園内恋バナ緊急会見?
寮ラウンジ/深夜の“職人工房”ミーティング
•光子「笑いは工芸品。下ごしらえガチ→本番は脱力」
•優子「“面白い”の前に“整える”。だからうちら毎回これやる↓」
5分ドリル(真面目にふざける稽古)
1.無音10秒:全員で黙って目だけ合図。
2.2-5-2手拍子→ピタ停止:音の“切り”を磨く。
3.3拍ディレイ拍手:反響のある会場用。
4.アイコンタクトだけでオチ誘導:声を使わない段取り。
5.深呼吸BPM60:暴走しそうな笑いを“整える”ブレーキ。
職人の七つ道具
タイマー/メトロノーム/タオル/のど飴/ホワイトボード/モバイルバッテリー/サロンパス(腹筋用)
ソフィーア「まとめます。“Professional silliness is serious business(真剣なふざけは、真剣な仕事)”」
全員「はんこ、ドン!」(ダンボール製“職人免許”を自作で授与)
光子「次の現場はマリンで“沈黙の職人芸”いこ」
優子「無音→拍手の一撃で、今日も真面目に笑い取りに行きます!」
土曜ひるさがり「園内恋バナ 緊急会見」
ピコン。
画面いっぱいに春介、横からほのか、もう一方から春海、そして後ろでみなとがピョコ。
光子「四人そろってるの珍しいね。なにが起きたの?」
優子「はい、ただいまより“園内恋バナ 緊急会見”を開始しまーす」
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第1部:春介サイド
ほのか(マイク代わりの積み木を握って)
「質問です! きのう幼稚園で春介くんの左右に女の子が座った件、**彼女(=わたし)**がいるのにどういうおつもりですか!」
春介(胸に手)
「えー、園内の風向きの問題で、左からは“おやつかぜ”、右からは“おしゃべりかぜ”が…」
ほのか「風のせいにしたっ!」
春介「じゃ、証拠映像です」
(お決まりのハイパー誘惑ウィンク→空中にチュッ)
ほのか「……はいメロメロになりました。無罪!」
(自分で判決を出して照れる)
優子(小声)「判事ちょろすぎ問題」
光子「でも平和になったならヨシ」
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第2部:春海サイド
春海(胸を張って)
「きのう、まえと左右に男の子が座って『ぼくとけっこんしてください!』って三方向から言われました。
それでわたし、『すきなひとがいるの』って言いました。…はい!」
みなと(ガバッと前に)
「それって、ぼくのこと?」
春海(即答)
「べつに。……たぶん」
みなと「“たぶん”ってなに!?」
(床に倒れこんでジタバタ)
春介
「おいおい、虹色の希望を出してから消すの、やめてあげて!」
春海「じゃあ、みなとのがんばりをみてけんとうします」
(ペコリ)
みなと「がんばります! あしたからお当番増やす!」
優子「努力の方向は正しい」
光子「現実的な加点方式、好き」
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第3部:クロス質疑
ほのか「春介くん、つぎに左右に座られたらどうするの?」
春介「中央宣言します。『ぼくはまんなかのほのか派です』」
ほのか「よくできました(満面)」
みなと「春海ちゃん、ぼくになにしたら加点ですか」
春海「おやつをわける勇気と、すべり台で先に行かせるやさしさ」
みなと「(メモ)了解!」
春介「じゃ、最後に共同声明」
四人そろって、せーの——
「けんかしない/やきもち言葉はやわらかく/おやつは半分こ!」
(拍手)
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優子「本日の会見は以上です」
光子「記念撮影——って、ちょ、春介近い近い!」
春介がドアップでまたウィンク。
ほのかはハート目、みなとは気合のガッツポーズ。
春海は一拍おいてから小声で「……やっぱりちょっとメロったかも」と自白。
優子「セルフ暴露! きょうのMVPは正直です」
光子「ごほうびはクッキー。全員半分こな?」
四つの手が画面越しにぱぁっと広がって、
土曜の午後は、平和に、そして盛大に笑いながら閉幕した。
ビデオ通話の画面が四分割。
左上にアキラ、右上に美香、左下に光子、右下に優子。その下から春介と春海がぴょこん。
アキラ「——で、あんたたち何やってんの〜?」
美香「みっちゃん、ゆうちゃん、ごめんねぇ。報告。じいじとばあば、笑いすぎて腹筋つったって。」
光子「む…無事!?」
美香「生きてる生きてる。サロンパス貼って**“無音でうめき声”**しとる。」
優子「“無音でうめき声”って新ジャンルやん!」(笑い崩れる)
アキラ「さっき整骨院に電話したら、『小倉家名義で笑い外傷ポイント溜まってます』って言われたよ。」
優子「うちの家系、健康保険の欄に“原因:小倉家コント”って書かれる未来見えた。」
春介(胸を張って)「ぼく、ハイパー誘惑ウィンクがんばった!」
春海(得意げ)「わたし、冷静ツッコミでバランス取った!」
美香「それよ、それ。攻撃と守備がプロ仕様なのよ。」
アキラ「次から“やさしいモード”搭載しよ? 出力つまみ、200%を**80%**へ。」
光子「了解。まずは被害者説明会やろう。『笑う前のストレッチ三箇条』——
①飲み物は置く ②腹式呼吸で予熱 ③笑いのピーク前に一回無音。」
優子「それと**“笑い避難訓練”**な。サイン出したらみんなで“2-5-2手拍子→ピタ停止”。」
(そこへ背後で「イテテ…」と小さく聞こえる。画面の端に優馬と美鈴が登場、腰を押さえながらピース)
優馬「ご心配なく。笑いは命に別状なし。」
美鈴「ただし翌日筋肉痛は別件扱い。」
光子「ほんとごめん。次からやさしいモードで行くけん。」
優子「代わりに無音ウィンクを増量します。」
美香「それはそれで危険物。」
アキラ「じゃ、最終確認。今日の夜、じいじばあばに**“クールダウン・コント”**届けて?」
春介「タイトル『しずかなハイパー』!」
春海「“ハイパー”が残っとる!」
光子「台本、いま切る。ボケ3割・ツッコミ3割・無音4割。」
優子「プロの配合比きた。」
美鈴「はいはい、じゃあ今から白湯飲んで横になります。」
優馬「次の連絡は“腹筋に優しい報せ”で頼む。」
全員「了解でーす!」
通話が切れたあと、双子は顔を見合わせる。
光子「…やさしいモードでも笑わせるのが、プロ。」
優子「**真面目にふざけて、家族を守る。**それがうちらの職人芸。」
二人は即席ホワイトボードに“今夜の配合”を書き出し、
サロンパスと白湯を画面の端にそっと置いた。
準備OK——今夜は“穏やかに効く”コントで、家族の腹筋を守って笑わせる。
笑い家系図(予定…いや、ほぼ確)
— 優馬&美鈴
↓(ボケ:無意識/ツッコミ:秒速)
— 光子&優子 + 美香
↓(職人化・台本なき台本)
— 春介&春海
↓(出力可変・やさしいモード実装)
— 春介&ほのか / 春海&みなと
↓(園内恋バナ式コントへ進化)
— 未来の「四葉システム」完成。予定? → 予定(ほぼ確)。
受け継がれる“笑いの家訓・五箇条”
1.真面目にふざける。(下ごしらえはガチ、本番は脱力)
2.無音を恐れない。(2-5-2手拍子→ピタ停止は万能合図)
3.出力は可変。(200%は年1回、普段は80%で家族を守る)
4.オチはやさしく。(笑った後に「だいじょうぶ?」の一言)
5.半分こ。(おやつも、拍手も、スポットライトも)
未来の継承式
リビング。家族全員集合。
光子が額装した“笑い免許”を掲げる。
優子「本日、『無音ウィンク・初段』を春介に、『冷静ツッコミ・初段』を春海に授与します」
美香「ほのかちゃん、みなとくんは特別研修枠ね。課題は“おやつ半分こコント”」
春介「はい! 無音……(ウィンク)」
ほのか「(即メロ)合格!」
春海「では検定。『好きな人は?』」
みなと「(深呼吸)努力は加点待ち!」
一拍の無音——ドッ。リビングに、また“やさしい笑い”が灯る。
この家の笑いは、いつもそばに座ってくれる光だ。
バトンはもう、ちいさな手の中。
予定? 予定。ほぼ確定。
第一幕:春介×ほのか「左右問題・令和版」
ほのか(18)(裁判長っぽく腕を組む)
「本日の審理。中学校の席替えで**春介(13)**の左右に“委員長とAIリコメンド係”が座った件。どう釈明しますか?」
春介(姿勢よく)
「えー、左右に進捗圧と通知圧が発生しまして、心拍を守るため中庸を選択。以上です。」
ほのか「“圧”のせいにしがち。——弁護側、証拠は?」
春介(深呼吸して)
「無音ウィンク(13歳版・やさしいモード)」
[無音 1.5秒] → ウィンク一発。
ほのか(笑顔、すぐ平常心)「はい可愛い。無罪(ただし宿題は一緒にやること)」
春介「判決、前向きに受け止めます!」
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第二幕:春海×みなと「加点方式アドバンス」
みなと(16)(メモ帳をぱっと開く)
「検定お願いします。項目は“やさしさ”“実行力”“おやつ半分こ意識”。」
春海(13)(顎に手)
「まず“やさしさ”。廊下で走ってきた一年生にドアを先に譲った、加点+2。
“実行力”。落ちた楽譜を黙って全部揃えて返却、加点+3。
“半分こ”。ポテチを奇数だったのに一枚分けた、神加点+5。」
みなと「やった!」(小さくガッツポーズ)
春海
「ただし“自分の分を忘れて配り切った”のは天然減点−1。でも総合は合格。」
みなと「“努力は加点待ち”から“努力は加点済み”へ更新されました!」
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第三幕:クロスコンボ「無音→手拍子→落ち」
春介「では四人で2-5-2手拍子いきます。合図は目で。」
四人:パンパン・(パン×5)・パンパン → ピタッ。
[無音 2秒]
同時に:
•春介「中央宣言:ぼくは真ん中でもぶれません」
•ほのか「ぶれないなら宿題もぶれずに」
•春海「本日のオチは半分こ」
•みなと「拍手も半分こ(左右にわけて叩く)」
[間] → どっと笑い。
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終幕:家訓アップデート
春海「家訓、その六を追加。“強い言葉より、やわらかい無音”」
春介「その七。“勝つより笑わせる”」
ほのか「その八。“やらかしたら正直に”」
みなと「その九。“おやつとスポットライトは半分こ”」
ほのか(判子を押す仕草)「全会一致で採択。」
春海「以上、『十年後ショーケース』閉廷。」
春介「次回、期末テスト前“勉強あるあるコント”でお会いしましょう!」
四人、深呼吸しておじぎ。
[無音 1秒]——からの、ちゃぶ台の下でそっとクッキーを四等分。
笑いは、今日もやさしく受け継がれていく。
最大出力、誤爆。
昼下がりのリビング。
ちゃぶ台の上、出力ダイヤルは——**なぜか200%**の位置で止まっていた。
春介「それでは……ハイパー誘惑ウィンク・フルスロットル!」
ほのか「判決! きょうの私は——(受信)……一時的に理性停止!」
春海「全力ツッコミ・オーバークロック!」
みなと「がんばりポーズ・マキシマム!」
——ドッ(笑)
部屋の空気が一瞬、弾けた。
ドミノ的被害(平和的)
•隣室のスマートスピーカーがなぜか「拍手」の効果音を勝手に再生。
•じいじ・ばあば宅のサロンパス使用枚数が自動更新(貼り過ぎ注意)。
•ミライマートの篠崎さん、レジ横で笑い咳き込み→「コーヒーは置いて笑う」の貼り紙が増設。
•整骨院の予約アプリが「笑い外傷・腹筋」で埋まる(先生苦笑い)。
緊急停止フロー(家訓・即時発動)
1.無音サイン(全員で目配せ→黙る)
2.2-5-2手拍子 → ピタ停止
3.深呼吸×3(腹式でクールダウン)
4.水分補給(白湯 or 常温の水)
5.**“低出力宣言”を誰かが口にする
「ただいまよりやさしいモード80%**に切り替えます」
(実行)
ほのか「……戻った。宿題のページ数、現実が見えるようになりました」
みなと「腕のプルプルも治まった(がんばりポーズ下げ)」
反省会(30秒)
春海「最大は年1回のフェス限定、家での常用は禁止」
春介「ダイヤルに赤テープ貼ってロックしよう」
ほのか「“理性停止”が出たら撤収コール」
みなと「飲み物は先に置く——これ最重要」
アフターケア・オチ(やさしい仕上げ)
四人でクッキーを四等分。
春介「笑いもおやつも半分こ」
春海「強い笑いほど強いケアで中和」
ほのか「判決:本日の最大出力は執行猶予」
みなと「次回は“無音→小出し→やさしい”の三段階で」
——静かな拍手。
ちゃぶ台の上のダイヤルには赤いテープと小さな鍵。
最大出力は封印、でも笑いはちゃんと残る。
それが、この家の“プロのふざけ方”。
カオス十二手「いとこ会、全員主役」
日曜の午後、リビング。
今日は特別——春介&春海に加えて、
光子×翼の子ども3人と、優子×拓実の子ども3人が合流。
(年少〜小2くらいの粒ぞろい)
ちゃぶ台の上には、折り紙・積み木・無線マイク(おもちゃ)・
そして恐怖の**“出力ダイヤル”**(紙製)。
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① オープニング:列車は突然に
春介「本日のコント、『最強ごっこ列車』! 先頭はぼく!」
年長組A「私は車掌!」
年少組B「ぼく、ドア〜!」(両手で開閉ポーズ)
— ずらり連結。
曲がり角でクッション山に正面衝突→ふかふか雪崩。
全員、笑いの転覆。
春海「無事〜? 指ふやして点呼!」
子どもたち「いーち、にーい、さーん!」(元気)
光子(小声)「クッション助かるね…」
優子「安全第一。笑い第二。ダイヤルは**80%**固定ね」
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② おやつ半分こ裁判
ほのか(18)(冷静判事モードで見守り参加)
「みんな、おやつは平等に。『半分こ裁判』はじめます」
年少C「チョコ一個は半分こむずかしい!」
春介「ここで家訓・第五条。『スポットライトもおやつも半分こ』」
チョコをホットケーキに埋蔵→切り分け。
「出てきた!」→歓声。
**みなと(16)**がカット係で神手さばき。
「職人!」と拍手の渦。
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③ 最大出力、誤爆寸前
年長組Dが例の出力ダイヤルをクルッ…
ほのか「待った。針が**200%**に近づいた!」
春海「緊急停止! 2-5-2手拍子!」
全員:パンパン・(パン×5)・パンパン → ピタ。
[無音 2秒]
…空気が落ち着く。
優子「よし、呼吸。白湯いこ。」
紙コップで一斉に“かんぱい(白湯)”。
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④ ミニ発表会:無音→小出し→やさしい
春介「では“やさしいモード”で順番に一発芸」
•年少B:無音ウィンク → 0.5秒遅れてニコッ(会場とろける)
•年長A:冷静ツッコミ「今の無音、プロ」
•年少C:ドア役の開閉音まね「ピンポン、閉まります」
•春海:加点方式アドバンス「おやつを渡すとき目を見た、+2!」
•みなと:全力でうなずく(静かな笑いが広がる)
•ほのか:理性セーフの微笑(場内安全確認)
光子「うん、全員やさしさ勝ち」
優子「“勝つより笑わせる”、合格」
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⑤ カオスのピーク:即興ごっこ歌
誰かがピアノのおもちゃでドレミ。
自然と輪ができ、即興ごっこ歌が始まる。
「♪ ならんで歩く いとこ道
半分こしたら みんな主役
無音で合図 ふわっと笑う
つよいことばは 今日はいらない」
最後の一行で——[無音 1秒]。
拍手、ぱらぱら→やがて大きな拍手に。
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⑥ エンディング:後片づけもコント
春介「片づけ選手権〜!」
春海「“速い”より“静か”が高得点!」
年長が年少をフォロー、積み木は“色別駅”へ帰還。
折り紙は“基地”へ収納。
スコア係・みなと「全員、満点!」
ほのか「判決。今日のカオスは良質。
次回は『宿題あるある・やさしいモード篇』を予定」
子どもたち「はーい!」
ちゃぶ台の上、出力ダイヤルには赤いテープ。
白湯の湯気、ふわり。
笑いは満ちたまま、音は小さく、余韻だけが部屋に残る。
——この家のカオスは、やっぱり優しい。
家族構成(確定案)
•光子 × 翼:3人
•長男 → 次男 → 長女(=男2/女1)
•優子 × 拓実:3人
•長女 → 次女 → 長男(=女2/男1)
ざっくりキャラ配置イメージ
•光子キッズ:上の兄2人は突発ボケ担当、末っ子妹がトドメの一言で場をさらう。
•優子キッズ:上の姉2人が司会&ツッコミの双頭体制、末っ子弟は無音で全部持ってくタイプ。
ミニシーン(30秒)
日曜のリビング。「いとこズ6」ミーティング。
姉①「本日の議題、おやつ半分この公平性について」
兄①「異議あり!ポテチは奇数」
姉②「奇数は**“一枚は拍手に回す”で解決」
兄②「拍手用!?」(叩いて食べるマネ)
妹「じゃあ私が拍手係長**ね」
弟(無音でうなずく→全員ふにゃっと笑う)
——静かな笑い、勝ち。
未来をちょい見せ
入園式は、だいたいコメディ
朝。玄関にランドセル未満の小さなリュックが六つ、整列している。
光子と翼の三きょうだい——陽翔、燈真、彩羽。
優子と拓実の三きょうだい——結音、灯乃、悠翔。
「名札、確認ね!」と優子。
「はい! はると!」「とうま!」「いろは!」
「ゆのん!」「ひの!」「……ゆ、うと?」
最後だけ自信なさげに首を傾げる悠翔。名札を見ると——“はると”。
「待て、俺だけ今日、兄ちゃんのテスト版か?」
朝イチで入れ替わる名札。
ついでに燈真の上履きが左右逆。
彩羽は兄たちの靴まで全部靴箱に押し込み、靴箱が満員電車みたいになる。
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幼稚園に到着。門には「入園式」の立て看板。
記念写真を撮ろうと並ぶが、陽翔が列車ごっこを始め、後ろ五人が自動的に連結。
「連結確認よーし!」
声が揃ったところで、シャッター音と同時にクッション芝生へ優しい脱線。
保護者の笑い声、早速の第一波。
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式が始まる。園長先生の落ち着いた挨拶の最中——
悠翔の視線がマイクに吸い寄せられる。
(やめなさいよ、と優子の目が言う)
(今日ぐらい、ちょっとだけ…と拓実の目が甘い)
次の瞬間、悠翔が超小音量ビートボックスを刻み出す。
すぐさま結音と灯乃が囁きコーラスで三度ハモりを乗せる。
陽翔と燈真は無言のジェスチャー隊になり、
彩羽は手話みたいな振りで花を添える。
園長先生、ちょっと笑う。保育士さん、完全に笑っている。
「えー……本園は、音楽と表現をたいせつにします」
(今、方針がひとつ増えた)
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クラスごとの自己紹介。トップバッターは陽翔。
「はるとです。好きなものはテンポ120です」
担任の先生が一歩たじろぐ。
「えーと、趣味は、ですか?」
「趣味はテンポ変更です」
次の燈真。
「とうまです。好きなものは、光ってるステージと、太鼓の真ん中です」
(説明がいきなりアーティスト志望)
三番目、彩羽。
「いろはです。お日さまと、おやつ半分こが好きです」
教室の空気がふわっと柔らかくなる。
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優子チームにバトン。
結音「ゆのんです。やさしい声で歌うのが得意です」
灯乃「ひのです。ライト役と、はっぱ役、できます」
悠翔「ゆうとです。ぼくは“音で道をゆうしょう(悠翔)する”係です」
自己紹介なのに、ほぼユニット宣言。
教室のあちこちから、小さい歓声と拍手が起きる。
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休憩。保護者席では、光子と優子が
**出力ダイヤル(家訓の紙製)**をそっと取り出し、
80% のところに赤いテープを貼る。
「今日はやさしいモードね」
「うん、フェスじゃないからね」
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教室に戻ると、先生が“おかたづけゲーム”を提案。
陽翔が手を挙げる。
「“速い”より“静か”が高得点のルールでどうでしょう」
先生「採用」
燈真が積み木をリズムに合わせて、色別にトントン仕分け、
彩羽が“お片づけ駅”と名付けた箱へ丁寧に収容。
結音と灯乃は歌でタイムキープ。
「♪ あと三十秒〜 おもちゃの電車しゅっぱ〜つ」
悠翔は小声でドラムカウント。
静かなのに面白い。
面白いのに静か。
先生、心の中でスタンディングオベーション。
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いよいよ全体合唱。園の歌を歌うだけ……のはずが、
彩羽が隣の子に無音ウィンクを送る。
相手が0.5秒遅れてニコッ。
それを見た結音がさらに小さくウィンク。
波紋のように広がって、教室じゅうがふにゃっと笑う。
園長先生が慌てて前に出る……のではなく、
にこっと頷いて言った。
「いいね、やさしい笑いだ。歌は続けて」
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最後の締め。園のカメラマンが集合写真を撮る。
「はい、ニコッ……の前に、深呼吸を三回どうぞ」
(完全にこの家系のやり方だ)
一同、すぅー、はぁー。
カメラマン「それじゃいきます。
無音 → 小出し → やさしい!」
パシャ。完璧。
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式が終わり、靴箱で例の満員電車が再発する。
光子が救出、優子が交通整理。
「名札、もう一回確認しよっか」
悠翔の胸には、まだ“はると”。
陽翔が自分の名札を外して、悠翔の胸に付け替える。
「よし。これで今日のテンポ、そろうやろ」
悠翔が笑う。
「うん、じゃあ俺も120でいく」
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帰り道。桜の花びらが風に回る。
六人はひとつの輪になって、
**“おやつ半分この歌”**を即興で歌いだす。
「♪ 半分こしたら 全員主役
やさしい笑いで まるくなる」
後ろを歩く保護者の列が、そっと手拍子を合わせる。
出力ダイヤルは80%のまま。
それでも、道の空気はしっかり明るい。
——この家の入園式は、たぶん毎回こうだ。
ドタバタして、爆笑して、最後はやさしく落とす。
オチはいつも同じ結論に落ち着く。
「笑いは、みんなで半分こしたとき、いちばんおいしい」




