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三姉妹爆笑交響曲 — 大学生篇から陽翔&結音誕生まで  作者: リンダ


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17/115

ラーメン談義・ひよりの練習

天使砲スタンプ、全員配備!


女子寮ラウンジ。

ピロリン――グルチャに**ドーン!**と出たのは、春介の“ハイパー誘惑ウィンク”似顔絵スタンプと、春海の“極上投げキッス”似顔絵スタンプ。


優子「出た、天使砲スタンプ」

光子「これ、共有する? 寮のみんなも常備薬にしとく?」

ひより「私も仲間に入れてほしいです!」

浩司「父も登録お願いします」

玲子「私も……持ってたいです」


美香(通話越し)「オッケー。配布リンク送るね。あ、“春美”やなくて“春海”版ね」

春介「はるみじゃないよ〜、“はるみはぼくが呼ぶときのなまえ〜」

(大人たち:かわいいの暴力)


グルチャ名はその場で**「またあした班」**に更新。

スタンプ登録完了の通知が、ひより/浩司/玲子にポンポンと灯る。



使ってみた(即実戦投入)


ひより:〔春介ウィンク・キラッ〕「青平気です」

玲子:〔春海チュー・ふわっ〕「ありがとう先出し、してみた」

浩司:〔春介&春海のW親指ちょん〕「了解。深呼吸して寝ます」


優子「運用完璧。合図スタンプは左上にピン留めしとって」

光子「あと**“眉ピッ45%”スタンプは締めに最適**やけん、乱用推奨」

美香「乱用て言うな(笑)」



スタンプラインナップ(抜粋)

•〔春介〕ハイパー誘惑ウィンク(出力**5%/20%/200%**の3段階)

•〔春海〕極上投げキッス(ふわっ/ぽいっ/ドカンの3種)

•〔双子ちゃん〕眉ピッ45%(了解/またあした/ありがとう先出し)

•〔合図セット〕青平気/オレンジ迎え/赤至急(テキスト付き)

•〔呼吸カード〕4吸って6吐く×3(アニメ風)


浩司「200%は家庭内注意で」

玲子「適量でむしろ効くのよね、これ……」



締めの儀


ひより:〔眉ピッ45%〕「またあした」

玲子:〔春海・ふわっキッス〕「よかった一言:笑って閉じられた」

浩司:〔春介・親指ちょん〕「記録保存OK。おやすみ」


光子・優子「またあした(眉ピッ45%)」

画面の中で天使砲がやさしめにきらめいて、ラウンジの空気がもう一段、あったかくなった。




コッテリVSアッサリ—女子寮ラーメン頂上決戦


昼下がり。

大学近くのラーメン屋に、寮メンツで突入。湯気、脂、幸せ。


光子「今日はコッテリ一択やろ!」

優子「うちはアッサリで胃をいたわるコース」

小春「じゃ、大盛りでおねがいしまーす(全員分)」

店員「はい全員大盛りね!」


ずずず。

醤油豚骨なる新顔も注文。結果は——


優子「まずまず。悪くない」

光子「替え玉いけたけど、今日は温存」

小春「(黙々)いや結局替え玉してるやん」


——帰寮。



ラウンジ特設リング


小春リングアナ「ただいまより、寮内タイトルマッチ、

コッテリ代表・小倉光子 VS アッサリ代表・小倉優子、ゴング!」


ラウンド1:スープの心得


光子コッテリ「旨味は重力。沈むくらいの濃度が正義たい!」

優子アッサリ「心は透明。澄み切った出汁が真のやさしさよ」

ソフィーア(解説)「これは油膜の哲学戦。視界クリア vs 味の押し相撲!」


ラウンド2:麺の絡み


光子「受けてみぃ、背脂パンチ! 海苔ラリアット! ライス召喚術!」

優子「こっちは柚子胡椒ステップ、白髪ねぎスラッシュ、メンマパリッ!」

梢(客席)「用語が全部美味そうで反論できん」


ラウンド3:〆の美学


光子「スープ完飲は礼やけん!」

優子「七分残しで余韻こそ礼節!」

小春「客席判定! レンゲ挙手でどうぞ〜!」


(レンゲ、右も左も林立)


ソフィーア「おおっと、まさかのドロー!」

梢「じゃあ醤油豚骨を覇者にしよ。混ぜたら最強やったやん」

優子「確かに折衷案、強い」

光子「和解スープ、採択!」


エピローグ:胃と心の平和条約


小春「本日のまとめ。コッテリは抱きしめ、アッサリは撫でる」

光子「抱きしめられたい日もある」

優子「撫でてほしい日もある」

全員「どっちも正義!」


(最後は全員で白湯をすする。胃、平和。)


光子「次は味噌VS塩でいこか」

優子「やろ。替え玉は計画的にね」

小春「……結局するやつやん」


ラウンジに笑いが残る。

——今夜の“よかった一言”:「スープは違っても、笑いは同じ味」。





純豚骨ナイト


寮ラウンジ、夜。

光子と優子、同時にぽつり。


光子「でもさ、純粋な豚骨食べたかねぇ」

優子「豚骨は福岡の味たい。……行こっ」


——10分後、大学近くの“博多系”のれん前。


店員「いらっしゃい!」

光子「バリカタ、脂ふつう、にんにく一片、ネギ多め。あと替え玉見込みで」

店員「見込みってなんすか。心の準備ね、了解」

優子「カタで。脂ひかえめ、スープは濃いめ、高菜は別皿たっぷりで」

小春「私は“まずまず”を超えたいので普通で(安全運転)」

ソフィーア「“ばりかた”は哲学か?(ワクワク)」


丼、着地。湯気、豚骨の香り、紅生姜の赤。


光子「この匂い、帰ってきたって感じ」

優子「丼は抱くもの。いただきます——」


ずずず——。

テーブルが一瞬、博多になる。


小春「(ぱぁ)……福岡ってこういう音なんだ」

ソフィーア「心が白くなる味だね(とんこつカラー)」


優子「——替え玉、ひとつ!」

店員「ヘイ!(2秒)」

光子「もうひとつ!」

店員「ヘイ!(1.5秒)なんで秒で言うの」

光子「麺は生き物たい。間が命」

優子「高菜は曲者。入れすぎると主役を食うけん、端役の名演で」


隣の席、東京出身の学生が首をかしげる。

東京勢「ちょっとにおい強めね……」

光子「それがええ匂いたい。帰省の第一便」

優子「鼻で帰郷するんよ」

東京勢「……なんか羨ましくなってきた」


〆。レンゲでスープをすくって小さく一礼。


優子「今日は七分残しで余韻を抱く」

光子「私は礼の一口だけ残す派」

店員「その言い方、店側が好きです」


会計。スタンプカードに替え玉×2の特印がドン。


—帰寮、ラウンジ。


小春リングアナ「緊急コント、『コッテリVSアッサリ—純豚骨を添えて』!」

光子コッテリ「背脂陣、前へ!」

優子アッサリ「澄みだし隊、展開!」

ふたり同時「——だが主役は豚骨!」

全員「拍手(どっと笑い)」


今夜の“よかった一言”。

光子「丼ひとつで帰省できた」

優子「笑いは替え玉いらず」


次の遠征先、店の前で合意。

光子「次は純豚骨・再訪」

優子「そして味噌VS塩、第二章」

小春「……結局、替え玉するやつやん」


笑いながら、みんなで白湯を一口。

胃も心も、今夜は福岡。





塩VS味噌—判定は二冠制


土曜の昼、寮メンツで「ハーフ丼食べ比べ」実施。

店主がミニ塩&ミニ味噌を同時着丼。湯気、整列。


小春リングアナ「第一試合、塩! 第二試合、味噌! ゴング!」


ラウンド1:香り


優子(塩陣営)「海風みたいに澄んどる。まず一口で喉が笑う」

光子(味噌陣営)「味噌の抱擁。口の中で**“ただいま”**って言う」


ラウンド2:トッピング


塩=レモン皮・白髪ねぎ・鶏チャー

味噌=炒めもやし・コーン・厚切り豚

ソフィーア(解説)「軽やかスプリント対重量パワープレイ、良試合!」


ラウンド3:〆


優子「塩は余韻の透明感が美」

光子「味噌はスープ一口で帰省」


採点(5点満点)

•優子:塩5/味噌4

•光子:塩4/味噌5

•小春:塩4.5/味噌4.5(引き分け厨)

•ソフィーア:気温が10℃切ったら味噌に+0.5(今日は+0.5)


小春「合計……2-2のスプリット!」

店主レフェリー「ならば二冠制でいこう。

昼の部=塩王者、夜の部=味噌王者。

ついでに夏=塩、冬=味噌な」


優子「昼は塩で整える」

光子「夜は味噌で抱きしめる」


全員「どっちも正義!(拍手)」


最後に白湯でクールダウン。

本日の“よかった一言”——

「軍配は時間帯に上がる。胃袋は平和。」





味噌バター VS 塩バター—融点とろけ決戦


寮メンツで北海道系ラーメンの店へ。

店主「本日おすすめ、味噌バターと塩バターね!」

小春リングアナ「ダブル着丼でお願いします!」


湯気、バターの香り、同時にとろり——ゴング。



ラウンド1:香りと“第一溶解”


光子(味噌派)「焦がし味噌にバター雪崩……抱いてくるやん!」

優子(塩派)「澄み金スープにバターが薄膜で乗る。反則の清楚コクやね」

ソフィーア(解説)「重奏の味噌 vs 単音クリアの塩。バターが和声を足してくる!」


ラウンド2:麺の絡み


味噌バター:ちぢれ麺にバターコート、炒めもやし&コーンが追撃。

塩バター:真っ直ぐ麺がスベる。レモン皮・白髪ねぎ・鶏チャーで透明感キープ。

梢(客席)「味噌=毛布、塩=シルクって感じ」


ラウンド3:〆の作法


光子「ここで白ごはんダイブしたかぁ……(自制)追いバターは犯罪の香りやけんやめとく」

優子「塩は黒胡椒ひと振り、最後に柚子胡椒でスッと昇華」

店主「追いバター?」

全員「やめてください(即答)」



採点(5点満点)

•優子:塩5.0/味噌4.6

•光子:味噌5.0/塩4.6

•小春:塩4.8/味噌4.8(引き分け厨続投)

•ソフィーア:気温≤10℃は味噌に+0.5、≥20℃は塩に+0.5


小春(判定)「二冠制を宣言!

昼(活動前)=塩バター王者、しごおわ=味噌バター王者!」


優子「昼は塩で整える」

光子「夜は味噌で抱きしめる」


最後は白湯でクールダウン。

本日の“よかった一言”——

「バターは違いを抱きしめる。胃袋、今日も平和。」





北海道ナイト、開催決定だべさ


寮ラウンジ。

光子が箸をくるくる回して小雪に聞く。


光子(博多)「ねぇ小雪、北海道の名物って言うたら、やっぱジンギスカン?」

優子(博多)「魚もうまかっちゃんやろ? ぜったい最強やん」


小雪(北海道)「なまら定番はジンギスカンだべさ。ドーム鍋でラム置いて、周りにもやし・玉ねぎ・かぼちゃ。

ウチはタレ後付け派。焼けたらじゅわっとタレくぐらせるの、優勝っしょ」


光子「語彙が“優勝”。もう勝った」

優子「うちらは米投入でダブル優勝やね」


小雪「魚は鮭のちゃんちゃん焼き(味噌バター)、ホッケ開き、ホタテバターが鉄板。

あといくら醤油漬けでミニ丼、本気出すならウニ……は予算が吹雪くから相談な」


光子「“予算が吹雪く”は笑った」

優子「財布、ホワイトアウトやね」



北海道ナイト案(小雪監修)

•ジンギスカン:ラム+もやし+玉ねぎ。タレ後付けで香り残す。

•鮭のちゃんちゃん焼き:味噌+バター+キャベツをホイルで15分。

•ホタテバター:フライパンで片面1分+裏返し1分、最後に醤油ちょろり。

•ラーメンサラダ:ゆで麺+レタス+ハム。ごまドレで和える学食の味。

•じゃがバター+コーン:電子レンジで時短。追い塩は控えめに。

•しめ:ミニいくら丼(いくらは人数×小さじ2で幸福MAX)


小雪「デザートはソフトクリーム代わりに、牛乳プリン作るべさ」

光子「牛乳の主張、期待大」

優子「じゃ、土曜の夜は北海道ナイト決定! 小雪、班長お願い」

小雪「任せてけれ。材料表、グルチャに投げとくっしょ」


—次の“よかった一言”:

「優勝の匂い、もうしてる。」




水曜、星屑リハ——Bサビは“物語の灯り”で


学生会館の小ホール。

今日はバイト休み。椅子を片付けて、真ん中にマイク一本。

ドアが開いて、ひよりが小さく手を振る。


ひより「おじゃまします!」

光子「いらっしゃい。今日は合唱の練習デーやね」

優子「曲はゴスペラーズ『星屑の街』。Bサビの独唱担当っちゃね。まずは通しで聴かせて」


ひよりは胸に手を当て、4吸って6吐く×3。

スマホの伴奏を流して、最初から最後まで歌う。

背筋はまっすぐ。目は少し緊張。


終わると、双子が同時に親指ちょん。



1stフィードバック(やさしめ・具体)


光子「よかったとこ、音の入口がきれい。特にBサビ入りで、空が開く感じが出とる」

優子「課題は息の配分。二行目の高いとこで気持ちよく上がるけど、最後の語尾が息切れで落ちがち。あと顎がちょい固くなるタイミングがある」


ひより「たしかに最後が落ちるの、気になってました……」


光子「大丈夫、策はある。今日は三つだけやろう」



ドリル①「息の地図」(Bサビ用)

•入る前に1回だけ深く吸う(肩は動かさず、肋骨の横をふわっと広げるイメージ)

•Bサビの1行目:言葉は軽く・息は重く(吐く量は一定)

•2行目の高い音:直前でほんの1拍、息を足す(バレんレベルで)

•語尾:止めない。1mm先に置くつもりで軽く前に流す


優子「今の配分でBサビだけ歌ってみよ。歌詞は口パクでもOK。母音“ア”で流すのでもよか」


(ひより、母音でBサビだけトライ)


光子「そう! 今の二行目、落ちずに着地した。拍手」



ドリル②「顎ゆるめ・舌フワ」(出だしを軽く)

•口は**縦に“指1本ぶん”**開ける

•舌の先は下の歯の裏にそっと添える

•口角はほんのり(にやけ未満)

•そのまま鼻から笑うみたいにハミング→母音へ


優子「笑いかける顔で最初の3語だけ言ってみて。顎に力、入らんように」


(ひより、ふっと笑ってから入る)


光子「光が増えた。Bサビの入口が一段明るか」



ドリル③「言葉の押し引き」(物語のコントラスト)

•Bサビ1行目=“見上げる”:言葉は前に、音量は中

•2行目=“胸が上がる”:言葉は少し引く、高さで光らせる

•3行目=“手を伸ばす”:子音をシャープに、語尾を前へ


優子「前・引く・前の三拍子で、物語が進む。一筆書きで描いてみよ」


(Bサビ、三つのコントラストを意識して再トライ)


ひより「息、持ちました……!最後が落ちないの、初めてかも」


光子「今の語尾が1mm先。会場に届くやつ」



仕上げ:Bサビ連続2テイク


1テイク目:Bサビだけ/母音→歌詞

2テイク目:本番テンポでBサビ→最後のサビ頭まで


終わって、全員で拍を数えるように静かに拍手。


優子「録音しとったけん、前後比較聴こっ」

(ビフォー/アフターを30秒ずつ再生)


ひより「別人……!息の景色が違う。首と肩も楽でした」


光子「息の地図、顎ゆるめ、前・引く・前。今日はこれだけ覚えとって。やることが少ない=強いけん」


優子「宿題はBサビだけ1日2回。母音→歌詞の順で。1回1分で終わるやつ」



おまけ:本番の“お守り言葉”

•入る前:「息は底に、言葉は前に」

•高いとこ:「1拍、おごる(息を足す)」

•語尾:「1mm先に置く」


光子「この三枚の札、ポケットに入れとき」

ひより「はい。お守り、もらいました」



締めの“よかった一言”


ひより「Bサビで落ちなかった。息の地図で歩けた」

優子「半歩、確実」

光子「星屑、ちゃんと灯った」


ラストに**眉ピッ45%**で写真一枚。

ドアの外、夕方の光。

次の練習日は、ひよりの合図で、青が来たら決行。






翌日、星屑が灯る日


合唱室。ピアノの前で先生が手を上げる。

伴奏が流れ、Bサビに入った瞬間——空気がひと段明るくなった。


先生の指が止まる。

「ちょっと待って。ひより、別人みたい。語尾が落ちないし、入りが軽い。視線も上がったね」


隣の友だちが小声で騒ぐ。

「え、昨日の夜で何があったの!?」「息の地図とか言ってたやつじゃない?」

ひよりは微笑んで、4吸って6吐くを一回。もう手が覚えてる。


もう一回、Bサビだけ。

今度は**“前・引く・前”のコントラストを丁寧に。

最後の語尾は1mm先**に置く——教室のいちばん後ろまで、静かに届く。


先生が拍手する。

「そこ! それ! いまの二行目直前の息、上手に足せたね。母音の鳴りも綺麗。本番、このまま行こう」


休憩時間、ひよりのスマホが震える。

クラスのグルチャ:「今日のBサビ、鳥肌」「独唱、主役やった」

先生から個別メッセ:「昨日から何を変えたのか簡単にメモで教えて(指導に活かしたい)」


——そして、双子へも。


ひより:青

「見違えるって言われました。息の地図/顎ゆるめ/前・引く・前、効きました。語尾1mm先、届きました」


光子:

「ようやったね! “息は底、言葉は前”、そのまんまやん。ほんなこつ偉か!」


優子:

「半歩どころか1.5歩いっとる。昼は塩で整え、夜は味噌で抱きしめ——じゃなくて、本番は深呼吸で抱きしめね(笑)」


ひより:

「よかった一言:星屑がひとつ、ちゃんと灯った。また水曜、お願いします」


チャイム。次の通しへ。

ひよりは胸に手を当てて、笑いかける顔で最初の三語。

——声が物語を運ぶ。

教室の空気が、音といっしょに柔らかくなった。




「どうやって急に上手くなったの?」の日


合唱の休憩時間。

ひよりの周りに、クラスメイトがぐるっと輪になる。


真奈「ねぇねぇ、何したらああなるの!? 昨日と別人やったよ」

悠斗「ボイトレ行った? それとも何かの儀式?」

ひより「儀式はしてない(笑)。音大に私を助けてくれた人がいて、その人にちょっと教えてもらったの」


彩「音大の人?」

ひより「うん。小倉光子さんと小倉優子さん。いま作曲科と声楽科の1年生だけど、ファイブピーチ★ってユニットでも活動してる先輩。

昨日、学生会館の小ホールで、Bサビだけ集中して見てもらった」


「「「え、プロじゃん!」」」

「テレビ出てる人たちの…本物!?」

「そんな人に直接!?」


ひよりは苦笑して、ノートを開く。


ひより「教わったの、むずかしい言葉はゼロでね。三つだけ」

1.“息の地図”を作る

 入る前に1回だけ深く吸う(肩は動かさない)。

 二行目の高い音の直前にほんの1拍だけ息を足す。

 語尾は止めないで1mm先に置く。

2.“顎ゆるめ・舌フワ”で入口を軽く

 口は指1本ぶん開けて、舌の先を下の歯の裏にそっと。

 笑いかける顔で最初の三語を言う。

3.“前・引く・前”で物語を進める

 Bサビの1行目は前、2行目はちょい引く、3行目はまた前。

 声量で勝負しないで、言葉の置き方でコントラストつける。


真奈「え、それだけ?」

ひより「それだけ。あと、入る前に4吸って6吐く×3。

“息は底に、言葉は前”ってお守りもらった」


悠斗「語尾1mm先って表現、天才…!」

彩「“前・引く・前”は、指揮の景色にも合うね」


そこへ先生が近づく。


先生「小倉さんたちの話、聞こえちゃった。よかったら今度、放課後に“息の地図ワーク”をミニ勉強会にして、希望者に教えてくれない?(もちろん無理はしないでね)」


ひより「私でよければ…! 伝えられる範囲で共有します。

本家は小倉さんたちなので、要点だけメモにしますね」


先生「助かる。**“むずかしい言葉はゼロ”**のまま、クラス言語に落とそう」


チャイム。次の通し前、ひよりのスマホが震える。


光子「青平気?」

ひより「青 平気。見違えるって言われました。ありがとう」

優子「語尾1mm先、今日も置いてこい。半歩で十分」


真奈(小声)「その**“半歩”**っての、好き」

ひより「うん。半歩が道になるって、教わった」


——Bサビ。

ひよりは笑いかける顔で最初の三語。

前・引く・前、そして1mm先。

教室のいちばん後ろから、小さな拍手が起きた。


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