表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呼ばれた私と国宝級美貌の戦士達  作者: 白井夢子
第二章 その後に続く日常

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/147

23.フィナーレを飾るのは


「わあ!さすが国宝級美貌戦士さん達のオークションだね。熱気が半端ないよ」


サイン会の翌日は、チャリティーオークションが開催された。

フィナーレには英雄達の私物が出品されるとあって、オークションが進むにつれ会場は緊張感の高まりを見せていく。


今、参加者達の目は英雄本人達よりも、出品された物に熱く向けられている。

なのでハルは完全な傍観者として、ステージ横の英雄達に用意された席に座ってオークションの様子を眺めていた。

ハルの側に立つミルキーや双子は、会場中を覆う邪念にまみれた欲望に少し疲れを見せていたが、チャリティーイベントの重要さを理解している白戦士達は、ハルの「先に帰ろう?」という言葉に頷くことはなかった。



いよいよ英雄達の私物が順番にオークションにかけられていくと、私物が公開される度に大きな歓声が上がり、信じられないくらいの落札額を叩き出していった。


「フレイムさんとシアンさんの私物の剣、めちゃくちゃゼロの多い落札価格になってたね。メイズさんの調理道具も、フォレストさんの使役する時に使う道具も、マゼンタさんの治療券もありえない数字だったし。

こんな子達の最後に私の物を発表するなんて、嫌がらせじゃない?みんなもう帰り支度始める勢いだよ。公開処刑だよ、ひど過ぎない?

ミルキーさんもパールちゃんもピュアちゃんも具合悪そうだし、もう帰ろう?」


「誰も帰り支度なんてしてないだろう?あと少しなんだからちゃんと座っていた方がいい」

ぶうぶう文句を言うハルに、メイズは注意をした。


「ケルベロスの毛玉ボールも、魔獣使役者の多いマラカイト国の者なら興味あるものだろうし、いい値はつくんじゃないか?」

「あ、ケルベロボールの出品は止めたんだ。あれは可愛いケルベロちゃんの分身だからね、誰にでも渡せる物じゃない貴重な物なんだよ」


メイズの隣に座るマゼンタが、それを聞いてハルに尋ねた。

「ケルベロボール以外、何も思いつかないって話してたじゃない。ハルは何を出品したのよ?」

「マゼンタさんと同じ出張券だよ、マネしちゃったんだ。私はただの、パールちゃんとピュアちゃんと一緒の『お出かけ券』だけどね」


「それは―」

とマゼンタが言葉を続けようとしたところで、司会者の声が響く。


「では最後は、『神秘のオーラに包まれた黒戦士との一日デート券』です!」



「「は?」」

信じられないと言った顔でハルを見る英雄達に、ハルも『信じられない』と暗い顔になる。

「最悪だよ……。あんなネーミング付けられたら、ますます価値が下がってくよ……」


司会者の発表でしんと静まり返った会場に、ハルは目の前に置かれていたイチゴのゼリーをじっと睨みつけるしかない。


――『みんな黙っちゃったじゃん』と思った瞬間。

うおおおおおっ!!と大きな声が響いて、その怒声に近い歓声に驚いたハルは、立ち上がってサッと側にいたケルベロスの後ろに回った。


「舐めてんのか!コノヤロウ!」とかいう怒声が飛んでくるかと覚悟したが、普通にオークションが始まった。

どうやら『ハルの熱狂的ファン』というものは本当に存在したらしい。


「危ないところだったよ。全世界からブーイングを受けるところだったよ。誰かは買ってくれそうだね。無事任務は達成したよ、良かったね」

ふうと息をついてハルは席に戻った。


「良くないでしょう!なんてもの出品するんですか!」

「どうするつもりよ!」

途端にフォレストとマゼンタに怒られる。


「え、パールちゃんとピュアちゃんと、今度クリムゾン国の街に遊びに行こうって約束してるから、一緒に行けばいいんじゃないかな」


「ダメに決まってるでしょう!」

「街に出るのは禁止だ。ログハウスに招待しろ!」

「僕が食事を作ってもてなそう」


シアンとフレイムとメイズの言葉を、司会者がすかさず拾う。


「この『神秘のオーラに包まれた黒戦士との一日デート券』には、『英雄様達のログハウスへのご招待』も含まれます!更には『英雄メイズ様の手料理つき』となります!!」


途端。

キャー!!キャー!!キャー!!と、会場を突き抜けるような女性達の悲鳴が響き渡った。


「キャー!!フレイム様〜!絶対会いにいきます!」

「メイズ様のお料理を食べたいです〜!!」

「シアン様〜!!お隣に座ってください!!」

「フォレスト様〜!!あ〜んってしてください!!」

「マゼンタ様〜!!お泊まりもアリですか〜!!」

「黒戦士抜きでいいですから〜!!」



盛り上がりに盛り上がって、「黒戦士と一日デート券」は「英雄戦士達のログハウス一日招待券 〜英雄メイズ戦士の手料理つき〜」に代わって、過去最高値で落札された。


落札者はクリムゾン国一お金持ちと言われる大富豪のお嬢様だった。

「お友達も何人か一緒に連れて行きたい」と話していたので、実はみんなで協力して落札したのかもしれない。


お嬢様がチラッとハルに向ける目には、女子しか気づかないビームが含まれていたが、それはそれで問題ない。

英雄戦士達だけのおもてなしを求めるならば、ハルは何もしなくてもオークションでの役割を全う出来るからだ。


「早く終わらせてしまおう」と、英雄達はおもてなし日は明日に決めたようだ。


「すごい綺麗な人だったね。一緒にいた子達が、明日来るお友達かな?お友達もきれいな人ばかりで良かったね。

あの子達、戦士さん達のためにすごいお金払ってたよね。大富豪だよ。みんな、明日はちゃんとおめかしして、しっかりおもてなししないとね」



『誰のせいでこんな事に』と英雄達は言いたかったが、口を出したのは自分達なので、何も言えないままにやり切れない思いでため息をついた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ