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三姉妹爆笑交響曲 — 大学生篇から陽翔&結音誕生まで  作者: リンダ


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21/125

ひよりの両親の来店・帰省

夏休みの昼下がり。ミライマートのドアチャイムが「ポーン♪」と鳴って、涼しい風と一緒に夫婦が入ってきた。

レジの前でバーコードを切る手を止めた優子が、ぱっと顔を上げる。


「いらっしゃいませ〜……あっ、ひよりちゃんのご両親!」


「父の浩二と申します。こちらは妻の玲子です。合唱のレッスン、本当にありがとうございました。娘、見違えるように自信が出て……」

「この前は取り乱してしまって、重ねてお詫びとお礼を……」


「よかよか、顔見れて安心したばい。」と光子。

「もうすぐシフト終わるけん、ちょい待っとって。終わったらイートインでお茶しよ。」と優子。


奥から店長の篠崎さんが顔を出す。「ラスト10分だし、ここ座ってどうぞ。コーヒーは僕から。アイスとホット、どっちにします?」

浩二がメニューを前に固まる。「……ホットMで。いや、Lで。やっぱ——」

「Mで十分です」と玲子、スパンとツッコミ。夫婦のテンポがいい。


数分後、イートイン。紙コップから湯気、テーブルにはドーナツが二つ。

篠崎さんが引き上げると、場がふわりとゆるんだ。


「合唱、先生から“Bサビの独唱、安定しました”って言われました。娘、帰ってくるなり“ちゃんと歌えた!”って。」と玲子。

「家でも、声が明るくなったっちゃんね」と光子が頷く。

「うん、喉が軽うなっとる音に変わっとったけん、すぐ分かった。」と優子。


浩二が深く頭を下げる。「家のことも、少しずつ片づいてきました。使途不明金の件は弁護士さんと。妻はカウンセリングに通い始めました。娘の前では、ちゃんと笑う練習から」

玲子は小さく笑って、「最初は笑顔が引きつってたんですけどね。最近は本当に笑えてる気がします」


「それがいっちゃん大事たい。」と光子。

「泣く時は泣いてよか。で、息整えて、今日の一段だけ登る。無理せんで。」と優子。


そのとき、再びチャイム。「ポーン♪」

制服姿のひよりが駆け込んでくる。「すみません、遅れました!」

紙袋を差し出す。「これ、手作りのクッキーです。冷めてますけど、あの、ほんの気持ちで……」

浩二が受け取ろうとしてツルっと滑らせ、慌ててキャッチ。

「お父さん、ナイスセーブ!」と光子が拍手。

「ゴールポストは胃袋です」と優子。ひよりが吹き出す。


「水曜のセッション、また行ってもいいですか?」

「もちろん。眉ピッで合わせよ。」と優子が指で小さな合図。ひよりも指で真似して笑う。


篠崎さんが遠くから手を振る。「あ、揚げたてコロッケ、出たよ。感謝祭サービスで一個ずつどうぞ」

「店長、太っ腹!」と光子。

「お腹は腹筋で割って、心はコロッケで満たす」と優子。

「名言っぽいけど、コロッケで満たすは新しいですね」と浩二が笑う。


玲子がそっと言う。「……本当に、救われました。ここに来ると、胸が軽くなる」

「ここは避難場所やけん。コーヒーと笑い、常備しとーよ」と光子。

「困ったら、まずここにおいで。声出して“ただいま”って言えば、うちら“おかえり”返すけん」と優子。


紙コップがコトンと鳴って、夏の午後がゆっくり流れる。

ひよりが小さく歌う。「♪星のかけらを〜」——Bサビ前で顔を上げた。

「本番も、ここ思い出して歌います」

「そげん時は、イートインの神様が見守っとるけん大丈夫」と光子。

「誰それ」と優子が即ツッコミ。テーブルがまた笑いで揺れる。


帰り際、浩二が会釈した。「次は私たちが、どこかで誰かの椅子を一脚、引けるようにします」

「それで十分。今日の一段たい」と優子。

「ほんなら、また水曜に。眉ピッ!」と光子。


ドアチャイムがもう一度、明るく鳴った。

外は夏。だけど胸の中には、ホットコーヒーの温度が、長くやさしく残っていた。




夏、のぞみ。博多へ


水曜セッションが終わり、ピアノの蓋をそっと閉めた。

ひよりが「次は来週…あ、帰省やったね」と名残惜しそうに立ち上がる。


優子「うん、日曜の朝いちで帰る。録音課題は土曜の夜に送るけん、先生に伝えとって」

光子「ひより、Bサビの“たゆたう”んとこ、息ひと粒長めにね。戻ってきたらまた合わせよ」

ひより「任せてください。眉ピッ」



寮の部屋に戻ると、即・帰省モード。

スーツケースを開けた瞬間、光子のメモが踊る——“財布・学生証・充電器・スコア・お土産・ハンカチ(母指定)”。


優子「さ、連絡回りや。最近ごぶさたのメンツ、どうしとるかね」

光子「まずさおり。あと樹里、朱里、小春。それと…環奈お姉ちゃん、もしかしておめでたとかあったり?」

優子「それ言うなら、さおりと奏太にいちゃんも進展あったりして? 指輪キラリん…とか」


グルチャを立ち上げて、一気打ち。


光子:ただいま東京→博多帰省準備中!日曜の朝いちのぞみ。みんな元気?

優子:さおり&奏太にいちゃん、進捗どうね?(圧じゃなかよ、好奇心やけん)

光子:環奈お姉ちゃん、体調どげん? 暑いけん水分とってね〜


即レスがポンポン飛ぶ。


さおり:元気!帰ってきたらラーメンはしご行こ(意味深)

小春:札幌からも帰省する!千歳→福岡合流〜

樹里:うちの母、土産は通りもん指名制

朱里:空港まで迎え行くよ〜

環奈:みんな愛してる♡ 詳細は会って話す(意味深その2)


優子「“意味深”の嵐やん…」

光子「夏のフラグ立ちまくっとるね。よし、服は“伸びるやつ”多めで」



パッキングしながら小ネタが止まらない。


優子「下着何日分?」

光子「“母の安心係数×日数+汗対応”で+2」

優子「理系の顔するな」


お金は封筒に振り分け。

“交通/土産/非常ラーメン枠(替え玉含む)”。


優子「非常ラーメン枠て何」

光子「替え玉は文化。予算計上は礼儀」

優子「納得しかない」


寮のみんなのドアをノックしながらご挨拶。

「日曜から博多帰省するけん」「博多の女買うて戻ってくる場合あり」「お土産指名制は抽選」——歓声。


ひよりにもDM。


光子:水曜はオンラインで“10秒ただいま”一緒にしよ

ひより:了解です。眉ピッで



日曜の朝、東京駅。


早朝の中央通路はもう活気。スーツケースのローラー音、アナウンスの残響。

のぞみ○○号・博多行き、6号車に滑り込む。


光子「駅弁、深川めし行く」

優子「うちは牛めし。あとお茶。コーヒーは機内…いや車内で落ち着かん」

光子「機内て。飛ばさんでよ、新幹線」


座るや否や、スマホが震える。


さおり:空港組と博多駅組、どっちで合流?

朱里:博多駅に決定!

樹里:横断幕作る?(やめれ)

小春:札幌発、雪じゃなくて霧だった!夏でも北海道!


そして、環奈から個チャ。


環奈:体調はね、ぼちぼちすこぶる。会ったら話すね(スタンプ:小さなハート)


優子が目を丸くする。「ぼちぼちすこぶるはほぼ確やない?」

光子「黙秘の概念が粉砕されとる」


車内アナウンスが流れる。「まもなく発車いたします。シートベルトは—あ、要りません」

優子「機内モードの亡霊がまだおる」

光子「それよりラゲッジ棚に博多の女入れとらんやろね?」

優子「まだ買ってない!」


のぞみが静かに滑り出す。ビルの谷間がほどけて、光の粒が窓を流れる。

ふたり同時に、小さく眉ピッ。


光子「帰ったら、まずお母さんの抱擁、それからお父さんの謎ボケ、で春介・春海の全力キス投球」

優子「そしてラーメン」

光子「大事な順は?」

優子「……同列一位」


包みを開けば、朝の匂いがふわり。

箸を割って、目が合って、声が揃う。


「いただきます。」


窓の外、夏の雲が蓮みたいにひろがっていく。

のぞみは西へ。

博多で待つ“ただいま”の声に、ふたりの“おかえり”が、もう少しで追いつく。






博多駅・新幹線口。

自動改札を抜けた瞬間、カメラの林と手づくりボードがわっと広がる——


「おかえりーー!」


先頭で跳ねてるのは春介と春海。次の瞬間、二人ともロケットみたいに飛んできて、光子と優子の腹にドーン。


春介「おねえちゃん、おかえり!」

春海「おねえちゃん、おかえりーー!」


光子「発音、急成長!」

優子「ちょ、今日から大人扱いするけん!」


後ろで美鈴が笑いながらハグ。「よう帰ってきたねぇ」

優馬は両手を広げてドヤ顔。「お父さんもおかえり(自分に)!」

優子「誰に帰ってきたと?」

光子「自分に“ただいま”言うタイプ初めて見た」


さおり・樹里・朱里・小春も勢ぞろい。

さおり「生で見る“眉ピッ”、やっぱ破壊力あるわ」

小春「札幌からの直射日光、まぶしすぎて溶ける」

樹里「横断幕は自粛したけん安心して」

朱里「でも口上は用意してきた——」

優子「それはもっと自粛して」



荷物は実家へ直行、リビングにドサッ。

テーブルの上は唐揚げ、南関あげの味噌汁、冷えた麦茶。夏の“おかえり”が並んどる。


美鈴「まず水分。はい、これ」

光子「母の補給所、安定の開店」

優馬「父は情報を補給します。まず近況!」

優子「司会者ぶるな」


近況タイム


さおり「奏太にいちゃんとは順調。この前いっしょにスタジオ入って、音が噛み合って…心拍も噛み合って」

一同「おーーー!」

光子「“噛み合い”の使い方がプロ」

優子「ついでにラーメンも噛み合った?」

さおり「替え玉まで噛み合った」


樹里「うちは母が“福岡ん土産は通りもん固定”の通りもん民主制を採択」

優子「強権政治で草」


朱里「文化祭、ステージ増枠! お笑い枠もあるけん、双子ゲスト枠で3分くれ」

光子「秒で埋まるやつ!」

優子「30秒で勝負しよか」


小春「北海道は涼しかったのに、福岡は湿度がジャンプしとる。前髪がスポンジ」

美鈴「前髪スプレー置いとるよー」


そこへ環奈と塁が顔を出す。

環奈「ただいま〜。みんな、おかげさまでぼちぼちすこぶる」

優子「出た、そのワード!」

光子「つまり?」

塁が照れて環奈の手を握る。

環奈「家族、増えます」

一拍置いて、リビングが爆発。

春海「あかちゃん!」

春介「おねえちゃんになる練習、ぼくもしとく!」

優子「何の役職?」


美鈴が涙目。「よかったねぇ。無理せんでよ」

環奈「ありがとう。福岡パワーで安定してきた」



春介がふと、光子の顔をじーっと見る。

春介「おねえちゃん、テレビでさみちいでちゅ言いよった?」

優子「それはお父さんの名言やけん」

優馬、得意のドヤ。「著作権は父にあります」

光子「やかまし。あれ言うたら全国が腹筋けがするけん控えて」


春海は優子の膝に乗って、こそこそ話。

春海「きょうね、ようちえんでね、先生が“おかえりのうた”つくってって言ったと」

優子「え、天才オーダー」

光子「ほんなら今つくろ。Aメロ:ただいま、Bメロ:おかえり」

春介「サビは“ぎゅー”!」

美鈴「採用」



ひと段落して、みんなで麦茶。氷がコトンと鳴る。

さおりが真顔で言う。「それで…二人は? 東京のほうは、心は元気?」

優子はうなずく。「元気。忙しかけど、今日の一段ずつ登れとる。みんなの顔見たら、さらに充電」

光子「帰ってきたら、帰り道が太くなる。それだけで十分や」


優馬「よし、じゃあ夕方はラーメン実地訓練や。こってり隊、あっさり隊、各自集合!」

美鈴「まずは片づけてから!」

一同「はい!」


春介と春海が、もう一回ぎゅーっと抱きつく。

春介「おねえちゃん、きょうはずっとここ?」

光子「ずっとここ。晩ごはんも、寝るまでここ」

春海「じゃあ、おやすみのうたもつくる!」

優子「よし、夕方までにデモ仕上げよ」


窓から夏の匂い。玄関にはスーツケース。

博多の“ただいま”は、今日も賑やかに、しっかりと鳴っていた。





夏夜、乾杯とドキュンの雨


リビングの笑いが一段落したところで、春海が両手をぶんぶん。

「わたち、つばさにいちゃんか、たくみおにいちゃんと、けっこんする〜!」


「お、おぉぉい!」と家じゅう総ツッコミ。

光子「二股宣言は18年早か!」

優子「まずはひらがなフル完走からや!」


すかさず春介が胸を張る。

「ぼくは、しょんぶん(※しゅんすけ)とけっこん…」

美鈴「春介、自分と結婚は高難度ばい」

優馬「お父さんはお父さんと結婚しとる(自分に)」

全員「してない」



夜は大名のちょい洒落ビストロへ。木の扉、オレンジの灯、グラスに冷たい泡。

店の人「ご懐妊おめでとうございます」

優子が小声でひそひそ。「“解任”やなくて“懐妊”やったね」

光子「危うく塁くんが職を追われるとこやった」


環奈が照れ笑い。「来年の春先、三月くらいが予定日。性別は…まだ秘密。でもね、エコーで手をふってくれたと」

塁はグラスのジンジャーエールを掲げる。「乾杯はノンアルで。母子最優先!」

「かんぱーい!」

グラスが軽く当たって、泡が小さく弾ける。


さおりが目を潤ませる。「環奈お姉ちゃん、ほんとによかったね」

小春「札幌の風も送っとく」

樹里「通りもんも送っとく(買ってくる)」

朱里「命名候補:通りも…」

全員「やめんね」


春海は子どもメニューのポテトをハート形に並べて、環奈の前へ。

「あかちゃん、よろしくねハート」

環奈「もう泣くやん…」



帰宅。玄関の灯がふたりを迎える。

靴を脱いだ瞬間、例のものの飽和攻撃——


春介「ハイパー誘惑ウィンク!」

春海「きょくじょうなげキッス200%!」

光子「ドキュン!」

優子「ドキュンドキュン! これで心拍数が明日も健康!」


その勢いで春介が宣言。

「きょうは、じいじと、ばあばと、ねるー!」

春海も負けじと。

「わたちも、じいじと、ばあば!」


優馬「よかぞ、添い寝は任せろ」

美鈴「掛け布団の出力は弱でいくけんね」



就寝ドタバタ・ノンストップ版


布団に吸い込まれた途端、スヤァの天才たち。が、寝相は台風。

——五分後。


春介、縦横無尽のローリングアタック!

「顔面どーん!」美鈴のほっぺに足がふわりと着地。

「おでこボフ!」今度は優馬の額に枕直撃。

「みぞおちドスン!」(※股間描写は安全に置換)

優馬「うぉふっ…でも幸せ…」

美鈴「はい寝返りガード(タオルケットで巻き寿司)」


二巡目。

「顔面どーん(再)!」

「お腹ポスン!」

「スネにコロン!」

優馬「三連コンボや… でも幸せ…二回目…」


光子と優子は隣室から、くすくす。

光子「ばあばの巻き寿司スキルが上がっとる」

優子「じいじの幸せ耐久も伸びとる」

光子「明日の朝は“おかえりのうた”仕上げて、まずはじいじばあばに献奏やね」

優子「決まり。合図は眉ピッ」


障子の向こう、寝息の合唱。

今日の“ただいま”は、笑いとドキュンに守られて、やさしく熟れていく。


そして夜更け。優馬が小声で。

「みんな、幸せになれ」

隣で美鈴が「もうなっとるよ」と、安らかに目を閉じた。





夏のただいまラリー


1) 「みらいのたね」に、ただいま


昼前。NPO「みらいのたね」のドアを開けるやいなや——

「おかえりーー!」スタッフ全員が拍手。壁に小さく「眉ピッ歓迎会」の張り紙まである。


光子「ただいま戻ってきたばい。東京土産、みんなで食べり〜」

優子「東京ばな奈とごまたまご、あと人形焼は箱の角が曲がっとるけど、味は生きとるけん」


事務局の安西さんが笑う。「曲がった角にも栄養があります」

代表の優馬が顔出し。「活動報告もあとで頼むぞー」

美鈴「まずは麦茶。報告は麦茶のあと」

光子「母、最強の議事進行」


近況をさくっと共有。大学のこと、ドームツアーが決まったこと、「ただいま基金」の月次レポ準備のこと。

「よし、昼休みにおっちゃんの現場、のぞいてきてん」と優子。

スタッフ全員「よろしく言っとって〜」



2) おっちゃん、日焼け+ヘルメット、健在


現場の仮囲いの前。休憩のチャイムが鳴る頃合いを見計らって差し入れ。

光子「おっちゃーん、東京ばな奈持ってきたよ〜!」

日焼けの**川原翔太おっちゃん**が、汗を拭きながら近づく。腕、太い。目、やさしい。


おっちゃん「おお、帰っとったか! なんや、二人とも顔つきがまた大人になっとるぞ」

優子「照れるやん。こっちはおっちゃん、二割増しで黒曜石」

おっちゃん「日焼け代で一本多めに食うばい」

光子「誰がそんな課金システム組んだと?」


ベンチであんパンと麦茶、そして東京土産を分けっこ。

おっちゃんが、ふっと真顔になる。「困っとる人の横に椅子を一脚——あれ、ええな。続けり」

優子「任せとって。今日の一段ずつ行くけん」



3) 若いほうの翔太&健太、順風


次はクラスアパートへ。

ピンポン。「はーい!」中から若いほうの翔太と健太の声。


翔太(保育士志望)「先週ね、園でしゃぼん玉フェスやって、大成功!」

健太(建築士志望)「夜間の単位、前期フル取得。現場も基礎から任され始めた」

優子「基礎は土台、笑いは潤滑油。完璧」

光子「園児の“わーっ”は春介春海級やろ?」

翔太「その上からハイパー誘惑ウィンク飛んできたら負けます」

健太「それは全国規模の天災」


冷たい麦茶で乾杯。帰省の旨を伝えると、二人はうなずく。

健太「戻ってきたら、模型見せる。廊下で眉ピッ可能な建築」

優子「それ、重要設計条件!」



4) 朝比奈夫妻、舞台袖の光


博多座の楽屋口。

受付さんにご挨拶して、美羽と涼介が顔を出す。


美羽「おかえり! 今日の回、二幕のキラ、特に見て。光、やっと掴めた」

涼介「この街で舞台に立てる幸せ、毎回噛みしめとう」

光子「二幕キラ、眉ピッで受け取る」

優子「終演後、差し入れ置いとくけん。東京ばな奈 in 福岡、逆輸入」


手短にハグ、手短に激励。二人の笑顔は、舞台の光の匂いがした。



5) ただいまの家


夕方、小倉家。

玄関で靴をそろえた瞬間、春介と春海がコーナーから飛び出す。


春介「おねえちゃん、けいこしよ!」

春海「おかえりのうた、できた?」


光子「できとる。Aメロ“ただいま”、Bメロ“おかえり”、サビ“ぎゅー”」

優子「合図はもちろん眉ピッ」


キッチンから美鈴の声。「ごはんよー。今日は肉じゃがに冷やしトマト」

優馬「父は皿洗いで主演します」

優子「助演で十分」


ちゃぶ台に笑いが並び、皿の音が心地よく鳴る。

今日会えた人、交わした言葉、手渡したお土産——全部が“ただいま”の印になって、家の空気が少し甘くなる。


光子がぽつり。「やっぱ博多の“おかえり”は、音があったかいね」

優子もうなずく。「うん。明日も一段、登れそう」


——窓の外、夏の夕立前の風。

屋根を叩く前に、家の中ではもう、笑いの雨がしとしと降り始めていた。

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