ぼくのかけがえのない時間
「何してるのこんなところで」
なぜかはっきり聞こえた聞いたことのある心地の良い声色。
、、、ガッタン
ぼくは体を慌てて起こす。
「風邪ひくよー」
目の前には、桔乃がいた。
「なんでぼくの家に、、あれ」
そこは、ぼくの家ではなく桔乃に初めて会った公園だった。ぼくは理解が追いつかなかったが、異世界で起こることは予想ができないなーで片付けた。
「私いまちょうど散歩してたの、一緒にどう?」
「いいよ、行こう」
ぼくと桔乃は公園から出て歩きだした。その道中、ぼくたちはいろいろなことを話した。
学校のこと、好きなこと、最近あった面白い出来事、、ぼくはとても楽しかった。体にまとわり付くような湿気でさえ今はまったく気にならないくらい。そしてなんだかんだ時間が過ぎ、桔乃の家に着いてしまった。
「じゃあまたね!」
「うん!ありがとう!楽しかった!」
そう言って僕たちは解散した。
とても話しやすくて、面白くて、綺麗な人。笑顔が素敵な人。散歩の間にいろいろなことが分かった気がする。また一つ彼女のことを知れた気がする。そんなことを思ったと同時に、意識が遠のいていった、、、
目を覚ましたのは自分のベッドの上、指輪は割れている。しーんとした自分の部屋が少しだけ寂しく感じたが、それ以上に彼女と話した楽しい記憶が蘇ってくる。
「また会いに行こう」
そうしてぼくは家の階段をかけ降りた。
それからというものぼくは休みの日になると毎日指輪をはめて寝るようになり、桔乃に会いに行った。桔乃の家で学校の愚痴を聞いてもらったり、逆に桔乃の愚痴を聞いたりもした。これが現実世界で起きてほしいものだなんて思ったりもした。それくらい僕にとって特別でかけがいのない存在だった。そう、そういう存在の人だったんだ。