不思議な体験後の一週間
月曜日になり、また憂鬱な一週間が始まる。ぼくは異世界に行ったことを陽介に話そうとしたが、やめておいた。どうせ相手にされないし、言ったらなんかからかわれそうだし、、
だけどやっぱり言いたくなったから放課後、中央公園で
「不思議な体験をしたんだよねー」
と陽介に言ってみた。
「ふぇー、そうなんだ」
意外にもこいつは興味を示さずずっとスマホを見ている。もうちょっと興味もってもいいのにと思いつつ、ぼくは陽介が持っていたバスケットボールを取ってドリブルをついたが、こいつはそれでもずっとスマホを見ている。険しい顔をして。いつもはスマホより体を動かしたり人と話すほうが好きと言っている陽介がスマホをずっと見ているのは不思議な光景だった。
「なにか調べてん、、」
「ちょっと行きたいところあるからついてきてくんない?」
ぼくが言い出そうとしたときに急にそう言われた。咄嗟に
「あっ、いいよ」
と言ってしまった。
「サンキュ!」
そう言ってぼくたちは少し自分たちの地域から離れたちょっとしたお寺にやってきた。
「おれさちょっと気になる人できたんだよね、」
「は?、まじ!?」
お寺に着くや否やそんなことを言われてびっくりした。
「でもなんでここ?」
そうすると陽介は少し照れながら、
「ここ、恋愛の神様みたいのがいるんだ。だからちょっと神様にも応援してほしい、みたいな、、感じ。」
こいつ、、意外と可愛いところあるな!!!
ずっと一緒に過ごしてきたけど初めてみる顔だった。人は好きな人ができるとこんな顔するのか、
いや陽介がすぐ顔に出るタイプのやつだけかー
といろいろ考えてしまった。まあけどどっちにしろ「恋」というものをしたことがない自分には関係ないことだなと思った。
神様の前まできて陽介は手を合わせている。そんな中ぼくは、お寺の周りの景色がきれいでそれに見とれていた。
「お前はお願いしなくていいのかー?」
「ぼくは別に好きな人いないし、」
「それでも一応お願いしとけ!」
「何をお願いするんだよ」
「もし好きな人ができたら応援してください!みたいな感じでさ」
陽介に言われるがままぼくも神様に手を合わせる。
「よし!お願いもできたし帰るかー」
「切り替え早いなよなー、お前」
そう言ってお寺の坂を下った。
金曜日、6時間目終了を知らせるチャイムが鳴る。火、水、木、金、なんだかこの一週間はとてもはやく感じた。それもそのはずだ。ぼくは、ずっと陽介の恋愛のことと、異世界のことについて考えていて授業を正直あまり聞いていなかったから。その中でも週の後半の方は異世界にもう一回行けるのかということを考えていた。そして金曜日の寝るときに指輪を作って布団に入ろう、と決めていた。
「また異世界、行けるかなー」
ぼくはすぐ帰路につき、自分の部屋に直行する。お風呂に入り、ご飯を食べ、ゲームをし、夜の11時くらいになったときに作った指輪を左手の中指にはめ布団に入る。
「また異世界に行きたい!」
そう願ってぼくは眠りについた。