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双子と猫と狐様  作者: 藍晶石
一章∶黒い影が独りでに
1/1

昔むかしのお話

昔むかしのお話です。


天照大御神(あまてらすおおみかみ)が世界を統治し、明るい世界が訪れたとき、どこからか(あか)と白の光が現れました。

紅い光は狐の形へ、白い光は猫の形へと変わっていき、天照(あまてらす)の膝下へと飛んでいきました。

紅狐(あかぎつね)白猫(しろねこ)はどちらも天照(あまてらす)になつき、天照(あまてらす)もその2匹をとても大切にしておりました。


けれどそんなある日、天照(あまてらす)は岩戸を閉め、閉じこもってしまいました。

そう、天岩戸伝説(あまのいわとでんせつ)です。

紅狐(あかぎつね)白猫(しろねこ)は戸が閉まる前になんとか天照(あまてらす)の元へと向かおうとしました。

紅狐(あかぎつね)の足は早く、戸が閉まる直前で何とか飛び込みました。

けれど白猫(しろねこ)紅狐(あかぎつね)より足が遅く、目の前で戸が閉まってしまいました。

天照(あまてらす)が閉じこもったことにより世界は暗闇に包まれ、魑魅魍魎(ちみもうりょう)が増えていき、清らかな魂を持つ者ほどその魂を穢されてしまいました。


白猫(しろねこ)もその例外ではありません。

それどころか、快晴の青空よりも澄んだ魂だった白猫(しろねこ)は簡単に穢されてしまい、白かった毛並みを漆黒へと変えて黒猫(くろねこ)となり、その力は魑魅魍魎(ちみもうりょう)を従えて陸を破壊しながら百鬼夜行の先頭で歩くほどでした。

その進行を抑えようと様々な神が立ち向かいましたが、皆穢されて百鬼夜行の中へと入っていきました。


困った八百万(やおよろず)の神々はあの手この手で天照(あまてらす)を岩戸から出そうとしました。

興味が出た天照(あまてらす)が岩戸を少し開け、覗くと神々の声が止まり、目の前には魂を穢された黒猫(くろねこ)が青年の姿へと変え、こちらを睨むように見ていました。

黒猫(くろねこ)だった青年は「何故、何故その狐だけを……」と呪詛を吐き続け、少しだけ開いていた戸を勢い良く開け放ち、持っていた剣を天照(あまてらす)へと向けた瞬間、天照(あまてらす)の輝きをその身に蓄積していた紅狐(あかぎつね)が娘の姿へと変わり、近くに落ちていた枝を剣へと変えて黒猫(くろねこ)の剣を弾き返しました。


外の様子が不安になった天照(あまてらす)が外に出ると途端に周囲が明るくなり、穢されていた神々は元に戻り、弱い(あやかし)は浄化されて行きます。

天照(あまてらす)紅狐(あかぎつね)黒猫(くろねこ)を勾玉の形に変化させ、

真面目すぎる紅狐(あかぎつね)が適度に休むように

穢に染まった黒猫(くろねこ)が平和な心を取り戻せるように

という想いで勾玉の一部をくり抜き、入れ替えて皆が知る勾玉の形にしました。

そして(あか)い勾玉を鬼門(きもん)の方角、北東へ

黒い勾玉を裏鬼門(うらきもん)の方角、南西へと置きました。


その(あか)い狐を祀るのが紅狐寺(こうこでら)

黒い猫を祀るのが黒猫寺(こくびょうでら)

その間で紅狐寺(こうこでら)黒猫寺(こくびょうでら)の秩序を守るのが八方神社(はちほうじんじゃ)と言います。



昔むかしのお話でした。

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