キャッチ&リリース
「さて、この人間、どうしたものだろう」
宇宙人が言いました。
「食うに決まっているだろう。他に何をする?」
鬼が言いました。
その人間は宇宙人と鬼にさらわれ、この施設にとらわれていたのです。人間は医療用のようなベッドに拘束され、今目を覚ましたところでした。
「助けてくれ。どうして私をさらったのだ」
人間は悲鳴を上げ、懇願しました。
「人間は『選ばれ』ると言う。『選ばれ』たことには理由があると。自分は他の人間と違い『選ばれ』る何かしらの価値があると」
宇宙人はあきれたようすでした。
「ところが、人よ、君が釣った魚を、そして放ったその魚を選んで釣り上げたとでも言えるのかね。釣りは食うためであり、趣味であり、時間つぶしである。そして食うため」
鬼がニタリとしました。
「新薬の検査を試すラットを『君は他のラットと違って○○と言う価値があるから君を選んだんだよ』とでもなだめすかすと言うのか。新薬はそう。検査のためだよ。どう反応するか。データのためだよ」
宇宙人も笑っているようでした。
人間はただただ泣くばかりでした。
その時です。施設が轟音を立てて半壊しました。そればかりではなく、宇宙人も鬼もおっきな黒い空間に飲み込まれてしまいました。助かったと思った人間は、見たこともない巨大な生き物の目がこちらをギラリと向けたのを見ました。




