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210  作者: Nora_
9/10

09

「よしよし、富久君はまだ起きないみたい」

「……起きているよ、僕の部屋でなにをするつもりなのかな?」

「あーあ、起きちゃったんだ」


 あーあって……そりゃ生きているんだから起きるよ。

 とりあえずなにかをされる前に体を起こしていつでも対応をできるようにした、流石にこうなってくると都子さんでも怖い。


「起きちゃったんだけどどうしたらいいかな鳴海ちゃん」


 矢子さんの声は聞こえない、でも、電話をしているふりにも見えない。

 それからすぐに矢子さんが部屋に入ってきた、なんなら泰二も連れてきた。

 そして一番最後に入ってきた泰二が僕を持ち上げて運ぼうとする、意味が分からなさ過ぎて結局固まっていることしかできなかった。


「着いたな、いま下ろしてやるぞ」

「えっと……泰二が考えたことなの?」

「違う、都子が決めたんだ、それで鳴海が面白そうって言っていたから参加した」


 そうか、矢子さんがきっかけを作ったわけではないのか。

 あとここは都子さんの家だから安心した、変なところに連れて行かれて変なことを言われても困るというやつだ。

 温かい飲み物を貰って飲んでいると「急にごめんね、だけどたまに二人の力を借りたくなるときがあるんだ」と彼女が教えてくれた。


「鳴海、ちょっと俺らは違うところに行くか」

「そうだね」


 って、二人が違うところに行こうとしているのに止めようとしないのはなんでかな、ここまで連れてこられたならもう一人で問題はないということだろうか?


「富久君、私は富久君のことが好き」

「うん、それはちゃんと言ってくれたから分かっているよ? というか、二人に言っていないだけでもう付き合っているんだからさ」


 泰二のことを情けないと言うつもりはないけど告白をさせてしまったらずっと引っかかりそうだったから自分から動いた。

 当日はもちろん緊張した、人生で初めてそのことから吐きそうになったぐらいだ。

 だけど本人をこの家に呼んだら全く気にならなくなってしまって正直、それまでの自分はなんだったのかと呆れたぐらいだった。


「うん、それで今度は付き合った状態でいきなり二人きりだと緊張してしまうから呼んだの」

「そういうことか。安心して、いきなり色々とやったりはしないよ、ゆっくりとやっていこうよ」

「うん、私もそのつもりだから」


 多分、二人きりで話したいことは話し終わったと思うけど二人が戻ってこない。


「あ、泰二君が『空気を読んで帰るぜ』だって……」

「はは、泰二らしいね、あと矢子さんらしい」

「はは、だね、絶対に鳴海ちゃんが言い出したことだよこれ」


 ま、まあ、追い出したわけではないからいいよね。

 とにかくこうして当たり前のように彼女といられるわけだから楽しんでおくことにしたのだった。

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