次世代
次世代
そうやねぇ。次の世代、ちゃんと芽ぇ出てきとる。
はなまるツインズのバトン、しっかり受け継いで、博多南小ば毎朝“笑顔発電所”にしちゃろ。
光子「うちらの役目は、もう“主役”だけやなか。育てる側にも回らなね。」
優子「笑いの作り方、安全んこと、相手ば思いやる間――ぜんぶセットで教えちゃろ。」
光子「まずは“ちびっこコント教室”やね。月イチで台本づくり&ツッコミ練習!」
優子「“腹筋保護ストレッチ”も入れとこ。整骨院行きコースは大人だけで充分やろ?」
光子「合言葉は“起立・礼・笑顔!”」
優子「そして“ほどほどパンくず”も忘れんごと!」
二人「よっしゃ、次の世代、全力で背中押すばい!」
「スズメの夫婦、ダイエット宣言!?」〜春海の爆笑ネタ〜
幼稚園の午後。お絵描きの時間が終わると、春海は立ち上がってニコッ。
「きょうね、すずめさん、けんかしよったと〜」
先生もお友達も首をかしげる。
春海は小さな体で、まるで漫才師のように腰に手を当てた。
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春海(スズメの嫁さん役)
「あんた!またパンくずばっか食べて!最近お腹出とるやん!」
春介(スズメの旦那役)
「そげん言うても、あれしか落ちとらんとよ〜」
春海
「落ちとらんけん拾いに行きなさい!このままやとメタボすずめになるけんね!」
春介
「メタボって……鳥でもなると!?」
⸻
子どもたち「きゃはははは!!」
先生「春海ちゃん、春介くん、息ぴったりね〜!」
しかもその後に春海がとどめの一言。
「お母さんが言いよったもん、スズメも糖尿病なるって!」
もうクラス中が崩壊。先生は笑いすぎて涙。
その瞬間、「爆笑伝説・博多南幼稚園版」誕生。
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放課後、家でその話を聞いた光子と優子。
「……うちらのDNA、確実に受け継がれとるね」
「いや、うちらより完成度高くない!?」
アキラと美香も腹抱えて笑い、
優馬は「この家系、もうお笑い遺伝子やな…」とため息混じりの笑顔。
整骨院の先生は、またも予約表を開きながらつぶやく──
「小倉家、次の世代もヤバい。」
すずめとツバメのカンタービレ」
四月の風が、寮のカーテンをふっとふくらませた。光子は譜面台の前で鉛筆を転がし、優子はスティックで机の端を小さく「コツン、コツン」と叩いている。音大二年の春、作曲課題──“未発表の自作曲を作り、学内で発表せよ”。
締切は二週間後。ふたりの視線は、窓の外の電線に止まった小さな影に吸い寄せられていた。
「……おった。すずめ夫婦」
「きょうは喧嘩しとらんね」
すずめが短く鳴く。もう一羽が首をかしげる。微妙にずれた“間”。そのたわいない仕草のリズムが、光子の胸で跳ねた。
「……優子。三拍子で始めよっか」
「ワルツっちゃ?」
「ううん、“すずめの歩幅”。一歩、チュン。二歩、チュン。三歩目でちょい立ち止まる。ほら、あの“間”」
光子はベースを抱え、最低音の弦を軽くはじいた。ボン。部屋の空気が丸く震える。優子がスネアの代わりにノートの背を叩き、ハイハットの代わりにペットボトルキャップを指先で弾いた。チ、チ、コツン。
「一・二・チュンで、溜め。……よかね、これ」
笑いが、ふっと零れた。
最初の旋律はメモの隅から生まれた。光子が「朝の通学路の色」を書き足し、優子が横に「パンくず注意」と落書きする。三和音が寄り添い、#や♭が頬を染めるように現れて、また遠ざかる。
「第1楽章は、序奏――“すずめのモーニング・ウォーク”」
「テンポは……♩=112。ぎらぎら速すぎんで、元気に。」
「で、ツバメが乱入してきたら、ちょいテンポ上げる」
「ふふ、**“嫁さんの説教”**のとこだけテンションコード増やしとこ」
譜面が笑った気がした。
翌日。校内の小さなスタジオ。二人は簡易録音を回しながら、音の輪郭を確かめる。
ベースは路地の影みたいに低く、ドラムは朝の信号みたいに正確だ。ときどき優子がカホンに座り、素足で床を踏む。「ドッ、ドン、ッタン」。
「ここ、“羽ばたき”入れたい」
「わかった。バスドラ細かく踏んで、スネアを“ふわ”に叩くね」
優子のスティックが皮に触れる直前、ほんの一瞬、空気が柔らかくなる。その“ふわ”がベースのロングトーンに重なると、翼が開く気配がした。
「飛んだ」
光子が笑って呟く。
「飛んだね」
優子も笑う。
第2楽章はワルツ調の間奏、「愛しのパンくずセレナーデ」。
「パンくずって、落ちてく時は軽いけど、拾う時はちょっと重いやん」
「わかる。音で“ふわ落ち、どさ”、描けるね」
光子はベースのグリッサンドでパンくずを滑らせ、優子はカホンの角を指の腹でコロコロ転がし、最後に軽い指パッチンで“地面に触れる音”を置いた。
三つ目の小節で光子のソロ。溜め息のような短いフレーズが、窓から差す光にほどけていく。
「ここ、嫁さんのため息ね」
「じゃ、次は旦那の言い訳でドラムソロ入れる」
スネアの連打が「いや、違うっちゃん、ほんとに」「その、仕事が」「今日だけ特別」を喋り、ハイタムが「うそやろ」と笑う。
録音を止めた時、ふたりとも肩で息をした。
「……音で漫才しよる」
「うちらの言葉、音で言い直しただけやもんな」
**終曲、第3楽章「ツバメとスズメの飛翔」**は、ファンクとクラシックの握手だった。
光子がベースで食い気味のリフを刻み、優子が16分のゴーストノートで空気に粒を撒く。ピアノの代わりに寮の古いアップライトを借りてきて、和音を春みたいに明るく塗った。
「最後は一回、全部止めよ」
「リタルダンドからの“静寂”?」
「うん。で、ベースの“ポンッ!”で終わる」
「ステージの客、絶対笑うよ」
「笑わせる。笑って飛ばすための曲やもん」
練習の合間、ふたりはいつものように言葉でネタ出しをする。
「MC、どう言う?」
「“すずめ夫婦”は、高脂血症に高血圧に高血糖、言い過ぎ注意って一言添えとこ」
「保健の先生に怒られん程度にね」
「“ほどほどパンくず”も合言葉に入れよ」
二人の笑い声が、譜面に小さなしわを作っていった。
発表当日。室内楽ホールの袖で、光子はベースのネックを撫で、優子はスティックを手の中で一度回す。客席には、同級生、教授陣、一般の来場者。最前列には、偶然オフが重なった春介と春海、膝に手を置いて目を丸くしている。
照明が落ち、スポットが二人を包む。
光子が一歩、マイクに近づく。
「……はじめましての方も、おひさしぶりの方も。わたしたちの曲は、笑いと音を一つにしたい、という欲張りから生まれました。タイトルは『すずめとツバメのカンタービレ』。どうぞ、笑って聴いてください」
優子がうなずいた。「起立・礼・笑顔」のリズムで、軽くスティックを掲げる。
第1楽章。
ベースの“ボン”が床を丸く震わせ、ドラムが「チ、チ、コツン」と歩幅を配る。すずめのステップが譜面に息を吹きこみ、左手のロングトーンが“朝の影”を延ばす。
途中、テンポがひゅいと上がる。ツバメが画角に滑り込んだ合図。
優子がニヤッと口角を上げ、スネアにささやきをのせる。
客席にクスクスが伝播する。教授の一人が、眼鏡の奥で微笑んだ。
第2楽章。
ピアノの和音がやわらかく降り、ベースのグリッサンドがパンくずを宙に浮かせる。
カホンの角で転がした指先が、床に淡い影を作る。
光子のベースソロは、絶え間ない日常の中の小さなため息。優子のドラムソロは、愛嬌のある言い訳。
客席から、忍び笑いが何度も立ち上る。
春海が、椅子の上で小さく拳を握った。
春介は、となりの大人さながらに「うん、よか」と頷く。
第3楽章。
ファンクの輪郭がくっきりと浮かび、ピアノが明るい春色を重ねる。二人の合図は目の奥で交わされ、テンポがひそやかに上がる。
笑いとともに、客席の肩がほぐれていく。
やがて、すべての音が一拍の前で呼吸を止めた。
――静寂。
世界が一瞬、息を潜める。
その静寂の中心で、光子の右手が弦を軽く弾いた。
ポンッ。
弾けた泡みたいな音に、ホールがどっと笑い、同時に拍手が爆ぜた。
幕が下りるほどの拍手はない。けれど、腕に伝わる熱は確かだった。
袖に戻ると、作曲科の教授が歩み寄ってきた。銀縁の眼鏡が、やわらかく光を弾く。
「君たちは“笑い”という文脈で音楽を組み直した。
仕草、間、生活の音……それらを記譜して、演奏に落とした。**これは立派な現代の“カンタービレ”**だよ」
深くうなずく。
「演奏も見事だった。音で、やさしく人を抱く……そういう音楽を続けなさい」
楽屋に戻ると、春海と春介が小走りで飛び込んできた。
「みっちゃん、最後の“ポンッ”最高やった!」
「ゆうちゃん、“コツン×3”で止まるの、保育園でも使える!」
「保育園やなくて幼稚園やろ」
「それそれ!」
小さな手が、二人の指に絡む。温かい。心臓の鼓動と同じ速さで、笑いが音符に戻っていく。
夜。寮の部屋。ベッドサイドの灯りの下、光子はピックを指ではじき、優子はスティックで枕を軽く叩いた。
「……うちら、音楽で何したかったっけ」
「笑って、生きる力をちょっと増やすこと」
「やね」
静かな間。窓の外で、電線に何かが止まる気配。
「次は“ツバメの帰郷”作ろっか」
「よかね。スピード出しすぎ注意の標識も入れとこ」
「“コツン×3”忘れんごと」
ふたりは同時に笑った。笑い声が薄い壁を通り抜け、夜の廊下にすっと溶けていく。
翌朝、提出用のスコアの表紙にタイトルを清書する。
『すずめとツバメのカンタービレ ──ベースとドラム、そして日常のための三楽章』
最後の句点を置いたとき、遠くでチャイムが鳴った。始業の合図。
光子はベースを背負い、優子はスティックケースを肩にかける。
「行こか」
「行こ」
扉が開く。春の風が、楽譜の端を一枚めくった。そこにはまだ何も書かれていない、次の余白が広がっていた。
「連休は味スタで“笑援”やけん!」
課題発表が終わるや否や、寮は一気に静かになった。みんな実家や旅先へ散っていき、廊下に響くのは掃除機の低い唸りだけ。
「今年のGWは都内で充電しよ」
「うん。で、アビスパがヴェルディ戦で来とるやん?行こ!」
二人は即決。背中に薄手のブルゾン、首にはアビスパマフラー。手には双眼鏡と、いつもの“笑いの非常食”=ネタ帳。
到着した味の素スタジアムは、初夏の風が気持ちいい。緑と紺の旗がゆらぎ、スタ飯の匂いが混ざり合う。
「うわ、ソーセージの行列、キーパーより堅い守備しとる」
「VAR(並び直し)入るね、これ」
早速ツッコミを入れつつ、二人はメインスタンドの端っこへ。周囲の家族連れや会社仲間のグループに軽く会釈して、着席。
「今日のカギはサイドの幅と切り替え。うちらのMCも“切り替え”早いけん負けられん」
「切り替え言いながら、私はコーンポタージュに切り替えよ」
「それ“味”の切り替え!」
ウォームアップからテンションは高い。選手紹介のBGMに合わせて、光子がベースのエアフレーズ、優子はスティック代わりにマフラーをクルクル。
「今日も一緒に笑って勝ち点3!」
「笑援パワー注入ー!」
近くの少年がクスクス。お父さんも肩を震わせる。
キックオフ。序盤、ヴェルディのパスワークが細かく繋がる。
「うわ、小刻みドラムみたいやね」
「なら**ベースのドン!**で止めよ、いけーー!」
アビスパがボール奪取、カウンター一閃。サイドがえぐってグラウンダーのクロス!
「来た来た来た——!」
「はい“面白ポケット”!」
ニアで合わせたシュートは惜しくもポスト。スタンドから「あぁ〜っ」。
「ポスト:今日は中立です」
「主審:判定に異議は認めません」
周りの観客、肩を震わせながらも拍手。
前半20分、CK。
「ここ、ニアで弾いて、セカンド拾ってドンのやつ!」
蹴った。弾かれた。拾った。打った。
「ドン!!」
ゴールネットが揺れる。スタンド、爆発。
「入ったばいーー!」
「うちらの**“ドン”も効いたね!**」
ハイタッチが連鎖して、隣の席まで波及。見知らぬおじさんにまで「ナイス“ドン”!」と言われ、二人でぺこり。
給水タイム。
「この唐揚げ、プレス強度高っ」
「レモン搾ったら陣形可変した(味変)」
「監督、追加のマヨ投入お願いします!」
向こうのベンチまで届きそうな茶々に、周囲は爆笑。小さな子が真似して「マヨ投入〜」。
後半、ヴェルディが押し返す。PA内の競り合いで相手倒れる。
「やば、VAR入る?」
場内「VARチェック」。静けさが落ちる。
「……ドキドキ、どっちだ判定!」
「映像見ても笑顔はオフサイドじゃないけん!」
結果はノーファウル。拍手!
「正義は笑顔にあり!」
近くの女性グループが「座布団一枚!」と親指を立てる。
終了間際。アビスパがカウンター、GKと1対1。
「決めてGWに勝ち点土産ばい!」
シュート、ゴール。2-0。試合終了のホイッスル。
「アビスパ勝ったーー!」
「東京で“博多の笑い”炸裂やね」
知らないお兄さんに「今日いち笑ったの、あなた達の**“味変=可変陣形”**でした」と握手され、二人も満面の笑み。
帰り道。夕焼けの武蔵野台地に風が通る。
「なんか、90分の即興漫才やった」
「うちらのネタ帳、スタジアム対応版に増補しよ」
「タイトルは『ボールは丸い、笑いも丸い』」
「よかね。次はPayPayで凱旋“笑援”や」
電車に揺られながら、二人は今日の“口グセMVP”を決める。
「私は“VAR(並び直し)”」
「私は“味変=可変”」
SNSに短いポストを投げると、通知がやさしく弾けた。
今日は味スタで“笑援”。ボールも笑いも丸かった。#アビスパ #ヴェルディ戦 #笑援パワー
寮に戻れば、廊下はまだ静か。部屋の窓を開けると、遠くで連休の花火が小さく咲いた。
「連休、ゆっくりって決めたけど、心は全力疾走やね」
「うん。笑って休むのがいちばん効く」
二人はマフラーを椅子に掛け、冷たい麦茶で小さく乾杯した。
「勝ち点3と、笑い点∞」
「ごちそうさま。明日も生きてく元気になった」
話「海風とサインと“笑援”——里崎さんと解説席で」
潮の匂いを含んだ風がスタンドを抜ける。ZOZOマリンスタジアム、マリーンズ対ホークス。解説席には元捕手の里崎智也さん、そしてゲスト解説に光子と優子。ヘッドセットを合わせると、里崎さんがニヤリ。
「今日はよろしく。てかさ——君ら、俺より野球詳しいやん。俺が教えてほしいわ!」
「いやいや、里崎さんの“配球解説”で育った世代ですけん!」
「うちは“さとチャンネル”でサイン盗…違う、**サイン“読解”**の勉強しました!」
「おいおい、“盗む”は言い方や!(笑)読みね、読み!」
———プレイボール。
「初球、外スラ見せて高さのジャッジを測る意図ですね」光子。
「キャッチャー、今日はインサイド使いが大胆。序盤から“奥行き”作りよう」優子。
「うん、外→外→内、でバットの差し込みテスト。ここで浮いたら危ない——」
ズバン! インハイ直球で見逃し三振。
「刺さった!“里崎配球”の教科書どおりです」
「いや俺の名前つけるな!(笑)でも正解!」
2回。マリーンズがランエンドヒットを仕掛ける。
「これ、キャッチャーのサインは“2-7”(外スラ)。投手のリリースが一瞬遅れたね」光子。
「二遊間の**“逆シフト寄り反応”が半歩早かった。これで長打を単打処理**に変換」優子。
「“守備のビート”が合っとる。ドラマー視点おもしろいねぇ」
3回、ホークスの若手がバントの構えからヒッティングに切り替え、ライト前。
「見せバント→ヘッドの返しの角度、完璧」光子。
「キャッチャー配球の“間”に乗ったね。テンポの奪い合いで勝ち!」優子。
「うん、“間”って実は配球最大の球種だから。いや、今日の二人、マジで語彙がプロ」
中盤。里崎さんが急にボケる。
「ところでさ、今日の風、マリン名物“逆風メジャー”やから、フライはハイハットで刻む感じで——」
「じゃあバックスクリーン直撃=ツーバスですか?」
「外野フェンス直前の失速はスネアのゴーストノートやね」
「おい、音楽で野球を解説するな!(笑)でも伝わるのが悔しい!」
7回、ホークス・代打。カウント2-2。
「ここ、スプリット見せ球→バックドアのカットで止め刺し」光子。
——カットボール、見逃し三振。
「ビンゴ。打者、始動止まったね」優子。
「いやホンマに当てるなぁ…俺より当てるのやめて(汗)」
終盤、1点差でホークスリード。守護神がマウンドへ。
「初球は**“置き直し”のストレートでストライク取りたい」光子。
「でも真ん中高めは風で伸びん**けん、膝元ツーシームで詰まらせよう」優子。
——ボテボテのセカゴロ、ゲームセット!
「ナイスゲーム!」
「今日は“風×配球×テンポ”の勝利でしたね」
エンディングのとき、里崎さんがマイク越しに一言。
「結論。小倉ツインズ、解説も一軍。俺、次は**捕手目線の“サイン会議”**一緒にやりたいわ」
「その回のタイトルは**『サインはVTR』**で!」
「VAR(ビデオ判定)みたいやん!(笑)」
⸻
ヒーローインタビュー(爆笑拡張版)
MC「本日のヒーローは、決勝打と再三のファインプレー、ホークス・若鷹◯◯選手です!」
観客「ワァァァーー!」
光子「まず聞かせてください。あの決勝打、配球の“間”を食ったのか、風を食ったのか、どっちです?」
選手「え、えっと……両方、食いました!(笑)」
優子「今日の風、スナップえんどうくらい“シャキッ”としてましたけど——」
選手「例え難っ!(笑)でも確かに風読みはしました。あそこで逆方向ですね」
MC「守備も光りました。7回のあのダイブは?」
選手「打球が“スネアのゴースト”に見えたんで……つい叩いちゃって(捕っちゃって)」
里崎(袖から乱入・無線ON)「**音楽で説明すな!**でも伝わるのが悔しい!」
観客「ハハハハ!」
光子「最後に全国の少年少女へ、今日の勝利を一句で」
選手「え、一句!? じゃあ……
風読んで 間も読んで 笑い勝ち」
優子「座布団三枚! そして勝ち点は三!」
MC「本日のヒーローは◯◯選手、そして“笑援解説”の小倉ツインズと里崎さんでしたー!」
観客「ワァァァーー!」「笑いすぎて腹いてぇー!」
——バックスクリーンに映る**“本日の名フレーズ”**。
風も配球もテンポも、“笑い”でほどける。
野球×音楽=最強。
解説席を降りると、スタッフが小声で耳打ち。「視聴率、前回超えらしいです」
海風が頬を撫でた。
「次の現地はどこ行く?」
「“球春”は終わらん。夏も秋も“笑援”続行や」
二人はマフラーを肩にひらり。スタンドから、まだ笑い声が残響していた。
今日の格言 〜爆笑と真理のはざまで〜
光子と優子は、東京音大の構内にあるカフェテリアのテラス席に腰かけていた。
春の日差しがやわらかく差し込み、テーブルの上にはいつものノートパソコンとコーヒー。
二人の脳内には、新しいギャグと新しい音楽のリズムが共存していた。
「なぁ優子、うちらってさ、どんな時も爆笑してきたやん?」
「うん、笑いはうちらの武器やけんね。でも、時々思うとよ。笑いって、逃げやなくて、立ち向かうための盾でもあるっちゃ。」
光子は少しだけ表情を和らげ、ペンをくるくると回した。
「そやね。誰かが泣いとる時に、うちらが笑いを届けられたら、その人の涙、ちょっとは乾くかもしれんやん。」
優子はコーヒーをすする。
「つまり今日の格言はこうやね——」
光子と優子(声を揃えて)
「“笑いは最強の防音壁。悲しみの音を、優しく包み込む。”」
二人の声は、カフェにいた学生たちの笑顔を引き出した。
拍手が自然と起こる。
それを見た光子が小さくツッコミを入れる。
「なんか、うちら、真面目な話しよる時も笑い取ってしまうんよね」
「しょうがなか。DNAにギャグが刻まれとるけん」
──そしてこの“格言シリーズ”は、SNSでも恒例化。
ハッシュタグ「#今日の格言」は、投稿するたびに数十万件のリアクションを記録する。
コメント欄には、
「泣けるのに笑えるって何?」
「光子と優子の言葉、今日の活力!」
「この双子、笑いの哲学者やん」
といった声が溢れ、番組『夕方笑顔NIPPON』でも特集が組まれる。
アナウンサー:
「次のニュースです。全国で笑顔があふれる“光優格言”旋風が拡大中。専門家によると、彼女たちの言葉には“ポジティブ心理学的効果”があるとか——」
優子:
「ポジティブ心理学?なんか難しそうやけど、うちらに言わせたら、腹の底から笑ったもん勝ちやけんね!」
光子:
「せやけど、笑いすぎて腹筋崩壊する人、整骨院の予約は早めにね!」
スタジオ爆笑。
そして、画面下には恒例のテロップが流れる。
【今日の格言】
“笑顔は伝染する。しかも、感染力は最強クラス。”
──この日も、日本中に“笑いの抗体”が広がっていった。




