白コスモス(光子):「見た目清楚でも、根はしっかりしとるとよ!」
赤コスモス(優子):「うちは情熱やけん!光も水も愛も全部欲しいと!」
薄紅コスモス(小雪):「うち、雨の日は休む主義やけど…何か問題でも?」
全員:「あるわぁぁ!!!」
観客の学生、腹を抱えて笑う。
声楽科の先生までドアの影から覗き、
「えぇい、朝から腹筋崩壊させるな〜!」と突っ込みながら拍手。
⸻
オチ:合唱コスモス
光子「せっかくやけん、最後に仲直りの歌いくよ」
優子「題して、“三色コスモスのハーモニー”!」
三人で即興アカペラ。
白は清楚〜 赤は情熱〜
薄紅は〜 たまにサボる〜〜〜
観客(全員):「サボるんかい!!!」
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笑い声がこだまする中、チャイムが鳴る。
教授が教室のドアを開けて言った。
「講義の前に、腹筋を鍛えさせてもらったよ。
——さ、今日も“音楽と笑い”でいこうか。」
教室は拍手と笑い声で満たされ、
音大の朝が、秋空のように晴れやかに始まった。
白コスモス(光子):「見た目清楚でも、根はしっかりしとるとよ!」
赤コスモス(優子):「うちは情熱やけん!光も水も愛も全部欲しいと!」
薄紅コスモス(小雪):「うち、雨の日は休む主義やけど…何か問題でも?」
全員:「あるわぁぁ!!!」
観客の学生、腹を抱えて笑う。
声楽科の先生までドアの影から覗き、
「えぇい、朝から腹筋崩壊させるな〜!」と突っ込みながら拍手。
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オチ:合唱コスモス
光子「せっかくやけん、最後に仲直りの歌いくよ」
優子「題して、“三色コスモスのハーモニー”!」
三人で即興アカペラ。
白は清楚〜 赤は情熱〜
薄紅は〜 たまにサボる〜〜〜
観客(全員):「サボるんかい!!!」
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笑い声がこだまする中、チャイムが鳴る。
教授が教室のドアを開けて言った。
「講義の前に、腹筋を鍛えさせてもらったよ。
——さ、今日も“音楽と笑い”でいこうか。」
教室は拍手と笑い声で満たされ、
音大の朝が、秋空のように晴れやかに始まった。




