4 今日も安全と安心のために
「なんでこうなんだろうな」
時に事前処分を行う有志はぼやく。
なぜ問題を起こすのか?
どうして平穏に生きられないのか?
平穏のために働く有志には分からない。
おそらく、永遠の謎なのだろう。
だが、それでも疑問を抱く。
どうして嫌われるような事をするのか。
どうして問題となる行動を起こすのか。
なんで危害を加えるのか。
全てが謎だ。
そんな事を思いつきもしない身としては。
だが、問題は確かにそこにある。
ならば対処するしかない。
放置できれば良いのだが、そうもいかない。
AIによれば、問題を起こす可能性のある者達はまだ多い。
隔離されてるほぼ全員が対象なのだから当然だ。
その全てが消えない限り、今後も脅威にさらされ続ける。
「さっさとあいつらを処分できりゃいいんだけど」
まだそこまでできないのが残念だ。
今はまだその準備中で、対処療法的に対応するしかない。
だが、いずれ処分は実行される。
そうなれば、問題は抜本的に改善される。
問題を起こす者が軒並み消えるのだ。
そうなれば、もう事前の処分などしにいかなくてもよい。
この世のどこかに存在する脅威を気にしなくても良くなる。
それまでは少しだけ頑張らねばならない。
もめ事を起こすような輩を事前に処分。
脅威が暴動に発展する前に消していく。
やらねばならない仕事だ。
有志としてもやり甲斐をもって事にあたってる。
この日も問題を起こしそうな輩を成敗したところだ。
日常的な言動も態度も行動も問題のある輩だった。
まだ大きな問題になってないだけで、小さな問題はいくつも起こしていた。
なので、事前に処分した。
そんな奴だが、最後まで自分を振り返る事はなかった。
「ちくしょう、ふざけんな!」と有志達を罵っていた。
「俺が何したってんだ!」とも。
日常的な嫌がらせに暴言。
借りるといって物品や金銭の強奪。
断れば暴行、少なくとも暴行をちらつかせる。
そんな輩が何を言ってるのかという話だ。
当然ながら取り合う事はない。
悪さをする奴等は常に自分を被害者におく。
自分は悪くない、なのになぜ攻撃するのかと言う。
この言い分が通るまで押し通す。
そんな奴等と話し合いはできない。
何も言わずに処分していくに限る。
せいぜい、「うるせえ」「黙れ」「死ね」というくらいだ。
他にかける言葉もない。
これもまた暴言の類いだ。
しかし、相手が相手だから使って問題になる事は無い。
嫌がらせ・暴言・暴行を行う輩だ。
同じように、嫌がらせ・暴言・暴行を返しても問題は無い。
やり返し・反撃は罪にはならない。
そうなるように誘導したとかならともかくだが。
最初にやってきた奴が悪い。
特に、暴言・嫌がらせなどはだ。
直接の危害にならなくても関係がない。
そうなる誘発要因なのだ。
行った者を放置するわけにはいかない。
まずは悪口から問題は始まる。
これが無くなるだけで世の中は変わる。
実際、こうした嫌がらせをする者から排除登録されていく。
そうして会いたくもない奴と会わなくなるだけで、世の中平穏になる。
有志が始末したクズも、そうして排除されていったのだろう。
行き着いたのは、事前処分対象という最悪の状況。
そうなる前に、孤独に生きていけば良いのだが。
それができないから、誰かや何かに襲撃する。
晴れておたずね者になる。
その未遂犯として有志のような人間に事前に処分される。
「一人で生きていけよ」
常々そう思う。
排除されたのに、それでも人との接触を強要する。
そんな事せずに、一人で生きていけば良いのだ。
そうしてれば、今以上に悲惨な事にならないのだから。
問題を起こす人間に見られる問題だ。
一人でいようとしない。
誰かと一緒でないと耐えられない。
誰かに危害を加える性質・性格なのに、なぜか他の誰かとの接点を望む。
だから問題なのだ。
誰かに危害を加える性質だったとしてもだ。
一人でいればあまり問題にはならない。
人間同士の問題など、なんらかの接点があるから発生する。
接点・接触がなければ問題になりようがない。
陰口などによる暴言・罵倒などはともかくとして。
それなのに一人でいようとしない。
他の誰かとの接点を望む。
それが問題につながる。
だから有志などは動くしかなくなる。
「病気だな、本当に」
みんな仲良し病。
有志などは誰もがそう言っている。
では、一人でいれば問題はないのかというと。
本当に問題はない。
まともな就職などは難しくなるが、個人で請け負える仕事はある。
それこそ在宅勤務が当たり前の世の中だ。
ネットワークで仕事を受注する事もできる。
それをこなせば、生活は成り立つ。
誰かとの接点がなくても生きていける。
あるとしても、事務的なやりとりだけ。
人間関係というほど深いものはない。
それでも生きていけるのだ。
人と人との接点など必要ない。
わきまえてる人間はそうしてる。
どうしても対人能力がない。
決定的に低い。
そういう人間はいる。
そういった者達は無理して他人との接点は求めない。
一人で生きていく方法を模索する。
仕事における事務的なやりとり以上を求めないし望まない。
排除登録はされても、そうして仕事をして生きていく。
こうした者達は処分されない。
大きな問題を起こさないからだ。
排除登録されていても、それを受け入れる。
自分から他者と距離を置く。
中には、排除登録される前に自分に気付く者もいる。
そういった者達は、自ら世間との接点を断ち切る。
無理して接点を持とうとしない。
食い扶持を確保するための仕事だけに人間関係を留める。
そして大人しく生きていく。
世の中には孤独を愛する者もいる。
他者との接点を拒む者もいる。
あるいは個人で楽しめる趣味に没頭する。
そうやって一人で生きていく事を選ぶ者達もいる。
これは排除登録されるような人間であろうがなかろうが関係ないが。
そういった生き方を選ばなかった時点でもう終わりなのだ。
排除登録されるような人間が他者と接点を持てば、確実に不幸が発生する。
主に、排除登録された人間に接触された側に。
加害者が反撃を受けるなら良い。
だが、被害者を増やすわけにはいかない。
その為にも加害者を放置するわけにはいかない。
面倒だがやるしかない。
今はまだ有志が。
いずれ全てが自動化されるまでは。
今日も処分をしていく。
事前に問題を潰すために。
平穏な世界のために。
手間を惜しみ、面倒と嘆いてはいられない。
今日もどこかで排除登録がされる。
人間である以上、一定の割合でそういった人間は生まれてしまう。
そういった者がいずれ問題を起こす。
だから処分するしかない。
終わりのない作業だ。
だからといって手を止めるわけにはいかない。
やらなければ、問題が多発する。
今の平穏が消える。
それは避けねばならない。
放っておけば、自分自身が被害にあうかもしれないのだから。
排除は今日もなされていく。
居場所を失う者達が増えていく。
やがて隔離された場所へと追い出される。
あるいは、事前に処分されていく。
そうして世の中は平穏を保っていく。
繁栄と発展も。
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